10 / 34
もっと知りたい、近付きたい
2
しおりを挟む
(平日なら夕方以降……か、仕事終わりにって事なのかな? 忙しいのかもしれないから、土日にわざわざ時間取ってもらうのも悪いよね)
朔太郎の返事を見た咲結は考えたのち、
【私はいつでも大丈夫だから、さっくんの都合が良い平日に会いたいな】
日時は朔太郎に決めてもらう為、特に日付けの指定をせずに返信した。
すると、
【それなら今日とかどうだ? 所用でお前の高校の近く通るから、帰りに拾ってやるよ】
そう返ってくる。
「え!?」
驚いた咲結が思わず声を上げると、
「橘、もうHR始まってるぞ。 いい加減スマホはしまえ」
「す、すみません!」
いつの間にか担任が教室に入って来ているだけではなくHRも始まっている事に気づかなかった咲結は、注意されて状況を理解し慌ててスマホをポケットにしまい込む。
(え? さっくんが迎えに来てくれるの? いいの!?)
そして再び先程のメッセージの返事を思い出すと、戸惑いながらもニヤケが止まらない咲結の表情はかなり緩んでいて、周りや担任から何か嬉しい事があったと丸分かりだったのだけど、それについて触れる者はいなかった。
「ねぇ優茉、髪変じゃないかな?」
「うん、大丈夫」
「メイク、もう少し濃い方がいいかな?」
「いや、それでいいと思うよ?」
放課後、クラスメイトたちが帰り支度をしているさ中、咲結は机に鏡を立てて髪型やらメイクを入念に直しては、逐一優茉に意見を求めていた。
「あー、早く来ないかなぁ、さっくん」
「アンタそれ何回目よ? 嬉しいのは分かるけど浮かれ過ぎ」
「だってぇ」
「まぁ良いけどさ、浮かれ過ぎてから回って迷惑かけたりしないかが心配よ、私は」
「大丈夫大丈夫。今日の目的はさっくんの事をより詳しく聞く事だし、彼女でもない私のお願いに付き合ってくれてるだけだもん、迷惑かけたりはしないよ。それよりさ、やっぱりこっちのヘアピンの方が可愛いかな?」
「橘、なんだよ、そんなにめかしこんで。これから合コンか?」
話しながら朔太郎に会う準備に勤しんでいる咲結の元に、一人の男子生徒が声を掛けてきた。
「違うわよ。これからとーっても素敵な人が迎えに来てくれるの」
「はあ? 迎えに来るって、チャリでか?」
「違うわよ、車よ車!」
「お前、もしかして今流行りのパパ活ってヤツやってる訳?」
「バッカじゃないの? そんな訳ないじゃん。とにかく、今忙しいの。玉井に構ってる暇なんてないんだから、あっち行ってよ」
声を掛けてきた男子は咲結たちと同じクラスで、事ある毎に咲結にちょっかいを出してくる玉井 亮介。
傍から見れば亮介が咲結に好意を抱いている事は一目瞭然なのだが、咲結は全くといっていい程気が付いてはおらず、寧ろ常に構われて鬱陶しがっていたりする。
朔太郎の返事を見た咲結は考えたのち、
【私はいつでも大丈夫だから、さっくんの都合が良い平日に会いたいな】
日時は朔太郎に決めてもらう為、特に日付けの指定をせずに返信した。
すると、
【それなら今日とかどうだ? 所用でお前の高校の近く通るから、帰りに拾ってやるよ】
そう返ってくる。
「え!?」
驚いた咲結が思わず声を上げると、
「橘、もうHR始まってるぞ。 いい加減スマホはしまえ」
「す、すみません!」
いつの間にか担任が教室に入って来ているだけではなくHRも始まっている事に気づかなかった咲結は、注意されて状況を理解し慌ててスマホをポケットにしまい込む。
(え? さっくんが迎えに来てくれるの? いいの!?)
