人生懺悔

株馬きち

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青春時代と家庭の崩壊

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空也は普通高校に通い体育系のクラブ活動も楽しみ、勉学もスポーツもだいたい100人中10番ぐらいの位置にいた。
それは空也の人生の様々なキャリアの中でほぼ安定した位置だった。
大学進学は国立2期校(当時は国立1期と2期に分かれていた)の外国語学部を受験したが失敗し
家庭の崩壊とともに大学進学への思いも消滅していった。人間は夢や希望のために生きるだけでなく、その日その時起こり得る事象に抗えず無意味な労働という選択肢を持たなければならないこともある。
それが日々に流されていつの間にか夢や希望を忘れさせてしまいもはや戻ることができないということも多い。
当時空也は彼女がいて、毎日クラブ活動や休みの日のデートなどを楽しんでいた。
裕福な酒屋の子で卒業までの2年間ほどは彼女とのことで塗り尽くされていた。
「藤井くん、私、尾崎くんのこと好きなんやけどあの子鳥居さんが好きなんよ。うまいこといかんなあ」常子は僕に打ち明けた。空也(藤井)は鳥居のことを思っていた、常子はそれもしっていた。だからお互いあまりこだわらず片思い同士話したり遊びに行ったりした。
空也にとって人生で最初に出会った身近な女性だった。しかもプラトニックな付き合い。
それが空也の気持ちがどんどん常子に向かっていくことになり、やがて片思いと悲しい失恋という結末を迎えることになるのだった。空也が大阪に飛び出すきっかけの一つになり、家族との別れの一因ともなった。
青春の恋する想いは当時、命の次に重要に思われ、それ以外のことは何も考えられなかった。
今思えばもっといろんな選択肢はあったと思われるが、常子に片思いであることを確信させられてからは風に吹かれてさまようような人生を送るようになった。
とりあえず生活の糧を、金を稼がねば。
空也はこの時から命の次に人生で重要なものは「金」であると感じるようになり「金」のために浮き沈みを繰り返す人生を送ることにもなった。
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