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第2部 男装王女と転生王子による恋愛大戦争
王配ルートイベント2-3
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ふと街の雑踏にふさわしくない足音が聞こえてくる。大人の、おそらく男性の足音。それがすごい勢いでこちらへ向かってきている。
ニコラシカを庇うように押しのけると見慣れた隊服と太陽の下で輝く銀髪が見えて歓声を飲み込んだ。
「シャングリアさま、どうしてここに」
「お勤めご苦労様です、ヒューイさん。偶然ニコラシカ殿下たちとお会いしまして、今から帰るところになります」
日の光の下走る姿は町中の視線を集めるほどの美しさ! そんな明るいところで姿を見たら目が潰れてしまいます……! 青い目が! 私を! 見てる! 素敵ですヒューイさん、でもヒューイさんとしてはもう帰り道は休憩時間くらいのつもりでしたよね! 面倒ごと持ち込んでごめんなさい!
黄色い悲鳴は胸の内で響き渡せ、表面は冷静沈着、いい子の王子様の仮面をかぶっておく。
ヒューイさんの質問に対する答えにはなっていないが、あなたとばったり遭遇して強制デートイベントを発生させるために護衛もお供もつけず街へ繰り出していたところです、とはボンベイ王国ご一行の手前さすがに言えない。
「お話しするのは初めてですね。僕はボンベイ王国第三王子、留学生のニコラシカ・アレクサンドロヴィチ・ボンベイ。しばらくの間お世話になります」
「ご挨拶遅れまして申し訳ありません。グナエウス王国護衛部隊隊長のヒューイと申します」
面食らったようにヒューイさんは早口で名乗る。
この”月の君”とまで呼ばれ、目立つニコラシカが隣にいることに目の前に来るまで気が付かなかったのだろうか。うっかりさんなヒューイさんも素敵です。私のことだけ見ていてください。すみません戯言です。
「ヒューイさんはこれから」
「私は今から王宮へ。遣いに出ていたのでその報告があります。皆様戻られるなら随行させていただいてもよろしいですか? 皆様護衛等はつけていないようですし」
「もちろん、ありがたいです」
最後につけられた言葉はボンベイ王国一行ではなく明確に私に向けられていて明後日の方へ視線を飛ばす。最初からあなたに会うつもりだったんですもん。
先頭に私、真ん中にボンベイ王国一行、最後尾にヒューイさん。まるで引率かなにかのようだ。
マントを羽織り顔を隠す私はともかくヒューイさんは王国の紋章のついた隊服を着ている。そのせいで真ん中にいるニコラシカはこれでもかというほど目立っていた。ざわめきを振り切るように歩を速めた。もっとも当の本人と言えば相変わらずマイペースにヒューイさんに話しかけている。おいそこ代われ。
「ヒューイ殿お手数おかけして申し訳ありません」
「いえ、これも私の仕事ですので」
「ふふふ、シャングリア殿下と同じことをおっしゃるんですね」
「シャングリアさまと?」
「ええ、僕を守るのは当然のこと、快適に過ごすことができるようにするのが仕事、だと」
振り向かずともヒューイさんが私を見ているのがわかった。誇らしいような気恥しいような、そんな心地で前を向いて歩き続けた。何年あなたの背を見続けてきたか。あなたの傍にいたくて、あなたみたいになりたくて、剣を振るい、あなたの言葉を聞いて、あなたの立ち姿を倣ったのだから。
日々、そんな小さなことで私の中に自分の欠片を見てほしい。そしてどうか、あなたが私にしてきたことを思い知ってほしい。
そしてよく言ってくれたニコラシカ! 花丸あげちゃう。今だけ盛大に君のことを褒めよう。心の中で。いい仕事したね!
「もっとも、シャングリアさまが直接殿下をお守りするような事態はないかと思いますが……」
「そうなんですか? では先ほどシャングリア殿下の戦う姿を見られたのは貴重だったんですね」
「はい?」
え、ちょ、おま
「……そんな事態があったのですか?」
「ええ、うっかり私が二人とはぐれてしまったところ、お金が貸してほしいという男性たちがいまして……武力行使されそうなところをシャングリア殿下がレイピアを振るい助けてくださったんです。戦う殿下はとても麗しくまるで武人のようでした」
ああこのパヤパヤ第三王子ー! おまっ余計なことを話すな! 見た目に反しておしゃべりだな君!?
