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友達以上になりたい
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学生時代に告白をされた事もあったけれど、当時、女は煩くて面倒な生き物だと思っていたから冷たくあしらっていた。
鬼龍組に入ってから一度だけ恋愛をした事はあったものの、駄目になって以来、慣れる事に手一杯という事もあって恋愛に興味を示す暇も無かった。
それに、仕事以外で唯一異性との交流があったのは、真彩だけだった。
強いて言うなら真彩のおかげで女へのイメージが、そして、大好きな理仁と真彩の幸せそうな姿を間近で見てきたおかげで恋愛へのイメージも変わっていた。
そんな朔太郎が初めて異性に嫌われたく無いと思った相手が咲結だった。
「……さっくん、私、さっくんと……友達以上の関係に、なりたい……」
咲結は言わずにはいられなかった。
朔太郎も同じ気持ちでいてくれていると知ったから。
「……俺、上手く付き合える自信……ねぇよ? 俺のせいで辛い思いするかもしれねぇし……危険な目にも遭うかもしれない。それでも、後悔しないか?」
友達以上という関係になる事に色々と不安のある朔太郎の問い掛けに、咲結は、
「しないよ、後悔なんて。だって私は、さっくんの事が大好きだから!」
そう迷う事なく答えた。
「……そっか、分かった。それじゃあ付き合うか、俺たち」
「う、うん! それって、彼氏と彼女って事でいいんだよね?」
「それ以外にあんのかよ?」
「いや、無いけど」
「だろ?」
「うん」
咲結は嬉しさでいっぱいだったのだけど、何だか流れるように付き合う事になったので都合の良い夢を見ているのかと不安になっていた。
そして朔太郎もまた、付き合う事が初めてなので、付き合う宣言をしたはいいもののこれからどうするべきか悩んでいた。
「あ、そうだ! ひとまず報告だ!」
「え?」
「姉さんに報告しないと! 心配してくれてんだ、やっぱり報告はしないとだろ?」
「う、うん?」
「行くぞ」
「え、あ、ちょっと、さっくん!?」
そこで、朔太郎の脳裏に浮かんだのは真彩の顔。
咲結との事を気にしていた彼女には真っ先に報告すべきと思った朔太郎は戸惑い気味の咲結を連れて部屋を出て行った。
「姉さん、ちょっといいッスか?」
「朔太郎くん? どうぞ」
真彩の部屋の前にやって来た朔太郎は声を掛け、返事を待ってドアを開ける。
「あら、咲結ちゃんも一緒なの? どうかした?」
ドアを開けると、悠真が宿題をしている横で理真を抱いた真彩が二人を出迎えた。
「姉さん、俺ら、付き合う事になりました!」
「あら、そうなの?」
「は、はい……そう、なりました」
「そっか。二人がそれでいいと思ったなら、私は何も言わないわ。二人を応援する。何か困った事があったらいつでも相談してね、咲結ちゃん」
「はい、ありがとうございます」
咲結は思う。
自分を心配してくれた上で、朔太郎の事は諦めるべきだと話してくれた真彩はとても良い人だと。
そして、そんな人たちが極道の世界を生きている事がイマイチ信じられなかった。
極道の世界、果たしてそれがどのようなものなのか、朔太郎や真彩が心配するくらいの怖い出来事が本当に起きるものなのか半信半疑だった咲結だけど、朔太郎と付き合うという選択をした彼女は、これから嫌という程その世界の恐ろしさを知る事になるのだった。
鬼龍組に入ってから一度だけ恋愛をした事はあったものの、駄目になって以来、慣れる事に手一杯という事もあって恋愛に興味を示す暇も無かった。
それに、仕事以外で唯一異性との交流があったのは、真彩だけだった。
強いて言うなら真彩のおかげで女へのイメージが、そして、大好きな理仁と真彩の幸せそうな姿を間近で見てきたおかげで恋愛へのイメージも変わっていた。
そんな朔太郎が初めて異性に嫌われたく無いと思った相手が咲結だった。
「……さっくん、私、さっくんと……友達以上の関係に、なりたい……」
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「それ以外にあんのかよ?」
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そして朔太郎もまた、付き合う事が初めてなので、付き合う宣言をしたはいいもののこれからどうするべきか悩んでいた。
「あ、そうだ! ひとまず報告だ!」
「え?」
「姉さんに報告しないと! 心配してくれてんだ、やっぱり報告はしないとだろ?」
「う、うん?」
「行くぞ」
「え、あ、ちょっと、さっくん!?」
そこで、朔太郎の脳裏に浮かんだのは真彩の顔。
咲結との事を気にしていた彼女には真っ先に報告すべきと思った朔太郎は戸惑い気味の咲結を連れて部屋を出て行った。
「姉さん、ちょっといいッスか?」
「朔太郎くん? どうぞ」
真彩の部屋の前にやって来た朔太郎は声を掛け、返事を待ってドアを開ける。
「あら、咲結ちゃんも一緒なの? どうかした?」
ドアを開けると、悠真が宿題をしている横で理真を抱いた真彩が二人を出迎えた。
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「あら、そうなの?」
「は、はい……そう、なりました」
「そっか。二人がそれでいいと思ったなら、私は何も言わないわ。二人を応援する。何か困った事があったらいつでも相談してね、咲結ちゃん」
「はい、ありがとうございます」
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自分を心配してくれた上で、朔太郎の事は諦めるべきだと話してくれた真彩はとても良い人だと。
そして、そんな人たちが極道の世界を生きている事がイマイチ信じられなかった。
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