頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

夏目萌(月嶋ゆのん)

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 竜之介くんがお風呂から上がりソファーに並んで座った私たちは、ハーブティーを飲みながらどちらが先に口を開くか様子を窺っていた。

 何から話せばいいのか、なかなか口を開けなかった私たちだけど、先に口を開いたのは竜之介くんの方だった。

「――亜子さん、ごめん。俺、かなり子供だガキった。嫉妬して、勝手に不機嫌になって、そんな自分にも許せなくて、一緒に居ると余計に嫌な態度取りそうだったし、凜にまで嫌な態度取りそうだったから……暫く、頭を冷やしてた……本当にごめん」
「竜之介くん……ううん、いいの。私も悪かったの。逆の立場だったら私だって嫌な気持ちになったと思うし、彼の申し出を断ってタクシーで保育園まで行けば良かったんだもん。本当にごめんね」
「亜子さん……もう、いいんだ。仲直り、しよ?」
「うん……」

 喧嘩した……訳ではなかったけれど、微妙な雰囲気になってしまったのは確かで、それが無くなっただけでも嬉しいのに、『仲直りしようと』と私の身体を抱き締めてくれた竜之介くんの言動が嬉しくて、思わず泣きそうになった。

「――それはそうと、男に絡まれたっていうのは放っておけないよ」
「危機感が無くて、ごめん」
「亜子さんが悪い訳じゃ無いけど、やっぱり心配だな……。その男たちは亜子さんが働いてる所、知っちゃった訳でしょ?」
「うん……」
「……花宮と亜子さんが仲良くしてるのを見るのは正直嫉妬するし、面白くは無いけど……亜子さんに何かあってからじゃ大変だから、今日みたいに俺がどうしても行けない時は、アイツと一緒に保育園まで行ってもいいよ」
「え?」
「本当は、俺が信頼している奴に任せたいっていうのが正直なところだけど、一樹の件もあるから……俺よりも亜子さんが信頼出来ると思う人に頼むのが一番だと思うし……それに、花宮アイツは馴れ馴れしいけど、嫌な奴じゃ無さそうだし、頼りにはなるから……」
「竜之介くん……ありがとう。でもね、これからは仕事中一人で外に出ないようにするし、今日みたいに竜之介くんが来られない時はやっぱりタクシーで行くよ。だから、心配しないで?」

 守られている方が安心だけど、これ以上誰かに甘えてばかりでは駄目だし、いくら良いと言われても竜之介くんに嫌な思いをさせたくなかった私は良太くんには頼らない事を告げた。

「亜子さん……」
「竜之介くん……一緒に、寝ても良い?  今日は、一緒が良い……」

 帰宅してからすぐに竜之介くんが出て行ってしまい、帰って来なかったらどうしようと不安だった。

 一人はすごく、寂しかった。

 凜には申し訳無いけど、今だけはどうしても竜之介くんの温もりを感じていたくて、私は一緒に寝たいと口にした。

 そんな私の申し出に竜之介くんは、

「俺も、同じ気持ちだった。今日は二人で、一緒に寝よう」

 嬉しそうに笑顔を浮かべ、同じ気持ちだと伝えてくれた。

 翌朝、凜は目を覚ますや否や私には目もくれずに竜之介くんの元へ走っていく。

「おにーちゃん!」
「凜、昨日はごめんな。今日は帰ってきたら沢山遊ぼうな」
「うん!」

 凜は本当に竜之介くんの事が大好きだし、竜之介くんも凜を大切に思ってくれている。

 昨日の事があって、凜には竜之介くんが必要なんだと再確認したし、私自身も竜之介くんが居ないと淋しくて仕方が無いし、不安で堪らなかった。

 竜之介くんとの交際も続けられて、彼の縁談も無くなった今、私は竜之介くんとこれからもずっと一緒に居続けられるよう、確かな関係になりたいという思いがより一層強くなる。

 昨夜寝る前にその話をしたかったのに、色々あったせいかベッドに入ってギュッと抱きしめ合い、彼の温もりを感じた瞬間睡魔に襲われた私はいつの間にか眠ってしまっていた。

「亜子さん、どうかした?」
「え?  あ、ううん。なんて言うか、凜は本当に竜之介くんの事が好きなんだなって思って」
「うん!  おにーちゃんすき!」
「嬉しいな。俺も凜が好きだよ。勿論、亜子さんの事もね?」
「ふふ。私も同じだよ」

 こんなに互いを想い合い、好き合っているのだから、迷う事なんて何も無い。

 竜之介くんとなら、絶対に上手くいく。

 今度のお休みの日、三人でどこかへ出掛けて、そこで、竜之介くんに今の自分の想いを、素直なを気持ちを伝えようと決めた私は、自然と笑顔が溢れていく。

「ほら凜、早くご飯食べて準備しないと、保育園遅れちゃうよ?」
「うん!」
「俺が凜にご飯食べさせるから、亜子さんは自分の準備しちゃって大丈夫だよ」
「え?  そんなの悪いよ……」
「いいって。昨日凜と全然話す時間取れなかったから少しでも長く話したいしさ」
「……そっか。それじゃあ、お言葉に甘えてお願いするね」

 竜之介くんの厚意に甘えた私は凜を任せると、自分の準備と出掛けるまでに出来る限りの家事を進めていった。
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