美の仮面

彩乃

文字の大きさ
上 下
6 / 7

4

しおりを挟む
話がよく分からない。「この顔をした店員」ってなんだ。双子か?いや、それはない。だって彼女は「不細工」だったのだから――。考えれば考えるほど分からない。背筋に冷たい汗が流れた。十二月も終わりだというのに、身体がほてっている。目の前にいる女が得体の知れない何かに見えてきて、堪らず女から目を背けた。
「ねぇ、聞いてる?ここからが面白いんだけど」
女が視線を絡ませてくる。作り物の肌が妖しく輝く。私の頭にある恐ろしい考えが浮かんだ。
「――奪ったのか?」
「……え?」
、と聞いている」
 自分でもおかしなことを言っている自覚はあった。しかし、彼女ならそれもあり得る気がした。美貌のために、顔を引き剥がし、自分の顔にすげ替える。あるいは、身体ごと乗っ取って――。
訝しげな視線を投げかける私を見て、思わず、といったように笑みを洩らすと、彼女は口を開いた。
「あなたが想像しているような物騒な話じゃないわ」
 女はグラスを鳴らした。
「もらったのよ。店員さんから、もらったの」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

路傍の人

家霊
現代文学
路傍の人 路銀 牢として ロータリー 労を取る

銀河鉄道の夜

浅野浩二
恋愛
夜の電車の中。優しい中年のおじさんと若いOLが隣り合って座っていた。OLはおじさんを好きになった。二人を乗せた電車は銀河へと飛び立っていった。爽やかショートショートファンタジー小説です。

「性加害」伊藤理々杏 遠藤さくら著作

すずりはさくらの本棚
現代文学
「性加害」伊藤理々杏に関して語ります。遠藤さくら著作

始業式で大胆なパンチラを披露する同級生

サドラ
大衆娯楽
今日から高校二年生!…なのだが、「僕」の視界に新しいクラスメイト、「石田さん」の美し過ぎる太ももが入ってきて…

獣人の里の仕置き小屋

真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。 獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。 今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。 仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。

処理中です...