頼れる年下御曹司からの溺愛~シングルマザーの私は独占欲の強い一途な彼に息子ごと愛されてます~

夏目萌(月嶋ゆのん)

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 暫くして、買い忘れた物を買って戻って来た竜之介くんの手には紳士服が売っているお店のショップ袋があって、それをトランクにしまうと運転席に着いた。

「ごめんね、待たせて」
「ううん、平気だよ」
「凜は、寝ちゃったの?」
「うん、今日は結構はしゃいだからね、疲れたんだと思う」
「そっか。それじゃあ、帰ろうか」
「うん」

 何を買ってきたのか気にはなったけれど、そこまで詮索するのは違う気もして、特にその事には触れなかった。

 帰り道にコンビニに寄ってお弁当を購入した私たちは夜八時過ぎくらい自宅へ戻ってきて、お風呂を済ませて買ってきたお弁当を食べながら三人で今日の出来事を振り返りながら『また行こうと』と約束を交わした。

 遊園地の途中やショッピングモールからの帰り道で眠ってしまっていた凜はなかなか寝付く事が出来ず、日付が変わるくらいまでぐずりながらもようやく眠ってくれた。

「亜子さん、お疲れ様」
「竜之介くん、ありがとう」

 リビングに戻って来ると、竜之介くんがハーブティーを淹れたカップを差し出してくれたのだけど……

「あれ?  このカップ……」

 差し出されたマグカップは、何やら見覚えのあるものだった。

「亜子さん、欲しそうだったからさ、内緒で買ってきたんだ」

 そう、そのマグカップは今日雑貨屋さんで見ていたペアのマグカップで、竜之介くんの手には私のと色違いのカップが握られていた。

「俺も、亜子さんとお揃いの物欲しいと思ってたからさ、嬉しいなって思った」
「竜之介くん……」

 これにはびっくりしたし、言葉では言い表せないくらいの嬉しさが込み上げて来る。

 だって、内緒で買って来てくれただけではなくて、竜之介くんもお揃いの物を欲しいと思ってくれていたのだから。

「ありがとう、凄く嬉しい」

 涙が出るくらいに嬉しくて、私は笑顔でお礼を口にした。

 どうして彼は、こんなにも私が望む事をしてくれるのだろう。

「喜んでくれて俺も嬉しいよ……亜子さん、ここに来て?」

 手にしていたマグカップをテーブルに置いた竜之介くんは、隣に座る私にもう少し近づいてくるよう手招きする。

「……うん」

 ちょっとだけ恥ずかしかったけど、今は凄く彼にくっつきたい気分だった私は迷わずそれに従った。

 すると、後ろから抱き締められて彼に包み込まれるような形になって、恥ずかしいけど幸せな気分に心が躍る。

「今日、凄く楽しかった。凜も楽しそうだったし、俺的には、本当の家族みたいな感覚だった」
「……私も、楽しかったよ。凜を可愛がってくれて、それだけでも私は幸せなの。私も、本当の家族みたいな感覚だった」
「これからも、休みの日は色々なとこに出掛けよ?」
「でも、それじゃあ全然休めないよ?」
「いや、俺は凜や亜子さんが幸せなら、それだけで疲れも吹っ飛ぶし癒されるから、充分休めるよ」
「もう、竜之介くんってば……そういう事ばっかり言う。でも嬉しい……ありがとう」

 何だか私は、彼に甘やかされてばかりな気がする。

「――亜子さん、ちょっと目、閉じてくれる?」
「目を?」
「うん。いいって言うまで、開けないでね」
「……分かった」

 突然竜之介くんから目を閉じて欲しいと言われ不思議に思いながらも素直に従い目を閉じる。

 少しだけ不安に感じながらも彼が『いいよ』と言うのを待っていると、

「――ッ!?」

 急に首元に何かひんやりした物が触れて思わず声を上げそうになる。

「ごめん、びっくりしたよね。もういいから、目開けて」

 そう言われて瞳を開いてみると、

「嘘……どうして?」

 胸元では、雑貨屋さんで見たあのハートのネックレスが光っていた。
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