そして再び先程のメッセージの返事を思い出すと、戸惑いながらもニヤケが止まらない咲結の表情はかなり緩んでいて、周りや担任から何か嬉しい事があったと丸分かりだったのだけど、それについて触れる者はいなかった。
「ねぇ優茉、髪変じゃないかな?」
「うん、大丈夫」
「メイク、もう少し濃い方がいいかな?」
「いや、それでいいと思うよ?」
放課後、クラスメイトたちが帰り支度をしているさ中、咲結は机に鏡を立てて髪型やらメイクを入念に直しては、逐一優茉に意見を求めていた。
「あー、早く来ないかなぁ、さっくん」
「アンタそれ何回目よ? 嬉しいのは分かるけど浮かれ過ぎ」
「だってぇ」
「まぁ良いけどさ、浮かれ過ぎてから回って迷惑かけたりしないかが心配よ、私は」
「大丈夫大丈夫。今日の目的はさっくんの事をより詳しく聞く事だし、彼女でもない私のお願いに付き合ってくれてるだけだもん、迷惑かけたりはしないよ。それよりさ、やっぱりこっちのヘアピンの方が可愛いかな?」
「橘、なんだよ、そんなにめかしこんで。これから合コンか?」
話しながら朔太郎に会う準備に勤しんでいる咲結の元に、一人の男子生徒が声を掛けてきた。
「違うわよ。これからとーっても素敵な人が迎えに来てくれるの」
「はあ? 迎えに来るって、チャリでか?」
「違うわよ、車よ車!」
「お前、もしかして今流行りのパパ活ってヤツやってる訳?」
「バッカじゃないの? そんな訳ないじゃん。とにかく、今忙しいの。玉井に構ってる暇なんてないんだから、あっち行ってよ」
声を掛けてきた男子は咲結たちと同じクラスで、事ある毎に咲結にちょっかいを出してくる玉井 亮介。
傍から見れば亮介が咲結に好意を抱いている事は一目瞭然なのだが、咲結は全くといっていい程気が付いてはおらず、寧ろ常に構われて鬱陶しがっていたりする。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
愛し愛され愛を知る。【完】
夏目萌
恋愛
訳あって住む場所も仕事も無い神宮寺 真彩に救いの手を差し伸べたのは、国内で知らない者はいない程の大企業を経営しているインテリヤクザで鬼龍組組長でもある鬼龍 理仁。
住み込み家政婦として高額な月収で雇われた真彩には四歳になる息子の悠真がいる。
悠真と二人で鬼龍組の屋敷に身を置く事になった真彩は毎日懸命に家事をこなし、理仁は勿論、組員たちとの距離を縮めていく。
特に危険もなく、落ち着いた日々を過ごしていた真彩の前に一人の男が現れた事で、真彩は勿論、理仁の生活も一変する。
そして、その男の存在があくまでも雇い主と家政婦という二人の関係を大きく変えていく――。
これは、常に危険と隣り合わせで悲しませる相手を作りたくないと人を愛する事を避けてきた男と、大切なモノを守る為に自らの幸せを後回しにしてきた女が『生涯を共にしたい』と思える相手に出逢い、恋に落ちる物語。
※ あくまでもフィクションですので、その事を踏まえてお読みいただければと思います。設定等合わない場合はごめんなさい。また、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
夏目萌
恋愛
この日、ワケありお嬢様は、危険な世界に足を踏み入れた……。
――自称“紳士”な男の裏の顔は……
ーーーーー
自称“紳士”なヤクザ
夜永 郁斗(29)
×
ワケありお嬢様
花房 詩歌(19)
ーーーーー
※この小説はあくまでもフィクションですので、その事を踏まえてお読みいただければと思います。また、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
※他サイト様にも掲載中です。またこちらは以前別名義にて完結した作品を改稿したものになります。内容はところどころ変わっているので、一度読んだことがある方も新たな気持ちで読んで頂ければと思います。
ヤクザの監禁愛
狭山雪菜
恋愛
河合絵梨奈は、社会人になって初めての飲み会で上司に絡まれていた所を、大男に助けられた。身体を重ねると、その男の背中には大きな昇り龍が彫られていた。
彼と待ち合わせ場所で、落ち合う事になっていたのだが、彼の婚約者と叫ぶ女に、絵梨奈は彼の前から消えたのだが…
こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載されております。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【姫初め♡2024】秘して色づく撫子の花 ~甘え上手な年下若頭との政略結婚も悪くない~
緑野かえる
恋愛
ずっと待っていた、今でも夢なんじゃないかと思っているんですよ。そう私に囁く彼になら、何をされても良いなんて思ってしまっている。それに私の方こそこれは夢なんじゃないかと……奥まで甘やかされて、愛されているなんて。
年下若頭×年上女性の甘えて甘やかされての約12000字お手軽読み切り姫初め話です。
(全5話、本格的なR-18シーンがある話には※マーク)
(ムーンライトノベルズ先行投稿済みの話です)
身代わりお見合い婚~溺愛社長と子作りミッション~
及川 桜
恋愛
親友に頼まれて身代わりでお見合いしたら……
なんと相手は自社の社長!?
末端平社員だったので社長にバレなかったけれど、
なぜか一夜を共に過ごすことに!
いけないとは分かっているのに、どんどん社長に惹かれていって……
行き場を失くした私を拾ってくれたのは、強くて優しい若頭の彼でした
夏目萌
恋愛
《『俺の元へ来い』――その一言で、私は救われた》
不幸の連続で行き場すら無い雛瀬 心は全てに絶望し、自ら命を絶とうとした。
そんな矢先に出逢ったのは、強くて優しい、だけど心に闇を抱えていた、極道の世界を生きる相嶋 八雲だった。
この出逢いは二人の運命を大きく変えていく――。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
相嶋 八雲(あいじま やくも)32歳
×
雛瀬 心(ひなせ こころ)20歳
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
※この小説はあくまでもフィクションですので、その事を踏まえてお読みいただければと思います。設定など合わない場合はごめんなさい。
また、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
※他サイトにも掲載中。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる