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かっきー1st写真集 編
美緒のわがまま
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冠番組の収録で来ているスタジオの誰もいない控室で、かっきーとたくさんキスした後。
2人で楽屋に戻ると、4期生のみんなが集まってきてくれた。
さくら「みんな、ごめんね…なんか、急に具合悪くなっちゃって……少しだけ、向こうの部屋で休ませてもらってたの。でも、もう落ち着いたから…」
紗耶「そうなんだ…さく、無理しないでね…?うちらも、あんまり騒がないようにするから…」
さくら「ううん、全然、いつも通りで大丈夫だよ?でも紗耶、ありがとね」
みんなに気を使わせるのも申し訳なくて、私は楽屋の隅のほうに座って収録再開まで静かに過ごすことにした。
まだ、少しドキドキしてる。
(かっきーと、いつもよりすごいキスをしちゃった…)
目の前の鏡を見ると、自分の顔になんだか違和感があった。
さっき、かっきーの前でたくさん泣いちゃったせい?
でも、それだけじゃない気がする。
(あっ…そっか……)
リップが、薄くなっていた。
原因は、自分がいちばんよく分かっていた。
さっきの激しいキスを思い出して、一人恥ずかしくなってしまう。
(私、かっきーとあんなキスしちゃった……しかも、2回目は私からおねだりしちゃったし…)
不思議な感覚だった。
キスって、あんな気持ちになるんだ。
もっと続けてたら、どんなふうになっちゃうんだろ。
唇に触れてみて、柔らかい感触を思い出す。
でも、余韻に浸ったままでいるわけにはいかない。
私はメイクポーチの中からリップを出して、そっと塗り直す。
そんな時、後ろのほうでおしゃべりしていたメンバーの話が耳に入ってきた。
さっきよりも声を抑えてくれてるのが分かる。やっぱりみんな、優しいな。
お話メンバーの中には、かっきーもいるらしい。
紗耶「そういえばさっきのかっきー、カッコよかったよね」
聖来「そうそう、かっきーが出て行ったあと、うちらキャーキャー騒いでたんやで」
遥香「いや、あの時のことはもう、いいから…!」
柚菜「え~、なになに~?かっきーがどうしたの?」
紗耶「そっか、ゆんちゃんはちょうどいなかったっけ。さっき、さくの様子が変だったって聞いた時のかっきーがね…」
遥香「ちょっと、やんちゃ~ん…!」
(すごく気になる…かっきー、どんな様子だったの…?)
私はリップを塗るふりをして聞き耳を立てていた。
でも…
スタッフ「4期生のみなさーん、スタジオのほうへ移動お願いしまーす!」
「えっ、もうそんな時間っ…?!」
「うわっ、収録前にトイレ行こうと思ってたのに!」
スタッフさんから声がかかって、みんな慌てだす。
マネ「ほらほら、次の仕事ある子もいるんだから、みんな急いでねー!」
マネージャーさんに急かされて、私もみんなと一緒に小走りでスタジオへ向かう。
紗耶がしていた話の続きが気になるけど、スタジオに入ったらすぐに収録が始まってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2本目の収録は無事に終わった。
私は収録前の話が気になっていた、けど。
(かっきーは言ってほしくなさそうにしてたし…それに、私から紗耶に聞くのも、聞き耳立ててたのがバレるみたいで恥ずかしいし…)
しょうがないので、紗耶の話の続きはひとまず忘れることにした。
3本目の収録が始まるまで、また少し休憩時間がある。
かっきーは次の仕事があるので、収録に参加するのは2本目までとマネージャーさんから連絡が来ていた。
(やっぱり、今は写真集関係のお仕事で忙しいもんね…かっきー、頑張り過ぎないといいな…)
また楽屋の隅でぼーっと休んでいると、誰かが近づいてくるのが足音で分かった。
小さい歩幅でちょこちょこと近づいてくる、かわいらしい感じ。
これは、あの子だ。
美緒「さくちゃ~ん」
さくら「ふふっ、やっぱり美緒ちゃんだ」
美緒「次の収録も大丈夫そう?無理しちゃダメだよ~?」
さくら「うん、ありがとう」
美緒ちゃんは私のことを推しメンだと言ってくれていて、「かわいい」とか「大好き」とか嬉しい言葉をいつもたくさんくれる。
私のことだけじゃなくて、いつも周りのメンバーを気にかけていて、すごく優しい子。
その美緒ちゃんが、私の隣の席にちょこんと座った。
いつもなら私の近くに来るとすぐにたくさん話しかけてくれるのに、今日は少し雰囲気が違うような気がする。
何か話したいことがあるけど、悩んでる感じ。
「美緒ちゃん…?どうしたの?」
「さくちゃん…あのね……私、1個だけわがまま聞いてもらいたくて…」
「え…?」
めずらしい、と思った。
「うん、いいよ。なぁに?」
「ありがとう…なんていうか、さくちゃんの気持ちを教えてほしいっていうか……」
「気持ち…?」
「うん…あの……さくちゃんって今、好きな人…いる?」
「えっ……?」
好きな人。
その言葉を聞いて浮かぶのは、もちろんかっきーの顔だった。
でも…
(どうしよう……なんて答えたらいいの…?)
~続く~
2人で楽屋に戻ると、4期生のみんなが集まってきてくれた。
さくら「みんな、ごめんね…なんか、急に具合悪くなっちゃって……少しだけ、向こうの部屋で休ませてもらってたの。でも、もう落ち着いたから…」
紗耶「そうなんだ…さく、無理しないでね…?うちらも、あんまり騒がないようにするから…」
さくら「ううん、全然、いつも通りで大丈夫だよ?でも紗耶、ありがとね」
みんなに気を使わせるのも申し訳なくて、私は楽屋の隅のほうに座って収録再開まで静かに過ごすことにした。
まだ、少しドキドキしてる。
(かっきーと、いつもよりすごいキスをしちゃった…)
目の前の鏡を見ると、自分の顔になんだか違和感があった。
さっき、かっきーの前でたくさん泣いちゃったせい?
でも、それだけじゃない気がする。
(あっ…そっか……)
リップが、薄くなっていた。
原因は、自分がいちばんよく分かっていた。
さっきの激しいキスを思い出して、一人恥ずかしくなってしまう。
(私、かっきーとあんなキスしちゃった……しかも、2回目は私からおねだりしちゃったし…)
不思議な感覚だった。
キスって、あんな気持ちになるんだ。
もっと続けてたら、どんなふうになっちゃうんだろ。
唇に触れてみて、柔らかい感触を思い出す。
でも、余韻に浸ったままでいるわけにはいかない。
私はメイクポーチの中からリップを出して、そっと塗り直す。
そんな時、後ろのほうでおしゃべりしていたメンバーの話が耳に入ってきた。
さっきよりも声を抑えてくれてるのが分かる。やっぱりみんな、優しいな。
お話メンバーの中には、かっきーもいるらしい。
紗耶「そういえばさっきのかっきー、カッコよかったよね」
聖来「そうそう、かっきーが出て行ったあと、うちらキャーキャー騒いでたんやで」
遥香「いや、あの時のことはもう、いいから…!」
柚菜「え~、なになに~?かっきーがどうしたの?」
紗耶「そっか、ゆんちゃんはちょうどいなかったっけ。さっき、さくの様子が変だったって聞いた時のかっきーがね…」
遥香「ちょっと、やんちゃ~ん…!」
(すごく気になる…かっきー、どんな様子だったの…?)
私はリップを塗るふりをして聞き耳を立てていた。
でも…
スタッフ「4期生のみなさーん、スタジオのほうへ移動お願いしまーす!」
「えっ、もうそんな時間っ…?!」
「うわっ、収録前にトイレ行こうと思ってたのに!」
スタッフさんから声がかかって、みんな慌てだす。
マネ「ほらほら、次の仕事ある子もいるんだから、みんな急いでねー!」
マネージャーさんに急かされて、私もみんなと一緒に小走りでスタジオへ向かう。
紗耶がしていた話の続きが気になるけど、スタジオに入ったらすぐに収録が始まってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2本目の収録は無事に終わった。
私は収録前の話が気になっていた、けど。
(かっきーは言ってほしくなさそうにしてたし…それに、私から紗耶に聞くのも、聞き耳立ててたのがバレるみたいで恥ずかしいし…)
しょうがないので、紗耶の話の続きはひとまず忘れることにした。
3本目の収録が始まるまで、また少し休憩時間がある。
かっきーは次の仕事があるので、収録に参加するのは2本目までとマネージャーさんから連絡が来ていた。
(やっぱり、今は写真集関係のお仕事で忙しいもんね…かっきー、頑張り過ぎないといいな…)
また楽屋の隅でぼーっと休んでいると、誰かが近づいてくるのが足音で分かった。
小さい歩幅でちょこちょこと近づいてくる、かわいらしい感じ。
これは、あの子だ。
美緒「さくちゃ~ん」
さくら「ふふっ、やっぱり美緒ちゃんだ」
美緒「次の収録も大丈夫そう?無理しちゃダメだよ~?」
さくら「うん、ありがとう」
美緒ちゃんは私のことを推しメンだと言ってくれていて、「かわいい」とか「大好き」とか嬉しい言葉をいつもたくさんくれる。
私のことだけじゃなくて、いつも周りのメンバーを気にかけていて、すごく優しい子。
その美緒ちゃんが、私の隣の席にちょこんと座った。
いつもなら私の近くに来るとすぐにたくさん話しかけてくれるのに、今日は少し雰囲気が違うような気がする。
何か話したいことがあるけど、悩んでる感じ。
「美緒ちゃん…?どうしたの?」
「さくちゃん…あのね……私、1個だけわがまま聞いてもらいたくて…」
「え…?」
めずらしい、と思った。
「うん、いいよ。なぁに?」
「ありがとう…なんていうか、さくちゃんの気持ちを教えてほしいっていうか……」
「気持ち…?」
「うん…あの……さくちゃんって今、好きな人…いる?」
「えっ……?」
好きな人。
その言葉を聞いて浮かぶのは、もちろんかっきーの顔だった。
でも…
(どうしよう……なんて答えたらいいの…?)
~続く~
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