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鮫島さんから改めて遠慮せずに頼って欲しいと言われてから暫く経った、ある日の仕事終わり。
公園で遊びたいという凜に付き合って少しだけ帰り道にある少し大きめの児童公園に寄り道していると、
「……正人」
後をつけて来たのか、再び正人が私の前に現れた。
「……何? もう来ないでって言ったでしょ?」
「そんな事言うなよ、俺が悪かった! この通り! な?」
極力関わりたくない私が素っ気ない態度で何しに来たのかを問うと、正人は急にその場に膝を付き、悪かったと言いながら土下座をして見せた。
「なっ! ちょっと、何してるの? 止めてよ!」
陽も暮れかけた夕暮れ時で公園内には私たち以外に人は居ないものの、誰かが通りがかったりしてこの光景を見られたくない私が止めるように言うも、それを無視して正人は言葉を続けていく。
「俺、反省したんだよ。心入れ替えるからさぁ、やり直そうぜ? な?」
「そ、そんなの無理だよ」
「何でだよ? 俺が悪かったって言ってるだろ?」
初めこそ下手に出ていた正人だけど、私が頑なに拒んでいると徐々に本性を表してくる。
「俺がこうまでして頼んでんだぞ? 何とも思わねぇのかよ?」
「……正直、そのくらいじゃ、信用なんて出来ないわ」
「はあ?」
そして、私の言葉に苛立ちを露わにした正人は土下座を止めて立ち上がると、
「テメェ! 人が下手に出てりゃいい気になりやがって! 何様だよ、お前は!」
「きゃっ! や、止めてっ」
怒鳴り声を上げながら私の髪を掴み上げて頬に平手打ちされた。
その瞬間、過去に受けた暴力の数々がフラッシュバックして全身が震え上がってしまい、身を守るために蹲ってしまう。
そんな私と正人のやり取りを砂場の方から見ていた凜は、
「うわぁーんっ、ママぁ……」
私が殴られた事で恐怖を感じたのか泣き出してしまった。
(凜を、守らなきゃ……!)
恐怖で動けない中、何とか震える身体に喝を入れて立ち上がった私が凜の方へ行ことしたのだけど、
「ッチ! 相変わらずうるせぇガキだな。おい亜子! やり直すって言うまでコイツは俺が預かる。いいな?」
「止めて! 凜を巻き込まないで! 離して!」
話し合いでは解決しないと悟った正人は私よりも先に凜の元へ歩いて行くと、泣きじゃくる凜を抱き上げて連れ帰ろうとする。
「うるせぇな! 俺はコイツの父親だぞ? 返して欲しけりゃやり直すって言えよ!」
「何が父親よ? 女作って別れを切り出したのは正人の方でしょ? もう私たちに関わらないでよ!」
「生意気な女だな、もっと痛い目みねぇと分からねぇのかよ!?」
言い返した事で更に正人の怒りに火をつけてしまったらしく、凜を離した正人が再び私に掴み掛かって拳を振り上げた、その時、
「何やってんだよ!?」
私に向けられたはずの拳がすんでのところで受け止められると同時に、
「……鮫島、さん」
助けに現れた鮫島さんの姿に安堵したからか、私は崩れ落ちるようにその場にしゃがみ込んでしまった。
「うわーん、おにーちゃーんっ!!」
助けに現れた鮫島さんに凜も駆け寄って来て、私たちは彼に庇われる形になる。
「またお前かよ?」
「それはこっちの台詞だ。お前、いい加減にしろよ?」
「あ? テメェこそ関係ねぇくせに、いちいち首突っ込んでくんじゃねぇよ!」
「お前こそ、今は何の関係も無いだろ?」
「俺と亜子はこのガキの親だ。関係あんだよ」
売り言葉に買い言葉、二人の間に険悪な空気が漂っている中、座り込む私は凜をギュッと抱き締めながらその行方を静かに見守った。
公園で遊びたいという凜に付き合って少しだけ帰り道にある少し大きめの児童公園に寄り道していると、
「……正人」
後をつけて来たのか、再び正人が私の前に現れた。
「……何? もう来ないでって言ったでしょ?」
「そんな事言うなよ、俺が悪かった! この通り! な?」
極力関わりたくない私が素っ気ない態度で何しに来たのかを問うと、正人は急にその場に膝を付き、悪かったと言いながら土下座をして見せた。
「なっ! ちょっと、何してるの? 止めてよ!」
陽も暮れかけた夕暮れ時で公園内には私たち以外に人は居ないものの、誰かが通りがかったりしてこの光景を見られたくない私が止めるように言うも、それを無視して正人は言葉を続けていく。
「俺、反省したんだよ。心入れ替えるからさぁ、やり直そうぜ? な?」
「そ、そんなの無理だよ」
「何でだよ? 俺が悪かったって言ってるだろ?」
初めこそ下手に出ていた正人だけど、私が頑なに拒んでいると徐々に本性を表してくる。
「俺がこうまでして頼んでんだぞ? 何とも思わねぇのかよ?」
「……正直、そのくらいじゃ、信用なんて出来ないわ」
「はあ?」
そして、私の言葉に苛立ちを露わにした正人は土下座を止めて立ち上がると、
「テメェ! 人が下手に出てりゃいい気になりやがって! 何様だよ、お前は!」
「きゃっ! や、止めてっ」
怒鳴り声を上げながら私の髪を掴み上げて頬に平手打ちされた。
その瞬間、過去に受けた暴力の数々がフラッシュバックして全身が震え上がってしまい、身を守るために蹲ってしまう。
そんな私と正人のやり取りを砂場の方から見ていた凜は、
「うわぁーんっ、ママぁ……」
私が殴られた事で恐怖を感じたのか泣き出してしまった。
(凜を、守らなきゃ……!)
恐怖で動けない中、何とか震える身体に喝を入れて立ち上がった私が凜の方へ行ことしたのだけど、
「ッチ! 相変わらずうるせぇガキだな。おい亜子! やり直すって言うまでコイツは俺が預かる。いいな?」
「止めて! 凜を巻き込まないで! 離して!」
話し合いでは解決しないと悟った正人は私よりも先に凜の元へ歩いて行くと、泣きじゃくる凜を抱き上げて連れ帰ろうとする。
「うるせぇな! 俺はコイツの父親だぞ? 返して欲しけりゃやり直すって言えよ!」
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「生意気な女だな、もっと痛い目みねぇと分からねぇのかよ!?」
言い返した事で更に正人の怒りに火をつけてしまったらしく、凜を離した正人が再び私に掴み掛かって拳を振り上げた、その時、
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「あ? テメェこそ関係ねぇくせに、いちいち首突っ込んでくんじゃねぇよ!」
「お前こそ、今は何の関係も無いだろ?」
「俺と亜子はこのガキの親だ。関係あんだよ」
売り言葉に買い言葉、二人の間に険悪な空気が漂っている中、座り込む私は凜をギュッと抱き締めながらその行方を静かに見守った。
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