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さくらが好き
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※さくちゃんとかっきーが付き合い始めてからのショートストーリーです。
※2人が付き合い始める物語は『さくらと遥香』46時間TV編でお読み頂けます。
~~~~~~~
「さくちゃん…?まだ起きてる…?」
「…うん。起きてるよ」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
それぞれお風呂に入ってパジャマに着替えた私たちは、同じベッドに枕を2つ並べて眠りにつこうとしていた。
「なんか、まだ眠れそうになくて…」
「うん、いいよ……かっきーとこうやって過ごす時間も、わたし好きだから…」
仰向けの状態から、かっきーのほうへ寝返りを打つ。
正面には、眠れそうにないと言いながらもトロンとした瞳のかっきー。
薄暗い豆電球の中でもハッキリと分かる、その美しい顔立ち。
それがこの距離にある。
この特別な状況に、私はかっきーと付き合ってることを実感する。
ただ……
(これじゃドキドキしてますます目が冴えちゃうよ…)
また仰向けの体勢に戻ると、かっきーも同じ体勢になった。
「ねえ…さくちゃんは、その…いつから意識してくれてたの…?私のこと…」
「えー?どうしたの…?急にそんな話…」
「なんか、ほら、あの曲のサビの歌詞がなぜか急に頭に浮かんじゃって…」
「あの曲」というのは、私たちがまだグループに加入する前のアンダー曲のこと。
飛鳥さんですらアンダーにいた時代だから、かなり前の曲だ。
その曲のサビにある、
『君を好きになった日』
という歌詞をかっきーは思い出したらしい。
「うーん…そう言われるとなぁ…でも、そういうかっきーはどうなのー?私だけ考えるのってなんか恥ずかしいよ…」
「私はね~、考えてみたけど、28枚目の期間かなぁ…」
28枚目シングル。
かっきーが初めてセンターに選ばれて、1期生の高山さんが卒業していった、グループにとっても大きな意味を持つ曲だ。
「センターが発表された日、私がプレッシャーでボロボロ泣いてたじゃん?あの時、さくちゃんが声をかけてくれてすごく嬉しかったし、家に帰ってからも何回もさくちゃんのこと思い出してた…」
4期生の代表を任されることが多くてしっかり者のイメージを持たれているかっきーだけど、人一倍繊細な部分もある。
だから、それまでかっきーが私を支えてくれたみたいに、今度は私がかっきーの支えになりたい。
そう、強く思ったのを覚えてる。
さくら「私は…たぶん、初めてドキッとしたのはあの時かな…お花農家へロケに行ったとき……カメラが回り始めてすぐ、かっきーがあんなこと言うんだもん…」
あの時、「なんの花が好き?」とかっきーに訊いたら返ってきた言葉に、私はドキッとさせられたんだ。
思い出していると、かっきーが私のほうへ顔を向けてきた。
なんだろうと思って私もかっきーの顔を見ると、かっきーの瞳にまっすぐ見つめられていた。
「ーーーさくらが好き」
「……っ…?」
かぁーっと体温が上がる。
「って言ったんだよね、私」
「……またそうやっていきなり言う…」
恥ずかしさで、顔の下半分まで布団に潜った。
「だって、照れるさくちゃんがかわいすぎるんだもん…あの時も今も」
「もぉー……」
「ねぇ…さくちゃんは言ってくれないの…?」
「えー…?うーん、じゃあ……」
(言われるのも照れるけど、言うのはまた別の恥ずかしさが…)
まだかまだか、と熱い視線を送ってくるかっきーを見つめ返し、少し緊張した声で言った。
「ーーー遥香が、好き」
「えっ…」
かっきーの顔が固まる。
予想外のリアクションで、私もどうしたらいいか分からない。
「えっ、て…私もかっきーと同じように言っただけじゃん…!」
「いや、えっと、、名前で呼ばれると、思ってなくて……」
「えー??かっきーがさくらって呼ぶんだから、そりゃあ遥香じゃん」
「た、たしかに……いやぁー…照れますねー…」
(なんでいきなり敬語…?でも、ちょっと抜けてて照れるかっきーも、かわいいなぁ…)
そこから何度か「さくら」と「遥香」で呼び合って。
少し恥ずかしかったけど、私たちは幸せな気持ちのまま眠りについた…
~おしまい~
※2人が付き合い始める物語は『さくらと遥香』46時間TV編でお読み頂けます。
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「さくちゃん…?まだ起きてる…?」
「…うん。起きてるよ」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
それぞれお風呂に入ってパジャマに着替えた私たちは、同じベッドに枕を2つ並べて眠りにつこうとしていた。
「なんか、まだ眠れそうになくて…」
「うん、いいよ……かっきーとこうやって過ごす時間も、わたし好きだから…」
仰向けの状態から、かっきーのほうへ寝返りを打つ。
正面には、眠れそうにないと言いながらもトロンとした瞳のかっきー。
薄暗い豆電球の中でもハッキリと分かる、その美しい顔立ち。
それがこの距離にある。
この特別な状況に、私はかっきーと付き合ってることを実感する。
ただ……
(これじゃドキドキしてますます目が冴えちゃうよ…)
また仰向けの体勢に戻ると、かっきーも同じ体勢になった。
「ねえ…さくちゃんは、その…いつから意識してくれてたの…?私のこと…」
「えー?どうしたの…?急にそんな話…」
「なんか、ほら、あの曲のサビの歌詞がなぜか急に頭に浮かんじゃって…」
「あの曲」というのは、私たちがまだグループに加入する前のアンダー曲のこと。
飛鳥さんですらアンダーにいた時代だから、かなり前の曲だ。
その曲のサビにある、
『君を好きになった日』
という歌詞をかっきーは思い出したらしい。
「うーん…そう言われるとなぁ…でも、そういうかっきーはどうなのー?私だけ考えるのってなんか恥ずかしいよ…」
「私はね~、考えてみたけど、28枚目の期間かなぁ…」
28枚目シングル。
かっきーが初めてセンターに選ばれて、1期生の高山さんが卒業していった、グループにとっても大きな意味を持つ曲だ。
「センターが発表された日、私がプレッシャーでボロボロ泣いてたじゃん?あの時、さくちゃんが声をかけてくれてすごく嬉しかったし、家に帰ってからも何回もさくちゃんのこと思い出してた…」
4期生の代表を任されることが多くてしっかり者のイメージを持たれているかっきーだけど、人一倍繊細な部分もある。
だから、それまでかっきーが私を支えてくれたみたいに、今度は私がかっきーの支えになりたい。
そう、強く思ったのを覚えてる。
さくら「私は…たぶん、初めてドキッとしたのはあの時かな…お花農家へロケに行ったとき……カメラが回り始めてすぐ、かっきーがあんなこと言うんだもん…」
あの時、「なんの花が好き?」とかっきーに訊いたら返ってきた言葉に、私はドキッとさせられたんだ。
思い出していると、かっきーが私のほうへ顔を向けてきた。
なんだろうと思って私もかっきーの顔を見ると、かっきーの瞳にまっすぐ見つめられていた。
「ーーーさくらが好き」
「……っ…?」
かぁーっと体温が上がる。
「って言ったんだよね、私」
「……またそうやっていきなり言う…」
恥ずかしさで、顔の下半分まで布団に潜った。
「だって、照れるさくちゃんがかわいすぎるんだもん…あの時も今も」
「もぉー……」
「ねぇ…さくちゃんは言ってくれないの…?」
「えー…?うーん、じゃあ……」
(言われるのも照れるけど、言うのはまた別の恥ずかしさが…)
まだかまだか、と熱い視線を送ってくるかっきーを見つめ返し、少し緊張した声で言った。
「ーーー遥香が、好き」
「えっ…」
かっきーの顔が固まる。
予想外のリアクションで、私もどうしたらいいか分からない。
「えっ、て…私もかっきーと同じように言っただけじゃん…!」
「いや、えっと、、名前で呼ばれると、思ってなくて……」
「えー??かっきーがさくらって呼ぶんだから、そりゃあ遥香じゃん」
「た、たしかに……いやぁー…照れますねー…」
(なんでいきなり敬語…?でも、ちょっと抜けてて照れるかっきーも、かわいいなぁ…)
そこから何度か「さくら」と「遥香」で呼び合って。
少し恥ずかしかったけど、私たちは幸せな気持ちのまま眠りについた…
~おしまい~
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(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
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(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
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・さくら1st写真集編[完結]
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