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もっと知りたい、近付きたい
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「良かったじゃん、無事聞けて」
「うん!」
翌日、学校へ着くなり昨日の事を優茉に報告する咲結。
朔太郎に送ってもらい車から降りる直前に連絡先を教えて欲しいと咲結が伝えると、快く教えてくれたのだ。
その事で少しは脈ありかもと思った咲結だったけれど、朔太郎には別の思惑があった。
「たださ、私としてはもっと仲良くなりたいって意味で聞いたんだけど、さっくんは違ったの」
「そうなの?」
「うん。私がナンパされたりするから危なっかしいって思ったみたいで、何かあれば助けるからいつでも呼べって意味みたい」
「え、それはそれで良くない? 彼女でもないのに気にかけてくれて、危険があった時は呼べば助けてくれるんだよ?」
「そっか、確かに、そうだよね」
「それはそうと、その朔太郎さんってそもそも何してる人なの?」
「え? あ、そういえば、何してるんだろ?」
優茉の質問に同じく首を傾げる咲結。
聞かれてみれば、朔太郎の事は名前と年齢くらいしか知らない訳で、何をしている人なのか、何処に住んでいるのかなど、気になり出すと急に知りたくなる。
「メッセージ送って色々聞いてみたら?」
「うーん、それがさっくんってメッセージのやり取り苦手みたいで、用があるなら電話してくれって言ってたんだよね」
「今どき珍しいね。まぁ電話の方が早いって言えば早いけど、いつでも電話が取れるくらい自由の利く仕事なのかなぁ」
「うーん、そうなのかも……ああ、知りたいと思ったらすぐに聞きたくなってきた!」
「もうHR始まるし、とりあえずメッセージ送ってみたら?」
「うーん、迷惑じゃないかな?」
「電話よりいいと思うけどね。まぁ聞くだけ聞いてみればいいじゃん?」
「……そうだね」
気になり出すと知らずにはいられない咲結だけど、これから授業もあるので電話は出来ず、迷惑かもとは思ったものの、とりあえず一言メッセージを送ってみる事にした。
【さっくんって何のお仕事してるの?】
すると、すぐに既読が付き、
【知り合いの会社手伝って事務とか雑用してたり、月に数回知り合いの幼稚園で臨時保育士をしてる】
という返事が返ってくる。
「優茉、さっくんから返事来た!」
「早いね。何だって?」
「知り合いの会社を手伝ったり、月に数回幼稚園の保育士もやってるみたい!」
「へぇ? 何か凄いね。ってか保育士の資格持ってるんだ、あの人」
「ね! 何か凄いよね!」
「まぁ知り合いの所で働いてるから多少の融通が利くのかもね」
「うん、だよね! 良かった。無職だったらどうしようかと思った」
「それは流石にないでしょ。でもまぁこれで朔太郎さんは結構な優良物件って事が分かったわね」
「そうなの?」
「そうよ。知り合いの会社で融通が利いて、更には保育士の資格も持ってるのよ? それでいてピンチの時には助けてくれるなんて、最高じゃない」
「……そっか、そうだよね」
優茉に言われて改めて気付いた咲結だけど、そういう事を抜きにしても、朔太郎と距離を縮めたいと思っている咲結は更にメッセージを送ってみる。
【今週どこかで会えたりするかな?】
そのメッセージに対して返ってきた答えは、
【平日は夕方以降なら多少時間は取れる。土日は、その日にならないとハッキリしない】
というものだった。
「うん!」
翌日、学校へ着くなり昨日の事を優茉に報告する咲結。
朔太郎に送ってもらい車から降りる直前に連絡先を教えて欲しいと咲結が伝えると、快く教えてくれたのだ。
その事で少しは脈ありかもと思った咲結だったけれど、朔太郎には別の思惑があった。
「たださ、私としてはもっと仲良くなりたいって意味で聞いたんだけど、さっくんは違ったの」
「そうなの?」
「うん。私がナンパされたりするから危なっかしいって思ったみたいで、何かあれば助けるからいつでも呼べって意味みたい」
「え、それはそれで良くない? 彼女でもないのに気にかけてくれて、危険があった時は呼べば助けてくれるんだよ?」
「そっか、確かに、そうだよね」
「それはそうと、その朔太郎さんってそもそも何してる人なの?」
「え? あ、そういえば、何してるんだろ?」
優茉の質問に同じく首を傾げる咲結。
聞かれてみれば、朔太郎の事は名前と年齢くらいしか知らない訳で、何をしている人なのか、何処に住んでいるのかなど、気になり出すと急に知りたくなる。
「メッセージ送って色々聞いてみたら?」
「うーん、それがさっくんってメッセージのやり取り苦手みたいで、用があるなら電話してくれって言ってたんだよね」
「今どき珍しいね。まぁ電話の方が早いって言えば早いけど、いつでも電話が取れるくらい自由の利く仕事なのかなぁ」
「うーん、そうなのかも……ああ、知りたいと思ったらすぐに聞きたくなってきた!」
「もうHR始まるし、とりあえずメッセージ送ってみたら?」
「うーん、迷惑じゃないかな?」
「電話よりいいと思うけどね。まぁ聞くだけ聞いてみればいいじゃん?」
「……そうだね」
気になり出すと知らずにはいられない咲結だけど、これから授業もあるので電話は出来ず、迷惑かもとは思ったものの、とりあえず一言メッセージを送ってみる事にした。
【さっくんって何のお仕事してるの?】
すると、すぐに既読が付き、
【知り合いの会社手伝って事務とか雑用してたり、月に数回知り合いの幼稚園で臨時保育士をしてる】
という返事が返ってくる。
「優茉、さっくんから返事来た!」
「早いね。何だって?」
「知り合いの会社を手伝ったり、月に数回幼稚園の保育士もやってるみたい!」
「へぇ? 何か凄いね。ってか保育士の資格持ってるんだ、あの人」
「ね! 何か凄いよね!」
「まぁ知り合いの所で働いてるから多少の融通が利くのかもね」
「うん、だよね! 良かった。無職だったらどうしようかと思った」
「それは流石にないでしょ。でもまぁこれで朔太郎さんは結構な優良物件って事が分かったわね」
「そうなの?」
「そうよ。知り合いの会社で融通が利いて、更には保育士の資格も持ってるのよ? それでいてピンチの時には助けてくれるなんて、最高じゃない」
「……そっか、そうだよね」
優茉に言われて改めて気付いた咲結だけど、そういう事を抜きにしても、朔太郎と距離を縮めたいと思っている咲結は更にメッセージを送ってみる。
【今週どこかで会えたりするかな?】
そのメッセージに対して返ってきた答えは、
【平日は夕方以降なら多少時間は取れる。土日は、その日にならないとハッキリしない】
というものだった。
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