振り向かずともわかる。ヒューイさんがめっちゃこっち見てる。もう視線で背中に穴が開きそう。何も声を発してないのに「何があったか話を聞かせていただきましょう」って言ってる。これは妄想じゃない。ほぼ確信。結局怒られるじゃん。
「この国にいる間に危険な目に遭わせてしまい申し訳ありません」
「いいえ、そういう話をしたかったんじゃないんです。危機管理能力の低い僕にも問題があるので。ただ今後、外出する際にはどなたかに護衛をお願いすることになるかもしれません。そのときはどうぞよろしくお願いします」
「もちろんです。我々にできることがあるなら是非」
え、ちょ、まなんでそこでデートの約束取りつけてるんだ? 私ですらそうほいほい誘うことなんてできないのに。あっさりかつ爽やかに頼んでみせた。なんという人たらし、というか否定されることや拒絶されるという可能性を毛ほどの計算に入れていない感じがする。受け入れられるのが当然、愛されるのが当然とでもいうような余裕がある。
私も混ぜて、と言いたいところだが私、ヒューイさん、ニコラシカ、というメンツで外出とかそれはそれで謎だ。どんなメンツなのか。
「あの、シャングリア殿下」
「なんです、ソーヴィシチさん」
屈みながら私に小声で耳打ちする彼はチラチラと背後の第三王子を気にする。
「ニコラシカ殿下は決して悪意があるわけでも他意があるわけでもないんです。ただ額面道理に受け取っていただければと思います。多かれ少なかれ、空気の読めないところや策謀が下手なところがあるんです。どうか、呆れずお付き合いいただければありがたいです」
「構いませんよ、仕事ですから」
「それと、こちらは出過ぎたこととは思いますが、殿下のお心についても」
「本当に出過ぎたことをおっしゃるので驚いています」
視線すらやらず言葉を遮ると恐縮しきり、という態度で私の背後から少し下がる。
自由で奔放なニコラシカ、王子に追従する全肯定マシンのストラースチ、常識人のふりをしながらごり押ししようとして来るソーヴィシチ。彼らがここへきて数週間。ようやくこのメンバーに期待できるストッパーがいないことに気が付いた。
あとこのメンツ、私にとって少々都合が悪い気がする。
天然人たらしのニコラシカと全肯定後押しマシンのストラースチ。そして外堀を埋めたり情報を集めたりニコラシカのかじ取りが可能そうなソーヴィシチ。
普通にまずい気がする。
そうだ、すでに私とニコラシカが噂される事態になっているのだ。仮にも男装をしてるんだぞ。これで成人と同時に性別が公開されたらそれこそ噂の種だ。婦女子の好きそうなロマンス小説のようになってしまう。
これからはヒューイさんの外堀を埋め埋めするつもりだったのに、下手したら私の外堀が埋め埋めされるのではないだろうか。
いっそこれアドリア嬢みたいなのが三人いる方がまだ対処のしようがあったかもしれない。三人とも傾向こそ違うが向いている方向はニコラシカの向く方向に統一されている。私にとって都合の悪い方にバランスが良いのだ。
「人が何を思うも自由ですが、後先考えない行動はあいにくと看過いたしかねます。あなたは話が通じる方ではないかと思っています。目に余る行動のないよう、手綱を握っていていただきたい」
「ははは……それこそただの学友に過ぎない俺には過ぎた真似です」
「殿下は友人のためを思う行動を咎めるようなタイプには見えませんが」
三白眼を瞬かせて私を見るソーヴィシチにハッとする。
今選択肢を間違えた気がする……!
手綱を握れそうなタイプだから握っておけ、という意味だったのだが、今のセリフだけを取ればニコラシカの人柄を高く買っているように聞こえてしまう気がする。けれど今からこれを力いっぱい否定するのもまずい。好意を伝えるのも装うのも簡単なのに、無関心を態度や言葉で棘なく伝えることの難しさたるや!
「…………」
「…………」
結果的にお互いに無言となり、何か意味ありげな沈黙が流れてしまう。いっそ何か言ってくれソーヴィシチ。
無言になったせいで他の三人の会話がよく聞こえてしまう。
「学園ではシャングリア殿下にとても助けていただいてます。僕たちのことをよく見てらっしゃって、いつでも先回りして僕たちが困らないようにしてらっしゃるようです」
「ええ! まるで僕らのすることすべて把握されてるみたいで!」
よく見てるよー! 君たちがやらかしてしまわないように!
他のご令嬢たちを君がつまみ食いしたりしないようにこちらも必死なのだ。私とフラグを立てさせるつもりもないが、誰か犠牲者を出すつもりない。その結果学園にいる間ほとんどこの三人にべったりなのだ。学園にいる間の私はこの三人の一挙手一投足に目を皿のようにして注視しながら、面倒を見ることとなっている淑女見習いアドリア嬢と行動している。待って私疲労感しかなくない? 私の学園生活ハードモード過ぎない? アドリア嬢の指導に精を出していた以前のパトラさんには頭が下がる思いだ。思えばパトラさんはどうやってアドリア嬢の奇行の現場へ駆けつけていたのだろう。そのセンサー欲しい。
「殿下は陛下より、ボンベイの皆様のサポートをするよう指示をいただいてらっしゃるんです。真面目な方ですから、皆様のお役に立てるよう気を張っておいでなのでしょう」
変な声が出そうになるのを飲み下し、にやけそうになる口元を引き締める。
なんだろう、これ、すごいくすぐったい。
褒められるのが嬉しい、というのはある。ニコラシカとストラースチに対する口調からは、謙遜しながら身内を褒めるような柔らかさがある。何なのかというと口調からヒューイさんの身内として数えられている感覚で私の情緒が大暴れなのだが。
いやもちろん国外の人に対して話すとき、この国の国民は皆身内として数えるだろう。ヒューイさんはきっとシュトラウスを褒めるときも従弟のマートンを褒めるときもきっと同じ話し方をする。
それでも好きな人に身内のように褒められるなんてそんなの平常心でいられるはずがない!
私のことをよくわかっているような物言いは、まるですべてを知られてしまっているようで暴れまわりたくなってしまう。全部知ってもらいたいし、私もヒューイさんのすべてが知りたい。私もヒューイさんについて身内面で話をしたい。24時間365日ヒューイさんの姿を見続けて、他人に彼についてどや顔で話したい。いやむしろ身内面じゃなくて身内になりたい。結婚してください。
振り向いて直接ヒューイさんに褒められたいが、なけなしの理性が私の身体を前へと歩かせる。
ようやくボンベイ王国ご一行の滞在している屋敷へ着いて門前で見送る。
「今日はありがとうございました、殿下。いつもとは違う姿のあなたが見られてとても新鮮でした。あなたは美しいだけでなく、気高く勇気があるのですね」
「いつもお褒めの言葉をいただきますが、身に余ります。何かご不便があればご相談ください。私にできる限りのことは手を尽くします」
人畜無害で人懐こい笑顔で手を取ったニコラシカを社交辞令と作り笑いで躱し、ヒューイさんとともに王宮へと向かう。
せっかくのデートなのだが、いかんせんもはや距離が短すぎる。ニコラシカを発見するより先にヒューイさんに出会えていればもっと長くデートを……いや集られてるニコラシカを見つけられないのもものすごくまずい。もっと早くヒューイさんに会ってそのあとニコラシカの救出、いやこれほとんど今日の結果と変わらないな。
「さて、シャングリアさま。またおひとりで街を出歩かれて。そろそろご自分の立場というものをご理解ください」
「だれだかわからないようにマント着ていきましたよ?」
「着てても危険に首を突っ込んでいては意味がありません」
ドキドキ☆ヒューイさんと二人きりでデート、ではなく、ひやひやヒューイさんと二人きり説教である。
ちょっとだけ怒ったようなヒューイさんにドキドキひやひやしながら隣を歩く。隣を歩けるのはとても嬉しい。でも叱られるのは勘弁してもらいたい。一人で出歩いたことを反省できても、面倒ごとに首を突っ込んだ件について、私はおとなしく叱られることができないから。
「一人で不届き者の相手をしたそうですね。戦う姿は麗しく武人のよう、でしたか」
「ほとんど威嚇しかしていませんよ。それにニコラシカ殿下の言葉はいつも社交辞令を盛りすぎています」
「私には、シャングリアさまが口説かれているように見えましたが?」
「へ、」
反駁しようとしてヒューイさんを見上げて息を止めた。
また見たことない顔だ。
アイスブルーの目は私を見下ろそうとせず前だけを見ていて、薄い唇は少しだけ不満げにへの字を描いている。怒っているでも、叱っているでもない顔だ。
今この人は、拗ねているんだ。
「っ……、あの方の言葉なんて、どうでもいいんです。私にとっては有象無象の誉め言葉と変わりません」
あのヒューイさんが、拗ねている。口説かれるがままにしている私に対して。気安く私に触れるニコラシカに対して。
あ、無理、好き。
可愛い、可愛いが過ぎる! こんなに可愛い成人男性国中探しても他にいるはずがない! きっとこの国で一番剣が強くて、兵たちを指揮するこの強く美しい人が、少しだけ不満をこぼすように拗ねて見せる! あざとい! 可愛い! 100億点満点!
