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Episode3
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翌朝、起きて一番にスマホを見ると、百瀬くんからメッセージが届いていた。
《なかなか連絡出来なくてごめんね。もう寝ちゃったかな? 離れ離れは淋しいね。早くも亜夢に会いたくて堪らない》と書かれていたメッセージ。
それだけで私は嬉しくなる。
単純というか、なんというか。
《待ってたんだけど、一人は淋しくて早く寝ちゃった。朝起きて百瀬くんからのメッセージ見たら元気出たよ。でも、やっぱり会えないのは淋しいな。今日もお仕事頑張ってね》
まだ寝てるだろうと思ったけれど、とにかく早く返信したかった私が返事を書いて送ると、それからすぐに百瀬くんから着信が掛かってくる。
「もしもし」
『おはよう、亜夢』
「おはよ、百瀬くん」
『朝一番に亜夢の声聞けて良かった』
「私も、嬉しい」
『亜夢も仕事、頑張ってね』
「うん」
『それから、分かってるとは思うけど、気をつけてね?』
「うん、分かってるよ。百瀬くんもね?」
『そうだね、お互い気をつけよう。それじゃ、また連絡するから』
「うん、またね」
名残惜しいけれど、いつまでも話している訳にはいかず電話を切ろうとすると、
『――亜夢、ベッド横のチェストの一番下の引き出し、開けてみて』
「え?」
何故かチェストの引き出しを開けるように言われ、不思議に思いながら言われた通りに開けてみると、
「これって?」
そこにはラッピングされた小さい箱が置いてあって、
『開けてみて?』
そう言われ、リボンを解いて箱を開けてみると、
「これ……」
『離れてる間、それ付けておいて? お守り代わり。俺とお揃いだから』
箱の中にはパズルのピースを型どったネックレスが入っていた。
百瀬くんの言葉通りペア用みたいで、互いのピースを合わせると真ん中にハートが出来る仕組みのようだった。
「……百瀬くん……嬉しい……、ありがとう」
嬉しかった。凄く嬉しくて涙が出そうになった。
離れ離れは淋しいけれど、離れても尚、百瀬くんは私を喜ばせてくれる――その事実が、凄く嬉しい。
『それじゃあ、またね。大好きだよ、亜夢』
「うん、私も大好き」
まだまだ声を聞いていたかったけれど、そろそろ準備をしないとならない私たちは電話を切った。
電話を切ると一気に現実に引き戻されて淋しくなるけど手元にあるネックレスが、すぐに私を笑顔にしてくれる。
これまでお揃いの物を持った事は無かったから、百瀬くんも同じ物を付けているのかと考えると近くに居るような気がして淋しい気持ちが少しだけ軽減されていた。
ネックレスがあるおかげでいつも通りに一日を過ごす事が出来たものの、やっぱりマンションへ帰って来ると、彼が居ない事を思い知らされて淋しさが募ってくる。
家事をしていても、ご飯を食べていても、テレビを観ていても、百瀬くんが居ないと全てが物足りなくて、つまらない。
離れてみて分かったけど、私にはもう彼が居ないと駄目らしい。
(百瀬くんが居ない日常とか、もう考えられないよ)
ここまで傍に居て欲しいと思える人に出逢えた事は幸せなんだと思う。
お風呂に入り、寝る支度を整えた私はスマホを見るけど、やっぱり百瀬くんからの連絡は無い。
せめて一日の初めと終わりくらいは彼の声を聞きたいと思うのは、我儘な事だろうか。
「……電話、したら迷惑かな」
余裕があるなら彼の方からしてくれるはずだから、来ないところをみると、忙しいのだろう。
だけど、やっぱり少しでも、一言でも良いから言葉を交わしたかった私は恐る恐る百瀬くんに電話を掛けてみると、数回のコール音の末に彼が電話に出た。
「あ、もしもし、百瀬くん?」
『うん、そうだけど……何かあった?』
「ううん、その……何かあった訳じゃ、ないんだけど……少しでもいいから、声、聞きたくて……」
恥ずかしさを感じつつも素直な思いを口にしてみると、電話越しでも分かるくらいに彼は口角を上げたのが分かった。
『そっか、本当に可愛いなぁ、亜夢は。俺も声聞きたかったから嬉しいよ』
「……それなら、良かった」
『けどごめんね、今ちょっと立て込んでて……』
「あ、そうなんだね、ごめんね、忙しいのに……」
『いや、それは構わないよ。気にしないで』
「あの、それじゃあもう切るね、お休みなさい、百瀬くん――」
やっぱり忙して連絡が出来ない事が分かった私はこれ以上迷惑にならないうちに切ろうとした、その時、
『百瀬くん』という彼を呼ぶ声が電話の向こうから聞こえてきたのだけど、その声の主は明らかに女性の声で、その声が聞こえて来た瞬間、百瀬くんは何だか焦っている気がした。
「そ、それじゃあまた連絡するよ、ごめんね、お休み亜夢」
そして、電話は彼の方から切られてしまった。
「…………今の、誰、だったんだろ?」
実家に帰っているのだから知り合いに会っている可能性だってあるし、親戚の人かもしれない。
焦っているように思えたのだって、私が疑いの目を向けているからそう感じただけかもしれない。
“何があっても、俺を信じて”
その言葉を思い出した私は彼とお揃いのネックレスをぎゅっと握り締めながら、不安を打ち消すように目を閉じて、百瀬くんの姿を思い浮かべていた。
《なかなか連絡出来なくてごめんね。もう寝ちゃったかな? 離れ離れは淋しいね。早くも亜夢に会いたくて堪らない》と書かれていたメッセージ。
それだけで私は嬉しくなる。
単純というか、なんというか。
《待ってたんだけど、一人は淋しくて早く寝ちゃった。朝起きて百瀬くんからのメッセージ見たら元気出たよ。でも、やっぱり会えないのは淋しいな。今日もお仕事頑張ってね》
まだ寝てるだろうと思ったけれど、とにかく早く返信したかった私が返事を書いて送ると、それからすぐに百瀬くんから着信が掛かってくる。
「もしもし」
『おはよう、亜夢』
「おはよ、百瀬くん」
『朝一番に亜夢の声聞けて良かった』
「私も、嬉しい」
『亜夢も仕事、頑張ってね』
「うん」
『それから、分かってるとは思うけど、気をつけてね?』
「うん、分かってるよ。百瀬くんもね?」
『そうだね、お互い気をつけよう。それじゃ、また連絡するから』
「うん、またね」
名残惜しいけれど、いつまでも話している訳にはいかず電話を切ろうとすると、
『――亜夢、ベッド横のチェストの一番下の引き出し、開けてみて』
「え?」
何故かチェストの引き出しを開けるように言われ、不思議に思いながら言われた通りに開けてみると、
「これって?」
そこにはラッピングされた小さい箱が置いてあって、
『開けてみて?』
そう言われ、リボンを解いて箱を開けてみると、
「これ……」
『離れてる間、それ付けておいて? お守り代わり。俺とお揃いだから』
箱の中にはパズルのピースを型どったネックレスが入っていた。
百瀬くんの言葉通りペア用みたいで、互いのピースを合わせると真ん中にハートが出来る仕組みのようだった。
「……百瀬くん……嬉しい……、ありがとう」
嬉しかった。凄く嬉しくて涙が出そうになった。
離れ離れは淋しいけれど、離れても尚、百瀬くんは私を喜ばせてくれる――その事実が、凄く嬉しい。
『それじゃあ、またね。大好きだよ、亜夢』
「うん、私も大好き」
まだまだ声を聞いていたかったけれど、そろそろ準備をしないとならない私たちは電話を切った。
電話を切ると一気に現実に引き戻されて淋しくなるけど手元にあるネックレスが、すぐに私を笑顔にしてくれる。
これまでお揃いの物を持った事は無かったから、百瀬くんも同じ物を付けているのかと考えると近くに居るような気がして淋しい気持ちが少しだけ軽減されていた。
ネックレスがあるおかげでいつも通りに一日を過ごす事が出来たものの、やっぱりマンションへ帰って来ると、彼が居ない事を思い知らされて淋しさが募ってくる。
家事をしていても、ご飯を食べていても、テレビを観ていても、百瀬くんが居ないと全てが物足りなくて、つまらない。
離れてみて分かったけど、私にはもう彼が居ないと駄目らしい。
(百瀬くんが居ない日常とか、もう考えられないよ)
ここまで傍に居て欲しいと思える人に出逢えた事は幸せなんだと思う。
お風呂に入り、寝る支度を整えた私はスマホを見るけど、やっぱり百瀬くんからの連絡は無い。
せめて一日の初めと終わりくらいは彼の声を聞きたいと思うのは、我儘な事だろうか。
「……電話、したら迷惑かな」
余裕があるなら彼の方からしてくれるはずだから、来ないところをみると、忙しいのだろう。
だけど、やっぱり少しでも、一言でも良いから言葉を交わしたかった私は恐る恐る百瀬くんに電話を掛けてみると、数回のコール音の末に彼が電話に出た。
「あ、もしもし、百瀬くん?」
『うん、そうだけど……何かあった?』
「ううん、その……何かあった訳じゃ、ないんだけど……少しでもいいから、声、聞きたくて……」
恥ずかしさを感じつつも素直な思いを口にしてみると、電話越しでも分かるくらいに彼は口角を上げたのが分かった。
『そっか、本当に可愛いなぁ、亜夢は。俺も声聞きたかったから嬉しいよ』
「……それなら、良かった」
『けどごめんね、今ちょっと立て込んでて……』
「あ、そうなんだね、ごめんね、忙しいのに……」
『いや、それは構わないよ。気にしないで』
「あの、それじゃあもう切るね、お休みなさい、百瀬くん――」
やっぱり忙して連絡が出来ない事が分かった私はこれ以上迷惑にならないうちに切ろうとした、その時、
『百瀬くん』という彼を呼ぶ声が電話の向こうから聞こえてきたのだけど、その声の主は明らかに女性の声で、その声が聞こえて来た瞬間、百瀬くんは何だか焦っている気がした。
「そ、それじゃあまた連絡するよ、ごめんね、お休み亜夢」
そして、電話は彼の方から切られてしまった。
「…………今の、誰、だったんだろ?」
実家に帰っているのだから知り合いに会っている可能性だってあるし、親戚の人かもしれない。
焦っているように思えたのだって、私が疑いの目を向けているからそう感じただけかもしれない。
“何があっても、俺を信じて”
その言葉を思い出した私は彼とお揃いのネックレスをぎゅっと握り締めながら、不安を打ち消すように目を閉じて、百瀬くんの姿を思い浮かべていた。
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