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「そ、それじゃあ、私、どうすれば……」
脅されている事と電話の内容から察するに、何か重要な秘密を知ってしまったと気付いた円香は命の危険を感じて全身が震えてしまい、立っているのがやっとの状態だ。
「そうだな、どうするかな」
「あ……あの、私、先程の話、誰にも言いません……」
「それを信じろって?」
「…………っ」
どうすればいいのか分からず、ついに泣き出しそうになった円香の瞳からは、大粒の涙が溢れている。
(これが演技だったら正直めちゃくちゃ怖ぇけど、念には念を入れて、怪しい奴はHUNTER側で囲っておかねーとな)
女の泣き顔を前にしても冷静さを忘れずに考えを纏めた伊織は恐怖で怯える円香にこう言った。
「じゃあさ――俺の女になれよ」と。
「……え?」
「聞こえなかった? 俺の女になれって言ったの」
「そ、それは……私が、伏見さんとお付き合いするって、事ですか?」
「まあ、そうなるわな」
突然の事態に驚きを隠せない円香。
伊織が一体どういうつもりなのかが分からないのと、出逢ったばかりで良く知りもしない相手と付き合う事が自分に出来るのか、恋愛経験のない円香はどうすればいいか分からずにいた。
(ど、どうして? 知ってはいけない事を知ったのに、そんな私と付き合うの?)
それでも、殺されるかもしれない事を考えると、円香はそれに比べれば付き合う方が何倍も良いと思い、
「わ、分かりました、ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」
軽く下を向いて、そう返事を返したのだ。
それには、流石の伊織も驚いていた。自分から提案した事とはいえ、まさか、そんな言葉が返ってくるとは思っていなかったからだ。
(とんだ女だな。まあ、潔良いのは嫌いじゃねぇけど……)
円香の言葉に驚きつつも僅かに口角を上げ、
「……そうか、分かった。それじゃあまずは、ゆっくり語り合うとしようか」
ひと呼吸置いた伊織はその台詞と共に俯いていた円香の顎を持ち上げると、強引に唇を奪った。
「――っんん!?」
突然の出来事に驚く事すら出来なかった円香はされるがまま。
(く、苦しい……何、これ……)
人生初めてのキスだというのに、緊張するどころか息をするのもままならない程強引で激しい口付けに、円香の身体から力が抜けていく。
「ん……、……っは……」
辛うじて息継ぎは出来たものの、間髪入れずに塞がれてしまう唇。
そして何度目かの激しい口付けの後、力が入らなくなった円香はその場に崩れ落ちそうになると、その身体を伊織によって支えられた。
「おいおい、まだキスだけだぜ? そんなんで最後までもつのかよ?」
「さいご、まで……?」
伊織の言っている意味がよく分からずその言葉の意味を問いかけようとすると、
「ひゃあ」
今度は軽々と身体を抱き抱えられた事に驚くも、何かを発言する間も無く円香の身体はベッドへ運ばれていき、
「ふ、伏見……さん?」
優しくベッドに寝かせられた円香の上に、着ていたシャツを脱いで上半身を露わにした伊織が跨った。
「あ、あの……!」
「何だよ? 俺ら子供じゃねぇんだし、これくらい普通だろ?」
「そ、そんな……私……」
「いいから、もう黙れよ」
「あ、伏見さ――」
まだ何か言いたさげな円香の言葉を遮ると、再び唇を塞いだ伊織。
先程以上に身動きが取れない円香は抵抗すら出来ず、弱々しく身を捩るだけ。
「ん……、ふぁっ……」
伊織は唇や耳朶にキスをすると、今度は首筋へ移していく。
そして、
「この格好も、誘ってるとしか思えねぇよな」
そう言いながら円香が羽織っていたニットカーディガンのボタンを外す伊織。
あっという間にカーディガンは脱がされてしまい、円香は下着のみの姿になる。
脅されている事と電話の内容から察するに、何か重要な秘密を知ってしまったと気付いた円香は命の危険を感じて全身が震えてしまい、立っているのがやっとの状態だ。
「そうだな、どうするかな」
「あ……あの、私、先程の話、誰にも言いません……」
「それを信じろって?」
「…………っ」
どうすればいいのか分からず、ついに泣き出しそうになった円香の瞳からは、大粒の涙が溢れている。
(これが演技だったら正直めちゃくちゃ怖ぇけど、念には念を入れて、怪しい奴はHUNTER側で囲っておかねーとな)
女の泣き顔を前にしても冷静さを忘れずに考えを纏めた伊織は恐怖で怯える円香にこう言った。
「じゃあさ――俺の女になれよ」と。
「……え?」
「聞こえなかった? 俺の女になれって言ったの」
「そ、それは……私が、伏見さんとお付き合いするって、事ですか?」
「まあ、そうなるわな」
突然の事態に驚きを隠せない円香。
伊織が一体どういうつもりなのかが分からないのと、出逢ったばかりで良く知りもしない相手と付き合う事が自分に出来るのか、恋愛経験のない円香はどうすればいいか分からずにいた。
(ど、どうして? 知ってはいけない事を知ったのに、そんな私と付き合うの?)
それでも、殺されるかもしれない事を考えると、円香はそれに比べれば付き合う方が何倍も良いと思い、
「わ、分かりました、ふ、不束者ですが、よろしくお願いします」
軽く下を向いて、そう返事を返したのだ。
それには、流石の伊織も驚いていた。自分から提案した事とはいえ、まさか、そんな言葉が返ってくるとは思っていなかったからだ。
(とんだ女だな。まあ、潔良いのは嫌いじゃねぇけど……)
円香の言葉に驚きつつも僅かに口角を上げ、
「……そうか、分かった。それじゃあまずは、ゆっくり語り合うとしようか」
ひと呼吸置いた伊織はその台詞と共に俯いていた円香の顎を持ち上げると、強引に唇を奪った。
「――っんん!?」
突然の出来事に驚く事すら出来なかった円香はされるがまま。
(く、苦しい……何、これ……)
人生初めてのキスだというのに、緊張するどころか息をするのもままならない程強引で激しい口付けに、円香の身体から力が抜けていく。
「ん……、……っは……」
辛うじて息継ぎは出来たものの、間髪入れずに塞がれてしまう唇。
そして何度目かの激しい口付けの後、力が入らなくなった円香はその場に崩れ落ちそうになると、その身体を伊織によって支えられた。
「おいおい、まだキスだけだぜ? そんなんで最後までもつのかよ?」
「さいご、まで……?」
伊織の言っている意味がよく分からずその言葉の意味を問いかけようとすると、
「ひゃあ」
今度は軽々と身体を抱き抱えられた事に驚くも、何かを発言する間も無く円香の身体はベッドへ運ばれていき、
「ふ、伏見……さん?」
優しくベッドに寝かせられた円香の上に、着ていたシャツを脱いで上半身を露わにした伊織が跨った。
「あ、あの……!」
「何だよ? 俺ら子供じゃねぇんだし、これくらい普通だろ?」
「そ、そんな……私……」
「いいから、もう黙れよ」
「あ、伏見さ――」
まだ何か言いたさげな円香の言葉を遮ると、再び唇を塞いだ伊織。
先程以上に身動きが取れない円香は抵抗すら出来ず、弱々しく身を捩るだけ。
「ん……、ふぁっ……」
伊織は唇や耳朶にキスをすると、今度は首筋へ移していく。
そして、
「この格好も、誘ってるとしか思えねぇよな」
そう言いながら円香が羽織っていたニットカーディガンのボタンを外す伊織。
あっという間にカーディガンは脱がされてしまい、円香は下着のみの姿になる。
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