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ヤキモチ妬きな彼からの狂おしい程の愛情

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 今日のメニューは彼のリクエストでハンバーグになった。

 ハンバーグの他にホワイトシチューとサラダも作る。

 料理は昔から好きで、得意な事の一つ。

 雪蛍くんも「美味い」と言って沢山食べてくれるから作りがいがある。

 作り始めてから約一時間半、ちょうど片付けも終えた頃、玄関が開く音が聞こえて来た。

「おかえりなさい」

 キッチンから離れ、玄関が見える位置までやって来た私がひょっこり顔を覗かせると、

「ただいま」

 満面の笑みを返してくれる雪蛍くん。

「美味そうな匂い」
「ちょうど出来上がった所だよ。お風呂も沸かしておいたから、先にお風呂入る?」
「そうだな……」

 私の問い掛けに少し悩む仕草を見せる彼。

 すると、

「風呂入る前に、まずは莉世が欲しい」

 そう口にした彼は、私の腕を引くと自分の胸に引き寄せ、

「っんん……」

 唇を奪われた。

「ん、……はっ」

 次第に深くなる口付けに吐息が漏れ、雪蛍くんの唇は私の唇を離れると首筋へ移動する。

「っぁ!……やっ」

 くすぐったくて軽く身をよじると、

「逃げるなよ。四日ぶりだぜ?  もうこれ以上待てねぇよ」

 そう言いながら再び強引に口付けられ、身体がどんどん熱を帯びていくのを感じていた。

 結局雪蛍くんのお願いに逆らえなかった私が頷くや否や軽々と身体を抱えられて寝室のベッドへ運ばれて行く。

 そして、そのまま流されるように深い口付けから始まり、身体の隅から隅まで彼に愛されていくのをひしひしと感じていた。

 その後、二人一緒に入浴を済ませ少し遅めの夕食を食べながら離れていた数日間の話をし始めた。

「――なぁ莉世、俺やっぱアイツ嫌いだわ」
「アイツって、小柴くんの事?」
「そ。アイツ絶対マネージャー向いてない。要領悪いどころの騒ぎじゃねぇよ」
「うーん、でも社長直々に頼まれたし、彼も一生懸命だしさ……」
「しかもアイツ居るとお前とイチャつけねえからマジで邪魔」
「もう、雪蛍くんったら。邪魔とか言わないの。そもそも仕事中にイチャつくのは禁止です」
「何だよ、莉世だって本当はしたいって思ってんだろ?」
「思わないよ、仕事中にそんな事……」
「どーだか。ま、いいや。明日からの英気を養う為にも、今日はもう一度莉世を堪能するから、覚悟しとけよ」
「ええ?  さっきしたばっかりだよ?」
「あんなんじゃ足りねぇよ。それとも何か?  莉世はあの程度で満足なのかよ?」
「そっ……そんな事……、ないけど……」
「そうそう、最初から素直になっとけよな」
「もう、雪蛍くんったら……」

 こうして、この日は朝方まで寝かせては貰えず、翌日二人して寝不足気味だった事は言うまでもない。


 それから暫くはいつも通り順調な日々が続いていたのだけど、雪蛍くんが今度出演する事になった映画の初顔合わせの日、

「初めまして、ヒロイン役の結萌ゆめでぇす。よろしくお願いしまぁす」
「こちらこそよろしく」

 主演男優の雪蛍くんと同じく主演女優で巷で人気No.1アイドルのセンターポジションにつく桜乃さくらの  結萌と出逢った事から、状況は一変していくことになった。

 挨拶を済ませ、今後の流れや軽く台本読みをした後で解散になった出演者たち。

 今日小柴くんは別の仕事があって私が雪蛍くんに付いていたのだけど、私と彼が話をしているところに桜乃さんが近づいてきた。

「あのぉ、雪蛍くん」
「……何?」
「結萌、もっと雪蛍くんと仲良くなりたいなって思って。主演同士だし、仲良くなった方が演技もし易いと思うの。この後一緒にご飯でもどうかなぁ?」

 桜乃さん、人気No.1アイドルのセンターとあって可愛いのは分かるのだけど、猫なで声で話す感じとか、自分が一番可愛いと思っていそうな感じが同性から嫌われそうだと思ってしまう。

 まあ異性にしても好き嫌いが別れそうなタイプではあるのだけど、少なくとも雪蛍くんは苦手なタイプなので彼女に接する態度は終始冷めたものだった。

 けれど、今後の事を考えると蔑ろにするのは良くないと分かっているので、

「……互いのマネージャー同伴でなら、飯行ってもいいよ」

 そう譲歩して私や桜乃さんのマネージャーを交えた四人でご飯へ行く事になったのだけど、桜乃さんは雪蛍くんと二人で行きたかったのが滲み出ているだけでなく終始不機嫌気味で、私や雪蛍くんや彼女のマネージャーは気付かない振りをする。

「すみません、少し席を外しますね」

 事務所から電話が掛かってきた私は一言断って席を立ち、用件を済ませて戻ろうとすると、御手洗に行く途中なのか桜乃さんと鉢合わせた。
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