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友達以上になりたい
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【友達】へと昇格してから約二ヶ月、二人は週に二、三度会うようになっていた。
初めは咲結も気を遣って二日に一度くらいのペースで電話やメッセージを送って連絡をしていたものの、話せば話す程、朔太郎を知れば知る程もっと会いたい、知りたいという欲が生まれ、気付けば一日置きの連絡へと変わっていた。
勿論連絡をしたからといっていつも会える訳ではないものの、咲結と頻繁に連絡を取り合い話をするようになった朔太郎もまた、彼女と話をしたり会うのが息抜きというかホッと出来る時間になっているような気がして、時間が取れれば朔太郎の方からも会おうと提案するようになっていた。
そんな話を咲結から聞かされた優茉は、朔太郎も実は咲結の事を友達以上に想っているのではと密かに感じていた。
けれどそれを咲結に伝えると舞い上がって調子に乗りそうだと思い、思っていても本人には言わなかった。
しかし、そうとは気づきもしない咲結には一つだけ不満があった。
それは、休日に彼に会えない事だ。
二人が会うのは全て平日。
土日祝日は仕事が休みのはずなのに、基本忙しくて無理だと言われてしまう。
確かに、連絡先を交換した頃、土日はその日にならないと予定が不確定という話を聞いていたから仕方がないと理解はしている咲結だけど、平日だと夕方以降にしか会えない為、たまには休日の昼間から会いたいと思っているのだ。
(……でも、ワガママは駄目だよね)
彼は大人で、色々と予定もあるだろう。
平日だけでも会ってくれるのだからそれに感謝しなくてはいけない。
(よし、今日は気分転換に買い物する! 来週さっくんに会う時に付けてく髪留めとか、新しいメイク道具も買おうっと)
彼女でも何でもない自分に彼を束縛する権利は無い、ワガママを言ってはいけないと自分に言い聞かせた咲結は気分を変えて買い物へ出掛ける事にした。
日曜日の繁華街とあって、どこもかしこも混んでいる。
咲結は一人、目星をつけたショップを回って目当ての物を購入した。
一時間程経った頃、カフェの飲み物でも買おうかとよく行くカフェへと向かっていた、その時、裏道へと続く細い脇道に朔太郎の姿を見つけた咲結。
「さっくん?」
会いたかった彼の姿を見つけて嬉しいはずなのに、その感情は一瞬にして消え去った。
それもそのはず。
彼の隣には、とても綺麗な女の人が居たのだから。
朔太郎の隣に居るのは、茶髪のストレートボブヘアで彼より少し大人びた女性で、モデルのようにスタイルが良く、美人という言葉が似合っている。
楽しげに話す二人の姿を目の当たりにした咲結はその場から動けずに居た。
そして更に、朔太郎とその女性の影から一人の男の子が姿を現した。
傍から見ればまるで家族のような三人の姿。
「……さっくん……もしかして、結婚してるの?」
彼女の有無を聞いた時は居ないと言った。
けれど、結婚しているかどうかは聞いていない。
(……既婚者だから、休日は会えないの? 平日に会ってくれてたのは、やっぱり、ただ、危なっかしい私を、心配してただけ?)
突然の事態に咲結の頭の中は混乱していて正常な判断が出来ないでいる。
だけど、これ以上幸せそうな三人の姿を見ていたくなかった咲結は張り付いていた足を動かし、その場を後にした。
「――ねぇ優茉、どう思う?」
「……そうねぇ、けど、流石に既婚者はないでしょ? 知り合いの女の人とか、親戚の人なんじゃないの?」
あれから一人で抱えきれなかった咲結は優茉に電話をして直接話を聞いてもらう為彼女の自宅を訪れていた。
部屋に招き入れられお菓子と飲み物を差し出された咲結はそれには目もくれず、先程街で見た光景を優茉に話して意見を求めていた。
初めは咲結も気を遣って二日に一度くらいのペースで電話やメッセージを送って連絡をしていたものの、話せば話す程、朔太郎を知れば知る程もっと会いたい、知りたいという欲が生まれ、気付けば一日置きの連絡へと変わっていた。
勿論連絡をしたからといっていつも会える訳ではないものの、咲結と頻繁に連絡を取り合い話をするようになった朔太郎もまた、彼女と話をしたり会うのが息抜きというかホッと出来る時間になっているような気がして、時間が取れれば朔太郎の方からも会おうと提案するようになっていた。
そんな話を咲結から聞かされた優茉は、朔太郎も実は咲結の事を友達以上に想っているのではと密かに感じていた。
けれどそれを咲結に伝えると舞い上がって調子に乗りそうだと思い、思っていても本人には言わなかった。
しかし、そうとは気づきもしない咲結には一つだけ不満があった。
それは、休日に彼に会えない事だ。
二人が会うのは全て平日。
土日祝日は仕事が休みのはずなのに、基本忙しくて無理だと言われてしまう。
確かに、連絡先を交換した頃、土日はその日にならないと予定が不確定という話を聞いていたから仕方がないと理解はしている咲結だけど、平日だと夕方以降にしか会えない為、たまには休日の昼間から会いたいと思っているのだ。
(……でも、ワガママは駄目だよね)
彼は大人で、色々と予定もあるだろう。
平日だけでも会ってくれるのだからそれに感謝しなくてはいけない。
(よし、今日は気分転換に買い物する! 来週さっくんに会う時に付けてく髪留めとか、新しいメイク道具も買おうっと)
彼女でも何でもない自分に彼を束縛する権利は無い、ワガママを言ってはいけないと自分に言い聞かせた咲結は気分を変えて買い物へ出掛ける事にした。
日曜日の繁華街とあって、どこもかしこも混んでいる。
咲結は一人、目星をつけたショップを回って目当ての物を購入した。
一時間程経った頃、カフェの飲み物でも買おうかとよく行くカフェへと向かっていた、その時、裏道へと続く細い脇道に朔太郎の姿を見つけた咲結。
「さっくん?」
会いたかった彼の姿を見つけて嬉しいはずなのに、その感情は一瞬にして消え去った。
それもそのはず。
彼の隣には、とても綺麗な女の人が居たのだから。
朔太郎の隣に居るのは、茶髪のストレートボブヘアで彼より少し大人びた女性で、モデルのようにスタイルが良く、美人という言葉が似合っている。
楽しげに話す二人の姿を目の当たりにした咲結はその場から動けずに居た。
そして更に、朔太郎とその女性の影から一人の男の子が姿を現した。
傍から見ればまるで家族のような三人の姿。
「……さっくん……もしかして、結婚してるの?」
彼女の有無を聞いた時は居ないと言った。
けれど、結婚しているかどうかは聞いていない。
(……既婚者だから、休日は会えないの? 平日に会ってくれてたのは、やっぱり、ただ、危なっかしい私を、心配してただけ?)
突然の事態に咲結の頭の中は混乱していて正常な判断が出来ないでいる。
だけど、これ以上幸せそうな三人の姿を見ていたくなかった咲結は張り付いていた足を動かし、その場を後にした。
「――ねぇ優茉、どう思う?」
「……そうねぇ、けど、流石に既婚者はないでしょ? 知り合いの女の人とか、親戚の人なんじゃないの?」
あれから一人で抱えきれなかった咲結は優茉に電話をして直接話を聞いてもらう為彼女の自宅を訪れていた。
部屋に招き入れられお菓子と飲み物を差し出された咲結はそれには目もくれず、先程街で見た光景を優茉に話して意見を求めていた。
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