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第6話

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今日も朝からパンパーンと野牛のバトルが始まる。
人間とはおかしな動物で、三すくみというような関係が常にあるようだ。パンパーンは、なぜか野牛には強気だ。パンパーンはもともと自分のやり方を周りに押し付けたり、自慢したりという傾向があるのだが、特に野牛に対しては言いたいことを言う。
そのため過去に何回も野牛とぶつかっている。
パンパーンは同じ行為を何度でも繰り返す性格で、毎朝「台車は3台、コロは5台、これだけパンパーンと、しといたらいけるわ」とか、「ワシ台車引いていくからパン頼んどきます」とか、分かりきったことを繰り返す。高津は、もう今では返事もしないことにしていた。どうでもいい話にいちいち答えるのが鬱陶しくなってきたからだ。

パンパーンが「野牛さん、昨日牛乳やってくれたわな。またね日付バラバラに入ってたわ。ちゃんと日付通りにかためておいといてくれやんと仕事やりにくいわ」野牛「そんなこというても目も悪いしアルバイトやからそこまで知らんがな」野牛は、細かいこと言うなよといつも言い返す。「それはあかん、アルバイトでもちゃんとやらんと」と、パンパーン。「そんなこと言うけどあんたもチューハイ並べるとき、冷えてるの押し込んで手前から補充してるわしょ!」とついつい和歌山弁丸出しになる野牛。延々と続き、最後にはパンパーンが「わかりましたもうええよ」と引き下がる。最初から何も文句言わんかったらええのに。言ってることは正しいはずのパンパーン。いつもこの繰り返し。

高津は自分のテリトリーを黙々と品出ししながら二人の話をほくそ笑みながら聞いている。高津は、一度もめた事柄は二度ともめることがないようケリをつけることにしている。
同じことは2回しない。相手が同じことで間違うのを待ってその時ガツンとやって終わりにする。
だから高津は同じことで繰り返し揉めることはない。
老化というのは体が弱っていく、できていた事が出来なくなっていくということだが、頭脳のピークは体のピークより遥かに遅いのが普通で、老人と呼ばれる頃からもまだまだ進化するものだ。日頃使わない頭脳ほどどんどん老化していく。
酒飲んで、テレビ見て、世間話をしてる日常では進化などするはずはない。高津は自分自身に「老後」という生活を当てはめるときにはそれで十分だと思っていて、どっぷり浸かりたいとも思っている。
だがまだまだ老後には程遠い。
何よりパンパーンや野牛や害虫のような「老人」と仕事することがストレスを蓄え、発散し老化を防げると常々思っていた。



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