2 / 21
さくらが好き
しおりを挟む
※さくちゃんとかっきーが付き合い始めてからのショートストーリーです。
※2人が付き合い始める物語は『さくらと遥香』46時間TV編でお読み頂けます。
~~~~~~~
「さくちゃん…?まだ起きてる…?」
「…うん。起きてるよ」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
それぞれお風呂に入ってパジャマに着替えた私たちは、同じベッドに枕を2つ並べて眠りにつこうとしていた。
「なんか、まだ眠れそうになくて…」
「うん、いいよ……かっきーとこうやって過ごす時間も、わたし好きだから…」
仰向けの状態から、かっきーのほうへ寝返りを打つ。
正面には、眠れそうにないと言いながらもトロンとした瞳のかっきー。
薄暗い豆電球の中でもハッキリと分かる、その美しい顔立ち。
それがこの距離にある。
この特別な状況に、私はかっきーと付き合ってることを実感する。
ただ……
(これじゃドキドキしてますます目が冴えちゃうよ…)
また仰向けの体勢に戻ると、かっきーも同じ体勢になった。
「ねえ…さくちゃんは、その…いつから意識してくれてたの…?私のこと…」
「えー?どうしたの…?急にそんな話…」
「なんか、ほら、あの曲のサビの歌詞がなぜか急に頭に浮かんじゃって…」
「あの曲」というのは、私たちがまだグループに加入する前のアンダー曲のこと。
飛鳥さんですらアンダーにいた時代だから、かなり前の曲だ。
その曲のサビにある、
『君を好きになった日』
という歌詞をかっきーは思い出したらしい。
「うーん…そう言われるとなぁ…でも、そういうかっきーはどうなのー?私だけ考えるのってなんか恥ずかしいよ…」
「私はね~、考えてみたけど、28枚目の期間かなぁ…」
28枚目シングル。
かっきーが初めてセンターに選ばれて、1期生の高山さんが卒業していった、グループにとっても大きな意味を持つ曲だ。
「センターが発表された日、私がプレッシャーでボロボロ泣いてたじゃん?あの時、さくちゃんが声をかけてくれてすごく嬉しかったし、家に帰ってからも何回もさくちゃんのこと思い出してた…」
4期生の代表を任されることが多くてしっかり者のイメージを持たれているかっきーだけど、人一倍繊細な部分もある。
だから、それまでかっきーが私を支えてくれたみたいに、今度は私がかっきーの支えになりたい。
そう、強く思ったのを覚えてる。
さくら「私は…たぶん、初めてドキッとしたのはあの時かな…お花農家へロケに行ったとき……カメラが回り始めてすぐ、かっきーがあんなこと言うんだもん…」
あの時、「なんの花が好き?」とかっきーに訊いたら返ってきた言葉に、私はドキッとさせられたんだ。
思い出していると、かっきーが私のほうへ顔を向けてきた。
なんだろうと思って私もかっきーの顔を見ると、かっきーの瞳にまっすぐ見つめられていた。
「ーーーさくらが好き」
「……っ…?」
かぁーっと体温が上がる。
「って言ったんだよね、私」
「……またそうやっていきなり言う…」
恥ずかしさで、顔の下半分まで布団に潜った。
「だって、照れるさくちゃんがかわいすぎるんだもん…あの時も今も」
「もぉー……」
「ねぇ…さくちゃんは言ってくれないの…?」
「えー…?うーん、じゃあ……」
(言われるのも照れるけど、言うのはまた別の恥ずかしさが…)
まだかまだか、と熱い視線を送ってくるかっきーを見つめ返し、少し緊張した声で言った。
「ーーー遥香が、好き」
「えっ…」
かっきーの顔が固まる。
予想外のリアクションで、私もどうしたらいいか分からない。
「えっ、て…私もかっきーと同じように言っただけじゃん…!」
「いや、えっと、、名前で呼ばれると、思ってなくて……」
「えー??かっきーがさくらって呼ぶんだから、そりゃあ遥香じゃん」
「た、たしかに……いやぁー…照れますねー…」
(なんでいきなり敬語…?でも、ちょっと抜けてて照れるかっきーも、かわいいなぁ…)
そこから何度か「さくら」と「遥香」で呼び合って。
少し恥ずかしかったけど、私たちは幸せな気持ちのまま眠りについた…
~おしまい~
※2人が付き合い始める物語は『さくらと遥香』46時間TV編でお読み頂けます。
~~~~~~~
「さくちゃん…?まだ起きてる…?」
「…うん。起きてるよ」
今夜も、かっきーが私の部屋へ泊まりに来てくれている。
それぞれお風呂に入ってパジャマに着替えた私たちは、同じベッドに枕を2つ並べて眠りにつこうとしていた。
「なんか、まだ眠れそうになくて…」
「うん、いいよ……かっきーとこうやって過ごす時間も、わたし好きだから…」
仰向けの状態から、かっきーのほうへ寝返りを打つ。
正面には、眠れそうにないと言いながらもトロンとした瞳のかっきー。
薄暗い豆電球の中でもハッキリと分かる、その美しい顔立ち。
それがこの距離にある。
この特別な状況に、私はかっきーと付き合ってることを実感する。
ただ……
(これじゃドキドキしてますます目が冴えちゃうよ…)
また仰向けの体勢に戻ると、かっきーも同じ体勢になった。
「ねえ…さくちゃんは、その…いつから意識してくれてたの…?私のこと…」
「えー?どうしたの…?急にそんな話…」
