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逃走と奪還
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意を決意したこず恵は、夫が頭が上がらないこず恵の父に夫の暴力のことなど話し、もはやもとに戻る気がないことを伝えた。
こず恵の父は片田舎の地元ではそこそこ有力な名士として見られていた。こず恵の夫も同じ地元だった。夫の暴力のことなど寝耳に水だったこず恵の父は(正確には義父)家を出て実家に帰ったこず恵を連れ戻そうとやってきた夫に「殴ったりするために嫁に出した覚えはない、帰ってくれ」と一蹴。
ただその時点では、こず恵と空也の関係など知る由もなく、それが後に父を怒らせその後その苦悩による疲労が原因で病に倒れることになるとはその時はよもや考えていなかった。
父に威嚇されてすごすご引き下がった夫はもはやこず恵を連れ戻すことは無理だと感じ、できるだけ暴力のことなどで離婚が不利にならないよう 父の機嫌を損ねることを危惧した。
ところがそんないきさつなど知らない空也はこず恵に今まで以上に逢瀬をせがんだ。
やむなくこず恵は義父に、空也とのことの次第を打ち明けた。
驚愕した父は即座にこず恵に「そのことは誰にも言うな」と言い、空也とも会うなと釘を差した。
そしてこず恵とふたりの娘が暮らせるアパートを手配して、そこでしばらく暮らすようにさせた。
ところがそんな父の考えを知らない空也はこず恵がアパートを借りたと知るや、毎夜のように寝泊まりするようになった。
空也はその頃、実家もなく、父と母と妹2人は2部屋のボロアパートぐらしだったので、空也が帰っても雑魚寝同様の環境だったので、こず恵が住むアパートに転がり込んだのだ。
そして、ある筋からの情報によってこず恵が不倫をしている事が夫に知れ、こず恵の父や母、そして姉妹、弟にまで激震が走った。夫の暴力を楯に離婚を進めようとしていた父にとって最悪の状況となった。
こず恵の兄弟姉妹は怒り狂い、
アパートに乗り込んで来た。
「空也、逃げて!」こず恵の叫びと同時に、空也は窓から転がり落ちて逃げた。
だが、すぐに捕まりこず恵と別れてくれとはげしく説得された。
こず恵はその説得に「いやや」とはっきり言い切った。
兄弟姉妹は空也にも別れてくれと繰り返した。空也は黙り込んで何も言おうとしなかった。
翌日、父がアパートに来て、空也と会うこともせず、こず恵のふたりの娘を連れて帰った。
父は、娘ふたりをこず恵から引き離せばいずれ娘に会いたくなって帰ってくるだろうと考えたからだ。そしてどこの馬の骨とも分からん男のもとに、可愛い孫娘を置いておくわけにはいかないと考えたからだ。
こず恵は泣きながら、娘が連れて行かれるのをどうする事もできなかった。
こず恵の父は片田舎の地元ではそこそこ有力な名士として見られていた。こず恵の夫も同じ地元だった。夫の暴力のことなど寝耳に水だったこず恵の父は(正確には義父)家を出て実家に帰ったこず恵を連れ戻そうとやってきた夫に「殴ったりするために嫁に出した覚えはない、帰ってくれ」と一蹴。
ただその時点では、こず恵と空也の関係など知る由もなく、それが後に父を怒らせその後その苦悩による疲労が原因で病に倒れることになるとはその時はよもや考えていなかった。
父に威嚇されてすごすご引き下がった夫はもはやこず恵を連れ戻すことは無理だと感じ、できるだけ暴力のことなどで離婚が不利にならないよう 父の機嫌を損ねることを危惧した。
ところがそんないきさつなど知らない空也はこず恵に今まで以上に逢瀬をせがんだ。
やむなくこず恵は義父に、空也とのことの次第を打ち明けた。
驚愕した父は即座にこず恵に「そのことは誰にも言うな」と言い、空也とも会うなと釘を差した。
そしてこず恵とふたりの娘が暮らせるアパートを手配して、そこでしばらく暮らすようにさせた。
ところがそんな父の考えを知らない空也はこず恵がアパートを借りたと知るや、毎夜のように寝泊まりするようになった。
空也はその頃、実家もなく、父と母と妹2人は2部屋のボロアパートぐらしだったので、空也が帰っても雑魚寝同様の環境だったので、こず恵が住むアパートに転がり込んだのだ。
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こず恵の兄弟姉妹は怒り狂い、
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