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Episode4
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「……ようやく落ち着いて来てたのに……亜夢のせいで、このままじゃ寝れなくなった」
「え?」
「可愛い事言うから、我慢出来なくなった――」
「――ッん……」
髪を撫でられていたと思ったら、そのまま後頭部を固定されて唇を奪われていく。
「……っん、……はぁ、ッんん」
角度を変えながら何度か口付けを交わし、口を開いたタイミングで彼の舌が口内に侵入してくると強引に絡め取られ、熱く絡みついてくる。
くちゅくちゅと厭らしい音が聞こえ出すと、体温が一気に上昇していくのを感じていた。
そして、いつになく濃厚で強引なキスが終わり互いの唇が離れると銀色の糸が引いていて、その事に恥ずかしさを感じる私とは対照的に百瀬くんの性欲は掻き立てられたらしく、再び唇が塞がれた。
「ッん……ふぁ、……ん、」
キスは好きだけど、何故だろう。今日は何だか少し物足りない気がした。
そして、その理由にすぐ気付く。
いつもはキスをしながら色々なところに触れてくるのだけど、今日はそれが無い事に。
恐らく、腕は固定されていないにしても包帯が巻かれているし、そこまで酷い傷じゃないと言えど、動かすと痛みがあるのかもしれない。
再度唇が離れたところで、「も、もせくん……」と名前を口にする。
「何?」
「あの、腕……、やっぱり痛い?」
「いや、痛くない……けど」
「けど?」
「やっぱり、少し動かしにくい……」
「そうだよね。それじゃあ今日は無理しない方がいいよ……」
私は腕の事が心配だから、今日はやっぱり無理するのは良くないと思ってそう提案したのだけど、
「……そうだよね、無理は良くないよね……けど、俺はもうこのままじゃ眠れそうにないから、無理してでも亜夢を抱きたい」
そんな台詞を熱っぽい視線を向けて口にされたら、断れない。
「……で、でも……」
だけど、彼に無理はして欲しくない。そう思っていると、
「――今日は、亜夢からして欲しいんだけど、駄目かな?」
百瀬くんは、私からして欲しいと懇願して来たのだ。
「私……から……」
お風呂同様私が恥ずかしがりだから、これまで私からするという事なんて今まで一度も無かった。
勿論それについては密かに申し訳ないなという思いはあったし、彼が望むなら頑張ってみたいという気持ちもあったけれど、私から「してあげる」なんて言えないし、百瀬くんからも言われなかったからそういう話題に触れる事もないままここまできてしまった。
(さっきも中途半端になっちゃったし……百瀬くんも、辛いよね……。して欲しいって、望んでくれてるんだもん……やらなきゃ)
恥ずかしいけどでも、百瀬くんがそれを望むのなら、やっぱりしてあげたい。
戸惑い悩んだ末に私は、
「……うん、いいよ。それじゃあ今日は、私からするね」
俯きながら、百瀬くんにそう伝えた。
「……本当に、いいの?」
「うん……。恥ずかしいけど、私だって、百瀬くんに喜んで欲しいから……頑張ってみる」
「そっか、嬉しいよ。亜夢のペースでいいから、任せるね」
「うん」
こうして、いつもとは違って私が主導権を握る形でエッチをする事になったのだけど、私からなんて事は初めてだから、最初は何をすればいいのか迷ってしまう。
(やっぱり……最初はキスから……かな?)
