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要領を得ない侍女でも黙って聞いてくれるだけマシと割り切った綺羅は、おしゃべりをしていた。
そこへ、姿を消していたシアンがソファーセットの横に姿を現した。
「悪夢を見ないようにする方法ならあるぞ」
「私にこれ以上、変な術をかけないで」
ネズミ頭との戦いのことを思い出して綺羅は露骨に嫌な顔をした。
「お姫さんに術をかけなければいいのだろう」
「・・・・・・?」
綺羅が訝しげにシアンを見つめた途端、部屋の内装が変わった。
「ここ、私の部屋」
一瞬にして宿の部屋が龍宮城の自室に変わったのである。
「自分の部屋なら少しは気分が変わるだろう」
早く寝ろ、とシアンは綺羅を荷物のように肩に担いで運ぶと、ベッドへ放り投げた。
「痛いわね。レディの扱いを知らないの?」
「妖魔がそんなこと知るわけがないだろう」
バリトンの美声で言われて綺羅は諦めてベッドに潜り込んだ。
これまでも、ネグリジェが汗で濡れて着替えた時に、龍宮城に置いてきたはずのネグリジェを渡されていた。それでも、妖魔のすることだからと勝手に納得して済ませていた。しかし、部屋まで改装されたのを目の当たりにするとシアンの能力がどれだけ高いか実感せざるを得ない。
ところが、久しぶりに自分のベッドに横たわり、布団を被った綺羅はシアンのことなど忘れて安心しきって眠ってしまった。
だが、翌日の目覚めは最悪だった。仲間の龍使いを殺す夢を見たからである。自分の龍剣で龍使いを刺し殺した。その感触と血の匂いが消えない。
「姫様、大丈夫ですか」
着替えを手伝う侍女もさすがに心配そうだ。
「・・・・・・。えぇ、大丈夫。こういう時こそ外に出た方がいいのよ」
部屋に居れば悪夢のことをいろいろ考えてしまうに違いない。
綺羅はいつも通りシアンと街へ出掛けた。
消えた楽団員の自宅や出入りしている店などを辿って、妖魔の痕跡を探して歩くが見つからない。
「相当強い妖魔が絡んでいるということかしら」
綺羅は寝不足の顔でシアンを見上げる。
「妖獣ではなく妖魔というのは間違いないな」
いつもなら「さぁな」と言いそうなシアンなのだが、ここ数日は妙に優しい。
「シアンより弱いのかしら?」
「当たり前だ。俺と同等の妖魔など数人しかいない」
「・・・・・・。そう」
取りあえずシアンと同等の妖魔ではないことがわかり、ほんの少しだけ綺羅は安心した。
この日はベッドで眠るどころか宿の部屋に戻りたくなくなり、夕食は外で食べることにした。
もちろん、1ガルルが使える店である。
しかし、ミュゲでの滞在が長引いていることに責任を感じた綺羅は、1ガルルが使える店でも格安の飲食店を選んだ。それが失敗だった。
綺羅が入ったのは庶民でも気さくに出入りできるバルだった。1ガルルを使える店ではあるが、下っ端の騎士や役人が出入りする店らしい。
綺羅はそのことに気がつかないまま、カウンターに座ると食事とブドウジュースを頼んだ。
すると、店主がワイングラスを出した。
「私、ワインは頼んでないわ」
綺羅が返そうとすると店主が苦笑いした。
「ブドウジュースは置いているが、グラスはビールジョッキかワイングラスしかねぇんだ」
「そう。ワイングラスで飲むのも面白いわね」
綺羅がニコリと笑って一口飲むと店主が笑った。
「面白い龍使い様だ」
店主の大きな声に店内の客が一斉に綺羅を見た。
綺羅はあえて気がつかないフリをするが、常連と思われる客にすぐに絡まれる。
「龍使い様ってこの前、鳥の大群を退治したお嬢ちゃんか」
「こんなところでお目にかかれるとは思わなかったな」
2人組の男は龍宮王よりも少し若いようだが、手や顔が煤けている。悪い人には見えないと思った綺羅は、彼らと話をしながら情報を集めることにした。
「2人は職人さん?ミュゲの街は長いの?」
「職人さんっていえばそうだな。ガラスを作っている、な」
