8 / 9
第11話
しおりを挟む
「え~?今日、野牛さん休みなん?」
一番早く出勤してくる準社員の寒子が早朝品出しが遅れている現場を見て叫ぶ。
「高津さん、野牛さん、どうしたん?」
「この前、僕の休みの日に代わりに野牛さんに出てもらったんやけどね、牛乳しか出来ない野牛さんに、パンパーンが、高津さんの代わりに出勤したんなら高津さんの担当のところやってくれって言われたらしいんよ。やったことないのわかっててね。それで野牛さんがへそ曲げて、自分が休みたい日の代わりの人探すのやめたみたいやで。」
シルバー世代ばかりの早朝品出しでは、仕事できる、出来ないの前に、意固地で融通の聞かない、おまけに目や指などが満足に使えない、はたまた立ってる時間が長いと「椅子に座って」でないと作業が続けられないといったシルバー世代が抱える体の不具合が問題になる。パンパーンは中でも最年長で、おそらくそのすべての問題を抱えている。
守備範囲が狭い分、その中に誰も入れたがらない。
だから野牛さんが自分のテリトリーに入ってくるのを快く思っていない。何かにつけイチャモンをつけるのだ。極論的にはこの職場から消えてくれと願っている。
どの職場でもそうだが、自分の仕事を取られることを良しとしないもので、若い人は余裕もあり何でもできるからかんたんに自分の持ち場を開け放つが、シルバー世代ではそうはいかない。やっと掴んだ、もう新たな仕事など巡ってくることなどありえないと思うと、今この仕事は誰にも渡さない、っとなるのは致し方ないことだ。パンパーンに関してはまさにそういう状況に違いない。
寒子は、なんでパンパーンはそんなこと言うん?と
高津に言ってきたが高津は「本人に言って」と一蹴した。言いにくいからと本人に直接言わないことが問題の解決を先延ばしする。喧嘩になっても構わない。いうべき相手に直接言うことが仕事上の問題解決には必須である。あっちで言いこっちで言ってる間に相手も言い訳を考える。言うなら本人にすぐにというのが高津が長年のサラリーマン生活で養ってきた常識だ。
寒子はここの職場では良く出来ると重要ポストに抜擢されてるのだがまだまだである。
結局パンパーン本人に何も言うことはなく、結果的に何も解決できずに終わった。
高津はシルバーの大御所といい、中堅のやり手と言われている寒子といい、この職場に抱える問題の核心を見たように思えた。
一番早く出勤してくる準社員の寒子が早朝品出しが遅れている現場を見て叫ぶ。
「高津さん、野牛さん、どうしたん?」
「この前、僕の休みの日に代わりに野牛さんに出てもらったんやけどね、牛乳しか出来ない野牛さんに、パンパーンが、高津さんの代わりに出勤したんなら高津さんの担当のところやってくれって言われたらしいんよ。やったことないのわかっててね。それで野牛さんがへそ曲げて、自分が休みたい日の代わりの人探すのやめたみたいやで。」
シルバー世代ばかりの早朝品出しでは、仕事できる、出来ないの前に、意固地で融通の聞かない、おまけに目や指などが満足に使えない、はたまた立ってる時間が長いと「椅子に座って」でないと作業が続けられないといったシルバー世代が抱える体の不具合が問題になる。パンパーンは中でも最年長で、おそらくそのすべての問題を抱えている。
守備範囲が狭い分、その中に誰も入れたがらない。
だから野牛さんが自分のテリトリーに入ってくるのを快く思っていない。何かにつけイチャモンをつけるのだ。極論的にはこの職場から消えてくれと願っている。
どの職場でもそうだが、自分の仕事を取られることを良しとしないもので、若い人は余裕もあり何でもできるからかんたんに自分の持ち場を開け放つが、シルバー世代ではそうはいかない。やっと掴んだ、もう新たな仕事など巡ってくることなどありえないと思うと、今この仕事は誰にも渡さない、っとなるのは致し方ないことだ。パンパーンに関してはまさにそういう状況に違いない。
寒子は、なんでパンパーンはそんなこと言うん?と
高津に言ってきたが高津は「本人に言って」と一蹴した。言いにくいからと本人に直接言わないことが問題の解決を先延ばしする。喧嘩になっても構わない。いうべき相手に直接言うことが仕事上の問題解決には必須である。あっちで言いこっちで言ってる間に相手も言い訳を考える。言うなら本人にすぐにというのが高津が長年のサラリーマン生活で養ってきた常識だ。
寒子はここの職場では良く出来ると重要ポストに抜擢されてるのだがまだまだである。
結局パンパーン本人に何も言うことはなく、結果的に何も解決できずに終わった。
高津はシルバーの大御所といい、中堅のやり手と言われている寒子といい、この職場に抱える問題の核心を見たように思えた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
後宮の棘
香月みまり
キャラ文芸
蔑ろにされ婚期をのがした25歳皇女がついに輿入り!相手は敵国の禁軍将軍。冷めた姫vs堅物男のチグハグな夫婦は帝国内の騒乱に巻き込まれていく。
☆完結しました☆
スピンオフ「孤児が皇后陛下と呼ばれるまで」の進捗と合わせて番外編を不定期に公開していきます。
第13回ファンタジー大賞特別賞受賞!
ありがとうございました!!
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる