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話がよく分からない。「この顔をした店員」ってなんだ。双子か?いや、それはない。だって彼女は「不細工」だったのだから――。考えれば考えるほど分からない。背筋に冷たい汗が流れた。十二月も終わりだというのに、身体がほてっている。目の前にいる女が得体の知れない何かに見えてきて、堪らず女から目を背けた。
「ねぇ、聞いてる?ここからが面白いんだけど」
女が視線を絡ませてくる。作り物の肌が妖しく輝く。私の頭にある恐ろしい考えが浮かんだ。
「――奪ったのか?」
「……え?」
「その店員の顔を奪ったのか、と聞いている」
自分でもおかしなことを言っている自覚はあった。しかし、彼女ならそれもあり得る気がした。美貌のために、顔を引き剥がし、自分の顔にすげ替える。あるいは、身体ごと乗っ取って――。
訝しげな視線を投げかける私を見て、思わず、といったように笑みを洩らすと、彼女は口を開いた。
「あなたが想像しているような物騒な話じゃないわ」
女はグラスを鳴らした。
「もらったのよ。店員さんから、もらったの」
「ねぇ、聞いてる?ここからが面白いんだけど」
女が視線を絡ませてくる。作り物の肌が妖しく輝く。私の頭にある恐ろしい考えが浮かんだ。
「――奪ったのか?」
「……え?」
「その店員の顔を奪ったのか、と聞いている」
自分でもおかしなことを言っている自覚はあった。しかし、彼女ならそれもあり得る気がした。美貌のために、顔を引き剥がし、自分の顔にすげ替える。あるいは、身体ごと乗っ取って――。
訝しげな視線を投げかける私を見て、思わず、といったように笑みを洩らすと、彼女は口を開いた。
「あなたが想像しているような物騒な話じゃないわ」
女はグラスを鳴らした。
「もらったのよ。店員さんから、もらったの」
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