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プロローグ
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いつの御代のことでしたでしょうか。
ある男が必死で逃げておりました。
靴は脱げ、髪はほつれ、烏帽子は落ちかかっておりますが、気に留める暇もありません。
男を追いかけているのは、どす黒い雲のような塊です。
男は息を切らせながら逃げますが、黒い雲はどこまでも追いかけてくるのです。
さらに、気を抜くと黒い雲に吸い込まれそうになってしまいます。
男は黒い雲の正体は分かりませんが、飲み込まれてはいけないと直感しておりました。
しかし、ついに息が切れて脚がもつれ、転んでしまったのです。
すると、待ち構えていたかのように、スッと黒い雲が男を取り囲み四方八方からジリジリと詰め寄ってきます。
男は恐ろしさのあまり声もだせず、ただ慄くばかりでした。
黒い雲が肩に触れるまで近づいたその時、ヒュンっという音と共に一筋の光が差し込み、あっという間に黒い雲は消えてしまったのです。
男は「助かった」と安堵しながら、光の向こうを見やると、清廉な空気をまとう女の姿がみえました。
ある男が必死で逃げておりました。
靴は脱げ、髪はほつれ、烏帽子は落ちかかっておりますが、気に留める暇もありません。
男を追いかけているのは、どす黒い雲のような塊です。
男は息を切らせながら逃げますが、黒い雲はどこまでも追いかけてくるのです。
さらに、気を抜くと黒い雲に吸い込まれそうになってしまいます。
男は黒い雲の正体は分かりませんが、飲み込まれてはいけないと直感しておりました。
しかし、ついに息が切れて脚がもつれ、転んでしまったのです。
すると、待ち構えていたかのように、スッと黒い雲が男を取り囲み四方八方からジリジリと詰め寄ってきます。
男は恐ろしさのあまり声もだせず、ただ慄くばかりでした。
黒い雲が肩に触れるまで近づいたその時、ヒュンっという音と共に一筋の光が差し込み、あっという間に黒い雲は消えてしまったのです。
男は「助かった」と安堵しながら、光の向こうを見やると、清廉な空気をまとう女の姿がみえました。
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