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MOMOSE side
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有紗とは職場の先輩主催の合コンで知り合った。
『九條』の姓を名乗ってる時の俺は普段の俺と見た目も性格も違うから、有紗は初め、俺に見向きもしなかった。
正直、有紗程欲に塗れ、心が透けて見える人間はなかなかいないと思ってたけど、意外にも周りは全く気付かない。
まあ、容姿はそれなりだと思うけど、まず俺のタイプじゃないし、これまで嫌という程見てきたタイプの人間だからこそ、俺は絶対に惹かれる事は無かった。
けど、何を思ったか途中から急に俺にアピールしだした有紗。
こういう奴は諦めが悪いのを知ってるから、これまで同様とりあえず付き合って、嫌われるのを待つしか無いと連絡先を交換して暫くやり取りをした後、有紗から告白される形で付き合う事になった。
付き合ったら勿論、身体の関係は付いてくる。
これは仕方無い。
これまでもそうだったから、別に抵抗は無かった。
付き合って暫く、俺は偶然有紗のスマホのロック画面を見た。
その時、言葉に出来ない程の衝撃を受けた。
その画面には有紗と、あの日出逢った彼女と良く似た人物が写っていた。
「なぁ、アンタのそれ、隣に写ってるのって、誰?」
「え? ああ、これ? 私のお姉ちゃんだよ」
「姉貴?」
「そ。似てないでしょ?」
「あー、まあ……。名前、なんつーの?」
「名前? 亜夢だよ」
「亜夢……」
「百瀬くん、お姉ちゃんを知ってるの?」
「いや、知らね。似た奴がいたような気がしたけど、名前違うから人違いだわ」
「ふーん?」
「つーか何でそんなん待ち受けにしてんの? 仲良いの、姉貴と」
「そういうのじゃないよ。この写真、私の写りが物凄く良いの♡ それに、お姉ちゃんが引き立て役になってて、より一層私が輝いて見えると思わない?」
「……全然。つーかそんな事考えてるとか性格悪過ぎ」
「えー? 百瀬くん、冷たい!」
有紗のクズ発言にも驚いたけど、そんな事はどうでも良かった。
この時俺は、ようやく手掛かりを見つける事が出来た。
あの日出逢い、ずっと忘れる事が出来なかった彼女の手掛かりを。
「……亜夢はあの日、橋で出逢ったのが俺だったって気付いた? っていうか、覚えてる?」
有紗との出逢いまでを話した俺は一旦亜夢に視線を戻す。
「……ごめん、覚えて、ない」
亜夢があの日の事を忘れていたのは、悲しいけど仕方無いと思う。
だけど、俺は覚えてる。
人違いなんかじゃない。
あの日、生徒手帳を拾った時に書いてあった名前は確かに『道枝 亜夢』と記されていたから。
「……それじゃあ百瀬くんは、その時から私の事を、知ってたの?」
「そうだよ」
「じゃあ、あの日、街で声を掛けてきた時も、私だって分かって……?」
「勿論」
亜夢の言う通り、俺はあの日、有紗の姉が俺の忘れられない人だったと知ってからずっと、亜夢の事は認識してた。
「……彼女が亜夢に何を言ったか知らないけど、俺は亜夢の事を知ったその日から、一切、他の女と付き合ったり、寝たりはしなくなった。勿論、彼女にも、別れるまで俺からは一切触れてない」
「え?」
「まあ、それまで好きでも無いのに付き合ってた事実も、身体を重ねて来た事実も消えないけど、亜夢の手掛かりを見つけてからは他の女なんてどうでも良くて、亜夢と、もう一度話したい、あわよくば、付き合いたいって……その思いだけだった」
「…………」
そして再び話は遡り、俺が亜夢に隠し事をしていた理由を明かす時が来る。
有紗に亜夢の話を聞いてから、俺の態度は一変。
当然それに有紗は不満を持つ。
「ねぇ百瀬くん、どうして最近会ってくれないの?」
「……別に、気分じゃないだけ」
「嘘! もしかして、他に女が居るんじゃないの!?」
「いねーよ、そんなん」
「それじゃあ、今日は私と居てよ! 朝まで一緒に居て!」
「無理。俺に不満があるなら、別れりゃいい」
「いや! 別れたくない!」
急に会う事をしなくなった俺に痺れを切らせた有紗は、当時住んでたアパートまで押し掛けてきたり、職場近くで待ち伏せたり、まるでストーカーのような行動を頻繁にするようになる。
それでも俺は、頑なに有紗を拒んだ。
その間、付き合いで合コンに参加したりもしたけど、どんなに言い寄られても、断るのが面倒でも、付き合う事も、身体の関係を持つ事もしなかった。
そんな中で俺は色々なツテを頼って亜夢の事を調べてみた。
すると、亜夢には彼氏がいる事が判明。
フリーじゃない事にガッカリはしたけど、それでも構わない。
亜夢が幸せならそれで良い、そう思った。
ただ、もし幸せじゃ無かったら? という思いが俺の頭を駆け巡り、今度は亜夢の彼氏――広丘 貴将について調べてみる事にした。
『九條』の姓を名乗ってる時の俺は普段の俺と見た目も性格も違うから、有紗は初め、俺に見向きもしなかった。
正直、有紗程欲に塗れ、心が透けて見える人間はなかなかいないと思ってたけど、意外にも周りは全く気付かない。
まあ、容姿はそれなりだと思うけど、まず俺のタイプじゃないし、これまで嫌という程見てきたタイプの人間だからこそ、俺は絶対に惹かれる事は無かった。
けど、何を思ったか途中から急に俺にアピールしだした有紗。
こういう奴は諦めが悪いのを知ってるから、これまで同様とりあえず付き合って、嫌われるのを待つしか無いと連絡先を交換して暫くやり取りをした後、有紗から告白される形で付き合う事になった。
付き合ったら勿論、身体の関係は付いてくる。
これは仕方無い。
これまでもそうだったから、別に抵抗は無かった。
付き合って暫く、俺は偶然有紗のスマホのロック画面を見た。
その時、言葉に出来ない程の衝撃を受けた。
その画面には有紗と、あの日出逢った彼女と良く似た人物が写っていた。
「なぁ、アンタのそれ、隣に写ってるのって、誰?」
「え? ああ、これ? 私のお姉ちゃんだよ」
「姉貴?」
「そ。似てないでしょ?」
「あー、まあ……。名前、なんつーの?」
「名前? 亜夢だよ」
「亜夢……」
「百瀬くん、お姉ちゃんを知ってるの?」
「いや、知らね。似た奴がいたような気がしたけど、名前違うから人違いだわ」
「ふーん?」
「つーか何でそんなん待ち受けにしてんの? 仲良いの、姉貴と」
「そういうのじゃないよ。この写真、私の写りが物凄く良いの♡ それに、お姉ちゃんが引き立て役になってて、より一層私が輝いて見えると思わない?」
「……全然。つーかそんな事考えてるとか性格悪過ぎ」
「えー? 百瀬くん、冷たい!」
有紗のクズ発言にも驚いたけど、そんな事はどうでも良かった。
この時俺は、ようやく手掛かりを見つける事が出来た。
あの日出逢い、ずっと忘れる事が出来なかった彼女の手掛かりを。
「……亜夢はあの日、橋で出逢ったのが俺だったって気付いた? っていうか、覚えてる?」
有紗との出逢いまでを話した俺は一旦亜夢に視線を戻す。
「……ごめん、覚えて、ない」
亜夢があの日の事を忘れていたのは、悲しいけど仕方無いと思う。
だけど、俺は覚えてる。
人違いなんかじゃない。
あの日、生徒手帳を拾った時に書いてあった名前は確かに『道枝 亜夢』と記されていたから。
「……それじゃあ百瀬くんは、その時から私の事を、知ってたの?」
「そうだよ」
「じゃあ、あの日、街で声を掛けてきた時も、私だって分かって……?」
「勿論」
亜夢の言う通り、俺はあの日、有紗の姉が俺の忘れられない人だったと知ってからずっと、亜夢の事は認識してた。
「……彼女が亜夢に何を言ったか知らないけど、俺は亜夢の事を知ったその日から、一切、他の女と付き合ったり、寝たりはしなくなった。勿論、彼女にも、別れるまで俺からは一切触れてない」
「え?」
「まあ、それまで好きでも無いのに付き合ってた事実も、身体を重ねて来た事実も消えないけど、亜夢の手掛かりを見つけてからは他の女なんてどうでも良くて、亜夢と、もう一度話したい、あわよくば、付き合いたいって……その思いだけだった」
「…………」
そして再び話は遡り、俺が亜夢に隠し事をしていた理由を明かす時が来る。
有紗に亜夢の話を聞いてから、俺の態度は一変。
当然それに有紗は不満を持つ。
「ねぇ百瀬くん、どうして最近会ってくれないの?」
「……別に、気分じゃないだけ」
「嘘! もしかして、他に女が居るんじゃないの!?」
「いねーよ、そんなん」
「それじゃあ、今日は私と居てよ! 朝まで一緒に居て!」
「無理。俺に不満があるなら、別れりゃいい」
「いや! 別れたくない!」
急に会う事をしなくなった俺に痺れを切らせた有紗は、当時住んでたアパートまで押し掛けてきたり、職場近くで待ち伏せたり、まるでストーカーのような行動を頻繁にするようになる。
それでも俺は、頑なに有紗を拒んだ。
その間、付き合いで合コンに参加したりもしたけど、どんなに言い寄られても、断るのが面倒でも、付き合う事も、身体の関係を持つ事もしなかった。
そんな中で俺は色々なツテを頼って亜夢の事を調べてみた。
すると、亜夢には彼氏がいる事が判明。
フリーじゃない事にガッカリはしたけど、それでも構わない。
亜夢が幸せならそれで良い、そう思った。
ただ、もし幸せじゃ無かったら? という思いが俺の頭を駆け巡り、今度は亜夢の彼氏――広丘 貴将について調べてみる事にした。
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