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オーク
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「オークって具体的にどんな種族なんだ?」
「食欲旺盛で獰猛な魔物よ」
「え? ヤバイ魔物じゃん」
「最初からそう言ってるでしょ」
『種族名 オーク。際限ない食欲を満たすために他の種族を襲う魔物の中でも嫌われ者の種族です。
物資を奪うだけでなく、殺した魔物すら喰らうことから危険度ランクが少し高めに設定されています』
「危険度ランク?」
「あら、危険度ランクって言葉は知ってるのね。
危険度ランクはギルドと4つの国が設定した魔物ごとのランク付けよ。そのランクによって強さが全然違うの。
もちろんランクの中でも上下はあるし個体ごとでもランクの上下はあるわ。軽い指標みたいなものね」
「なるほど。オークはランクどれなんだ?」
「危険度ランクCよ」
「C…ってどれくらい強いんだ?」
「危険度ランクはS、A、B、C、D、E、Fの7段階よ。大半の魔物はEかFに分類されてる。Dになると人間に害を及ぼす魔物。Cはその影響が大きい魔物。Bより上は…想像もしたくはないわね。
ちなみに魔王はランク外のEXに分類されてるわ」
「俺はEXランクだけど最底辺だな」
「そうよ。最弱の魔王さん」
「魔王様になんてことを! いくら人の子でもそれはいけません!」
突然の叫び声に俺とレイラは驚く。どうやらゴブリンの長がレイラに叱ったようだ。魔王ってのはそんなに偉いんだな。
「あー…俺は確かに魔王だ。けどな、権力だとかそんな物を振りかざすつもりは無い。俺は、全ての魔物や人間と対等でありたい」
俺の宣言にゴブリン達は全員こうべを垂れる。え? また何か変なこと言っちゃったかな。
「…つくづく変ね。魔王は魔物の王様。対等であろうとはせず、蹂躙する存在なの。だから、魔物は魔王になろうと思うし魔王に憧れて尊敬する。
けど、あなたは対等でありたいと自ら格を落とした。それがどれだけ凄いか分かる?
過去にいた魔王全てを否定することよ」
なるほどね。けど、俺の心は変わらない。力や権力があるからって相手に何をしても良いわけじゃない。
俺が相手にする存在は目の前にいて触れて、心がある。
何の違いがある? 同じじゃないか。だから、対等であろうとする。いや、上からじゃないな。対等じゃなくちゃいけないんだ。
「頭を上げてくれ。さっき言ったことは俺の本心だ。けど、お前たちがそれに慣れないのなら自由に俺への扱いをしてもいい。
ただし、俺はお前達への態度は変えないからな」
ゴブリン達は頭を上げて、俺を見る。その目は全ての覚悟を決めた目をしている。
「ありがとうございます。なおのこと、魔王様と対等に接するなど出来なくなりました。
私たちは下等な魔物。卑下されて来ました。
結果、人間と歩むことで生きて来れたのです。
そんな私たちと対等でいてくれるという。あなた様に私たちは、一生付いて行きます」
ははー! と頭をまたもゴブリン達は下げてしまう。
困ったな。別にそういうつもりは無かったんだけど。
「と、とりあえず、村まで案内してくれよ」
「はっ! こちらでございます!」
態度の急変ぷりに付いていけなくなってきたぞ。
「責任を持ちなさいよ。あのゴブリン達はあなたの事を慕って全てを差し出すつもりよ。それに応えないようじゃ魔王として失格よ」
「分かってるよ。けど、応えるって言ってもなー…」
「簡単よ。オークに負けなければいいの。勝ってゴブリン達を救うの」
「なるほど。シンプルでとても分かりやすい」
レイラと話しているうちに村へと到着した。いや、村というかほぼ街だな。かなり発展してる。
「驚いたわね。まさか、ゴブリンの拠点がここまで発展してたなんて」
「人間と交易をする中で私たちの特産品に目を付けた商人がいまして。
その商人の計らいで街が発展したのです」
「へぇー…凄いな。しかし、警備とかしっかりしてそうなのにオークには勝てないのか?」
「はい。オークは本来、徒党を組むことはしないのですが、群れで襲ってきたため、対抗出来ませんでした」
「オークが群れ…まさか!?」
「恐らく魔王様の部下である魔騎士が背後にいると思われます」
「魔騎士?」
「魔王直属の手下よ。各魔王が10人を選んでる。選りすぐりの配下」
「つまり、相当強いってことか」
「そういうこと。それに魔騎士にちょっかいを出すということは、魔王に喧嘩を売るような物。普通なら黙って放置しておくわ」
「私たちもそう考えました。しかし、この街が襲われ、人間がもう来なくなってしまったら、私たちは生きることが出来ません…」
「死活問題か…」
背後に魔王がいるような物なのに下手に刺激する方が頭がイかれてるってことか。
けど、見過ごせないだろ。困ってて、泣き叫んでる子供もいる。無理だからって断るのは簡単だ。
だけど、俺にも心がある。放っておくなんて真似出来ないだろ。
「辞めなさい。魔王に目を付けられれば本当に死ぬのよ。
あなた、2回も死ぬ体験をしたいわけ?」
「別にさ、俺は死んでもいいって思ってる。もう無いと思ってた命だからな。
けど、こいつらは違う。生きてる。そして、オークのせいで明日にでも死ぬ可能性がある。
だったら、放っておけないだろ。魔物だとか関係ない。俺は、俺の心に従う。それすらも無くなったらお終いだろ」
「はぁ…好きにすれば。私のことじゃないし」
