7 / 17
6
しおりを挟む
「すみません」
壁に花の絵が描かれた花屋の主人に声をかけた。
「なんでしょう」
「そこにダンス教室ってなかったかしら」
人の良さそうな笑顔の店主に綺羅が話しかけると、主人はサッと青ざめた。
「私は何も知らないよ」
店主はそう言い捨てて店の奥に入ろうとした。
「ちょっと待って。私は怪しい者じゃないわ」
綺羅は手袋を外した。
「私は龍使いです。そこのダンス教室の人が消えたというから調査に来たの。何か知っていることがあれば教えて」
綺羅はあえて笑顔を見せる。
「・・・・・・。龍使い。本当にいるのか」
店主は驚いた表情で綺羅の全身を見回した。
「えぇ、龍使いは本当にいるわ」
「そうか。本当にいたのか・・・・・・。だったら、なんで娘を助けてくれなかった」
店主が急に怒り出した。
「え・・・・・・」
綺羅は思わず怯んで後ずさりする。
だが、店主は綺羅に詰め寄った。
「娘は妖獣に喰われた。俺の目の前で。助けてくれって俺は叫んだのに誰も助けてくれなかったじゃないか」
店主は綺羅の襟を掴もうする。
綺羅がとっさに身を躱そうとすると、シアンが店主の腕を掴んだ。
「お前の怒りはわかる。だが、このお姫さんには関わりのないことだ」
シアンは冷淡に店主に告げた。
「お前に何がわかる」
店主はシアンを睨みつけた。
だが、シアンは無表情のままだ。
「龍使いは数が少ない。だから、1人2人喰われたぐらいでは動けない。そう決めたのは龍宮王や皇帝だ。文句があるなら彼らに言え。こんな小娘に言ったって仕方がないだろう。違うか」
シアンの言うことは正しい。
龍使いが減少しているうえ、弱体化した現在、世界中の街へ派遣することはできない。
今回のように百人単位の被害がなければ皇帝は動かないのである。
ただ、それを人間に指摘しているのが妖魔であることが綺羅は不思議だった。
妖魔のシアンに説教された店主は項垂うなだれてしゃがみ込んだ。
「所詮、俺たち貧乏人は皇帝にとってはどうでもいい存在ってことか」
店主は弱々しく笑う。
「そんなことはないわ。陛下だって胸を痛めているわ。陛下ご自身も妖魔に狙われたご経験があるもの。妖魔を遠ざけるために自ら火傷を負って、今でも後遺症に悩まされていらっしゃるのよ。そんな方が、妖獣のせいで家族を亡くされた方のことをどうでもいい存在なんて思うわけがないわ」
綺羅は必死に店主を励ます。
「皇帝陛下が火傷を・・・・・・」
店主は驚いた表情で綺羅を見つめる。
綺羅はしまった、と口を紡いだ。もしかしたら、明かしてはいけないことだったのかも知れない。
「そ、そういう噂があるのよ。男性にしては綺麗な方だから」
綺羅は慌てて訂正をする。
「俺は間近で見たことがないからわからないが、確かにそこのダンス教室に居た若い娘達が騒いでいたな。それぐらいの美形だったら妖魔に狙われたっておかしくないな」
「やっぱり、ダンス教室はあったのね」
「あぁ、でも3ヶ月前の朝、店を開けたら空き地になっていた」
「え?」
「俺は寝ぼけているのかと思ったよ。建物ごとなくなっているのだからな。でも、本当だ」
「えぇ、貴方の言うことに嘘はないわ。建物ごとなくなったのね」
「あぁ。ダンス教室の上にダンサーの住まいがあった。だから、そこに住んでいたダンサー達もいなくなっちまった。それから、あの区画に住んでいた奴は気味悪がって引っ越して行ったよ」
「そう」
綺羅は冷静を装うが、内心は焦っていた。
1人ずつ攫うのが面倒だから建物ごと持って行くという妖魔。
どれだけ巨大な力を持っているのだろう。
焦りながらも目の前で娘を亡くした店主を放っておけず、花を買うと店主と供に娘の墓参りをした。
「すまねぇ。娘と大して歳の違わない龍使い様に酷いことを言って」
墓参りをした店主は我に返ったように綺羅に謝った。
「いいのよ。気にしないで。それより、帝国の許可証を持っている宿を知らない?」
「あぁ、それなら絵画通りにあるよ」
「ありがとう」
綺羅はそこで店主と別れて宿を探すことにした。
綺羅は店主に教えてもらった宿はミュゲの街でも有数の繁華街にあった。
皇帝から依頼を受けた時に、宿や店は帝国の許可証を持っている宿を使うように言われていた。
「大事な私の姫に何かあると困るからね。ただし、許可証を掲げていてもすぐに信じてはいけないよ。最近は偽造された許可証を持つ宿や店が増えているからね」
皇帝はそう言って綺羅に青い紙幣を渡した。
「これはなんですか」
綺羅が初めて見る紙幣だった。
しかも1ガルル。普通1ガルルはコインである。紙幣になるのは100ガルルからだ。
「これは帝国の要人だけが持つ紙幣だ。この紙幣が使えるか訊ねて、使えると答えた店や宿なら使っても安全だ。そこで、これを1枚だけ店や宿に渡せば代金を払う必要はない」
「え?」
「その紙幣を持って帝国の窓口に行けば、代金が請求できる仕組みになっている。その時に店主の身元を調べられるから偽造の許可証を出していても意味がない。まず、紙幣が使えないと答えた時点で捕まるのだがな」
皇帝の説明を綺羅は感心しながら聞き、皇帝にますます好意を抱いた。
「おい、どこへ行くつもりだ」
シアンに呼び止められて振り向くと、目指していた宿を通り過ぎていた。
「・・・・・・。あら、気がつかなかったわ」
方向音痴がバレそうになって綺羅は照れ隠しに笑って見せるが、シアンは相変わらずの無表情だ。
愛想の欠片もないな、と宿に入ろうとすると耳元の六角柱からキーンという音が響く。
「えっ?妖獣?」
「ずいぶん大勢で来たな」
焦る綺羅とは対照的にシアンはのんびりとした口調で空を見上げた。つられて綺羅が空を見上げると夕焼けに染まっていた空がみるみるうちに暗くなっていく。
「何?これ」
綺羅の周りでは異変に気がついた人々がパニックを起こしていた。
「妖獣だ」
「逃げろ」
「建物の中に入れ」
夕方になり帰路につく途中の人々が右往左往しており、中には転倒している者もいる。
突然、空から一羽だけが綺羅を目掛けて急降下して来た。
「きゃっ」
鳥のように見えるが鳥にしては大きく、ライオンのような体をしている。
鳥は綺羅の頭を小突くと長い尻尾を振って、空へ舞い上がる。
「今のグリフォンだわ」
「そうだな」
鷲の頭にライオンのような体に蛇の尻尾。
妖獣に間違いない。
「赤龍、行くよ」
綺羅の声に反応して赤龍が現れた。
突如現れた龍に逃げ惑う人々は気がついた。
「龍だ」
「龍使いだ」
口々に騒ぎ始める人々。しかし、そのせいでグリフォンの集団が降りて来るのに気がつかなかった。
「シアン。みんなを護って」
グリフォンの動きに気がついた綺羅はシアンに命じると、赤龍に合図を送った。
赤龍は民衆に襲いかかるグリフォンに向かって火を噴く。
赤龍が吐く灼熱の炎に襲われたグリフォンは塵一つ遺さずに喰われた。
その様子を見た仲間のグリフォン達は綺羅目がけて飛んで来た。
綺羅は腰の龍剣で振り払うが何十羽もいるグリフォンに囲まれてしまう。
「赤龍、私に構わずに追い払って」
綺羅が命じると赤龍は空に向かい巨大な火の玉を噴く。そして、赤龍は火の玉を目掛けて昇り、火の玉に綺羅とグリフォンの大群が飲み込まれた。
しばらくして火の玉が消えると、グリフォンの集団は消え、綺羅と赤龍だけが現れた。
「妖獣が消えた」
「さすが龍使いだ」
「すげー」
街の人々から拍手喝采を浴びながら綺羅は地上に降りた。
「とんでもない術を使うのだな」
「あら、心配してくれたの?」
無表情のシアンに笑って見せた綺羅は、顎を掴まれ上を向かされた。
「な、何?」
「火傷や傷はないな」
無表情のまま問われ綺羅はシアンの腕を叩く。
「当たり前でしょ」
綺羅はシアンの腕から逃れるとそっぽを向いた。
2人のやり取りを見ていた人々からは
「なーんだ。キスするのかと思った」
「残念だな」
と、冷やかされる。
綺羅は2人を囲んでいる人々に、ニコリと笑って見せる。
「そんなこと言っていると、丸焼きにするわよ」
綺羅の一言で野次馬は水を打ったように静まりかえり、散り散りになった。
壁に花の絵が描かれた花屋の主人に声をかけた。
「なんでしょう」
「そこにダンス教室ってなかったかしら」
人の良さそうな笑顔の店主に綺羅が話しかけると、主人はサッと青ざめた。
「私は何も知らないよ」
店主はそう言い捨てて店の奥に入ろうとした。
「ちょっと待って。私は怪しい者じゃないわ」
綺羅は手袋を外した。
「私は龍使いです。そこのダンス教室の人が消えたというから調査に来たの。何か知っていることがあれば教えて」