この人はいつからこんなに可愛らしくなったのだろうか。今すぐ私の持てるすべての語彙を持って愛を注ぎ込みたい。不満に思うことも不安に思うこともないように。拗ねてる暇なんてないほどに、私の愛を飲みほしてほしい。
「他の誰に褒めそやされるより、あなたに一度名前を呼ばれる方が嬉しい。千の言葉をかけられるより、あなたの一瞥が私はほしいです」
「シャングリアさま、」
「あなたは私がどれだけあなたのことを愛してるか、まだあまりご存じないみたいです」
少しだけ拗ねたような表情は一瞬で拭い去られ、戸惑いと羞恥をにじませる。
あまりの可愛さに膝から崩れ落ちそうになるが、まだ口説いている最中である。言い切るまでは何とか正気に戻らず、できる限りの愛でヒューイさんに打撃を与えないと……!
「私が他の者に目移りするとでも? そう思われるならきっと私の言葉が足りていないのでしょう。いくらでもいくつでも言葉を重ねてみせましょう」
「シャングリアさま、少々お待ちください……! こんな往来で、どうぞ言葉を惜しんでください」
「では後程私の愛を聞く時間を取ってくれるんですね?」
「なんだか最近図太くなられましたね……!」
「繊細ではあなたに逃げられてしまいそうなので」
そそくさ、という言葉が似合う様相で足を速めるヒューイさんの隣を足取り軽やかに歩く。
開き直ってからというものの、私はことあるごとにヒューイさんに愛の言葉を豪速球でぶつけている。そっと差し出す、なんて嫋やかなこと羞恥で死んでしまいそうだ。羞恥すら忘れ正気を失っていないと、躱してしまいそうになるヒューイさんに愛をぶつけることもできないのだ。追い込まないとあの人は逃げてしまうのだ。その代わりといってはあれだがムードというものまるでない。やはり”投げつける”という言葉が一番似合っている気がするのだ。
王宮の中へと踏み入れてしまえばもう私は得体のしれないマントの青年ではなくなる。フードを取りマントを脱げば私はもう第二王子だ。
「まあ冗談ですよ。お忙しいのに我が儘言ってごめんなさい。またお時間のある時に」
さすがに愛の言葉を投げつけるために時間を取れ、だなんて横柄にもほどがある。そしてそんな馬鹿みたいな我儘でも、王女である私の言葉とあらば従わなければならないと思ってしまうだろう。それにしても自分から我儘を言っておいて、それを自分で撤回するのは些か寂しい。
口元に手を当てたヒューイさんの表情はほとんど読めない。といってももうヒューイさんは切り替えているだろう。王宮に入るまでは確かに強制的デートだった今は報告のために王の元へと向かっているのだ。私もヒューイさんもそれぞれ報告がある。浮ついた気持ちはとっとと切り落とさなくては。
やるべきことはやる。公務に私情を挟まない。それが未熟ながら私のけじめだ。
さっと目を逸らして歩き出そうとすると大きな手が緩く私の腕を取った。
「ヒューイさん?」
「シャングリアさまこそ、私の愛など知らないでしょう」
心臓が口から飛び出しそうになる。細められた目が私を射抜いた。可愛いだなんてとても言えない、大人の顔だ。
「私は逃げたりは致しません。この先どんなことがあろうとも、あなたさまの傍にいることだけは決まっています」
「ヒュ、」
「逃げるなら今のうちです。しかしどうか、逃げないというなら覚悟をお決めになるのはあなたの方だ」
耳元に寄せられた唇に吐息に、眩暈がした。身を引くことも許さないというように、手が私の腕をつかみなおす。
なんとか何か言おうと見上げて、一つの言葉も見つけられない私を、口の端で笑った。
「……さあ、私たちにはやるべきことがまだたくさんあります」
「は、」
鼻先が触れ合いそうな距離だったのに、ヒューイさんはぱっと離れていつもの調子で話し出した。呆然としていると離された手に歩くよう促される。ふと少し先に歩いている文官の姿を見つけた。人が来たからいつもの調子に戻ったのだろう。惜しいような、助かったような、なんとも言えない感情が渦巻く。
私はいっぱいいっぱいだったのに、人目を気にして気配に気を配る余裕があるのか。
「ですがどうぞ、ご無理をなされないように。それこそ以前のように」
「……ええ、善処しましょう。ですが人の目がないとなるとついつい無茶をしてしまうので、約束いたしかねますね」
唇を尖らせるのは私の番だ。翻弄してやりたいと思うのに、されるばかり。悠々とした表情が愛おしく疎ましい。せめてもの抵抗に取り繕いなれた王子らしい笑顔で返事をする。乱れた感情も不満も、いまだ収まらない動悸もすべて仕舞い込んで、私たちは報告に向かった。
ニコラシカを庇うように押しのけると見慣れた隊服と太陽の下で輝く銀髪が見えて歓声を飲み込んだ。
「シャングリアさま、どうしてここに」
「お勤めご苦労様です、ヒューイさん。偶然ニコラシカ殿下たちとお会いしまして、今から帰るところになります」
日の光の下走る姿は町中の視線を集めるほどの美しさ! そんな明るいところで姿を見たら目が潰れてしまいます……! 青い目が! 私を! 見てる! 素敵ですヒューイさん、でもヒューイさんとしてはもう帰り道は休憩時間くらいのつもりでしたよね! 面倒ごと持ち込んでごめんなさい!
黄色い悲鳴は胸の内で響き渡せ、表面は冷静沈着、いい子の王子様の仮面をかぶっておく。
ヒューイさんの質問に対する答えにはなっていないが、あなたとばったり遭遇して強制デートイベントを発生させるために護衛もお供もつけず街へ繰り出していたところです、とはボンベイ王国ご一行の手前さすがに言えない。
「お話しするのは初めてですね。僕はボンベイ王国第三王子、留学生のニコラシカ・アレクサンドロヴィチ・ボンベイ。しばらくの間お世話になります」
「ご挨拶遅れまして申し訳ありません。グナエウス王国護衛部隊隊長のヒューイと申します」
面食らったようにヒューイさんは早口で名乗る。
この”月の君”とまで呼ばれ、目立つニコラシカが隣にいることに目の前に来るまで気が付かなかったのだろうか。うっかりさんなヒューイさんも素敵です。私のことだけ見ていてください。すみません戯言です。
「ヒューイさんはこれから」
「私は今から王宮へ。遣いに出ていたのでその報告があります。皆様戻られるなら随行させていただいてもよろしいですか? 皆様護衛等はつけていないようですし」
「もちろん、ありがたいです」
最後につけられた言葉はボンベイ王国一行ではなく明確に私に向けられていて明後日の方へ視線を飛ばす。最初からあなたに会うつもりだったんですもん。
先頭に私、真ん中にボンベイ王国一行、最後尾にヒューイさん。まるで引率かなにかのようだ。
マントを羽織り顔を隠す私はともかくヒューイさんは王国の紋章のついた隊服を着ている。そのせいで真ん中にいるニコラシカはこれでもかというほど目立っていた。ざわめきを振り切るように歩を速めた。もっとも当の本人と言えば相変わらずマイペースにヒューイさんに話しかけている。おいそこ代われ。
「ヒューイ殿お手数おかけして申し訳ありません」
「いえ、これも私の仕事ですので」
「ふふふ、シャングリア殿下と同じことをおっしゃるんですね」
「シャングリアさまと?」
「ええ、僕を守るのは当然のこと、快適に過ごすことができるようにするのが仕事、だと」
振り向かずともヒューイさんが私を見ているのがわかった。誇らしいような気恥しいような、そんな心地で前を向いて歩き続けた。何年あなたの背を見続けてきたか。あなたの傍にいたくて、あなたみたいになりたくて、剣を振るい、あなたの言葉を聞いて、あなたの立ち姿を倣ったのだから。
日々、そんな小さなことで私の中に自分の欠片を見てほしい。そしてどうか、あなたが私にしてきたことを思い知ってほしい。
そしてよく言ってくれたニコラシカ! 花丸あげちゃう。今だけ盛大に君のことを褒めよう。心の中で。いい仕事したね!
「もっとも、シャングリアさまが直接殿下をお守りするような事態はないかと思いますが……」
「そうなんですか? では先ほどシャングリア殿下の戦う姿を見られたのは貴重だったんですね」
「はい?」
え、ちょ、おま
「……そんな事態があったのですか?」
「ええ、うっかり私が二人とはぐれてしまったところ、お金が貸してほしいという男性たちがいまして……武力行使されそうなところをシャングリア殿下がレイピアを振るい助けてくださったんです。戦う殿下はとても麗しくまるで武人のようでした」
ああこのパヤパヤ第三王子ー! おまっ余計なことを話すな! 見た目に反しておしゃべりだな君!?
