さくらと遥香(ショートストーリー)

youmery

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付き合って3ヶ月目の"移し合い"

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※さくちゃんとかっきーが付き合い始めてからのショートストーリーです。
※付き合い始めるまでの物語は『さくらと遥香』46時間TV編をお読み下さい。

遥香「え…?これ、私に?」

さくら「うん…かっきーに、使ってほしくて…」

私は、手のひらにちょうど乗るくらいのサイズに梱包されたプレゼントを、かっきーに手渡した。

同じ女性アイドルグループで活動するメンバーであり、同期であり、そして恋人でもあるかっきー。
…………………

10周年のバースデーライブが終わって、かっきーの写真集発売が近づいてきた頃。

今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。

今日の私は、少しだけ特別な準備をしてかっきーを待っていた。

理由は、今日が大事な記念日だから。

私とかっきーが46時間TV最終日の朝から付き合い始めて、3ヶ月の記念日。

私にとって、恋人と呼べる存在が出来たのはかっきーが人生初。

だから、記念日に何をするかなんてこれまでは考えたことなくて。

1ヶ月や2ヶ月は、記念日だと意識することもなくいつも通りに過ぎていった。

それが、10周年ライブを終えて気持ちに少し余裕が出てきたからだろうか。

何か、特別なことをしたいと思い付いたのだった。

遥香「わぁ…ありがとう、さくちゃん。ねぇ、開けてみてもいい?」

さくら「うん…気に入ってもらえるといいんだけど…」

なんだか緊張してきた。

恋人にプレゼントを贈るのって、こんな気持ちになるのか。

かっきーとの恋愛で、またひとつ初めての感情を知った。

かっきーが、包み紙を丁寧に開けていく。

ブランドのロゴがデザインされたおしゃれな箱から出てきたのは、リップだった。

遥香「あ、このブランド…!あれに載ってたやつだよね?!」

かっきーが言う『あれ』とは、グループの10周年を記念して発行された、メンバー全員が掲載されているファッション雑誌のことだった。

さくら「うん…前に、出来上がった雑誌を一緒に読ませてもらったことがあったじゃん…?あの時、かっきーがこのブランドのリップに注目してたのを思い出して…」

遥香「えー?!さくちゃん、私があの時言ったこと覚えててくれたのー?!」

ちょうどその頃から、私は付き合って3ヶ月の記念日に何かプレゼントしたいと思っていた。

だから特に覚えていた、というのもある。

さくら「うん、それでね…色は、ピンクにしてみたんだ…かっきー、赤のイメージがあるしすごい似合うけど、ピンクも似合うと思って…」

実際、雑誌のインタビューの中でも「勝負の時のリップは赤」とかっきーは答えていた。

だから、私はあえてピンクを選んでみた。

遥香「さくちゃん、めっちゃ考えて選んでくれたんだね…うぅ…ありがとう……」

かっきーが喜んで目を細める。

感激すると、かっきーはたまにこういう顔をする。

私の、大好きな表情の一つ。

さくら「ねぇ…かっきーが塗ったところ、見てみたい、な…?」

遥香「え、今から?なんか、使うのもったいないから大事に取っておこうと思っちゃってた…」

さくら「もぉ~、それじゃ意味ないじゃん…ふふふ…」

かっきーがリップを塗っている間、私は終わるのを楽しみにしながら背中を向けていた。

遥香「……さくちゃん、いいよ…?」

振り向くと、ぷるっとした唇のかっきーがいた。

色は、綺麗な桃色。

さくら「わぁ…やっぱりピンクも似合う!」

遥香「ふふっ…ありがと❤️…ねぇ、この色、さくちゃんにも似合うと思うんだけど…塗ってみていい…?」

さくら「えっ…?…かっきーが塗ってくれるの…?…うん、いいよ…?」

そういえば、リップを塗ってもらったことは無かったかもしれない。

しかも、かっきーがたった今塗ったばかりのリップだ。

かっきーとは何回もキスしてきたけど、こういう間接的なのも、少し照れる。

遥香「じゃあ、目、つぶってて…」

言われるがままに目をつぶって唇をかっきーへ向ける。

(なんだか、初めてかっきーがキスしてくれた時を思い出すな……)

そう思うと、唇にどんどん神経が集中してしまう。

そこへ、かっきーが優しい手つきでリップを塗ってくれるから…私は…

遥香「…よしっ…さくちゃん、鏡、見てみて?」

鏡を手渡されて、唇を見てみる。

かっきーと同じ色に塗られた、自分の唇。

遥香「どう?さくちゃんにも似合うでしょ…?」

さくら「うん…かっきー、ありがとう…」




ちゅっ…

完全に不意打ち、だったと思う。

私は、まだリップを手に持ったままのかっきーに顔を近付けて、唇を奪った。

遥香「…んんっ…?!」

口を塞がれたまま、驚いた声を上げるかっきー。

さらに4~5回ほど唇を重ねた後、かっきーの唇を解放した。

遥香「さくちゃん…びっくりしちゃった…」

さくら「だって、かっきーが…すごく優しく塗ってくれるから、ドキドキしてきちゃって…それに…」

遥香「…ん?」

さくら「同じ色、だから……いくら色が移っても、だいじょうぶだし…」

遥香「…もぉ……そんなこと考えてたの~?」

さくら「…ダメ…?」

遥香「ダメなわけないし……ダメじゃないけど、もっとしてくれないと…ダメ……」

さくら「ふふっ…じゃあ、もっと移し合お……?」

それから私たちは、何度も何度も唇を重ねた。

これが、私とかっきーの、付き合って3ヶ月記念日。

~おしまい~
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