まずはやっぱりムードを高めるのが一番かなと、私は百瀬くんの上に跨ると、自ら彼の唇に自分の唇を重ねていく。
まだキスをしているだけなのだけど、自分から彼の上に跨ってキスをしているこの状況に、少し興奮していた。
いつもなら唇を重ねると彼の方から積極的に舌を入れて絡ませてきてくれるのだけど、今日は本当に私に任せるつもりのようで、ただ触れるだけの軽いキスが続いていく。
だけどこれだとやっぱり少し物足りなくて、イマイチ盛り上がりにかけてしまうと思って私から彼の口内に舌を入れると、自ら彼の舌に絡ませていった。
すると、百瀬くんもそれに応えるように舌を絡めてきてくれて、いつものように強引で深い口付けへと変わっていき、貪り合うように互いを求めていく。
「え?」
「可愛い事言うから、我慢出来なくなった――」
「――ッん……」
髪を撫でられていたと思ったら、そのまま後頭部を固定されて唇を奪われていく。
「……っん、……はぁ、ッんん」
角度を変えながら何度か口付けを交わし、口を開いたタイミングで彼の舌が口内に侵入してくると強引に絡め取られ、熱く絡みついてくる。
くちゅくちゅと厭らしい音が聞こえ出すと、体温が一気に上昇していくのを感じていた。
そして、いつになく濃厚で強引なキスが終わり互いの唇が離れると銀色の糸が引いていて、その事に恥ずかしさを感じる私とは対照的に百瀬くんの性欲は掻き立てられたらしく、再び唇が塞がれた。
「ッん……ふぁ、……ん、」
キスは好きだけど、何故だろう。今日は何だか少し物足りない気がした。
そして、その理由にすぐ気付く。
いつもはキスをしながら色々なところに触れてくるのだけど、今日はそれが無い事に。
恐らく、腕は固定されていないにしても包帯が巻かれているし、そこまで酷い傷じゃないと言えど、動かすと痛みがあるのかもしれない。
再度唇が離れたところで、「も、もせくん……」と名前を口にする。
「何?」
「あの、腕……、やっぱり痛い?」
「いや、痛くない……けど」
「けど?」
「やっぱり、少し動かしにくい……」
「そうだよね。それじゃあ今日は無理しない方がいいよ……」
私は腕の事が心配だから、今日はやっぱり無理するのは良くないと思ってそう提案したのだけど、
「……そうだよね、無理は良くないよね……けど、俺はもうこのままじゃ眠れそうにないから、無理してでも亜夢を抱きたい」
そんな台詞を熱っぽい視線を向けて口にされたら、断れない。
「……で、でも……」
だけど、彼に無理はして欲しくない。そう思っていると、
「――今日は、亜夢からして欲しいんだけど、駄目かな?」
百瀬くんは、私からして欲しいと懇願して来たのだ。
「私……から……」
お風呂同様私が恥ずかしがりだから、これまで私からするという事なんて今まで一度も無かった。
勿論それについては密かに申し訳ないなという思いはあったし、彼が望むなら頑張ってみたいという気持ちもあったけれど、私から「してあげる」なんて言えないし、百瀬くんからも言われなかったからそういう話題に触れる事もないままここまできてしまった。
(さっきも中途半端になっちゃったし……百瀬くんも、辛いよね……。して欲しいって、望んでくれてるんだもん……やらなきゃ)
恥ずかしいけどでも、百瀬くんがそれを望むのなら、やっぱりしてあげたい。
戸惑い悩んだ末に私は、
「……うん、いいよ。それじゃあ今日は、私からするね」
俯きながら、百瀬くんにそう伝えた。
「……本当に、いいの?」
「うん……。恥ずかしいけど、私だって、百瀬くんに喜んで欲しいから……頑張ってみる」
「そっか、嬉しいよ。亜夢のペースでいいから、任せるね」
「うん」
こうして、いつもとは違って私が主導権を握る形でエッチをする事になったのだけど、私からなんて事は初めてだから、最初は何をすればいいのか迷ってしまう。
(やっぱり……最初はキスから……かな?)
まずはやっぱりムードを高めるのが一番かなと、私は百瀬くんの上に跨ると、自ら彼の唇に自分の唇を重ねていく。
まだキスをしているだけなのだけど、自分から彼の上に跨ってキスをしているこの状況に、少し興奮していた。
いつもなら唇を重ねると彼の方から積極的に舌を入れて絡ませてきてくれるのだけど、今日は本当に私に任せるつもりのようで、ただ触れるだけの軽いキスが続いていく。
だけどこれだとやっぱり少し物足りなくて、イマイチ盛り上がりにかけてしまうと思って私から彼の口内に舌を入れると、自ら彼の舌に絡ませていった。
すると、百瀬くんもそれに応えるように舌を絡めてきてくれて、いつものように強引で深い口付けへと変わっていき、貪り合うように互いを求めていく。
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