振り向かずともわかる。ヒューイさんがめっちゃこっち見てる。もう視線で背中に穴が開きそう。何も声を発してないのに「何があったか話を聞かせていただきましょう」って言ってる。これは妄想じゃない。ほぼ確信。結局怒られるじゃん。
「この国にいる間に危険な目に遭わせてしまい申し訳ありません」
「いいえ、そういう話をしたかったんじゃないんです。危機管理能力の低い僕にも問題があるので。ただ今後、外出する際にはどなたかに護衛をお願いすることになるかもしれません。そのときはどうぞよろしくお願いします」
「もちろんです。我々にできることがあるなら是非」
え、ちょ、まなんでそこでデートの約束取りつけてるんだ? 私ですらそうほいほい誘うことなんてできないのに。あっさりかつ爽やかに頼んでみせた。なんという人たらし、というか否定されることや拒絶されるという可能性を毛ほどの計算に入れていない感じがする。受け入れられるのが当然、愛されるのが当然とでもいうような余裕がある。
私も混ぜて、と言いたいところだが私、ヒューイさん、ニコラシカ、というメンツで外出とかそれはそれで謎だ。どんなメンツなのか。
「あの、シャングリア殿下」
「なんです、ソーヴィシチさん」
屈みながら私に小声で耳打ちする彼はチラチラと背後の第三王子を気にする。
「ニコラシカ殿下は決して悪意があるわけでも他意があるわけでもないんです。ただ額面道理に受け取っていただければと思います。多かれ少なかれ、空気の読めないところや策謀が下手なところがあるんです。どうか、呆れずお付き合いいただければありがたいです」
「構いませんよ、仕事ですから」
「それと、こちらは出過ぎたこととは思いますが、殿下のお心についても」
「本当に出過ぎたことをおっしゃるので驚いています」
視線すらやらず言葉を遮ると恐縮しきり、という態度で私の背後から少し下がる。
自由で奔放なニコラシカ、王子に追従する全肯定マシンのストラースチ、常識人のふりをしながらごり押ししようとして来るソーヴィシチ。彼らがここへきて数週間。ようやくこのメンバーに期待できるストッパーがいないことに気が付いた。
あとこのメンツ、私にとって少々都合が悪い気がする。
天然人たらしのニコラシカと全肯定後押しマシンのストラースチ。そして外堀を埋めたり情報を集めたりニコラシカのかじ取りが可能そうなソーヴィシチ。
普通にまずい気がする。
そうだ、すでに私とニコラシカが噂される事態になっているのだ。仮にも男装をしてるんだぞ。これで成人と同時に性別が公開されたらそれこそ噂の種だ。婦女子の好きそうなロマンス小説のようになってしまう。
これからはヒューイさんの外堀を埋め埋めするつもりだったのに、下手したら私の外堀が埋め埋めされるのではないだろうか。
いっそこれアドリア嬢みたいなのが三人いる方がまだ対処のしようがあったかもしれない。三人とも傾向こそ違うが向いている方向はニコラシカの向く方向に統一されている。私にとって都合の悪い方にバランスが良いのだ。
「人が何を思うも自由ですが、後先考えない行動はあいにくと看過いたしかねます。あなたは話が通じる方ではないかと思っています。目に余る行動のないよう、手綱を握っていていただきたい」
「ははは……それこそただの学友に過ぎない俺には過ぎた真似です」
「殿下は友人のためを思う行動を咎めるようなタイプには見えませんが」
三白眼を瞬かせて私を見るソーヴィシチにハッとする。
今選択肢を間違えた気がする……!
手綱を握れそうなタイプだから握っておけ、という意味だったのだが、今のセリフだけを取ればニコラシカの人柄を高く買っているように聞こえてしまう気がする。けれど今からこれを力いっぱい否定するのもまずい。好意を伝えるのも装うのも簡単なのに、無関心を態度や言葉で棘なく伝えることの難しさたるや!
「…………」
「…………」
結果的にお互いに無言となり、何か意味ありげな沈黙が流れてしまう。いっそ何か言ってくれソーヴィシチ。
無言になったせいで他の三人の会話がよく聞こえてしまう。
「学園ではシャングリア殿下にとても助けていただいてます。僕たちのことをよく見てらっしゃって、いつでも先回りして僕たちが困らないようにしてらっしゃるようです」
「ええ! まるで僕らのすることすべて把握されてるみたいで!」
よく見てるよー! 君たちがやらかしてしまわないように!
