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娘との別れ
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二人の娘を連れて行かれたあと、こず恵と空也はもはやそのアパートに住むこともできず、新しい住居を探した。
こず恵と空也が働いていた職場では、すでにふたりのことが噂になっており、社員の空也は社長に呼ばれこず恵と別れるよう説得してきた。
長い話の後、社長は「そうか、残念やなでもな、世間というのはこういうことは許さんからな。もちろんわしも許さん。世界観の違う者と一緒に仕事していくわけにはいかんよ。辞めてくれるか」社長の一言で空也は職場も失うことになった。
「こず恵、会社クビになったよ。当然お前もや」
こず恵に伝えると、こず恵はすでに予想していたらしく「そうなん、仕方ないね、またふたりで働けるとこさがそ」と空也に抱きつきながら呟いた。
ふくよかな胸が空也に押し付けられた。
空也は、好きなフォーク歌手の曲1フレーズをこず恵の耳元で呟きながら、少し涙をこぼした。
「立ち上がるとき噛み締めたころんだ傷が癒えるとき、男の夢を叶わさん小さな声で叫んだよ♫」
こず恵は空也の想いとは遠く離れて、別れた娘ふたりを思い出し、涙流した。
こず恵はかりに空也と暮らすことが出来なくても娘ふたりと生きていく覚悟で娘を連れて夫の元を出たはずなのに、今は空也しかいない。
残酷な流れになってしまったことを後悔していた。
空也も、その後数年経ってこず恵が別れた娘ふたりと再会できるようになるまでの間、こず恵の悲しみを自分のこととして受け入れ続けなければならない運命を背負ったのだった。
ふたりの新居は風呂なしの、2部屋に台所がついた安アパートに決まった。
アパートなどの、屋根裏を他人と共有するような生活をしたことのないこず恵にとって、不安はあった。だが、もとはといえば夫との生活に嫌気が差していたところに、空也という何か今まで出会ったことのない変わり者と出会い、一気に人生を塗り替えるようなことがはじまってしまったのだ。
今さら不安などとは言っていられない。気の強い前向きな性格がこず恵を奮い立たせた。
子供二人と会えるまで死にものぐるいでやろうとその時はこず恵は誓ったのだ。
こず恵と空也が働いていた職場では、すでにふたりのことが噂になっており、社員の空也は社長に呼ばれこず恵と別れるよう説得してきた。
長い話の後、社長は「そうか、残念やなでもな、世間というのはこういうことは許さんからな。もちろんわしも許さん。世界観の違う者と一緒に仕事していくわけにはいかんよ。辞めてくれるか」社長の一言で空也は職場も失うことになった。
「こず恵、会社クビになったよ。当然お前もや」
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ふくよかな胸が空也に押し付けられた。
空也は、好きなフォーク歌手の曲1フレーズをこず恵の耳元で呟きながら、少し涙をこぼした。
「立ち上がるとき噛み締めたころんだ傷が癒えるとき、男の夢を叶わさん小さな声で叫んだよ♫」
こず恵は空也の想いとは遠く離れて、別れた娘ふたりを思い出し、涙流した。
こず恵はかりに空也と暮らすことが出来なくても娘ふたりと生きていく覚悟で娘を連れて夫の元を出たはずなのに、今は空也しかいない。
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