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その夜、片付けを終えた頃は既に夕方だった事から、夕食はデリバリーのピザを頼む事になった。
「ピザ! おいしそー!」
届いてダイニングテーブルに並べるや否や、普段あまり種類豊富なピザを目にする事のない凜は大喜びで、いつになくすんなり席に着いてくれた。
「よし、それじゃあまずは乾杯でもするか。凜、コップ持って」
「うん」
「亜子さんも、はい」
「ありがとう」
私と竜之介くんはコーラの入ったグラスを、凜はオレンジジュースの入ったコップを手にする。
「今日から始まった新生活に、乾杯」
「かんぱーい」
「乾杯」
そして、竜之介くんの乾杯の音頭に私や凜もグラスやコップを軽く合わせて一口飲んだ。
「凜、どれから食べるんだ?」
「えっとねぇ、これ!」
「照り焼きか。ポテトもいる?」
「うん!」
食べ始めようとすると、竜之介くんは当たり前のように率先して凜の分のピザを取り分けてくれる。
「ごめんね竜之介くん、凜の分取り分けてもらっちゃって」
「これくらい何でもないし。凜の事は俺に任せて、亜子さんは好きなの食べてて」
「うん、ありがとう」
まるで、一家団欒の風景にも見えるこの光景。傍から見れば私たちは家族に見えるだろうし、凜と竜之介くんは親子に見えるのだろうか。
凜も竜之介くんも凄く楽しそうにしている事が嬉しくて、私は自然と頬を緩ませながらチーズがこれでもかと掛かっているピザを一枚手に取って頬張った。
夕食を終えると、竜之介くんが凜をお風呂に入れてくれると言うのでお任せして、私は片付けをした後で明日の保育園の準備やらをして二人が上がってくるのを待っていた。
「凜の寝かしつけは俺がやるから、亜子さんはゆっくりお風呂に入って来てよ」
「え? でも……」
「ぼく、おにーちゃんにえほんよんでもらうやくそくしたの!」
「そうなの?」
「うん!」
「そういう訳だから、亜子さんはゆっくりしててよ」
「……ありがとう、それじゃあお風呂に入って来るね」
結局、お風呂から寝かしつけまで竜之介くんにお任せする形になってしまい、手持ち無沙汰になった私はゆっくりお風呂に入る事にした。
髪や身体を洗ってふと鏡を見てみると、首筋にある赤い痣が目に入る。
(これ……あの時の……)
日中は髪を下ろしているから気付きにくかったけれど、髪を洗った後にタオルを巻いているせいで首筋が丸見えになってこの痣の存在に気付いてしまい、昨夜の出来事を思い出してしまう。
正直、昨夜の一件から私は既に気持ちが揺らぐのを感じていた。恋愛をしないという、決意の揺らぎを。
(恋愛……しても、いいのかな)
シングルマザーだから恋愛をしてはいけないという訳じゃ無いけど、子供が一番である事は絶対条件だ。
(竜之介くんは凜の事も凄く可愛がってくれるし、凜も凄く懐いてる……)
世間では交際相手による虐待のニュースも溢れているけど、竜之介くんならば絶対に無いと断言出来る。
(……でも、本当に私なんかでいいのかな?)
仮に竜之介くんと付き合い始めたとして、バツイチ子持ちの女と交際してるだなんて知れて彼のご両親からの印象とか、彼の将来の足枷になるような事だけは絶対に避けたい。
(竜之介くんは気にしなくていいって言うけど、やっぱり、気になっちゃうよ……)
竜之介くんに想いを伝えて彼の一番になりたいのに、様々な障害が私の決意を余計に揺るがせて、いつまでも経っても答えを出す事が出来ないでいた。
「ピザ! おいしそー!」
届いてダイニングテーブルに並べるや否や、普段あまり種類豊富なピザを目にする事のない凜は大喜びで、いつになくすんなり席に着いてくれた。
「よし、それじゃあまずは乾杯でもするか。凜、コップ持って」
「うん」
「亜子さんも、はい」
「ありがとう」
私と竜之介くんはコーラの入ったグラスを、凜はオレンジジュースの入ったコップを手にする。
「今日から始まった新生活に、乾杯」
「かんぱーい」
「乾杯」
そして、竜之介くんの乾杯の音頭に私や凜もグラスやコップを軽く合わせて一口飲んだ。
「凜、どれから食べるんだ?」
「えっとねぇ、これ!」
「照り焼きか。ポテトもいる?」
「うん!」
食べ始めようとすると、竜之介くんは当たり前のように率先して凜の分のピザを取り分けてくれる。
「ごめんね竜之介くん、凜の分取り分けてもらっちゃって」
「これくらい何でもないし。凜の事は俺に任せて、亜子さんは好きなの食べてて」
「うん、ありがとう」
まるで、一家団欒の風景にも見えるこの光景。傍から見れば私たちは家族に見えるだろうし、凜と竜之介くんは親子に見えるのだろうか。
凜も竜之介くんも凄く楽しそうにしている事が嬉しくて、私は自然と頬を緩ませながらチーズがこれでもかと掛かっているピザを一枚手に取って頬張った。
夕食を終えると、竜之介くんが凜をお風呂に入れてくれると言うのでお任せして、私は片付けをした後で明日の保育園の準備やらをして二人が上がってくるのを待っていた。
「凜の寝かしつけは俺がやるから、亜子さんはゆっくりお風呂に入って来てよ」
「え? でも……」
「ぼく、おにーちゃんにえほんよんでもらうやくそくしたの!」
「そうなの?」
「うん!」
「そういう訳だから、亜子さんはゆっくりしててよ」
「……ありがとう、それじゃあお風呂に入って来るね」
結局、お風呂から寝かしつけまで竜之介くんにお任せする形になってしまい、手持ち無沙汰になった私はゆっくりお風呂に入る事にした。
髪や身体を洗ってふと鏡を見てみると、首筋にある赤い痣が目に入る。
(これ……あの時の……)
日中は髪を下ろしているから気付きにくかったけれど、髪を洗った後にタオルを巻いているせいで首筋が丸見えになってこの痣の存在に気付いてしまい、昨夜の出来事を思い出してしまう。
正直、昨夜の一件から私は既に気持ちが揺らぐのを感じていた。恋愛をしないという、決意の揺らぎを。
(恋愛……しても、いいのかな)
シングルマザーだから恋愛をしてはいけないという訳じゃ無いけど、子供が一番である事は絶対条件だ。
(竜之介くんは凜の事も凄く可愛がってくれるし、凜も凄く懐いてる……)
世間では交際相手による虐待のニュースも溢れているけど、竜之介くんならば絶対に無いと断言出来る。
(……でも、本当に私なんかでいいのかな?)
仮に竜之介くんと付き合い始めたとして、バツイチ子持ちの女と交際してるだなんて知れて彼のご両親からの印象とか、彼の将来の足枷になるような事だけは絶対に避けたい。
(竜之介くんは気にしなくていいって言うけど、やっぱり、気になっちゃうよ……)
竜之介くんに想いを伝えて彼の一番になりたいのに、様々な障害が私の決意を余計に揺るがせて、いつまでも経っても答えを出す事が出来ないでいた。
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