頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

夏目萌(月嶋ゆのん)

文字の大きさ
上 下
51 / 65
12

1

しおりを挟む
 あれから凜が昼寝から目覚めてしまい、竜之介くんが帰って来ていた事を喜んで彼を独占状態。

 夕飯を食べ、お風呂を済ませ、眠くなるまで竜之介くんにベッタリだった凜もようやく寝てくれて、ひと息吐いた私たちは竜之介くんの部屋で話の続きをする事になった。


「……それじゃあ、俺の方から話すよ」
「うん……」

 ベッドの上に並んで座った私たちは少し時間が経ってしまった事もあってなかなか話始めるタイミングが掴めず若干気まずい状態が続いていたものの、竜之介くんの方からそう切り出してくれた。

「――一樹から聞いたと思うけど、俺は今日、西ノ宮財閥の令嬢と、二人で会ってた。経緯としては、以前名雪家うちが開いたパーティーに来ていた彼女が俺の事を気に入ったのが始まりだったみたいで、親父の耳にその話が入った事で、見合いって形で会う話が進んでた。西ノ宮と名雪は仕事での交流もあるから親父の顔を立てる為に、会う事にしたんだ」
「……そう、だったんだね」
「ただ、俺は見合いのつもりは無いし、この前一度親父と話もして、俺にはその気が無い事、亜子さんと付き合ってる事もきちんと話した。今日の事は決まっていた事だから断れなくて会ったけど、勿論本人にも付き合ってる人がいる事を伝えた上で断ってきた。だから、亜子さんが心配するような事は何もないんだよ」

 そう言って私の身体を抱き締めてくれた竜之介くん。

 話を聞いて、私は馬鹿だと思った。彼はこんなにも私の為に動いてくれていたのに、私は田所さんからの話に一人で悩んで、あんな風に、竜之介くん以外の人にキスまでされて……。本当に、馬鹿みたい。不安に思う事があるなら、すぐに相談すれば良かったのに。

「亜子さん、次は亜子さんの番だよ。この前から少し様子が変だった事が気になってた。この前の事も含めて、一樹絡みで何かあったんだよね?  隠さないで、ありのままを話して欲しい」
「…………その、竜之介くんがお見合いをするっていう話は、先日田所さんが話があるって家に来た時に、偶然聞いてしまって……その事に気付いていた田所さんが、この前竜之介くんの代わりに迎えに来てくれた時に、色々教えてくれた。そして、竜之介くんのご両親は私たちの関係をよく思っていないから……私の方から、竜之介くんの元を去って欲しいって……言われて……」

 隠し事をしたくないから話はしたものの、何だか告げ口しているみたいで少し複雑な気分になる。

 そんな私の話を聞いた竜之介くんの表情は当然、怒りに満ちていた。

「一樹が、そんな事を……。確かに、親父たちに同居の事をよく思われて無かったのは事実なんだけど、この前改めて話をして交際を始めた事を告げたら、それについては好きにしていいって言われた。だから問題無いんだ。一樹がそんな事を思っていたのは俺も知らなかった……知らずに頼って亜子さんの助けになればと思って色々頼んでいたけど……それが亜子さんを苦しめる事になってたなんて……本当にごめん」
「ううん、謝らないで。竜之介くんが悪い訳じゃない……そもそも誰も悪くは無いのよ。私たちの事を反対する人がいても、不思議じゃないの。ご両親だって田所さんだって竜之介くんを大切に思うからこそ、私みたいなバツイチ子持ちと親密な関係にあるって聞いたら、難色を示すのは当たり前なのよ。それは仕方が無いって覚悟していたから」
「亜子さん……」
「でも、もう悩むのは止める。誰に何を言われても、私は竜之介くんを信じるよ」
「うん、そうして。何かあったらすぐに話して。一人で悩まないでね」
「うん」

 顔を見合せ、少しずつ、距離が縮まる。

 その時ふと、昼間の出来事がフラッシュバックする。

「――ッ」
「亜子さん?」
「…………竜之介くん、ごめんなさい……」
「何?  どうして謝るの?」

 そう、私には、まだ言えていない事があったのだ。

 寧ろ一番に話して謝罪すべき事が。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さな恋のトライアングル

葉月 まい
恋愛
OL × 課長 × 保育園児 わちゃわちゃ・ラブラブ・バチバチの三角関係 人づき合いが苦手な真美は ある日近所の保育園から 男の子と手を繋いで現れた課長を見かけ 親子だと勘違いする 小さな男の子、岳を中心に 三人のちょっと不思議で ほんわか温かい 恋の三角関係が始まった *✻:::✻*✻:::✻* 登場人物 *✻:::✻*✻:::✻* 望月 真美(25歳)… ITソリューション課 OL 五十嵐 潤(29歳)… ITソリューション課 課長 五十嵐 岳(4歳)… 潤の甥

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ネカフェ難民してたら鬼上司に拾われました

瀬崎由美
恋愛
穂香は、付き合って一年半の彼氏である栄悟と同棲中。でも、一緒に住んでいたマンションへと帰宅すると、家の中はほぼもぬけの殻。家具や家電と共に姿を消した栄悟とは連絡が取れない。彼が持っているはずの合鍵の行方も分からないから怖いと、ビジネスホテルやネットカフェを転々とする日々。そんな穂香の事情を知ったオーナーが自宅マンションの空いている部屋に居候することを提案してくる。一緒に住むうち、怖くて仕事に厳しい完璧イケメンで近寄りがたいと思っていたオーナーがド天然なのことを知った穂香。居候しながら彼のフォローをしていくうちに、その意外性に惹かれていく。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜

ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。 そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、 理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。 しかも理樹には婚約者がいたのである。 全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。 二人は結婚出来るのであろうか。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

処理中です...