綺羅はあえて笑顔を見せる。
「・・・・・・。龍使い。本当にいるのか」
店主は驚いた表情で綺羅の全身を見回した。
「えぇ、龍使いは本当にいるわ」
「そうか。本当にいたのか・・・・・・。だったら、なんで娘を助けてくれなかった」
店主が急に怒り出した。
「え・・・・・・」
綺羅は思わず怯んで後ずさりする。
だが、店主は綺羅に詰め寄った。
「娘は妖獣に喰われた。俺の目の前で。助けてくれって俺は叫んだのに誰も助けてくれなかったじゃないか」
店主は綺羅の襟を掴もうする。
綺羅がとっさに身を躱そうとすると、シアンが店主の腕を掴んだ。
「お前の怒りはわかる。だが、このお姫さんには関わりのないことだ」
シアンは冷淡に店主に告げた。
「お前に何がわかる」
店主はシアンを睨みつけた。
だが、シアンは無表情のままだ。
「龍使いは数が少ない。だから、1人2人喰われたぐらいでは動けない。そう決めたのは龍宮王や皇帝だ。文句があるなら彼らに言え。こんな小娘に言ったって仕方がないだろう。違うか」
シアンの言うことは正しい。
龍使いが減少しているうえ、弱体化した現在、世界中の街へ派遣することはできない。
今回のように百人単位の被害がなければ皇帝は動かないのである。
ただ、それを人間に指摘しているのが妖魔であることが綺羅は不思議だった。
妖魔のシアンに説教された店主は項垂うなだれてしゃがみ込んだ。
「所詮、俺たち貧乏人は皇帝にとってはどうでもいい存在ってことか」
店主は弱々しく笑う。
「そんなことはないわ。陛下だって胸を痛めているわ。陛下ご自身も妖魔に狙われたご経験があるもの。妖魔を遠ざけるために自ら火傷を負って、今でも後遺症に悩まされていらっしゃるのよ。そんな方が、妖獣のせいで家族を亡くされた方のことをどうでもいい存在なんて思うわけがないわ」
綺羅は必死に店主を励ます。
「皇帝陛下が火傷を・・・・・・」
店主は驚いた表情で綺羅を見つめる。
綺羅はしまった、と口を紡いだ。もしかしたら、明かしてはいけないことだったのかも知れない。
「そ、そういう噂があるのよ。男性にしては綺麗な方だから」
綺羅は慌てて訂正をする。
「俺は間近で見たことがないからわからないが、確かにそこのダンス教室に居た若い娘達が騒いでいたな。それぐらいの美形だったら妖魔に狙われたっておかしくないな」
「やっぱり、ダンス教室はあったのね」
「あぁ、でも3ヶ月前の朝、店を開けたら空き地になっていた」
「え?」
「俺は寝ぼけているのかと思ったよ。建物ごとなくなっているのだからな。でも、本当だ」
「えぇ、貴方の言うことに嘘はないわ。建物ごとなくなったのね」
「あぁ。ダンス教室の上にダンサーの住まいがあった。だから、そこに住んでいたダンサー達もいなくなっちまった。それから、あの区画に住んでいた奴は気味悪がって引っ越して行ったよ」
「そう」
綺羅は冷静を装うが、内心は焦っていた。
1人ずつ攫うのが面倒だから建物ごと持って行くという妖魔。
どれだけ巨大な力を持っているのだろう。
焦りながらも目の前で娘を亡くした店主を放っておけず、花を買うと店主と供に娘の墓参りをした。
「すまねぇ。娘と大して歳の違わない龍使い様に酷いことを言って」
墓参りをした店主は我に返ったように綺羅に謝った。
「いいのよ。気にしないで。それより、帝国の許可証を持っている宿を知らない?」
「あぁ、それなら絵画通りにあるよ」
「ありがとう」
綺羅はそこで店主と別れて宿を探すことにした。
綺羅は店主に教えてもらった宿はミュゲの街でも有数の繁華街にあった。
皇帝から依頼を受けた時に、宿や店は帝国の許可証を持っている宿を使うように言われていた。
「大事な私の姫に何かあると困るからね。ただし、許可証を掲げていてもすぐに信じてはいけないよ。最近は偽造された許可証を持つ宿や店が増えているからね」
皇帝はそう言って綺羅に青い紙幣を渡した。
「これはなんですか」
綺羅が初めて見る紙幣だった。
しかも1ガルル。普通1ガルルはコインである。紙幣になるのは100ガルルからだ。
「これは帝国の要人だけが持つ紙幣だ。この紙幣が使えるか訊ねて、使えると答えた店や宿なら使っても安全だ。そこで、これを1枚だけ店や宿に渡せば代金を払う必要はない」
「え?」
