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もっと知りたい、近付きたい
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何でも聞いていいと言われ、咲結の頭に真っ先に思い浮かんだ質問は、
「あの、さっくんって、お付き合いしている人、いる!?」
朔太郎に彼女がいるかどうかという事だった。
「はあ? お付き合い? って、彼女がいるかどうかって事だろ? いねぇよ。つーか俺、そういうの苦手なんだよな……。ま、保育士の手伝い始めてからは女と関わる事もそれなりにあるけどさ、元は男ばっかのとこで働いてたからぶっちゃけ女と関わるの苦手なんだよ」
「そうなんだ? なんか、意外……」
「意外? おい、それじゃあ何か? 咲結は俺が女慣れしてるって思ってんのかよ?」
「まぁ、それなりに?」
「俺、そんな遊んでるように見えるか?」
咲結の言葉に軽くショック受けている朔太郎。
「ご、ごめん、そういうつもりで言ったわけじゃないの……。その、さっくんは私よりも大人だし、それなりに女の人とお付き合いしてるのかなって……気になって……」
「ふーん? ま、いいけどな。それじゃあ逆に聞くけどよ、咲結はどうなんだ?」
「え? 私?」
「まあ、よくナンパされてるみてぇだし、やっぱモテんじゃねぇの?」
「ううん、モテないよ! そもそも私、男の人と付き合った事ないもん……」
「……そっか、そうだったのか。てっきり付き合った事くらいはあると思ってたわ」
「ええ? 私、そんな軽そうに見える?」
「いや、別にそうは言ってねぇって。今どきの高校生って彼氏くらい普通にいるモンなのかと思ったからさぁ」
話をしてみると、どうやら互いに思っていたイメージと少し違っていたらしく、お互い驚く事が多々あったようだ。
そして、咲結は一番聞きたい事を聞いてみる事にした。
「さっくん」
「ん?」
「あの……さっくんから見て、高校生は恋愛対象に入る?」
「へ?」
「年下は、恋愛対象になる?」
「…………それって……」
「…………私、さっくんのこと、気になってるの。今はただの知り合いだけど……もっと、近い存在になりたいって思ってる。本気だよ? 私に少しでも、可能性……あるかな?」
始めは、もう少し回りくどい言い方をしようかと迷っていた咲結だったけれど、少しでも距離を縮めたかった彼女はほぼ直球で向かう事に決めた。
咲結は一生懸命、自分の想いを伝えた。
それは朔太郎にも伝わった。
けれど、朔太郎は、
「……咲結、悪い事は言わねぇ。俺なんか止めておけ。お前の歳じゃ、俺みたいな二十歳過ぎた男は大人で魅力的に見えるのかもしれねぇ。けどな、俺はそんなに大人でもねぇし、恋愛とか、そういうのにかまけてる暇はねぇんだ。悪ぃな」
期待を持たせる事をしないよう、はっきり止めるように言ったのだ。
それを聞いた咲結は一瞬表情を曇らせたもののすぐに笑顔を浮かべ、
「ごめんね、さっくん。それは出来ないや。私、好きになったら諦め悪いんだ。可能性が0じゃないなら、私は諦められないから!」
ハッキリ、諦めるのは無理だと告げた。
それには朔太郎も呆気に取られ、思わず咲結に見入ってしまっていた。
「――お前、面白いな。そんな事言う奴初めてだ。普通あれで諦めるだろ?」
「あんな事くらいで諦めるなんて、それは本気じゃない証拠だよ。私の事が嫌いとか、年下なんて恋愛対象として見れない、有り得ないって言われたら諦めるかもしれないけど、さっきのさっくんの言い方じゃ納得出来ない。だから、諦めない!」
「……はあ。お前、頑固だな」
「そうかも。他人に言われたくらいじゃ直らないかもしれない」
「…………それじゃあ一つだけ、咲結に話しておく事がある」
「何?」
「ナンパされたり、男に連れ込まれそうになったらすぐに大声をあげる。自分で何とかしようなんて考えない。変な輩に襲われそうになったら人の多いところに逃げて、必ず、俺に連絡すること。今言った事、守れるか?」
「…………うん、守るよ?」
「……なら、こうして会ったりするのはいいよ。けど、恋愛対象とかそういうのは、今は考えられない。それは分かってくれるか?」
「うん! まずはもっとお互いを知らなきゃいけないもんね! これからもちょくちょく会ってくれるなら、今はそれで充分!」
結局、咲結に根負けした形で二人の関係は【知り合い】から【友達】へと発展した。
咲結にとって、この一歩はとても嬉しいものだった。
それから暫く話をした後、朔太郎が咲結を家まで送って行った。
「それじゃあさっくん、また会ってね?」
「ああ、いつでも連絡してくれ。会える時は会いに行くから」
「うん! 送ってくれてありがとう! 気を付けて帰ってね」
「ありがとな。それじゃ、またな」
咲結に見送られて朔太郎は車を出した。
一人になった車内でふぅーっと息を吐く。
(……高校生って、若いな……。ま、今はまだ、俺がどんな人間か、詳しく言わなくていいよな)