「あぁ、もう20年近くになるよ」
「まぁ、ガラス工芸作家さんだったの?」
綺羅が目を輝かせると、彼らは片手を振った。
「違う、違う。俺らは日常使いするガラスを作っているだけだ。ドームやガレ工房の人間ならまだしも、俺らはただの職人ってやつさ」
「そう。でもすごいわ」
綺羅はガラス作りがどんなものか聞きながらブドウジュースを飲み干す。
「いい飲みっぷりだ。龍使い様におかわり!」
店主に向かって1人の男が言うと、店主に代わって店員がワイングラスを片付けておかわりを出した。それから2時間後、綺羅が情報収集どころか何を話しているのかわからなくなった頃、シアンが店に現れた。
「あら、どうしたの?」
無表情を崩さず無言のまま綺羅を立ち上がらせると、店の外に連れ出す。
「ちょっと、せっかく情報集めようとしていたのにぃ・・・・・・」
「じゃあ、集めた情報を言ってみろ」
シアンは静な口調で訊ねる。綺羅はぼんやり考えるが思いつかない。
「・・・・・・。なんだったかしら」
「宿に戻るぞ」
シアンは細い路地に綺羅を連れて行くと、そこは綺羅の部屋だった。部屋に着くと何から何まで侍女に任せて水を飲んでから風呂に入り、ネグリジェに着替えると、シアンに荷物のように肩に担がれベッドへ放り投げ出された。
「さっさと寝ろ」
無表情のまま立ち去ろうとするシアンのローブを綺羅が引っ張った。
「抱っこ、抱っこ」
綺羅は手足をばたつかせてシアンに抱っこをせがんだ。
「・・・・・・。ふざけているのか」
シアンが呆れた声を出す。
だが、そんなことお構いなしに綺羅は赤ん坊のように抱っこをせがむ。
「もう、なんで抱っこしてくれないの」
涙声になった綺羅にシアンは慌てた。シアンは人間よりも長い時間を生きている妖魔だ。それでも、女に泣かれるのは苦手らしい。
「わかった。わかった」
シアンは仕方なくベッドに腰をかけて、ベッドに寝転がる綺羅の背中をポンポンと叩く。
「違う!」
突然怒り出した綺羅は起き上がると、シアンの膝を跨いで向き合うように座った。
「・・・・・・」
呆気に取られるシアンをよそに綺羅は、シアンの両腕を掴むと自分の身体に巻き付けるように誘導する。溜息を吐きながら腕に力を込めると綺羅が、シアンの胸にすり寄った。
「わかればいいのよ」
満足そうな声にシアンは頭が痛いような気がする。頭痛持ちの妖魔など聞いたこともないが。
「思っていた以上に小さいな。お姫さんは」
感想を素直に声に出しただけなのだが、綺羅の何かに触れたらしい。
「ちょっと、どういうこと?私が貧相だと言いたいの?だいたい、貴方はいつも、いつも肝心なことを教えてくれないし、何考えているかわからないし。妖魔だから感覚が違うのは分かるけど、私の事なんか気にもかけてくれない。それなのに、契約だからってついて来てなんなのよ。もう!!」
今まで貯まっていた不満が吹き出した。ポカポカとシアンの胸を叩く。
「もう、私はまだ一人前の龍使いじゃないから、毎日必死なのに・・・・・・」
しばらくすると綺羅の寝息が聞こえて来た。
「俺は護れと言われたがお守りをしろとは言われてないぞ」
妖魔相手に安心しきった寝顔を見ながらシアンは呟いた。
翌朝、綺羅は久しぶりに悪夢を見ずスッキリと目覚めた。
「あー、よく寝た」
寝室を出てリビングへ行くと珍しくシアンが立って待っていた。
「どうかしたの?」
いつもは、出掛ける頃を見計らって現れるのだ。
「お姫さんは何も覚えてないのか」
「なんのこと?」
「バルに行ったことだ」
「バル?あぁ、あそこバルだったの?どうりで男の人が多いと思った」
綺羅はそこまで言って気がついた。
「そういえば私、どうやって帰って来たのかしら」
バルに入って誰かと楽しく食事したことは覚えているが、どうやって帰って来たのか覚えていない。
「とにかく、今後バルのような店は禁止だ。高級店に行け」
シアンは珍しく荒い口調でそれだけ言うと姿を消した。
「私、なにか迷惑かけたみたいね」