「その紙幣を持って帝国の窓口に行けば、代金が請求できる仕組みになっている。その時に店主の身元を調べられるから偽造の許可証を出していても意味がない。まず、紙幣が使えないと答えた時点で捕まるのだがな」
皇帝の説明を綺羅は感心しながら聞き、皇帝にますます好意を抱いた。
「おい、どこへ行くつもりだ」
シアンに呼び止められて振り向くと、目指していた宿を通り過ぎていた。
「・・・・・・。あら、気がつかなかったわ」
方向音痴がバレそうになって綺羅は照れ隠しに笑って見せるが、シアンは相変わらずの無表情だ。
愛想の欠片もないな、と宿に入ろうとすると耳元の六角柱からキーンという音が響く。
「えっ?妖獣?」
「ずいぶん大勢で来たな」
焦る綺羅とは対照的にシアンはのんびりとした口調で空を見上げた。つられて綺羅が空を見上げると夕焼けに染まっていた空がみるみるうちに暗くなっていく。
「何?これ」
綺羅の周りでは異変に気がついた人々がパニックを起こしていた。
「妖獣だ」
「逃げろ」
「建物の中に入れ」
夕方になり帰路につく途中の人々が右往左往しており、中には転倒している者もいる。
突然、空から一羽だけが綺羅を目掛けて急降下して来た。
「きゃっ」
鳥のように見えるが鳥にしては大きく、ライオンのような体をしている。
鳥は綺羅の頭を小突くと長い尻尾を振って、空へ舞い上がる。
「今のグリフォンだわ」
「そうだな」
鷲の頭にライオンのような体に蛇の尻尾。
妖獣に間違いない。
「赤龍、行くよ」
綺羅の声に反応して赤龍が現れた。
突如現れた龍に逃げ惑う人々は気がついた。
「龍だ」
「龍使いだ」
口々に騒ぎ始める人々。しかし、そのせいでグリフォンの集団が降りて来るのに気がつかなかった。
「シアン。みんなを護って」
グリフォンの動きに気がついた綺羅はシアンに命じると、赤龍に合図を送った。
赤龍は民衆に襲いかかるグリフォンに向かって火を噴く。
赤龍が吐く灼熱の炎に襲われたグリフォンは塵一つ遺さずに喰われた。
その様子を見た仲間のグリフォン達は綺羅目がけて飛んで来た。
綺羅は腰の龍剣で振り払うが何十羽もいるグリフォンに囲まれてしまう。
「赤龍、私に構わずに追い払って」
綺羅が命じると赤龍は空に向かい巨大な火の玉を噴く。そして、赤龍は火の玉を目掛けて昇り、火の玉に綺羅とグリフォンの大群が飲み込まれた。
しばらくして火の玉が消えると、グリフォンの集団は消え、綺羅と赤龍だけが現れた。
「妖獣が消えた」
「さすが龍使いだ」
「すげー」
街の人々から拍手喝采を浴びながら綺羅は地上に降りた。
「とんでもない術を使うのだな」
「あら、心配してくれたの?」
無表情のシアンに笑って見せた綺羅は、顎を掴まれ上を向かされた。
「な、何?」
「火傷や傷はないな」
無表情のまま問われ綺羅はシアンの腕を叩く。
「当たり前でしょ」
綺羅はシアンの腕から逃れるとそっぽを向いた。
2人のやり取りを見ていた人々からは
「なーんだ。キスするのかと思った」
「残念だな」
と、冷やかされる。
綺羅は2人を囲んでいる人々に、ニコリと笑って見せる。
「そんなこと言っていると、丸焼きにするわよ」
綺羅の一言で野次馬は水を打ったように静まりかえり、散り散りになった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
天牙の華~政略結婚から始まる復讐は、最強の【刀】に至上の恋を教える~
八重
ファンタジー
「俺の婚約者になれ」
主人公・涼風結月(すずかぜ ゆづき)は一条朔(いちじょう さく)にそう告げられる。
共通の敵である災厄の妖魔『朱羅(しゅら)』を倒すべく、偽装結婚をする二人はやがて互いに惹かれ合っていく。
「お前はすぐに逃げようとしなかった。そうしてほしかったんだろう?」
「仮の婚約者でこのようなこと恐れ多いのですが……、朔様の腕の中は心地よいです」
両片想いの二人はつかず離れずの関係を過ごすが、そこに朔の幼なじみの凛も加わって恋模様は一気に急展開を迎える──
復讐から始まった闘いの中で生まれる、自らの力の覚醒、暴走、そして愛。
【復讐(バトル)×和風純愛物語】開幕!
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる