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かっきー1st写真集 編
私が付いてるから大丈夫
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涙が溢れそうになり、慌てて楽屋を飛び出した私。
スタジオの廊下を適当に走って、誰も使っていない部屋へとりあえず駆け込んだ。
何年も来ているスタジオだから、あまり使われていないであろう部屋もなんとなくだけど分かる。
そこはちょっとした控室のような部屋だった。
机とソファ、それに鏡が置いてあるくらいだ。
私はいちばん手前のソファへ、ドアに背を向けるように座り込む。
(勝手に使ったら怒られるかな…?でも、急に具合が悪くなって休ませてもらってたって言えばいいか…)
みんなと同じ楽屋にいた時は涙がこぼれそうになってしまったけど、一人になると少し落ち着いていた。
(さっきのツラい感じ、なんだったんだろう……私、何がツラいんだろう……?)
自分でもよく分からなかった。
(かっきー……かっきーの写真集が発売されるのは、うれしいこと…グループにとっても、かっきーにとっても…それに…私にとっても…)
それで間違いない。
どう考えたってそれしかない。
そのはずなのに…
そんなことをぐるぐると考えながらぼーっとしていると、私の目にまた涙が溜まってきた。
視界が、涙で滲んでくる。
あぁ、今度こそ我慢できないかなって思った、その時。
[ガチャッ!]
私の背後で、部屋のドアが開けられた。
(スタッフさんが入ってきちゃった…!)
反射的にそう思った私は、無断で部屋を使っていたことを謝るために振り向いた。
でも、そこにいたのは…
遥香「ーーーさくちゃん!!」
かっきーだった。
いまの私をいちばん見せたくないような気もするし。
でもやっぱり、見てもらいたかったような気もする、そんな特別な存在。
かっきーは、息を切らしながら私のもとへ駆け寄ってきた。
そして私の横に座ると同時に、何も言わずに抱きしめてくる。
たぶん、これまででいちばん強くて、激しいハグ。
私の目から、こらえていた涙が溢れ出す。
私は感情のままに涙を流しながら、それでもなんとか残していた理性でかっきーに伝えた。
さくら「かっ…きー……ダメ……こんな、ところ……誰かに、見られたら……」
遥香「いいの!」
より一層強く抱きしめられる。
もはや息苦しくなるくらいのハグだった。
さくら「う…うぅ…うぇ~~ん……」
こんなの、いつぶりだろう。
私は、子供みたいに声を上げて泣いた。
かっきーはずっと、私の頭をやさしく撫でてくれていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
涙が止んで、呼吸も落ち着いてきた頃。
かっきーは私の隣に座ったまま、両手を握ってくれている。
私は、どうしてかっきーがここに来てくれたのか不思議だったから、訊いてみた。
「矢久保がね、教えてくれたの。トイレから戻ってきて楽屋に入ろうとした時に誰かとすれ違った、って。あの後ろ姿はさくちゃんだったと思うけど、様子が変だったから誰か知ってる?って。」
「そう、だったんだ……でも、かっきーが来てくれるなんて…」
「さくちゃん、ごめんね……私、矢久保の話を聞いてすごく心配になって、すぐに探しに行きたいって思ったけど…私は行かないほうがいいのかな、って、一瞬思っちゃったんだ……他のみんなに任せたほうがいいのかな、って……私、あのとき躊躇しちゃった自分が、すごく恥ずかしい…」
「どうして…?かっきーは全然悪くないし、恥ずかしいことなんて全然ないよ…!」
「ううん…私ね、また前みたいに周りの目を気にして、自分の気持ちをごまかすところだった……でも、私の大好きなさくちゃんがツラい思いをしてるかもしれなくて、それなのに何も出来ないのは絶対にイヤだ、って思って…それで、さくちゃんを探しに来ちゃった…」
「うぅ……ありがとう…」
「あっ、そうだ。みんなに連絡だけしておくね。さくちゃん見つけたよ、私が付いてるから大丈夫だよ、って」
「うん……へへへ…」
「ん?」
「私が付いてるから大丈夫だよ、って……かっきー、なんかカッコいいなって……またみんなにイケメンって言われちゃうよ…?」
「えー?そうかなぁ…?でも、まぁいいや!すぐ送っちゃうね」
そんなかっきーが頼もしくて、愛おしくて。
今度は、私のほうからかっきーを思いっきり抱きしめた。
「ちょっ、と…さくちゃん…?まずみんなにLINE送らないと……でしょ…?」
「へへ……聞こえなーい♥️」
「いや、絶対聞こえてるやろ…」
「あ、かっきーの関西弁だ♪私がキュンキュンしちゃうやつ♥️」
「もぅ、甘えん坊だなぁ…」
ーーー私が付いてるから大丈夫。
かっきーのこの言葉で、どれだけ救われたか分からない。
(かっきー、ありがとう……私も、私の気持ち、ちゃんと話すからね…?)
~続く~
スタジオの廊下を適当に走って、誰も使っていない部屋へとりあえず駆け込んだ。
何年も来ているスタジオだから、あまり使われていないであろう部屋もなんとなくだけど分かる。
そこはちょっとした控室のような部屋だった。
机とソファ、それに鏡が置いてあるくらいだ。
私はいちばん手前のソファへ、ドアに背を向けるように座り込む。
(勝手に使ったら怒られるかな…?でも、急に具合が悪くなって休ませてもらってたって言えばいいか…)
みんなと同じ楽屋にいた時は涙がこぼれそうになってしまったけど、一人になると少し落ち着いていた。
(さっきのツラい感じ、なんだったんだろう……私、何がツラいんだろう……?)
自分でもよく分からなかった。
(かっきー……かっきーの写真集が発売されるのは、うれしいこと…グループにとっても、かっきーにとっても…それに…私にとっても…)
それで間違いない。
どう考えたってそれしかない。
そのはずなのに…
そんなことをぐるぐると考えながらぼーっとしていると、私の目にまた涙が溜まってきた。
視界が、涙で滲んでくる。
あぁ、今度こそ我慢できないかなって思った、その時。
[ガチャッ!]
私の背後で、部屋のドアが開けられた。
(スタッフさんが入ってきちゃった…!)
反射的にそう思った私は、無断で部屋を使っていたことを謝るために振り向いた。
でも、そこにいたのは…
遥香「ーーーさくちゃん!!」
かっきーだった。
いまの私をいちばん見せたくないような気もするし。
でもやっぱり、見てもらいたかったような気もする、そんな特別な存在。
かっきーは、息を切らしながら私のもとへ駆け寄ってきた。
そして私の横に座ると同時に、何も言わずに抱きしめてくる。
たぶん、これまででいちばん強くて、激しいハグ。
私の目から、こらえていた涙が溢れ出す。
私は感情のままに涙を流しながら、それでもなんとか残していた理性でかっきーに伝えた。
さくら「かっ…きー……ダメ……こんな、ところ……誰かに、見られたら……」
遥香「いいの!」
より一層強く抱きしめられる。
もはや息苦しくなるくらいのハグだった。
さくら「う…うぅ…うぇ~~ん……」
こんなの、いつぶりだろう。
私は、子供みたいに声を上げて泣いた。
かっきーはずっと、私の頭をやさしく撫でてくれていた。
・・・・・・・・・・・・・・・
涙が止んで、呼吸も落ち着いてきた頃。
かっきーは私の隣に座ったまま、両手を握ってくれている。
私は、どうしてかっきーがここに来てくれたのか不思議だったから、訊いてみた。
「矢久保がね、教えてくれたの。トイレから戻ってきて楽屋に入ろうとした時に誰かとすれ違った、って。あの後ろ姿はさくちゃんだったと思うけど、様子が変だったから誰か知ってる?って。」
「そう、だったんだ……でも、かっきーが来てくれるなんて…」
「さくちゃん、ごめんね……私、矢久保の話を聞いてすごく心配になって、すぐに探しに行きたいって思ったけど…私は行かないほうがいいのかな、って、一瞬思っちゃったんだ……他のみんなに任せたほうがいいのかな、って……私、あのとき躊躇しちゃった自分が、すごく恥ずかしい…」
「どうして…?かっきーは全然悪くないし、恥ずかしいことなんて全然ないよ…!」
「ううん…私ね、また前みたいに周りの目を気にして、自分の気持ちをごまかすところだった……でも、私の大好きなさくちゃんがツラい思いをしてるかもしれなくて、それなのに何も出来ないのは絶対にイヤだ、って思って…それで、さくちゃんを探しに来ちゃった…」
「うぅ……ありがとう…」
「あっ、そうだ。みんなに連絡だけしておくね。さくちゃん見つけたよ、私が付いてるから大丈夫だよ、って」
「うん……へへへ…」
「ん?」
「私が付いてるから大丈夫だよ、って……かっきー、なんかカッコいいなって……またみんなにイケメンって言われちゃうよ…?」
「えー?そうかなぁ…?でも、まぁいいや!すぐ送っちゃうね」
そんなかっきーが頼もしくて、愛おしくて。
今度は、私のほうからかっきーを思いっきり抱きしめた。
「ちょっ、と…さくちゃん…?まずみんなにLINE送らないと……でしょ…?」
「へへ……聞こえなーい♥️」
「いや、絶対聞こえてるやろ…」
「あ、かっきーの関西弁だ♪私がキュンキュンしちゃうやつ♥️」
「もぅ、甘えん坊だなぁ…」
ーーー私が付いてるから大丈夫。
かっきーのこの言葉で、どれだけ救われたか分からない。
(かっきー、ありがとう……私も、私の気持ち、ちゃんと話すからね…?)
~続く~
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