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脅かされた日常
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「さてと、それじゃあそろそろ始めるとするかな~」
周りに居た男たちと馬宮が二人に近付いてくる、その瞬間、
「咲結、行け!」
抱き締めていた咲結を離して走るよう言い放つ。
その際男の一人が咲結に視線を向けようとすると、
「お前らの相手は俺だ! よそ見なんてしてんじゃねぇよ!」
何とか自分の方へ意識を向けさせる為に大声を上げた。
「それじゃあ遠慮なく。お前らも好きなだけやっちまえ!」
すると朔太郎の思惑通り、馬宮たちの意識が彼に集中したのと同時に倉庫の扉を開けて外へ出た咲結。
朔太郎の言う通り、見張りらしき男数人が外に居たのだけど、皆意識を失っているだけではなく、逃げられないよう縛られていた。
ひとまず咲結は物影に身を隠し、理仁たちが応援に来るのを待っている。
(さっくん……)
そして朔太郎の名前を心の中で繰り返しながらギュッと目を瞑り、無事を祈り続けた。
一方、倉庫に残った朔太郎は、
「やっぱり大人しくなんかしねぇじゃん」
「んなの、当然だろ? 咲結を逃がせりゃそれでいい」
「まあ、こうなる事は想定内。別にいいけどさぁ、雑魚倒したところで俺に勝てると思うなよ? それにさぁ、嘘つきは嫌いなんだよ、俺」
朔太郎は大人しくやられる気などなく、咲結を外へ逃がせた事が分かると相手の拳をかわして逆に一発食らわせていく。
鬼龍組の中でも身軽で体力があり、体術が得意な朔太郎。
相手がナイフや鉄パイプを持って向かって来ても、何とかかわして相手に一発食らわせていく。
けれど、馬宮はやはり他とは格が違うようで、簡単にはいかなかった。
(……クソ、やっぱり馬宮は強い……。けど、俺がここで倒れたら、外で身を隠してる咲結を見つけて捕まえる……それだけは阻止しねぇと……)
一人で複数を相手にしてそれなりに疲弊している事や、咲結を解放してもらう際に殴られた一発が思いの外効いているようで、痛みもあった。
それでも、ここで自分がやられては外へ逃げた咲結が再び危険に晒されると分かっているからこそ、何としてでも耐え抜くしかないと気合を入れた、その時、
「そろそろ鬼龍の組長、来るだろ? そうなると俺に勝ち目が無くなる。その前にクソ犬のお前だけでも仕留めねぇと、割に合わねぇよなぁ」
そう言いながらスボンのポケットから小型の拳銃を取り出すと朔太郎の方へ銃口を向け――
「けど、安心しな、命は助けてやる。そんでお前の大切な咲結ちゃんを瀕死のお前の目の前で可愛がってやるからさ」
躊躇う事なく引き金を引いた。
パンッと乾いた音が数発、倉庫から聞こえてくる。
倉庫のすぐ側に身を潜めていた咲結にはハッキリとその音が聞こえてきた。
「……何、今の、音……」
普段は聞き慣れないその音が何なのか、何となく想像出来た咲結の身体から一気に血の気が引いていく。
「……さっくん……」
そして、咲結の頭に最悪の事態が過る。
「……やだ……そんなの……」
そんなはず無いと必死に否定し、震える身体で立ち上がる。
危険なのは分かっているし、標的が自分になるかもしれない。
それでも、今の音は何なのか、朔太郎は無事なのか、確かめずにはいられなかったのだ。
ゆっくり、一歩ずつ入り口へと近付いていく咲結。
扉に手を掛けると、中から扉が開かれ――
「何だ、隠れてなかったんだ? 探す手間が省けて丁度いいや」
拳銃を片手に持った馬宮が咲結の前に現れた。
周りに居た男たちと馬宮が二人に近付いてくる、その瞬間、
「咲結、行け!」
抱き締めていた咲結を離して走るよう言い放つ。
その際男の一人が咲結に視線を向けようとすると、
「お前らの相手は俺だ! よそ見なんてしてんじゃねぇよ!」
何とか自分の方へ意識を向けさせる為に大声を上げた。
「それじゃあ遠慮なく。お前らも好きなだけやっちまえ!」
すると朔太郎の思惑通り、馬宮たちの意識が彼に集中したのと同時に倉庫の扉を開けて外へ出た咲結。
朔太郎の言う通り、見張りらしき男数人が外に居たのだけど、皆意識を失っているだけではなく、逃げられないよう縛られていた。
ひとまず咲結は物影に身を隠し、理仁たちが応援に来るのを待っている。
(さっくん……)
そして朔太郎の名前を心の中で繰り返しながらギュッと目を瞑り、無事を祈り続けた。
一方、倉庫に残った朔太郎は、
「やっぱり大人しくなんかしねぇじゃん」
「んなの、当然だろ? 咲結を逃がせりゃそれでいい」
「まあ、こうなる事は想定内。別にいいけどさぁ、雑魚倒したところで俺に勝てると思うなよ? それにさぁ、嘘つきは嫌いなんだよ、俺」
朔太郎は大人しくやられる気などなく、咲結を外へ逃がせた事が分かると相手の拳をかわして逆に一発食らわせていく。
鬼龍組の中でも身軽で体力があり、体術が得意な朔太郎。
相手がナイフや鉄パイプを持って向かって来ても、何とかかわして相手に一発食らわせていく。
けれど、馬宮はやはり他とは格が違うようで、簡単にはいかなかった。
(……クソ、やっぱり馬宮は強い……。けど、俺がここで倒れたら、外で身を隠してる咲結を見つけて捕まえる……それだけは阻止しねぇと……)
一人で複数を相手にしてそれなりに疲弊している事や、咲結を解放してもらう際に殴られた一発が思いの外効いているようで、痛みもあった。
それでも、ここで自分がやられては外へ逃げた咲結が再び危険に晒されると分かっているからこそ、何としてでも耐え抜くしかないと気合を入れた、その時、
「そろそろ鬼龍の組長、来るだろ? そうなると俺に勝ち目が無くなる。その前にクソ犬のお前だけでも仕留めねぇと、割に合わねぇよなぁ」
そう言いながらスボンのポケットから小型の拳銃を取り出すと朔太郎の方へ銃口を向け――
「けど、安心しな、命は助けてやる。そんでお前の大切な咲結ちゃんを瀕死のお前の目の前で可愛がってやるからさ」
躊躇う事なく引き金を引いた。
パンッと乾いた音が数発、倉庫から聞こえてくる。
倉庫のすぐ側に身を潜めていた咲結にはハッキリとその音が聞こえてきた。
「……何、今の、音……」
普段は聞き慣れないその音が何なのか、何となく想像出来た咲結の身体から一気に血の気が引いていく。
「……さっくん……」
そして、咲結の頭に最悪の事態が過る。
「……やだ……そんなの……」
そんなはず無いと必死に否定し、震える身体で立ち上がる。
危険なのは分かっているし、標的が自分になるかもしれない。
それでも、今の音は何なのか、朔太郎は無事なのか、確かめずにはいられなかったのだ。
ゆっくり、一歩ずつ入り口へと近付いていく咲結。
扉に手を掛けると、中から扉が開かれ――
「何だ、隠れてなかったんだ? 探す手間が省けて丁度いいや」
拳銃を片手に持った馬宮が咲結の前に現れた。
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