綺羅は侍女に向かって問いかけるが、侍女は首を傾げるだけだった。
そこへ、姿を消していたシアンがソファーセットの横に姿を現した。
「悪夢を見ないようにする方法ならあるぞ」
「私にこれ以上、変な術をかけないで」
ネズミ頭との戦いのことを思い出して綺羅は露骨に嫌な顔をした。
「お姫さんに術をかけなければいいのだろう」
「・・・・・・?」
綺羅が訝しげにシアンを見つめた途端、部屋の内装が変わった。
「ここ、私の部屋」
一瞬にして宿の部屋が龍宮城の自室に変わったのである。
「自分の部屋なら少しは気分が変わるだろう」
早く寝ろ、とシアンは綺羅を荷物のように肩に担いで運ぶと、ベッドへ放り投げた。
「痛いわね。レディの扱いを知らないの?」
「妖魔がそんなこと知るわけがないだろう」
バリトンの美声で言われて綺羅は諦めてベッドに潜り込んだ。
これまでも、ネグリジェが汗で濡れて着替えた時に、龍宮城に置いてきたはずのネグリジェを渡されていた。それでも、妖魔のすることだからと勝手に納得して済ませていた。しかし、部屋まで改装されたのを目の当たりにするとシアンの能力がどれだけ高いか実感せざるを得ない。
ところが、久しぶりに自分のベッドに横たわり、布団を被った綺羅はシアンのことなど忘れて安心しきって眠ってしまった。
だが、翌日の目覚めは最悪だった。仲間の龍使いを殺す夢を見たからである。自分の龍剣で龍使いを刺し殺した。その感触と血の匂いが消えない。
「姫様、大丈夫ですか」
着替えを手伝う侍女もさすがに心配そうだ。
「・・・・・・。えぇ、大丈夫。こういう時こそ外に出た方がいいのよ」
部屋に居れば悪夢のことをいろいろ考えてしまうに違いない。
綺羅はいつも通りシアンと街へ出掛けた。
消えた楽団員の自宅や出入りしている店などを辿って、妖魔の痕跡を探して歩くが見つからない。
「相当強い妖魔が絡んでいるということかしら」
綺羅は寝不足の顔でシアンを見上げる。
「妖獣ではなく妖魔というのは間違いないな」
いつもなら「さぁな」と言いそうなシアンなのだが、ここ数日は妙に優しい。
「シアンより弱いのかしら?」
「当たり前だ。俺と同等の妖魔など数人しかいない」
「・・・・・・。そう」
取りあえずシアンと同等の妖魔ではないことがわかり、ほんの少しだけ綺羅は安心した。
この日はベッドで眠るどころか宿の部屋に戻りたくなくなり、夕食は外で食べることにした。
もちろん、1ガルルが使える店である。
しかし、ミュゲでの滞在が長引いていることに責任を感じた綺羅は、1ガルルが使える店でも格安の飲食店を選んだ。それが失敗だった。
綺羅が入ったのは庶民でも気さくに出入りできるバルだった。1ガルルを使える店ではあるが、下っ端の騎士や役人が出入りする店らしい。
綺羅はそのことに気がつかないまま、カウンターに座ると食事とブドウジュースを頼んだ。
すると、店主がワイングラスを出した。
「私、ワインは頼んでないわ」
綺羅が返そうとすると店主が苦笑いした。
「ブドウジュースは置いているが、グラスはビールジョッキかワイングラスしかねぇんだ」
「そう。ワイングラスで飲むのも面白いわね」
綺羅がニコリと笑って一口飲むと店主が笑った。
「面白い龍使い様だ」
店主の大きな声に店内の客が一斉に綺羅を見た。
綺羅はあえて気がつかないフリをするが、常連と思われる客にすぐに絡まれる。
「龍使い様ってこの前、鳥の大群を退治したお嬢ちゃんか」
「こんなところでお目にかかれるとは思わなかったな」
2人組の男は龍宮王よりも少し若いようだが、手や顔が煤けている。悪い人には見えないと思った綺羅は、彼らと話をしながら情報を集めることにした。
「2人は職人さん?ミュゲの街は長いの?」
「職人さんっていえばそうだな。ガラスを作っている、な」
「あぁ、もう20年近くになるよ」
「まぁ、ガラス工芸作家さんだったの?」
綺羅が目を輝かせると、彼らは片手を振った。
「違う、違う。俺らは日常使いするガラスを作っているだけだ。ドームやガレ工房の人間ならまだしも、俺らはただの職人ってやつさ」
「そう。でもすごいわ」
綺羅はガラス作りがどんなものか聞きながらブドウジュースを飲み干す。
「いい飲みっぷりだ。龍使い様におかわり!」
店主に向かって1人の男が言うと、店主に代わって店員がワイングラスを片付けておかわりを出した。それから2時間後、綺羅が情報収集どころか何を話しているのかわからなくなった頃、シアンが店に現れた。
「あら、どうしたの?」
無表情を崩さず無言のまま綺羅を立ち上がらせると、店の外に連れ出す。
「ちょっと、せっかく情報集めようとしていたのにぃ・・・・・・」
「じゃあ、集めた情報を言ってみろ」
シアンは静な口調で訊ねる。綺羅はぼんやり考えるが思いつかない。
「・・・・・・。なんだったかしら」
「宿に戻るぞ」
シアンは細い路地に綺羅を連れて行くと、そこは綺羅の部屋だった。部屋に着くと何から何まで侍女に任せて水を飲んでから風呂に入り、ネグリジェに着替えると、シアンに荷物のように肩に担がれベッドへ放り投げ出された。
「さっさと寝ろ」
無表情のまま立ち去ろうとするシアンのローブを綺羅が引っ張った。
「抱っこ、抱っこ」
綺羅は手足をばたつかせてシアンに抱っこをせがんだ。
「・・・・・・。ふざけているのか」
シアンが呆れた声を出す。
だが、そんなことお構いなしに綺羅は赤ん坊のように抱っこをせがむ。
「もう、なんで抱っこしてくれないの」
涙声になった綺羅にシアンは慌てた。シアンは人間よりも長い時間を生きている妖魔だ。それでも、女に泣かれるのは苦手らしい。
「わかった。わかった」
シアンは仕方なくベッドに腰をかけて、ベッドに寝転がる綺羅の背中をポンポンと叩く。
「違う!」
突然怒り出した綺羅は起き上がると、シアンの膝を跨いで向き合うように座った。
「・・・・・・」
呆気に取られるシアンをよそに綺羅は、シアンの両腕を掴むと自分の身体に巻き付けるように誘導する。溜息を吐きながら腕に力を込めると綺羅が、シアンの胸にすり寄った。
「わかればいいのよ」
満足そうな声にシアンは頭が痛いような気がする。頭痛持ちの妖魔など聞いたこともないが。
「思っていた以上に小さいな。お姫さんは」
感想を素直に声に出しただけなのだが、綺羅の何かに触れたらしい。
「ちょっと、どういうこと?私が貧相だと言いたいの?だいたい、貴方はいつも、いつも肝心なことを教えてくれないし、何考えているかわからないし。妖魔だから感覚が違うのは分かるけど、私の事なんか気にもかけてくれない。それなのに、契約だからってついて来てなんなのよ。もう!!」
今まで貯まっていた不満が吹き出した。ポカポカとシアンの胸を叩く。
「もう、私はまだ一人前の龍使いじゃないから、毎日必死なのに・・・・・・」
しばらくすると綺羅の寝息が聞こえて来た。
「俺は護れと言われたがお守りをしろとは言われてないぞ」
妖魔相手に安心しきった寝顔を見ながらシアンは呟いた。
翌朝、綺羅は久しぶりに悪夢を見ずスッキリと目覚めた。
「あー、よく寝た」
寝室を出てリビングへ行くと珍しくシアンが立って待っていた。
「どうかしたの?」
いつもは、出掛ける頃を見計らって現れるのだ。
「お姫さんは何も覚えてないのか」
「なんのこと?」
「バルに行ったことだ」
「バル?あぁ、あそこバルだったの?どうりで男の人が多いと思った」
綺羅はそこまで言って気がついた。
「そういえば私、どうやって帰って来たのかしら」
バルに入って誰かと楽しく食事したことは覚えているが、どうやって帰って来たのか覚えていない。
「とにかく、今後バルのような店は禁止だ。高級店に行け」
シアンは珍しく荒い口調でそれだけ言うと姿を消した。
「私、なにか迷惑かけたみたいね」
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