67 / 69
番外編
13
しおりを挟む
予定日から数週間が過ぎた、あるよく晴れた日。
朝から産気づいた真彩は理仁が付き添う形で産院に向かい、半日程で出産を終えた。
可愛らしい女の子で、学校を終えてから夕方くらいに朔太郎や翔太郎と真彩の元へやって来た悠真は、一目見るなり早くも妹に心を奪われていた。
「姉さん、お疲れ様です!」
「ママ、おつかれさま!」
「真彩さん、お疲れ様です」
「ありがとう」
見舞いに来てくれた三人に笑顔でお礼を口にした真彩。
比較的安産で負担も少なかった真彩は無事に生まれてきてくれた事に安堵し、皆が喜んでくれている事を嬉しく思っていた。
「そういえば、名前、もう決まってるんですか?」
「ああ、いくつか候補あるって言ってましたよね、理仁さん」
「ああ、色々迷ったんだが、最終的には悠真が決めたんだよな?」
「うん!」
「朔太郎くんや翔太郎くんに教えてあげて?」
名前を知りたがっていた朔太郎と翔太郎に決めた悠真から報告してと言われ、理仁から筒状になっている紙を受け取った悠真。
「これだよ!」
悠真が手にしていた紙を広げると、大きく綺麗な文字で【理真】と書かれていた。
「りまっていうんだ!」
嬉しそうに妹の名を口にする悠真。
そんな悠真を見ていた一同の心は和んでいく。
「理真っスか! 良い名前っスね!」
「兄貴と真彩さん、それぞれの文字が入っていて素敵です」
「ありがとう、悠真がねこれがいいって言ってくれたから決めたの」
「だって、かわいいから!」
「理真も、お兄ちゃんが付けてくれたと知ったら、きっと喜ぶな」
「そうかな? えへへ」
こうして皆に望まれて誕生した理真は、真彩によく似た可愛らしい女の子。
退院して屋敷で生活を始めるや否や、理仁と悠真は常に構い、溺愛していた。
そんな光景を見ていた真彩は、これまで以上に幸せな気持ちで満たされていった。
理真が生まれてから数カ月が過ぎて、再び日常を取り戻していた鬼龍家。
悠真は理真を溺愛するあまり、彼女が泣くと何で泣いているかがすぐに分かるようになっていた。
「ママー! りまがおなかすいたって!」
「はーい、今行くね」
平日は理真を気にしながらなのでなかなか家事が進まない事も多いけれど、休日は悠真が常に見ていてくれるおかげで家事もスムーズに進んでいた。
皆の愛情を受けている理真はすくすくと育ち、検診でも何ら問題は無かった。
だけど、真彩は悠真の事が少し気掛かりだった。
悠真はお兄ちゃんとしての自覚があるようで、したい事も行きたい所も常に我慢しているみたいなのだけど、朔太郎にだけは本音を打ち明けていた。
勿論、話す際は「ママとパパにはないしょだよ!」と口止めしているようなのだが、朔太郎は常に報告していた。
そんな悠真の為にも久しぶりに何処かへ出掛けようと、理真に負担が掛からないよう、近場だけど楽しめる場所を探した理仁と真彩。
悩みに悩んだ結果――
「悠真、今週末は皆で旅行に行くぞ」
とある場所へ皆で泊まりに行く事になった。
朝から産気づいた真彩は理仁が付き添う形で産院に向かい、半日程で出産を終えた。
可愛らしい女の子で、学校を終えてから夕方くらいに朔太郎や翔太郎と真彩の元へやって来た悠真は、一目見るなり早くも妹に心を奪われていた。
「姉さん、お疲れ様です!」
「ママ、おつかれさま!」
「真彩さん、お疲れ様です」
「ありがとう」
見舞いに来てくれた三人に笑顔でお礼を口にした真彩。
比較的安産で負担も少なかった真彩は無事に生まれてきてくれた事に安堵し、皆が喜んでくれている事を嬉しく思っていた。
「そういえば、名前、もう決まってるんですか?」
「ああ、いくつか候補あるって言ってましたよね、理仁さん」
「ああ、色々迷ったんだが、最終的には悠真が決めたんだよな?」
「うん!」
「朔太郎くんや翔太郎くんに教えてあげて?」
名前を知りたがっていた朔太郎と翔太郎に決めた悠真から報告してと言われ、理仁から筒状になっている紙を受け取った悠真。
「これだよ!」
悠真が手にしていた紙を広げると、大きく綺麗な文字で【理真】と書かれていた。
「りまっていうんだ!」
嬉しそうに妹の名を口にする悠真。
そんな悠真を見ていた一同の心は和んでいく。
「理真っスか! 良い名前っスね!」
「兄貴と真彩さん、それぞれの文字が入っていて素敵です」
「ありがとう、悠真がねこれがいいって言ってくれたから決めたの」
「だって、かわいいから!」
「理真も、お兄ちゃんが付けてくれたと知ったら、きっと喜ぶな」
「そうかな? えへへ」
こうして皆に望まれて誕生した理真は、真彩によく似た可愛らしい女の子。
退院して屋敷で生活を始めるや否や、理仁と悠真は常に構い、溺愛していた。
そんな光景を見ていた真彩は、これまで以上に幸せな気持ちで満たされていった。
理真が生まれてから数カ月が過ぎて、再び日常を取り戻していた鬼龍家。
悠真は理真を溺愛するあまり、彼女が泣くと何で泣いているかがすぐに分かるようになっていた。
「ママー! りまがおなかすいたって!」
「はーい、今行くね」
平日は理真を気にしながらなのでなかなか家事が進まない事も多いけれど、休日は悠真が常に見ていてくれるおかげで家事もスムーズに進んでいた。
皆の愛情を受けている理真はすくすくと育ち、検診でも何ら問題は無かった。
だけど、真彩は悠真の事が少し気掛かりだった。
悠真はお兄ちゃんとしての自覚があるようで、したい事も行きたい所も常に我慢しているみたいなのだけど、朔太郎にだけは本音を打ち明けていた。
勿論、話す際は「ママとパパにはないしょだよ!」と口止めしているようなのだが、朔太郎は常に報告していた。
そんな悠真の為にも久しぶりに何処かへ出掛けようと、理真に負担が掛からないよう、近場だけど楽しめる場所を探した理仁と真彩。
悩みに悩んだ結果――
「悠真、今週末は皆で旅行に行くぞ」
とある場所へ皆で泊まりに行く事になった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
お見合い相手は極道の天使様!?
愛月花音
恋愛
恋愛小説大賞にエントリー中。
勝ち気で手の早い性格が災いしてなかなか彼氏がいない歴数年。
そんな私にお見合い相手の話がきた。
見た目は、ドストライクな
クールビューティーなイケメン。
だが相手は、ヤクザの若頭だった。
騙された……そう思った。
しかし彼は、若頭なのに
極道の天使という異名を持っており……?
彼を知れば知るほど甘く胸キュンなギャップにハマっていく。
勝ち気なお嬢様&英語教師。
椎名上紗(24)
《しいな かずさ》
&
極道の天使&若頭
鬼龍院葵(26歳)
《きりゅういん あおい》
勝ち気女性教師&極道の天使の
甘キュンラブストーリー。
表紙は、素敵な絵師様。
紺野遥様です!
2022年12月18日エタニティ
投稿恋愛小説人気ランキング過去最高3位。
誤字、脱字あったら申し訳ないありません。
見つけ次第、修正します。
公開日・2022年11月29日。
ヤクザと私と。~養子じゃなく嫁でした
瀬名。
恋愛
大学1年生の冬。母子家庭の私は、母に逃げられました。
家も取り押さえられ、帰る場所もない。
まず、借金返済をしてないから、私も逃げないとやばい。
…そんな時、借金取りにきた私を買ってくれたのは。
ヤクザの若頭でした。
*この話はフィクションです
現実ではあり得ませんが、物語の過程としてむちゃくちゃしてます
ツッコミたくてイラつく人はお帰りください
またこの話を鵜呑みにする読者がいたとしても私は一切の責任を負いませんのでご了承ください*
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
優しい彼の裏の顔は、、、。【完】
夏目萌
恋愛
この日、ワケありお嬢様は、危険な世界に足を踏み入れた……。
――自称“紳士”な男の裏の顔は……
ーーーーー
自称“紳士”なヤクザ
夜永 郁斗(29)
×
ワケありお嬢様
花房 詩歌(19)
ーーーーー
※この小説はあくまでもフィクションですので、その事を踏まえてお読みいただければと思います。また、実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
※他サイト様にも掲載中です。またこちらは以前別名義にて完結した作品を改稿したものになります。内容はところどころ変わっているので、一度読んだことがある方も新たな気持ちで読んで頂ければと思います。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
【姫初め♡2024】秘して色づく撫子の花 ~甘え上手な年下若頭との政略結婚も悪くない~
緑野かえる
恋愛
ずっと待っていた、今でも夢なんじゃないかと思っているんですよ。そう私に囁く彼になら、何をされても良いなんて思ってしまっている。それに私の方こそこれは夢なんじゃないかと……奥まで甘やかされて、愛されているなんて。
年下若頭×年上女性の甘えて甘やかされての約12000字お手軽読み切り姫初め話です。
(全5話、本格的なR-18シーンがある話には※マーク)
(ムーンライトノベルズ先行投稿済みの話です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる