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STORY2
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時はほんの少しだけ前に遡り、詩歌がまだシャワーを浴びている時の事、郁斗はスマホを取り出して太陽に電話を掛けた。
「太陽か? リミの代わりが見つかった」
「本当ですか? 流石は郁斗さんですね。助かります。経験者ですか?」
「いや、それが未経験で十九歳なんだ」
「あー、酒飲めないんですね」
「そうだ。それと、男に慣れてもいねぇんだよ」
「……ワケありな女の子なんですか?」
「まあ……な」
「珍しいですね、郁斗さんが酒も飲めない、男慣れもしてない女をスカウトするのは」
「そうか? まあ、ちょっと事情があるんだよ。明日そっちに連れてくから、よろしく頼む」
「分かりました、待ってます」
電話を終えた郁斗は、煙草を口に咥えてライターで火を点けた。
(さてと、彼女が戻って来たら、少しテストをするか)
ふーっと煙を吐き出しながら、異性への耐性が無い詩歌の反応を見る為に何かを試そうとしている郁斗。
そして、彼の思惑など知る由もない詩歌がリビングへ戻って来た事で、郁斗が考えた詩歌への『テスト』が開始された。
「一番大きめのを選だんだけど、Tシャツ、少し裾が短かったみたいだね」
「すみません、何だかお見苦しい格好をしてしまって……」
「見苦しいなんて、そんな事はないよ……っていうのも変か。そうそう、今さっき詩歌ちゃんが明日から働く店の店長に話を通しておいたよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
「それで少し考えたんだけど、明日いきなり知らない人を相手に接客の練習っていうのは緊張するでしょ? 今から俺を相手に練習してみない?」
「え……?」
「実は俺、昔はホストクラブで働いてたんだ。だから、接客のノウハウはある程度教えられる」
「そ、そうなんですか? 何か、意外です」
「そう? それで、どうする? 練習、する?」
「あの、それじゃあお願いします」
「了解。じゃあまずはお酒の準備しようか。ちょっと準備するから手伝ってくれる?」
「は、はい!」
郁斗に言われた詩歌は共にキッチンへと向かい、お酒を作るのに必要な物を一式と何種類かのお酒のボトルやらを準備した。
「さてと、それじゃあ早速始めようか。詩歌ちゃん、一度立ち上がってくれる?」
「は、はい」
店の席に見立ててソファーとテーブルの向かい側にはスツールが置かれている。
「まあ入店したては基本指名された子の席にヘルプとして付く事が殆どだから、そこまで気負う事はないよ。あ、ヘルプがどういう事か、分かるかな?」
「えっと、要するに指名された方の補助……みたいな感じですよね?」
「そうそう。それで、そのヘルプには色々と決まりがあるから、まずはそこから説明しようか」
「はい」
「詩歌ちゃんはあるキャストのヘルプに付く事になりました。指名キャストは俺の左側に座ってるとして、席までやって来た時、詩歌ちゃんならどこへ座る? 自分が思う場所に座ってみて」
郁斗に問われた詩歌は少し考えた後、彼の右側へ腰を下ろす。
それが正解かどうか答えない郁斗はそのまま次の話を始めてしまう。
「それじゃあ、指名された子が別の席に接客に行ってる間、客の男と二人きりになった時、相手の男が急に近付いて来たとしたら、詩歌ちゃんはどうする?」
「――!?」
そして、郁斗は仮説を立てながら隣に座る詩歌の肩を抱くと、身体を強ばらせた彼女に構う事なく自身の方へ引き寄せながら顔を近づけていった。
「太陽か? リミの代わりが見つかった」
「本当ですか? 流石は郁斗さんですね。助かります。経験者ですか?」
「いや、それが未経験で十九歳なんだ」
「あー、酒飲めないんですね」
「そうだ。それと、男に慣れてもいねぇんだよ」
「……ワケありな女の子なんですか?」
「まあ……な」
「珍しいですね、郁斗さんが酒も飲めない、男慣れもしてない女をスカウトするのは」
「そうか? まあ、ちょっと事情があるんだよ。明日そっちに連れてくから、よろしく頼む」
「分かりました、待ってます」
電話を終えた郁斗は、煙草を口に咥えてライターで火を点けた。
(さてと、彼女が戻って来たら、少しテストをするか)
ふーっと煙を吐き出しながら、異性への耐性が無い詩歌の反応を見る為に何かを試そうとしている郁斗。
そして、彼の思惑など知る由もない詩歌がリビングへ戻って来た事で、郁斗が考えた詩歌への『テスト』が開始された。
「一番大きめのを選だんだけど、Tシャツ、少し裾が短かったみたいだね」
「すみません、何だかお見苦しい格好をしてしまって……」
「見苦しいなんて、そんな事はないよ……っていうのも変か。そうそう、今さっき詩歌ちゃんが明日から働く店の店長に話を通しておいたよ」
「本当ですか? ありがとうございます」
「それで少し考えたんだけど、明日いきなり知らない人を相手に接客の練習っていうのは緊張するでしょ? 今から俺を相手に練習してみない?」
「え……?」
「実は俺、昔はホストクラブで働いてたんだ。だから、接客のノウハウはある程度教えられる」
「そ、そうなんですか? 何か、意外です」
「そう? それで、どうする? 練習、する?」
「あの、それじゃあお願いします」
「了解。じゃあまずはお酒の準備しようか。ちょっと準備するから手伝ってくれる?」
「は、はい!」
郁斗に言われた詩歌は共にキッチンへと向かい、お酒を作るのに必要な物を一式と何種類かのお酒のボトルやらを準備した。
「さてと、それじゃあ早速始めようか。詩歌ちゃん、一度立ち上がってくれる?」
「は、はい」
店の席に見立ててソファーとテーブルの向かい側にはスツールが置かれている。
「まあ入店したては基本指名された子の席にヘルプとして付く事が殆どだから、そこまで気負う事はないよ。あ、ヘルプがどういう事か、分かるかな?」
「えっと、要するに指名された方の補助……みたいな感じですよね?」
「そうそう。それで、そのヘルプには色々と決まりがあるから、まずはそこから説明しようか」
「はい」
「詩歌ちゃんはあるキャストのヘルプに付く事になりました。指名キャストは俺の左側に座ってるとして、席までやって来た時、詩歌ちゃんならどこへ座る? 自分が思う場所に座ってみて」
郁斗に問われた詩歌は少し考えた後、彼の右側へ腰を下ろす。
それが正解かどうか答えない郁斗はそのまま次の話を始めてしまう。
「それじゃあ、指名された子が別の席に接客に行ってる間、客の男と二人きりになった時、相手の男が急に近付いて来たとしたら、詩歌ちゃんはどうする?」
「――!?」
そして、郁斗は仮説を立てながら隣に座る詩歌の肩を抱くと、身体を強ばらせた彼女に構う事なく自身の方へ引き寄せながら顔を近づけていった。
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