「なんか、ほら、あの曲のサビの歌詞がなぜか急に頭に浮かんじゃって…」
「あの曲」というのは、私たちがまだグループに加入する前のアンダー曲のこと。
飛鳥さんですらアンダーにいた時代だから、かなり前の曲だ。
その曲のサビにある、
『君を好きになった日』
という歌詞をかっきーは思い出したらしい。
「うーん…そう言われるとなぁ…でも、そういうかっきーはどうなのー?私だけ考えるのってなんか恥ずかしいよ…」
「私はね~、考えてみたけど、28枚目の期間かなぁ…」
28枚目シングル。
かっきーが初めてセンターに選ばれて、1期生の高山さんが卒業していった、グループにとっても大きな意味を持つ曲だ。
「センターが発表された日、私がプレッシャーでボロボロ泣いてたじゃん?あの時、さくちゃんが声をかけてくれてすごく嬉しかったし、家に帰ってからも何回もさくちゃんのこと思い出してた…」
4期生の代表を任されることが多くてしっかり者のイメージを持たれているかっきーだけど、人一倍繊細な部分もある。
だから、それまでかっきーが私を支えてくれたみたいに、今度は私がかっきーの支えになりたい。
そう、強く思ったのを覚えてる。
さくら「私は…たぶん、初めてドキッとしたのはあの時かな…お花農家へロケに行ったとき……カメラが回り始めてすぐ、かっきーがあんなこと言うんだもん…」
あの時、「なんの花が好き?」とかっきーに訊いたら返ってきた言葉に、私はドキッとさせられたんだ。
思い出していると、かっきーが私のほうへ顔を向けてきた。
なんだろうと思って私もかっきーの顔を見ると、かっきーの瞳にまっすぐ見つめられていた。
「ーーーさくらが好き」
「……っ…?」
かぁーっと体温が上がる。
「って言ったんだよね、私」
「……またそうやっていきなり言う…」
恥ずかしさで、顔の下半分まで布団に潜った。
「だって、照れるさくちゃんがかわいすぎるんだもん…あの時も今も」
「もぉー……」
「ねぇ…さくちゃんは言ってくれないの…?」
「えー…?うーん、じゃあ……」
(言われるのも照れるけど、言うのはまた別の恥ずかしさが…)
まだかまだか、と熱い視線を送ってくるかっきーを見つめ返し、少し緊張した声で言った。
「ーーー遥香が、好き」
「えっ…」
かっきーの顔が固まる。
予想外のリアクションで、私もどうしたらいいか分からない。
「えっ、て…私もかっきーと同じように言っただけじゃん…!」
「いや、えっと、、名前で呼ばれると、思ってなくて……」
「えー??かっきーがさくらって呼ぶんだから、そりゃあ遥香じゃん」
「た、たしかに……いやぁー…照れますねー…」
(なんでいきなり敬語…?でも、ちょっと抜けてて照れるかっきーも、かわいいなぁ…)
そこから何度か「さくら」と「遥香」で呼び合って。
少し恥ずかしかったけど、私たちは幸せな気持ちのまま眠りについた…
~おしまい~
20
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
さくらと遥香
youmery
恋愛
国民的な人気を誇る女性アイドルグループの4期生として活動する、さくらと遥香(=かっきー)。
さくら視点で描かれる、かっきーとの百合恋愛ストーリーです。
◆あらすじ
さくらと遥香は、同じアイドルグループで活動する同期の2人。
さくらは"さくちゃん"、
遥香は名字にちなんで"かっきー"の愛称でメンバーやファンから愛されている。
同期の中で、加入当時から選抜メンバーに選ばれ続けているのはさくらと遥香だけ。
ときに"4期生のダブルエース"とも呼ばれる2人は、お互いに支え合いながら数々の試練を乗り越えてきた。
同期、仲間、戦友、コンビ。
2人の関係を表すにはどんな言葉がふさわしいか。それは2人にしか分からない。
そんな2人の関係に大きな変化が訪れたのは2022年2月、46時間の生配信番組の最中。
イラストを描くのが得意な遥香は、生配信中にメンバー全員の似顔絵を描き上げる企画に挑戦していた。
配信スタジオの一角を使って、休む間も惜しんで似顔絵を描き続ける遥香。
さくらは、眠そうな顔で頑張る遥香の姿を心配そうに見つめていた。
2日目の配信が終わった夜、さくらが遥香の様子を見に行くと誰もいないスタジオで2人きりに。
遥香の力になりたいさくらは、
「私に出来ることがあればなんでも言ってほしい」
と申し出る。
そこで、遥香から目をつむるように言われて待っていると、さくらは唇に柔らかい感触を感じて…
◆章構成と主な展開
・46時間TV編[完結]
(初キス、告白、両想い)
・付き合い始めた2人編[完結]
(交際スタート、グループ内での距離感の変化)
・かっきー1st写真集編[完結]
(少し大人なキス、肌と肌の触れ合い)
・お泊まり温泉旅行編[完結]
(お風呂、もう少し大人な関係へ)
・かっきー2回目のセンター編[完結]
(かっきーの誕生日お祝い)
・飛鳥さん卒コン編[完結]
(大好きな先輩に2人の関係を伝える)
・さくら1st写真集編[完結]
(お風呂で♡♡)
・Wセンター編[完結]
(支え合う2人)
※女の子同士のキスやハグといった百合要素があります。抵抗のない方だけお楽しみください。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる