頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

夏目萌(月嶋ゆのん)

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 驚いたけど嫌だった訳じゃないし、こんな竜之介くんは初めてで、どうすればいいのかと私は戸惑ってしまう。

「……竜之介くん、あの、ね……今の、嫌じゃ無かったけど、やっぱり……こういう所は恥ずかしい……」
「……うん、ごめん」
「その……家で、二人きりの時なら、大丈夫……だから、ね?」
「……それって、誘ってる?」
「…………そういう事、聞かないで。恥ずかしいから……」
「だって、亜子さんの口から聞きたいんだもん」
「もう。とりあえず、凜迎えに行こう?」
「そうだな」

 何とか機嫌を直してくれたらしい竜之介くんと手を繋いだ私は、保育園までの道のりを歩いて行った。

 だけど、折角機嫌が直った竜之介くんを再び不機嫌にする出来事が、保育園に着いた瞬間に起きる事に。

「あれ?  亜子さん?」
「え、良太くん?  どうしてここに?」

 凜を迎えにやって来ると、何故か保育園に良太くんの姿があった。

「ああ、今日から姪っ子がここに通う事になって、その迎えを頼まれててさ、今ちょうど迎えに来たんだ」
「そうなんだ?」

 なんという偶然だろう。

 こればかりは仕方のない事ではあるけど、こんな偶然、当然竜之介くんが良く思う訳はなくて、

「亜子さん、早く帰ろう」
「あ、う、うん……それじゃあ良太くん、またね」

 迎えを待ってた凜が一目散に竜之介くんの元へ走って来て抱き着くと、凜を抱き抱えた彼はこちらを見る事無く「帰ろう」と言ってさっさと歩いて行ってしまったので、私は急いで後を追いかけた。

「竜之介くん、怒ってる?」
「……怒ってないよ」
「そうかな?  何だか、不機嫌そうだよ……?」
「おにーちゃん、どーしたの?」
「ん?  いや、何でもないよ」
「ふーん?」

 抱っこされていた凜は私たちのやり取りに気付いたようで、竜之介くんに「どうしたの」と尋ねると、流石に凜相手に不機嫌な態度は取れなかったらしく、いつも通りの笑顔で「何でもない」と答えた彼。

 凜は不思議そうな顔をしたものの特に気にしてはいなかったみたいで、手に持っていたミニサイズの動物図鑑を眺め始めた。

 凜には普通に接してくれるなら良いかと私は何も言わずに彼の横を歩いていると、

「…………亜子さんごめん。俺、すげぇ嫌な奴だった。気持ち、切り替えるから」

 こちらに視線を向け、申し訳無さそうな表情を浮かべて呟く竜之介くん。

「謝らなくていいよ。彼が保育園に居たのは私も驚いちゃったけど、私が竜之介くんの立場だったら、仕方の無い事だと分かってても面白くないなって感じちゃうと思うから……そんな顔しなくても大丈夫だよ」
「亜子さん……ありがと。好きだよ」
「もう、こんなところで……私も好きだよ」

 歩きながらこんな事を言い合うなんてちょっと恥ずかしい気もするけど、それで竜之介くんの機嫌が直るならいくらでも伝えられる。

 すると、竜之介くんが急に私の耳元に顔を寄せて来て、

「……今日の夜、凜が寝たら……俺の言う事、沢山聞いてもらうからね?」
「――ッ!?」

 なんて言うもんだから、私は一人頬を真っ赤に染め上げていた。


 そして、夜――。

「亜子さん、ここ、来て?」

 凜を寝かしつけてくれた竜之介くんは私が座るソファーに腰掛けると、自分の膝を指差しながら手招きする。

 そして、恥ずかしがる私の身体を後ろからすっぽり抱き竦めると、

「ねぇ、亜子さん」
「な、何?」
「アイツに隙とか見せたら、駄目だよ?」
「そ、そんな事しないよ……っていうか、仕事するだけだから……心配する事は、無いと思うよ?」

 耳元で囁くように良太くんに隙を見せるなと念を押してくる。

「いや、心配だよ。亜子さんにその気無くても、アイツの方がって事もあるし」
「……ッ、そ、そんなの、考えすぎ、だよ……」

 時折服の上から胸の辺りを触ってきたり、首筋にキスをしてきたりと、悪戯に色々な所を攻められていく。

「亜子さんは、自分の魅力に気付いて無さ過ぎ……。子供がいるなんて思えないくらい可愛いし、華奢で、守ってあげたくなる……男は、亜子さんみたいな人に惹かれるんだよ」
「っん、……そんな、こと、……ない……ッ」
「本当に心配……。いっその事、俺も弁当屋で働こうかなぁ……」
「もう、大丈夫だからっ、心配、しないで……」
「うーん、けどやっぱり心配だから、俺のって印、沢山付けなきゃね?  そうすれば、少しは安心出来るかも」
「……っあ、……んッ」

 もはやこの状況を愉しんでいるのか、竜之介くんは首筋からうなじ辺りまで舌を這わせてくると、今度はそこに吸い付いてきた。
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