朔太郎はある事を言うべきか悩んだものの今はあくまでも【友達】という立ち位置なので、そこまで詳しく説明する必要はないと結論付け、言わない選択をして帰路に着いた。
「あの、さっくんって、お付き合いしている人、いる!?」
朔太郎に彼女がいるかどうかという事だった。
「はあ? お付き合い? って、彼女がいるかどうかって事だろ? いねぇよ。つーか俺、そういうの苦手なんだよな……。ま、保育士の手伝い始めてからは女と関わる事もそれなりにあるけどさ、元は男ばっかのとこで働いてたからぶっちゃけ女と関わるの苦手なんだよ」
「そうなんだ? なんか、意外……」
「意外? おい、それじゃあ何か? 咲結は俺が女慣れしてるって思ってんのかよ?」
「まぁ、それなりに?」
「俺、そんな遊んでるように見えるか?」
咲結の言葉に軽くショック受けている朔太郎。
「ご、ごめん、そういうつもりで言ったわけじゃないの……。その、さっくんは私よりも大人だし、それなりに女の人とお付き合いしてるのかなって……気になって……」
「ふーん? ま、いいけどな。それじゃあ逆に聞くけどよ、咲結はどうなんだ?」
「え? 私?」
「まあ、よくナンパされてるみてぇだし、やっぱモテんじゃねぇの?」
「ううん、モテないよ! そもそも私、男の人と付き合った事ないもん……」
「……そっか、そうだったのか。てっきり付き合った事くらいはあると思ってたわ」
「ええ? 私、そんな軽そうに見える?」
「いや、別にそうは言ってねぇって。今どきの高校生って彼氏くらい普通にいるモンなのかと思ったからさぁ」
話をしてみると、どうやら互いに思っていたイメージと少し違っていたらしく、お互い驚く事が多々あったようだ。
そして、咲結は一番聞きたい事を聞いてみる事にした。
「さっくん」
「ん?」
「あの……さっくんから見て、高校生は恋愛対象に入る?」
「へ?」
「年下は、恋愛対象になる?」
「…………それって……」
「…………私、さっくんのこと、気になってるの。今はただの知り合いだけど……もっと、近い存在になりたいって思ってる。本気だよ? 私に少しでも、可能性……あるかな?」
始めは、もう少し回りくどい言い方をしようかと迷っていた咲結だったけれど、少しでも距離を縮めたかった彼女はほぼ直球で向かう事に決めた。
咲結は一生懸命、自分の想いを伝えた。
それは朔太郎にも伝わった。
けれど、朔太郎は、
「……咲結、悪い事は言わねぇ。俺なんか止めておけ。お前の歳じゃ、俺みたいな二十歳過ぎた男は大人で魅力的に見えるのかもしれねぇ。けどな、俺はそんなに大人でもねぇし、恋愛とか、そういうのにかまけてる暇はねぇんだ。悪ぃな」
期待を持たせる事をしないよう、はっきり止めるように言ったのだ。
それを聞いた咲結は一瞬表情を曇らせたもののすぐに笑顔を浮かべ、
「ごめんね、さっくん。それは出来ないや。私、好きになったら諦め悪いんだ。可能性が0じゃないなら、私は諦められないから!」
ハッキリ、諦めるのは無理だと告げた。
それには朔太郎も呆気に取られ、思わず咲結に見入ってしまっていた。
「――お前、面白いな。そんな事言う奴初めてだ。普通あれで諦めるだろ?」
「あんな事くらいで諦めるなんて、それは本気じゃない証拠だよ。私の事が嫌いとか、年下なんて恋愛対象として見れない、有り得ないって言われたら諦めるかもしれないけど、さっきのさっくんの言い方じゃ納得出来ない。だから、諦めない!」
「……はあ。お前、頑固だな」
「そうかも。他人に言われたくらいじゃ直らないかもしれない」
「…………それじゃあ一つだけ、咲結に話しておく事がある」
「何?」
「ナンパされたり、男に連れ込まれそうになったらすぐに大声をあげる。自分で何とかしようなんて考えない。変な輩に襲われそうになったら人の多いところに逃げて、必ず、俺に連絡すること。今言った事、守れるか?」
「…………うん、守るよ?」
「……なら、こうして会ったりするのはいいよ。けど、恋愛対象とかそういうのは、今は考えられない。それは分かってくれるか?」
「うん! まずはもっとお互いを知らなきゃいけないもんね! これからもちょくちょく会ってくれるなら、今はそれで充分!」
結局、咲結に根負けした形で二人の関係は【知り合い】から【友達】へと発展した。
咲結にとって、この一歩はとても嬉しいものだった。
それから暫く話をした後、朔太郎が咲結を家まで送って行った。
「それじゃあさっくん、また会ってね?」
「ああ、いつでも連絡してくれ。会える時は会いに行くから」
「うん! 送ってくれてありがとう! 気を付けて帰ってね」
「ありがとな。それじゃ、またな」
咲結に見送られて朔太郎は車を出した。
一人になった車内でふぅーっと息を吐く。
(……高校生って、若いな……。ま、今はまだ、俺がどんな人間か、詳しく言わなくていいよな)
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