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まるで正反対
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「ねえ、円さんがさっき見せてくれたヤツ、女の子の容姿幼すぎません?」
事が終わった後、大木が尋ねてきた。
「うん。ロリ系のヤツだからね。あ、わかってると思うけど、女優の子は25歳だよ。合法ロリってヤツ。すっごくカワイイでしょ?男ならああいう子に一度はそそられたりしない?」
先ほど大木に見せたAVは、円のお気に入りだった。
女優も円のお気に入りで、もし円がアルファかベータの男であったなら、付き合いたいと感じるようなタイプだった。
「成人してるってのはわかるんですけど…あまり幼すぎると、そういう目では見れないです……」
大木が困ったように答える。
「そういえばさ、エロマンガとかAVとか、知成くんはアダルトものはどんなのが好きなの?人妻?妹萌え?姉萌え?メイドさん?ハーレム?」
せっかくなので大木の好みを把握しておこうと思い、円は矢継ぎ早に下世話な質問をした。
「その辺は全部ムリかも…」
言い淀みながら、大木は答える。
「ロリがダメなら、巨乳モノは?」
「女の子のスタイルは普通がいいです」
「家庭教師のお姉さんのご褒美シチュエーションとかは?」
他が思いつかなかった円は、思い出せる限りのシチュエーションを述べてみた。
「お付き合いしてる仲じゃないと…」
「うーん……友達の美しすぎるお母さんとか?」
「不倫とか、歳の差ありすぎると……」
「洗脳とか催眠は?あ、ひょっとして、スカトロとか血が出るようなヤツ?」
「犯罪とか同意の無いヤツもちょっと…スカトロとか血が出るのとかも…アレってなんか「うわー…」ってなります……」
「え、じゃあ、どういうのが好きなの?」
話を聞き出してまとめてみると、大木の好みのタイプは極力同い年で透明感があり、清純で清楚。
アダルトコンテンツはいわゆる「純愛もの」を好むのだそうだ。
──ここまでベタだと、一周まわってマニアックな気がするなあ
こんなところまで大木と自分は違うのだな、と円はなんともいえない気持ちになった。
「それより、今度はショッピングとか行きません?円さんにぴったりなカンジのブランドがあるんです」
「え?こうして会ってヤれてればよくない?」
「よくないです。恋人にこんなこと言うのはどうかと思うけど、円さん、ちょっとは服とか身だしなみに気を回してくださいよ。支社の在庫係なら見逃されたけど、本社の人はそのへん厳しくチェックするって聞くし、今のうちに整えた方がいいですよ」
「そうかな…」
大木の言うことも一理あるか、と円は思った。
言われてみれば、28歳にもなって中高生のような野暮ったい服を着続けているのもどうかという気もする。
そんな大木の提案で、今度の週末はショッピングモールまで服やらアクセサリーやらを買いに行く運びとなった。
「ブランドの服ってこんなに高いんだ…」
少し遠くのショッピングモール。
ブランドショップのジャケットの値札を見て、円は驚いた。
「これでも安いぐらいですよ」
「そうなの?」
服なんて久しく買っていないし、買うとしたら近くのスーパーの衣料品売り場でしか買ったことのない円は、唖然とした。
円は日頃から、「着る服1着に万単位かける人が理解できない」と思っていたから、今の大木が別人のように思えてきてしまった。
大木の身なりはいつもキレイで清潔感があり、ある程度は見た目に気を遣っていることはわかっていた。
しかし、服にこうまでお金をかけていたことは気がつかなかった。
最近、大木と自分の違いに気づいて、驚くことが増えていく。
アルファとオメガである以前に、育ってきた環境の違いもあるかもしれない。
──いろんな意味で、知成くんの親の顔が見たくなってきた……
そう思った矢先に、背後で誰かが立ち止まる気配がした。
「お兄ちゃん?」
女性の声がした。
「あっ…」
声に反応して振り返った大木が、ハッとしたような顔をした。
声のした方向を向けば、買い物の後なのか、ブランドショップの袋を下げた若い女性が立っていた。
歳の頃は20歳前後。
大木と同じ黒目がちの瞳、太く平行な眉、形の良い大きな口。
間違いない。
この女性は大木の妹だ、と円は即座に勘づいた。
事が終わった後、大木が尋ねてきた。
「うん。ロリ系のヤツだからね。あ、わかってると思うけど、女優の子は25歳だよ。合法ロリってヤツ。すっごくカワイイでしょ?男ならああいう子に一度はそそられたりしない?」
先ほど大木に見せたAVは、円のお気に入りだった。
女優も円のお気に入りで、もし円がアルファかベータの男であったなら、付き合いたいと感じるようなタイプだった。
「成人してるってのはわかるんですけど…あまり幼すぎると、そういう目では見れないです……」
大木が困ったように答える。
「そういえばさ、エロマンガとかAVとか、知成くんはアダルトものはどんなのが好きなの?人妻?妹萌え?姉萌え?メイドさん?ハーレム?」
せっかくなので大木の好みを把握しておこうと思い、円は矢継ぎ早に下世話な質問をした。
「その辺は全部ムリかも…」
言い淀みながら、大木は答える。
「ロリがダメなら、巨乳モノは?」
「女の子のスタイルは普通がいいです」
「家庭教師のお姉さんのご褒美シチュエーションとかは?」
他が思いつかなかった円は、思い出せる限りのシチュエーションを述べてみた。
「お付き合いしてる仲じゃないと…」
「うーん……友達の美しすぎるお母さんとか?」
「不倫とか、歳の差ありすぎると……」
「洗脳とか催眠は?あ、ひょっとして、スカトロとか血が出るようなヤツ?」
「犯罪とか同意の無いヤツもちょっと…スカトロとか血が出るのとかも…アレってなんか「うわー…」ってなります……」
「え、じゃあ、どういうのが好きなの?」
話を聞き出してまとめてみると、大木の好みのタイプは極力同い年で透明感があり、清純で清楚。
アダルトコンテンツはいわゆる「純愛もの」を好むのだそうだ。
──ここまでベタだと、一周まわってマニアックな気がするなあ
こんなところまで大木と自分は違うのだな、と円はなんともいえない気持ちになった。
「それより、今度はショッピングとか行きません?円さんにぴったりなカンジのブランドがあるんです」
「え?こうして会ってヤれてればよくない?」
「よくないです。恋人にこんなこと言うのはどうかと思うけど、円さん、ちょっとは服とか身だしなみに気を回してくださいよ。支社の在庫係なら見逃されたけど、本社の人はそのへん厳しくチェックするって聞くし、今のうちに整えた方がいいですよ」
「そうかな…」
大木の言うことも一理あるか、と円は思った。
言われてみれば、28歳にもなって中高生のような野暮ったい服を着続けているのもどうかという気もする。
そんな大木の提案で、今度の週末はショッピングモールまで服やらアクセサリーやらを買いに行く運びとなった。
「ブランドの服ってこんなに高いんだ…」
少し遠くのショッピングモール。
ブランドショップのジャケットの値札を見て、円は驚いた。
「これでも安いぐらいですよ」
「そうなの?」
服なんて久しく買っていないし、買うとしたら近くのスーパーの衣料品売り場でしか買ったことのない円は、唖然とした。
円は日頃から、「着る服1着に万単位かける人が理解できない」と思っていたから、今の大木が別人のように思えてきてしまった。
大木の身なりはいつもキレイで清潔感があり、ある程度は見た目に気を遣っていることはわかっていた。
しかし、服にこうまでお金をかけていたことは気がつかなかった。
最近、大木と自分の違いに気づいて、驚くことが増えていく。
アルファとオメガである以前に、育ってきた環境の違いもあるかもしれない。
──いろんな意味で、知成くんの親の顔が見たくなってきた……
そう思った矢先に、背後で誰かが立ち止まる気配がした。
「お兄ちゃん?」
女性の声がした。
「あっ…」
声に反応して振り返った大木が、ハッとしたような顔をした。
声のした方向を向けば、買い物の後なのか、ブランドショップの袋を下げた若い女性が立っていた。
歳の頃は20歳前後。
大木と同じ黒目がちの瞳、太く平行な眉、形の良い大きな口。
間違いない。
この女性は大木の妹だ、と円は即座に勘づいた。
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