他のご令嬢たちを君がつまみ食いしたりしないようにこちらも必死なのだ。私とフラグを立てさせるつもりもないが、誰か犠牲者を出すつもりない。その結果学園にいる間ほとんどこの三人にべったりなのだ。学園にいる間の私はこの三人の一挙手一投足に目を皿のようにして注視しながら、面倒を見ることとなっている淑女見習いアドリア嬢と行動している。待って私疲労感しかなくない? 私の学園生活ハードモード過ぎない? アドリア嬢の指導に精を出していた以前のパトラさんには頭が下がる思いだ。思えばパトラさんはどうやってアドリア嬢の奇行の現場へ駆けつけていたのだろう。そのセンサー欲しい。
「殿下は陛下より、ボンベイの皆様のサポートをするよう指示をいただいてらっしゃるんです。真面目な方ですから、皆様のお役に立てるよう気を張っておいでなのでしょう」
変な声が出そうになるのを飲み下し、にやけそうになる口元を引き締める。
なんだろう、これ、すごいくすぐったい。
褒められるのが嬉しい、というのはある。ニコラシカとストラースチに対する口調からは、謙遜しながら身内を褒めるような柔らかさがある。何なのかというと口調からヒューイさんの身内として数えられている感覚で私の情緒が大暴れなのだが。
いやもちろん国外の人に対して話すとき、この国の国民は皆身内として数えるだろう。ヒューイさんはきっとシュトラウスを褒めるときも従弟のマートンを褒めるときもきっと同じ話し方をする。
それでも好きな人に身内のように褒められるなんてそんなの平常心でいられるはずがない!
私のことをよくわかっているような物言いは、まるですべてを知られてしまっているようで暴れまわりたくなってしまう。全部知ってもらいたいし、私もヒューイさんのすべてが知りたい。私もヒューイさんについて身内面で話をしたい。24時間365日ヒューイさんの姿を見続けて、他人に彼についてどや顔で話したい。いやむしろ身内面じゃなくて身内になりたい。結婚してください。
振り向いて直接ヒューイさんに褒められたいが、なけなしの理性が私の身体を前へと歩かせる。
ようやくボンベイ王国ご一行の滞在している屋敷へ着いて門前で見送る。
「今日はありがとうございました、殿下。いつもとは違う姿のあなたが見られてとても新鮮でした。あなたは美しいだけでなく、気高く勇気があるのですね」
「いつもお褒めの言葉をいただきますが、身に余ります。何かご不便があればご相談ください。私にできる限りのことは手を尽くします」
人畜無害で人懐こい笑顔で手を取ったニコラシカを社交辞令と作り笑いで躱し、ヒューイさんとともに王宮へと向かう。
せっかくのデートなのだが、いかんせんもはや距離が短すぎる。ニコラシカを発見するより先にヒューイさんに出会えていればもっと長くデートを……いや集られてるニコラシカを見つけられないのもものすごくまずい。もっと早くヒューイさんに会ってそのあとニコラシカの救出、いやこれほとんど今日の結果と変わらないな。
「さて、シャングリアさま。またおひとりで街を出歩かれて。そろそろご自分の立場というものをご理解ください」
「だれだかわからないようにマント着ていきましたよ?」
「着てても危険に首を突っ込んでいては意味がありません」
ドキドキ☆ヒューイさんと二人きりでデート、ではなく、ひやひやヒューイさんと二人きり説教である。
ちょっとだけ怒ったようなヒューイさんにドキドキひやひやしながら隣を歩く。隣を歩けるのはとても嬉しい。でも叱られるのは勘弁してもらいたい。一人で出歩いたことを反省できても、面倒ごとに首を突っ込んだ件について、私はおとなしく叱られることができないから。
「一人で不届き者の相手をしたそうですね。戦う姿は麗しく武人のよう、でしたか」
「ほとんど威嚇しかしていませんよ。それにニコラシカ殿下の言葉はいつも社交辞令を盛りすぎています」
「私には、シャングリアさまが口説かれているように見えましたが?」
「へ、」
反駁しようとしてヒューイさんを見上げて息を止めた。
また見たことない顔だ。
アイスブルーの目は私を見下ろそうとせず前だけを見ていて、薄い唇は少しだけ不満げにへの字を描いている。怒っているでも、叱っているでもない顔だ。
今この人は、拗ねているんだ。
「っ……、あの方の言葉なんて、どうでもいいんです。私にとっては有象無象の誉め言葉と変わりません」
あのヒューイさんが、拗ねている。口説かれるがままにしている私に対して。気安く私に触れるニコラシカに対して。
あ、無理、好き。
可愛い、可愛いが過ぎる! こんなに可愛い成人男性国中探しても他にいるはずがない! きっとこの国で一番剣が強くて、兵たちを指揮するこの強く美しい人が、少しだけ不満をこぼすように拗ねて見せる! あざとい! 可愛い! 100億点満点!
この人はいつからこんなに可愛らしくなったのだろうか。今すぐ私の持てるすべての語彙を持って愛を注ぎ込みたい。不満に思うことも不安に思うこともないように。拗ねてる暇なんてないほどに、私の愛を飲みほしてほしい。
「他の誰に褒めそやされるより、あなたに一度名前を呼ばれる方が嬉しい。千の言葉をかけられるより、あなたの一瞥が私はほしいです」
「シャングリアさま、」
「あなたは私がどれだけあなたのことを愛してるか、まだあまりご存じないみたいです」
少しだけ拗ねたような表情は一瞬で拭い去られ、戸惑いと羞恥をにじませる。
あまりの可愛さに膝から崩れ落ちそうになるが、まだ口説いている最中である。言い切るまでは何とか正気に戻らず、できる限りの愛でヒューイさんに打撃を与えないと……!
「私が他の者に目移りするとでも? そう思われるならきっと私の言葉が足りていないのでしょう。いくらでもいくつでも言葉を重ねてみせましょう」
「シャングリアさま、少々お待ちください……! こんな往来で、どうぞ言葉を惜しんでください」
「では後程私の愛を聞く時間を取ってくれるんですね?」
「なんだか最近図太くなられましたね……!」
「繊細ではあなたに逃げられてしまいそうなので」
そそくさ、という言葉が似合う様相で足を速めるヒューイさんの隣を足取り軽やかに歩く。
開き直ってからというものの、私はことあるごとにヒューイさんに愛の言葉を豪速球でぶつけている。そっと差し出す、なんて嫋やかなこと羞恥で死んでしまいそうだ。羞恥すら忘れ正気を失っていないと、躱してしまいそうになるヒューイさんに愛をぶつけることもできないのだ。追い込まないとあの人は逃げてしまうのだ。その代わりといってはあれだがムードというものまるでない。やはり”投げつける”という言葉が一番似合っている気がするのだ。
王宮の中へと踏み入れてしまえばもう私は得体のしれないマントの青年ではなくなる。フードを取りマントを脱げば私はもう第二王子だ。
「まあ冗談ですよ。お忙しいのに我が儘言ってごめんなさい。またお時間のある時に」
さすがに愛の言葉を投げつけるために時間を取れ、だなんて横柄にもほどがある。そしてそんな馬鹿みたいな我儘でも、王女である私の言葉とあらば従わなければならないと思ってしまうだろう。それにしても自分から我儘を言っておいて、それを自分で撤回するのは些か寂しい。
口元に手を当てたヒューイさんの表情はほとんど読めない。といってももうヒューイさんは切り替えているだろう。王宮に入るまでは確かに強制的デートだった今は報告のために王の元へと向かっているのだ。私もヒューイさんもそれぞれ報告がある。浮ついた気持ちはとっとと切り落とさなくては。
やるべきことはやる。公務に私情を挟まない。それが未熟ながら私のけじめだ。
さっと目を逸らして歩き出そうとすると大きな手が緩く私の腕を取った。
「ヒューイさん?」
「シャングリアさまこそ、私の愛など知らないでしょう」
心臓が口から飛び出しそうになる。細められた目が私を射抜いた。可愛いだなんてとても言えない、大人の顔だ。
「私は逃げたりは致しません。この先どんなことがあろうとも、あなたさまの傍にいることだけは決まっています」
「ヒュ、」
「逃げるなら今のうちです。しかしどうか、逃げないというなら覚悟をお決めになるのはあなたの方だ」
耳元に寄せられた唇に吐息に、眩暈がした。身を引くことも許さないというように、手が私の腕をつかみなおす。
なんとか何か言おうと見上げて、一つの言葉も見つけられない私を、口の端で笑った。
「……さあ、私たちにはやるべきことがまだたくさんあります」
「は、」
鼻先が触れ合いそうな距離だったのに、ヒューイさんはぱっと離れていつもの調子で話し出した。呆然としていると離された手に歩くよう促される。ふと少し先に歩いている文官の姿を見つけた。人が来たからいつもの調子に戻ったのだろう。惜しいような、助かったような、なんとも言えない感情が渦巻く。
私はいっぱいいっぱいだったのに、人目を気にして気配に気を配る余裕があるのか。
「ですがどうぞ、ご無理をなされないように。それこそ以前のように」
「……ええ、善処しましょう。ですが人の目がないとなるとついつい無茶をしてしまうので、約束いたしかねますね」
唇を尖らせるのは私の番だ。翻弄してやりたいと思うのに、されるばかり。悠々とした表情が愛おしく疎ましい。せめてもの抵抗に取り繕いなれた王子らしい笑顔で返事をする。乱れた感情も不満も、いまだ収まらない動悸もすべて仕舞い込んで、私たちは報告に向かった。
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