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第95話 賢人の会談
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「二人きりでお前と話すのは何年ぶりかな」
ピピルが幾ばくかの緊張感を持ったままボボルに話しかける。ミリアたちとギルティスの会談が終わった後、両者はどちらからともなく二人で話し合いをすることを願い出た。そうして今はさきほど会談が行われた応接室の隣の部屋で差し向かいに座っている。
「君が村を出てから十余年。僕も似たようなものだからね~。まあそんなことろだろうね」
一方のボボルは相変わらず緊張感の欠片もない声で答える。
「話し合いに応じた、ということはお前も思うところがあるんだな?」
「そうだね。おそらく君も同じだと思ったからね。まずは僕たちで考えを擦り合わせてからお互いの雇い主に報告しようというのも同じだろ?」
「ああ。軽々に判断していい事項じゃないからな。それにしても天使だの上位霊種だの、知らなかったことだらけだったな。『賢人』が聞いて呆れる」
「それはお互い様さ。でも君だってこの世界、いやこの大陸について違和感は持ってただろ?」
「ああ。異郷人の存在からもここ以外に別の大陸があるのは明らかだった。なのに王国も帝国も異常なくらい海の外には興味を示さず、他人種を差別してきた。ちょっと考えればそう仕向けている誰かがいることは明白だ」
「天使の末裔にしろ上位霊種にしろこの大陸の人間を利用することを考えているからね。余計な知恵は付けさせたくないのさ」
「そういうことだろうな。そしてエドモンド家の執事長が皇国の手先だったことを考えると、おそらく皇国は近いうちにこの大陸に攻めてくる気だろう」
「同感だね。それでさっきの話を聞いてまず気になったのはどこだい?」
「色々あるが、まずは『天使の羽根だな」
「君も気付いたか」
「人工的に天使を創り、それを神話の天使になぞらえてオーディアル教徒に崇めさせようって言うのはいくら何でも無理がある。天使降臨を喧伝するならオーディアル信徒よりイシュナル教徒の方が大騒ぎしそうなものだ」
「そうだね~。オーディアルが天使を地上に遣わしたと言うより、イシュナルがそうしたと言う方が効果は大きいだろう。実際エルナンド卿はそうしようと考えていたようだからね」
「そしてそのエルナンド卿の娘だ。直に見てはいないが、理性を失って暴れたんだろう?」
「うん。モースキンを襲ってきた怪物と大きさ以外は大差なかったね」
「完全に覚醒した状態でそれでは崇拝の対象にはなりえないだろう。そしてそれは最初から分かっていたはずだ」
「かつての教団施設での暴走事故だね?」
「ああ。その場にいた生き残りの話じゃ天使の羽根は憑依した人間を次々に怪物にして暴走させ、息絶えると別の人間に移って同じことを繰り返したそうじゃないか。何とかという娘の中で落ち着くまでな」
「ミレーヌさんだよ。エルモンド卿の娘を生んだ女性だね」
「奇跡的に適合したんだろうな。その時はまだ生き残った子供のだれが宿主か分からなかったんだったな?」
「そうらしいね。それでまとめて監禁していたけど、『シーザーズの反乱』で逃げられた」
「その後ミレーヌが不完全な形で覚醒し、それをエルモンド卿が保護して子供を作った」
「そう聞いてる」
「そして娘に天使の羽根が遺伝した。直接憑依されたミレーヌでさえ不完全だったのに、間接的にそれを受け継いだ娘が完全に覚醒すると考える方がおかしいと思わんか?」
「そうだね。でもエルモンド卿はそう信じ、教団も必死に宿主を探していた。確かに不自然だね」
「そう思い込まされていたとしか思えんな」
「だろうね。教団の場合は真の六芒星に。そしてエルモンド卿は執事のハンスかもしくは……」
ボボルはそこで言葉を切り、目を瞑って考え込む。
「そのまま寝るなよ」
ピピルにツッコまれ、ボボルはバツが悪そうに頭を掻いた。
「コットナーに戻るのか」
ボナーが心配そうな顔でパンナを見つめる。
「はい。お嬢様が旦那様とちゃんと話したいと申されるので。私も付いていくことにしました」
「大丈夫なのか?」
「天使の羽根が消えた以上、旦那様もお嬢様を利用することは出来ません。その上で旦那様がお嬢様にどう接するのか、確かめたいと思います」
我儘し放題に甘やかしてアンセリーナを育ててきたブラベール。それが天使の羽根を順調に覚醒させるためだけだったのか、それとも本当に娘として溺愛していたのか。それをはっきりさせなければアンセリーナの幸せな人生は望めないだろう、とパンナは思っていた。
「これからこの国、いやこの大陸は大変な変動の時を迎えるだろう。僕もその只中にあって出来るだけのことをしようと思っている。だけどそれには君の力が必要だ。僕の元に帰って来てくれるね?」
「勿論です。私はあなたの妻ですから」
パンナは微笑んでボナーを抱きしめる。ボナーもパンナの背中に手を回し、しばらく抱き合った。
「興味深いのはファング殿やクロー殿が半端者の英雄と呼ばれてることだね」
ボボルとピピルの話は続く。
「彼らを創ったのは八源家のアスモデウス家だそうだが、一から人間をこしらえたわけでもあるまい?」
「勿論さ。彼らは子供の時にアスモデウス家の手の者に攫われたらしい。天使の末裔の元で実験台にさせられ、強制的に原初の力を植え付けられた。拒否反応で死んだ子も多かったらしいよ」
「教団とやってることはまるで同じとはな。そこが興味深くもある」
「意見が会うね~。彼らは確かに元々半端者だったそうだよ。一般市民を攫えば大問題になって領主や騎士が動くだろうけど、市民証を持ってない半端者なら気付かれずに済むからね」
「そしてようやく成功した連中には逃げられたと。自我が目覚めた、と言っていたらしいな?」
「ああ。おそらく兵器として使うために薬物か何かで自我を失わせていたんだろうね。そこへ天使の記憶を移殖したから、本来の自我が蘇った、というのが正確なところだろう」
「そして逃げ出してからすぐといってもいいタイミングでキシュナー公の手の者が接触してきた。いくら大陸中に情報網を張り巡らせていたとはいえ、そう上手くいくものか?」
「あらかじめファング殿たちが逃げ出したことを知っていた、としか思えないよねえ」
「天使たちがわざわざ情報を漏らすわけはない。ならアスモデウス家か?これもちょっと考えにくい。八源家の最大領袖でいられるのはおそらく天使の末裔の手助けがあったためだろう。アスモデウス家が天使を裏切るメリットはない」
「そうなると考えられるのは他の天使派の八源家、ってことになるね」
「ふん、気に食わんがやはりお前とは意見が合うな。俺も同感だ。そしてその家は天使派のふりをしながらその裏でキシュナー家、つまりはHLOと繋がっている」
「王国と帝国を創ったのは天使の子孫だ。両国の創成期から天使が影響力を持っていたのは間違いない。王国の場合は建国に立ち会った八源家を取り込んだんだろうね。でも王家そのものを取り込むとあからさまに過ぎるし、八家全てを取り込むのも避けた。もしかしたら最初の時点で天使も一枚岩ではなかったのかもしれないね」
「天使の子孫と闇天使の子孫が混じっていたなら十分ありうる話だ」
「天使の末裔の目的は上位霊種への復讐とグランダ大陸への帰還。王国に入り込み『四公』を設立した上位霊種は純血だろうけど、その時点で皇国に追われていたんじゃないかな?」
「しかし純血を追い出した皇国の連中は長い間の差別に耐えかねて反旗を翻したのだろう?それからこの大陸に渡って来たにしては時間が短すぎないか?いつから『四公』が置かれたのか正確には分からないくらいの時間は経っているはずだ」
「そう。それでね、僕はサンクリスト公が馬車で王都からノーラン城へ行った時、ファング殿から聞いた話を出来るだけ忠実に再現して話してもらったんだ。彼は記憶力がかなり良くてね。助かったよ」
「それで?」
「上位霊種が初めて天使の手を離れ、独立した国を創ったのはどこか、と訊いたら、ファング殿はこう答えたそうだよ。『知らん』とね」
「ちょっと待て。これまでの話からしてそれはグランダ大陸のはずだろう?」
「そう思うよね。でも彼はこうも言っていた。始まりの大陸を追われた天使の子孫を追うように上位霊種も世界中に散って行ったと。そして純血種に今の皇国の人間が反旗を翻したのが始まりの大陸であるとは誰も言っていない」
「いや待て待て。それはおかしい。皇国の中心には最初の天使である『ルシフェル』がいるんだろう?」
「そう言ってるね。でもファング殿の推測通りHLOが闇天使を飼っていて彼らが神装具を持ってるなら、いくら数の差があってもルシフェルのところに攻め込んでいくと思うね。大体HLOのところにいるのが純粋な闇天使であるならその必要はないんだ。この大陸に来た天使の末裔がグランダ大陸に戻りたいのはルシフェルに接触して純粋な天使の力を取り戻すためなんだろう?始まりの大陸にいる闇天使がそれをやる必要はない」
「そうだな。純粋な天使は始まりの大陸以外では生きられないそうだからな。ということは」
「HLOが飼っているのはこの大陸にいるのと同じ人間と交わった天使の末裔という事さ。そしてそれはグランダ大陸が始まりの大陸ではないという可能性を示している」
「ファングは嘘を言っているということか」
「間違いないだろう。大筋では真実を語っているが、その点だけは嘘を付いている。始まりの大陸について『知らん』と言ってしまったのはうっかり素で答えてしまったんだろうね」
「奴は何故嘘を吐いた?」
「隠したい理由があったか……我々が知るとまずい理由があるのか……そこは推測の域を出ないね」
「ということは天使が戻ろうとしているのはグランダ大陸ではないということか」
「そういうことになるね。さて、どうしたものかな」
ボボルはそう言って頭を掻き、眠そうに大きな欠伸をした。
ピピルが幾ばくかの緊張感を持ったままボボルに話しかける。ミリアたちとギルティスの会談が終わった後、両者はどちらからともなく二人で話し合いをすることを願い出た。そうして今はさきほど会談が行われた応接室の隣の部屋で差し向かいに座っている。
「君が村を出てから十余年。僕も似たようなものだからね~。まあそんなことろだろうね」
一方のボボルは相変わらず緊張感の欠片もない声で答える。
「話し合いに応じた、ということはお前も思うところがあるんだな?」
「そうだね。おそらく君も同じだと思ったからね。まずは僕たちで考えを擦り合わせてからお互いの雇い主に報告しようというのも同じだろ?」
「ああ。軽々に判断していい事項じゃないからな。それにしても天使だの上位霊種だの、知らなかったことだらけだったな。『賢人』が聞いて呆れる」
「それはお互い様さ。でも君だってこの世界、いやこの大陸について違和感は持ってただろ?」
「ああ。異郷人の存在からもここ以外に別の大陸があるのは明らかだった。なのに王国も帝国も異常なくらい海の外には興味を示さず、他人種を差別してきた。ちょっと考えればそう仕向けている誰かがいることは明白だ」
「天使の末裔にしろ上位霊種にしろこの大陸の人間を利用することを考えているからね。余計な知恵は付けさせたくないのさ」
「そういうことだろうな。そしてエドモンド家の執事長が皇国の手先だったことを考えると、おそらく皇国は近いうちにこの大陸に攻めてくる気だろう」
「同感だね。それでさっきの話を聞いてまず気になったのはどこだい?」
「色々あるが、まずは『天使の羽根だな」
「君も気付いたか」
「人工的に天使を創り、それを神話の天使になぞらえてオーディアル教徒に崇めさせようって言うのはいくら何でも無理がある。天使降臨を喧伝するならオーディアル信徒よりイシュナル教徒の方が大騒ぎしそうなものだ」
「そうだね~。オーディアルが天使を地上に遣わしたと言うより、イシュナルがそうしたと言う方が効果は大きいだろう。実際エルナンド卿はそうしようと考えていたようだからね」
「そしてそのエルナンド卿の娘だ。直に見てはいないが、理性を失って暴れたんだろう?」
「うん。モースキンを襲ってきた怪物と大きさ以外は大差なかったね」
「完全に覚醒した状態でそれでは崇拝の対象にはなりえないだろう。そしてそれは最初から分かっていたはずだ」
「かつての教団施設での暴走事故だね?」
「ああ。その場にいた生き残りの話じゃ天使の羽根は憑依した人間を次々に怪物にして暴走させ、息絶えると別の人間に移って同じことを繰り返したそうじゃないか。何とかという娘の中で落ち着くまでな」
「ミレーヌさんだよ。エルモンド卿の娘を生んだ女性だね」
「奇跡的に適合したんだろうな。その時はまだ生き残った子供のだれが宿主か分からなかったんだったな?」
「そうらしいね。それでまとめて監禁していたけど、『シーザーズの反乱』で逃げられた」
「その後ミレーヌが不完全な形で覚醒し、それをエルモンド卿が保護して子供を作った」
「そう聞いてる」
「そして娘に天使の羽根が遺伝した。直接憑依されたミレーヌでさえ不完全だったのに、間接的にそれを受け継いだ娘が完全に覚醒すると考える方がおかしいと思わんか?」
「そうだね。でもエルモンド卿はそう信じ、教団も必死に宿主を探していた。確かに不自然だね」
「そう思い込まされていたとしか思えんな」
「だろうね。教団の場合は真の六芒星に。そしてエルモンド卿は執事のハンスかもしくは……」
ボボルはそこで言葉を切り、目を瞑って考え込む。
「そのまま寝るなよ」
ピピルにツッコまれ、ボボルはバツが悪そうに頭を掻いた。
「コットナーに戻るのか」
ボナーが心配そうな顔でパンナを見つめる。
「はい。お嬢様が旦那様とちゃんと話したいと申されるので。私も付いていくことにしました」
「大丈夫なのか?」
「天使の羽根が消えた以上、旦那様もお嬢様を利用することは出来ません。その上で旦那様がお嬢様にどう接するのか、確かめたいと思います」
我儘し放題に甘やかしてアンセリーナを育ててきたブラベール。それが天使の羽根を順調に覚醒させるためだけだったのか、それとも本当に娘として溺愛していたのか。それをはっきりさせなければアンセリーナの幸せな人生は望めないだろう、とパンナは思っていた。
「これからこの国、いやこの大陸は大変な変動の時を迎えるだろう。僕もその只中にあって出来るだけのことをしようと思っている。だけどそれには君の力が必要だ。僕の元に帰って来てくれるね?」
「勿論です。私はあなたの妻ですから」
パンナは微笑んでボナーを抱きしめる。ボナーもパンナの背中に手を回し、しばらく抱き合った。
「興味深いのはファング殿やクロー殿が半端者の英雄と呼ばれてることだね」
ボボルとピピルの話は続く。
「彼らを創ったのは八源家のアスモデウス家だそうだが、一から人間をこしらえたわけでもあるまい?」
「勿論さ。彼らは子供の時にアスモデウス家の手の者に攫われたらしい。天使の末裔の元で実験台にさせられ、強制的に原初の力を植え付けられた。拒否反応で死んだ子も多かったらしいよ」
「教団とやってることはまるで同じとはな。そこが興味深くもある」
「意見が会うね~。彼らは確かに元々半端者だったそうだよ。一般市民を攫えば大問題になって領主や騎士が動くだろうけど、市民証を持ってない半端者なら気付かれずに済むからね」
「そしてようやく成功した連中には逃げられたと。自我が目覚めた、と言っていたらしいな?」
「ああ。おそらく兵器として使うために薬物か何かで自我を失わせていたんだろうね。そこへ天使の記憶を移殖したから、本来の自我が蘇った、というのが正確なところだろう」
「そして逃げ出してからすぐといってもいいタイミングでキシュナー公の手の者が接触してきた。いくら大陸中に情報網を張り巡らせていたとはいえ、そう上手くいくものか?」
「あらかじめファング殿たちが逃げ出したことを知っていた、としか思えないよねえ」
「天使たちがわざわざ情報を漏らすわけはない。ならアスモデウス家か?これもちょっと考えにくい。八源家の最大領袖でいられるのはおそらく天使の末裔の手助けがあったためだろう。アスモデウス家が天使を裏切るメリットはない」
「そうなると考えられるのは他の天使派の八源家、ってことになるね」
「ふん、気に食わんがやはりお前とは意見が合うな。俺も同感だ。そしてその家は天使派のふりをしながらその裏でキシュナー家、つまりはHLOと繋がっている」
「王国と帝国を創ったのは天使の子孫だ。両国の創成期から天使が影響力を持っていたのは間違いない。王国の場合は建国に立ち会った八源家を取り込んだんだろうね。でも王家そのものを取り込むとあからさまに過ぎるし、八家全てを取り込むのも避けた。もしかしたら最初の時点で天使も一枚岩ではなかったのかもしれないね」
「天使の子孫と闇天使の子孫が混じっていたなら十分ありうる話だ」
「天使の末裔の目的は上位霊種への復讐とグランダ大陸への帰還。王国に入り込み『四公』を設立した上位霊種は純血だろうけど、その時点で皇国に追われていたんじゃないかな?」
「しかし純血を追い出した皇国の連中は長い間の差別に耐えかねて反旗を翻したのだろう?それからこの大陸に渡って来たにしては時間が短すぎないか?いつから『四公』が置かれたのか正確には分からないくらいの時間は経っているはずだ」
「そう。それでね、僕はサンクリスト公が馬車で王都からノーラン城へ行った時、ファング殿から聞いた話を出来るだけ忠実に再現して話してもらったんだ。彼は記憶力がかなり良くてね。助かったよ」
「それで?」
「上位霊種が初めて天使の手を離れ、独立した国を創ったのはどこか、と訊いたら、ファング殿はこう答えたそうだよ。『知らん』とね」
「ちょっと待て。これまでの話からしてそれはグランダ大陸のはずだろう?」
「そう思うよね。でも彼はこうも言っていた。始まりの大陸を追われた天使の子孫を追うように上位霊種も世界中に散って行ったと。そして純血種に今の皇国の人間が反旗を翻したのが始まりの大陸であるとは誰も言っていない」
「いや待て待て。それはおかしい。皇国の中心には最初の天使である『ルシフェル』がいるんだろう?」
「そう言ってるね。でもファング殿の推測通りHLOが闇天使を飼っていて彼らが神装具を持ってるなら、いくら数の差があってもルシフェルのところに攻め込んでいくと思うね。大体HLOのところにいるのが純粋な闇天使であるならその必要はないんだ。この大陸に来た天使の末裔がグランダ大陸に戻りたいのはルシフェルに接触して純粋な天使の力を取り戻すためなんだろう?始まりの大陸にいる闇天使がそれをやる必要はない」
「そうだな。純粋な天使は始まりの大陸以外では生きられないそうだからな。ということは」
「HLOが飼っているのはこの大陸にいるのと同じ人間と交わった天使の末裔という事さ。そしてそれはグランダ大陸が始まりの大陸ではないという可能性を示している」
「ファングは嘘を言っているということか」
「間違いないだろう。大筋では真実を語っているが、その点だけは嘘を付いている。始まりの大陸について『知らん』と言ってしまったのはうっかり素で答えてしまったんだろうね」
「奴は何故嘘を吐いた?」
「隠したい理由があったか……我々が知るとまずい理由があるのか……そこは推測の域を出ないね」
「ということは天使が戻ろうとしているのはグランダ大陸ではないということか」
「そういうことになるね。さて、どうしたものかな」
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