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「どうしよう……これって、住所知られてるって事だよね……」
「そうだな……撒いたから大丈夫かと思ってたけど、相手はお前の住んでる所、初めから知ってたのかも」
「どうしよう……」
「どうするっつってもな……最近尾けられたりした?」
「ううん、ここ最近は全然。そんな気配も感じなかった」
「……住んでる場所を知られてるのは厄介だな」
「…………」
「お前、明日からもバイト?」
「明日は休み。その後は五日間バイトがある」
「それ、全部居酒屋?」
「ううん、実は駅前のファミレスにも入ってて……三日は本屋とファミレスで二日は居酒屋なの」
「バイト、増やしたのかよ?」
「うん、夏休みだし、稼げる時に稼ごうと思って。ファミレスは短期なの」
「ファミレスは昼間?」
「ううん、夜限定で入ってる。夏休み中は本屋が昼間なの」
「ふーん……ま、とりあえず、ここで話すのもなんだから、俺の部屋入れよ」
「え? で、でも……」
「お前、暫く帰りは一人にならねぇ方がいいだろ? 一人にならねぇように対策考える」
「そんな……そこまで迷惑かける訳には……」
「そんなん、今更だろ」
確かに、小谷くんの言う通りここまで迷惑を掛けてるので今更かもしれないけど、同じ大学に通っていてたまたま同じアパートというだけでこんなにも頼ってしまって申し訳なさが半端ない。
「……迷惑とか思ってねぇから。 ほら、中入れよ」
「……ありがとう。お邪魔します」
やっぱり、小谷くんは優しいと思う。彼の優しさには本当に感謝しかない。
今度彼が何かに困っていたら絶対に助けになろうと誓いながら、部屋にお邪魔する事になり、彼は私が帰りに極力一人にならないよう色々と対策を考えてくれた。
不気味な手紙が届いて以来、一日おきのペースで手紙が届くようになった。
手紙は相変わらず便箋に一言程度しか書かれておらず、一体何がしたいのかよく分からない。それだけで特に害はないけど相手も分からない不気味な手紙なんて恐怖でしかない。
それでも、小谷くんが気にかけてくれるから毎日平常心を保つ事が出来ていた。
「今日も問題無さそうだ」
「うん」
「まぁ、このまま何も無く終わればいいけど」
「そうだよね……手紙も、何がしたいのか分からないけど、届くだけだし……」
「つーか、本当に相手に心当たりねぇの?」
「ないよ……」
「そういえば前に友達に男紹介してもらうとか言ってたけど、そいつとか」
「確かに、紹介はされたけど……その人とはメッセージのやり取りしたりしてたし……それに、こういう事する様なタイプには思えないし……」
「人なんてどんな事考えてるか分からねぇよ」
「そ、そうかもしれないけど……」
「ま、相手が分からねぇ以上、そいつにも隙は見せねぇ方がいいと思うぞ」
「うん、気を付けるよ」
そうは言ったものの、来週には浦部くんたちとの旅行を控えていたりする。
(こんな状況の中、旅行に行くのも気が引けるな……)
「そういえばお前、来週の連休は旅行行くとか言ってたよな?」
「え? あ、うん」
「それってまさか、その男と?」
「そ、そうだけど、杏子……小谷くんと中学が一緒だった私の友達の藤崎さんも一緒だよ?」
「藤崎……ああ、あの煩い女ね」
(煩いって……)
「そりゃ、こんな状況で旅行なんてと思うんだけど、前々からの約束だから断りにくくて……」
「まぁ、別にいいんじゃねぇ? ただ、そいつと二人きりにならねぇように気をつけろよ。疑い晴れてる訳じゃねぇし」
「う、うん、気をつける」
小谷くんに言われてふと、尾け狙われるようになった事を思い返すと、それは浦部くんと出逢ってからだったという事に気付いた。
(偶然、だよね。確かに人の胸の内なんて分からないけど、浦部くんがこういう事するとは考えられないもの)
違うと思うも絶対とも言いきれず、何とも言えない気持ちになった。
「そうだな……撒いたから大丈夫かと思ってたけど、相手はお前の住んでる所、初めから知ってたのかも」
「どうしよう……」
「どうするっつってもな……最近尾けられたりした?」
「ううん、ここ最近は全然。そんな気配も感じなかった」
「……住んでる場所を知られてるのは厄介だな」
「…………」
「お前、明日からもバイト?」
「明日は休み。その後は五日間バイトがある」
「それ、全部居酒屋?」
「ううん、実は駅前のファミレスにも入ってて……三日は本屋とファミレスで二日は居酒屋なの」
「バイト、増やしたのかよ?」
「うん、夏休みだし、稼げる時に稼ごうと思って。ファミレスは短期なの」
「ファミレスは昼間?」
「ううん、夜限定で入ってる。夏休み中は本屋が昼間なの」
「ふーん……ま、とりあえず、ここで話すのもなんだから、俺の部屋入れよ」
「え? で、でも……」
「お前、暫く帰りは一人にならねぇ方がいいだろ? 一人にならねぇように対策考える」
「そんな……そこまで迷惑かける訳には……」
「そんなん、今更だろ」
確かに、小谷くんの言う通りここまで迷惑を掛けてるので今更かもしれないけど、同じ大学に通っていてたまたま同じアパートというだけでこんなにも頼ってしまって申し訳なさが半端ない。
「……迷惑とか思ってねぇから。 ほら、中入れよ」
「……ありがとう。お邪魔します」
やっぱり、小谷くんは優しいと思う。彼の優しさには本当に感謝しかない。
今度彼が何かに困っていたら絶対に助けになろうと誓いながら、部屋にお邪魔する事になり、彼は私が帰りに極力一人にならないよう色々と対策を考えてくれた。
不気味な手紙が届いて以来、一日おきのペースで手紙が届くようになった。
手紙は相変わらず便箋に一言程度しか書かれておらず、一体何がしたいのかよく分からない。それだけで特に害はないけど相手も分からない不気味な手紙なんて恐怖でしかない。
それでも、小谷くんが気にかけてくれるから毎日平常心を保つ事が出来ていた。
「今日も問題無さそうだ」
「うん」
「まぁ、このまま何も無く終わればいいけど」
「そうだよね……手紙も、何がしたいのか分からないけど、届くだけだし……」
「つーか、本当に相手に心当たりねぇの?」
「ないよ……」
「そういえば前に友達に男紹介してもらうとか言ってたけど、そいつとか」
「確かに、紹介はされたけど……その人とはメッセージのやり取りしたりしてたし……それに、こういう事する様なタイプには思えないし……」
「人なんてどんな事考えてるか分からねぇよ」
「そ、そうかもしれないけど……」
「ま、相手が分からねぇ以上、そいつにも隙は見せねぇ方がいいと思うぞ」
「うん、気を付けるよ」
そうは言ったものの、来週には浦部くんたちとの旅行を控えていたりする。
(こんな状況の中、旅行に行くのも気が引けるな……)
「そういえばお前、来週の連休は旅行行くとか言ってたよな?」
「え? あ、うん」
「それってまさか、その男と?」
「そ、そうだけど、杏子……小谷くんと中学が一緒だった私の友達の藤崎さんも一緒だよ?」
「藤崎……ああ、あの煩い女ね」
(煩いって……)
「そりゃ、こんな状況で旅行なんてと思うんだけど、前々からの約束だから断りにくくて……」
「まぁ、別にいいんじゃねぇ? ただ、そいつと二人きりにならねぇように気をつけろよ。疑い晴れてる訳じゃねぇし」
「う、うん、気をつける」
小谷くんに言われてふと、尾け狙われるようになった事を思い返すと、それは浦部くんと出逢ってからだったという事に気付いた。
(偶然、だよね。確かに人の胸の内なんて分からないけど、浦部くんがこういう事するとは考えられないもの)
違うと思うも絶対とも言いきれず、何とも言えない気持ちになった。
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