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Episode3
6
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「あ、でも……亜夢には何もしない方がお仕置きになるかなぁ?」
「…………ッ」
「だって、期待されたらお仕置きにならないもんね」
百瀬くんは、やっぱり意地悪だ。
ニヤニヤと、笑みを浮かべると、私から離れていく。
「さてと、そろそろ寝よっか? 明日も仕事だしね。亜夢は今日どうする? 部屋、戻る?」
「…………」
期待させて、何もしないなんて。
今日は泊まるって分かってるくせに、そういう事聞くとか、本当に意地悪だ。
「……やだ」
「え?」
「……意地悪、しないで……」
からかわれてばかりは面白くなくて、私は少しだけ頬を膨らませて俯くと、消え入りそうな声で意地悪をしないで欲しいと訴えた。
「ごめんね、嘘だよ。亜夢おいで」
寝室へ向かう途中だった百瀬くんが手を広げて私を呼んでくれたから、私は答えるよりも早く彼に駆け寄り抱きついた。
「一緒に寝よ」
「うん」
ギュッと抱き締め、額にチュッと口付けてくれた百瀬くん。
リビングの灯りを消すと、彼に手を引かれて寝室へと向かい、二人一緒にベッドへ入る。
「――亜夢」
「百瀬くん……」
再び抱きしめ合いながら、キスを交わす。
何度かキスを交わした後、百瀬くんは私の目を見つめてくる。
「亜夢」
「何?」
「あのさ、この先何があっても、絶対に俺を、信じてくれる?」
「え?」
「答えて」
「うん、勿論……信じるよ?」
「本当に本当? 絶対にだよ?」
「うん。でも何でそんな事聞くの?」
「だって亜夢はすぐに嘘つくんだもん」
「え? 嘘なんてつかないよ……」
「いーや、ついてるよ。何かあったら言ってって言っても、すぐ隠すでしょ?」
「そ、それは……」
「だから、確認したの」
「……百瀬くんの事は、信じるよ。絶対に嘘をつかないのも分かってるから、何があっても信じられる」
「――そっか。分かった。それを聞いて安心した。とにかく、俺は絶対に亜夢を裏切ったりはしないからね。何があっても、俺が守るから」
「うん……信じてる」
ギュッと抱きしめられ、優しく頭を撫でられると、それが妙に心地良くてだんだん睡魔が襲ってくる。
もっと百瀬くんと触れ合いたいのに眠気には勝てず、いつの間にか眠ってしまっていた。
だから、
「…………これ以上、このままにはしておけない。そろそろ動くしかないよな」
ポツリと呟いた百瀬くんのその言葉を、私が聞く事は出来なかった。
翌日の夜、百瀬くんは急遽暫く実家へ帰る事になった。
何でも荒木田ホールディングスの社長でもあるお祖父さんの体調が良くないらしく、それに伴い経営などを任されている百瀬くんのお父さんが人手が足りないと困っているようで、将来は後継者になる立場の彼が会社の方を手伝わなくてはいけなくなったとの事。
暫く百瀬くんに会えないのは淋しいけど、こればかりは仕方ない。
「毎日連絡はするから。それと、何かあったらすぐに言ってよ?」
「うん、分かってる。仕事もあるのにお手伝いまでなんて大変だと思うけど無理はしないでね?」
「ありがと。それじゃ、いってくるね」
そう言って彼を見送ってから数時間、早くも淋しさでいっぱいだった。
思えば貴将と別れたあの日以降、百瀬くんは常に傍に居てくれた。
たまに実家に帰る事はあったけど次の日には帰って来たし、今回みたいに長く離れる事は無かったのだ。
相変わらず視線を感じる事はあるけど、百瀬くんが居たからそこまで気にはならなかった。
でも、暫く彼は傍に居ない。
それを思うと急に心細くなってくる。
一人部屋で過ごすのはいつもの事ではあるけど、すぐ隣に百瀬くんが居ると思ったから淋しさを感じる事は無かったのに、隣に居ない今、淋しくて堪らない。
「……はぁ、連絡、来ないな……」
帰ったばかりだし、お祖父さんの具合も悪いし、仕事の話だってあるだろうから忙しいのも仕方ない。
「……もう、寝ようかな」
結局、一人だとする事も無く、起きていると余計に淋しくなるだけだと私はいつもより早くベッドに入り、スマホを眺めながらいつの間にか寝落ちしていた。
「…………ッ」
「だって、期待されたらお仕置きにならないもんね」
百瀬くんは、やっぱり意地悪だ。
ニヤニヤと、笑みを浮かべると、私から離れていく。
「さてと、そろそろ寝よっか? 明日も仕事だしね。亜夢は今日どうする? 部屋、戻る?」
「…………」
期待させて、何もしないなんて。
今日は泊まるって分かってるくせに、そういう事聞くとか、本当に意地悪だ。
「……やだ」
「え?」
「……意地悪、しないで……」
からかわれてばかりは面白くなくて、私は少しだけ頬を膨らませて俯くと、消え入りそうな声で意地悪をしないで欲しいと訴えた。
「ごめんね、嘘だよ。亜夢おいで」
寝室へ向かう途中だった百瀬くんが手を広げて私を呼んでくれたから、私は答えるよりも早く彼に駆け寄り抱きついた。
「一緒に寝よ」
「うん」
ギュッと抱き締め、額にチュッと口付けてくれた百瀬くん。
リビングの灯りを消すと、彼に手を引かれて寝室へと向かい、二人一緒にベッドへ入る。
「――亜夢」
「百瀬くん……」
再び抱きしめ合いながら、キスを交わす。
何度かキスを交わした後、百瀬くんは私の目を見つめてくる。
「亜夢」
「何?」
「あのさ、この先何があっても、絶対に俺を、信じてくれる?」
「え?」
「答えて」
「うん、勿論……信じるよ?」
「本当に本当? 絶対にだよ?」
「うん。でも何でそんな事聞くの?」
「だって亜夢はすぐに嘘つくんだもん」
「え? 嘘なんてつかないよ……」
「いーや、ついてるよ。何かあったら言ってって言っても、すぐ隠すでしょ?」
「そ、それは……」
「だから、確認したの」
「……百瀬くんの事は、信じるよ。絶対に嘘をつかないのも分かってるから、何があっても信じられる」
「――そっか。分かった。それを聞いて安心した。とにかく、俺は絶対に亜夢を裏切ったりはしないからね。何があっても、俺が守るから」
「うん……信じてる」
ギュッと抱きしめられ、優しく頭を撫でられると、それが妙に心地良くてだんだん睡魔が襲ってくる。
もっと百瀬くんと触れ合いたいのに眠気には勝てず、いつの間にか眠ってしまっていた。
だから、
「…………これ以上、このままにはしておけない。そろそろ動くしかないよな」
ポツリと呟いた百瀬くんのその言葉を、私が聞く事は出来なかった。
翌日の夜、百瀬くんは急遽暫く実家へ帰る事になった。
何でも荒木田ホールディングスの社長でもあるお祖父さんの体調が良くないらしく、それに伴い経営などを任されている百瀬くんのお父さんが人手が足りないと困っているようで、将来は後継者になる立場の彼が会社の方を手伝わなくてはいけなくなったとの事。
暫く百瀬くんに会えないのは淋しいけど、こればかりは仕方ない。
「毎日連絡はするから。それと、何かあったらすぐに言ってよ?」
「うん、分かってる。仕事もあるのにお手伝いまでなんて大変だと思うけど無理はしないでね?」
「ありがと。それじゃ、いってくるね」
そう言って彼を見送ってから数時間、早くも淋しさでいっぱいだった。
思えば貴将と別れたあの日以降、百瀬くんは常に傍に居てくれた。
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でも、暫く彼は傍に居ない。
それを思うと急に心細くなってくる。
一人部屋で過ごすのはいつもの事ではあるけど、すぐ隣に百瀬くんが居ると思ったから淋しさを感じる事は無かったのに、隣に居ない今、淋しくて堪らない。
「……はぁ、連絡、来ないな……」
帰ったばかりだし、お祖父さんの具合も悪いし、仕事の話だってあるだろうから忙しいのも仕方ない。
「……もう、寝ようかな」
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