「そうさせて貰うよ」
きっとレイラなりの気遣いなんだろうな。俺は、ゴブリンからの依頼を受けた。オークが来るまでに鍛えないとな。
「食欲旺盛で獰猛な魔物よ」
「え? ヤバイ魔物じゃん」
「最初からそう言ってるでしょ」
『種族名 オーク。際限ない食欲を満たすために他の種族を襲う魔物の中でも嫌われ者の種族です。
物資を奪うだけでなく、殺した魔物すら喰らうことから危険度ランクが少し高めに設定されています』
「危険度ランク?」
「あら、危険度ランクって言葉は知ってるのね。
危険度ランクはギルドと4つの国が設定した魔物ごとのランク付けよ。そのランクによって強さが全然違うの。
もちろんランクの中でも上下はあるし個体ごとでもランクの上下はあるわ。軽い指標みたいなものね」
「なるほど。オークはランクどれなんだ?」
「危険度ランクCよ」
「C…ってどれくらい強いんだ?」
「危険度ランクはS、A、B、C、D、E、Fの7段階よ。大半の魔物はEかFに分類されてる。Dになると人間に害を及ぼす魔物。Cはその影響が大きい魔物。Bより上は…想像もしたくはないわね。
ちなみに魔王はランク外のEXに分類されてるわ」
「俺はEXランクだけど最底辺だな」
「そうよ。最弱の魔王さん」
「魔王様になんてことを! いくら人の子でもそれはいけません!」
突然の叫び声に俺とレイラは驚く。どうやらゴブリンの長がレイラに叱ったようだ。魔王ってのはそんなに偉いんだな。
「あー…俺は確かに魔王だ。けどな、権力だとかそんな物を振りかざすつもりは無い。俺は、全ての魔物や人間と対等でありたい」
俺の宣言にゴブリン達は全員こうべを垂れる。え? また何か変なこと言っちゃったかな。
「…つくづく変ね。魔王は魔物の王様。対等であろうとはせず、蹂躙する存在なの。だから、魔物は魔王になろうと思うし魔王に憧れて尊敬する。
けど、あなたは対等でありたいと自ら格を落とした。それがどれだけ凄いか分かる?
過去にいた魔王全てを否定することよ」
なるほどね。けど、俺の心は変わらない。力や権力があるからって相手に何をしても良いわけじゃない。
俺が相手にする存在は目の前にいて触れて、心がある。
何の違いがある? 同じじゃないか。だから、対等であろうとする。いや、上からじゃないな。対等じゃなくちゃいけないんだ。
「頭を上げてくれ。さっき言ったことは俺の本心だ。けど、お前たちがそれに慣れないのなら自由に俺への扱いをしてもいい。
ただし、俺はお前達への態度は変えないからな」
ゴブリン達は頭を上げて、俺を見る。その目は全ての覚悟を決めた目をしている。
「ありがとうございます。なおのこと、魔王様と対等に接するなど出来なくなりました。
私たちは下等な魔物。卑下されて来ました。
結果、人間と歩むことで生きて来れたのです。
そんな私たちと対等でいてくれるという。あなた様に私たちは、一生付いて行きます」
ははー! と頭をまたもゴブリン達は下げてしまう。
困ったな。別にそういうつもりは無かったんだけど。
「と、とりあえず、村まで案内してくれよ」
「はっ! こちらでございます!」
態度の急変ぷりに付いていけなくなってきたぞ。
「責任を持ちなさいよ。あのゴブリン達はあなたの事を慕って全てを差し出すつもりよ。それに応えないようじゃ魔王として失格よ」
「分かってるよ。けど、応えるって言ってもなー…」
「簡単よ。オークに負けなければいいの。勝ってゴブリン達を救うの」
「なるほど。シンプルでとても分かりやすい」
レイラと話しているうちに村へと到着した。いや、村というかほぼ街だな。かなり発展してる。
「驚いたわね。まさか、ゴブリンの拠点がここまで発展してたなんて」
「人間と交易をする中で私たちの特産品に目を付けた商人がいまして。
その商人の計らいで街が発展したのです」
「へぇー…凄いな。しかし、警備とかしっかりしてそうなのにオークには勝てないのか?」
「はい。オークは本来、徒党を組むことはしないのですが、群れで襲ってきたため、対抗出来ませんでした」
「オークが群れ…まさか!?」
「恐らく魔王様の部下である魔騎士が背後にいると思われます」
「魔騎士?」
「魔王直属の手下よ。各魔王が10人を選んでる。選りすぐりの配下」
「つまり、相当強いってことか」
「そういうこと。それに魔騎士にちょっかいを出すということは、魔王に喧嘩を売るような物。普通なら黙って放置しておくわ」
「私たちもそう考えました。しかし、この街が襲われ、人間がもう来なくなってしまったら、私たちは生きることが出来ません…」
「死活問題か…」
背後に魔王がいるような物なのに下手に刺激する方が頭がイかれてるってことか。
けど、見過ごせないだろ。困ってて、泣き叫んでる子供もいる。無理だからって断るのは簡単だ。
だけど、俺にも心がある。放っておくなんて真似出来ないだろ。
「辞めなさい。魔王に目を付けられれば本当に死ぬのよ。
あなた、2回も死ぬ体験をしたいわけ?」
「別にさ、俺は死んでもいいって思ってる。もう無いと思ってた命だからな。
けど、こいつらは違う。生きてる。そして、オークのせいで明日にでも死ぬ可能性がある。
だったら、放っておけないだろ。魔物だとか関係ない。俺は、俺の心に従う。それすらも無くなったらお終いだろ」
「はぁ…好きにすれば。私のことじゃないし」
「そうさせて貰うよ」
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