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わずかな抵抗と陶酔※
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──まずい、犯られる…
大きな体がのしかかってきて、円は地面に背をつけるように倒れた。
硬いコンクリートが背骨に当たって痛い。
しかし、今はそんなこと構っていられない。
「おおき、く…落ち着いて!」
円は大木の広くて四角い背中をバンバン叩いた。
「ふあっ…ああ!す…すみませ、えっと…」
大木はあわてふためいたように後退りして立ち上がり、うずくまる円を見下ろした。
円の抵抗を受けて、なんとか理性を取り戻したらしい。
しかし、息が異常に荒いし、円を見つめる瞳はギラギラ光っていて、明らかに欲情しているのが見てとれた。
こんな様子では、おそらく長くは保たないだろう。
またさっきと同じように、あっという間にフェロモンにあてられて、今に円を襲ってくるに違いない。
──ああ、どうしよう…
円の息も荒い。
このままではいけないとわかっていても、肉体の反応はとても正直だ。
口内を男根で犯して欲しい、胎内を指で掻き回されたい、猛った男根で抉られたい。
円はそれ以外に何も考えられなくなった。
頭がクラクラしてきて、雪原にひとり立っているかのように、視界が真っ白になった。
──ここ、どこだろう?
おそらく、どこかに移動させられたのだろう。
背中に伝わる感触は柔らかい。
どこかのベッドかソファに寝かされているのかもしれない。
円の家のベッドでないのは明らかだ。
自宅の寝慣れたベッドにしては、感触が柔らか過ぎる。
うっすら目を開けると、見たことのない天井が目に入った。
──ひょっとして、病院?
その予想がハズレであったことに、円はすぐに気がついた。
病院なら仕切りに使うカーテンレールが見えるはずだし、消毒液の匂いもしない。
もう一度、ここはどこかと考えるより先に、唇に湿った感触を感じた。
誰かが自分に覆いかぶさっていて、深く口づけられているのだと気づいた。
その誰かの舌が唇を割って口内に滑り込んできて、歯列をなぞってくる。
舌づかいは乱暴そのもので、まるで口内で何かの生き物が暴れ回っているような感覚がした。
発情しているのに加えて、両手首をがっちり掴まれているせいで体をまともに動かせない。
口を塞がれているから、声を発することもできない。
唾液を飲み込むこともできず、舌の裏に溜まった唾液が口の端から一筋たらりと垂れた。
鼻でしか呼吸できないせいで酸素がろくに取り込めず、頭も上手く回らない。
「ふあっ…」
ようやく唇が離されて呼吸が楽になった円は、大きく息を吸って肺に空気を入れた。
唇から伸びた唾液が糸を引いて、ぷつんと切れる。
──大木くん?
ここにきてようやく、相手の顔を真正面から確認できた。
やっぱり、大木だ。
──まずい!
円は頭の回転が元に戻っていくのと同時に、大木が自分を犯そうとしていることに気がついた。
振りほどこうと思った矢先、胸の合わいに舌が這う感触がして、円は体をビクリと震わせた。
「やっ、あ…だめ、それだめえ!」
大木が乳飲み子のように円の乳首に吸いついてきた。
ちゅっ、ちゅっと淫靡な音が耳に入ってくる。
乳頭を舌で転がされると、強い快感に脳を支配され、目の前がチカチカしてしまう。
唾液が絡まる音でさえ、円の耳を犯すために響いているような気がした。
「ああ、うん…」
せめてもの抵抗に脚をばたつかせてみるが、無駄な動きとして終わるだけだった。
両足首をグッと掴まれて、そのまま引っ張られると、円の体はシーツの上を滑っていき、大木に向かって脚を広げているような状態になった。
「や、やめて…!」
抗議も虚しく、あっという間に男根が胎内に入り込んでいく感覚がした。
同時に、ぬちゅッ、という生々しい水音もはっきり聞こえた。
荒い呼吸を繰り返す大木が、立派な体躯を揺さぶって円を蹂躙してくる。
「アッ⁈ああっ…」
肌に指がめり込むくらいに強く腰を掴まれて、激しく抽挿を繰り返されると、痺れるような快感が全身に広がった。
肉襞と男根が擦れ合う感触が心地良い。
「や、はあッ、うう…うん、あ、だめえ、それ、だめえ」
ガリガリガリガリ、歯が鉄芯に当たる音が響く。
フェロモンで性的衝動を抑えられなくなった大木が、円の首筋に噛みつこうと躍起になっているのだ。
この拘束具は鉄芯入りというだけでなく、その鉄芯自体を覆う革もかなり分厚いし、そもそも専用の鍵が無いと拘束具をはずせない仕組みになっている。
しかし、どんな強固な鍵にだって限界はあるし、いつ壊されるとも限らない。
このままでは強制的に番にされてしまう。
そう思っても、円にはもう抵抗する余裕もない。
脳天に直接襲いかかってくる快感に押し潰されて、頭も体もまともに動かせなくなっていた。
「ああッ…あう、すごいッ、いいっ、いいよう……」
円はもう、この快感に抗う理由がわからなくなってきた。
もっとヨくなりたい。
早く達してしまいたい。
気がつくと大木の腰に脚を絡めて、ねだるように動いていた。
「あっ…いいっ、もっと…もっと動いてえ!」
「まどかさん…!」
どうしたわけか、大木が円の名前を呼んできた。
「ああッ……だめっ…イくっ!もう、イクうッ!!」
この上もない快楽を味わいながら、円は果てた。
「まどかさん……」
大木がもう一度名前を呼んできて、まっすぐ目線を合わせながら、遅れて射精した。
全てを出しきってしばらく経つと、円は青ざめた。
──避妊薬、飲まなきゃ!
大きな体がのしかかってきて、円は地面に背をつけるように倒れた。
硬いコンクリートが背骨に当たって痛い。
しかし、今はそんなこと構っていられない。
「おおき、く…落ち着いて!」
円は大木の広くて四角い背中をバンバン叩いた。
「ふあっ…ああ!す…すみませ、えっと…」
大木はあわてふためいたように後退りして立ち上がり、うずくまる円を見下ろした。
円の抵抗を受けて、なんとか理性を取り戻したらしい。
しかし、息が異常に荒いし、円を見つめる瞳はギラギラ光っていて、明らかに欲情しているのが見てとれた。
こんな様子では、おそらく長くは保たないだろう。
またさっきと同じように、あっという間にフェロモンにあてられて、今に円を襲ってくるに違いない。
──ああ、どうしよう…
円の息も荒い。
このままではいけないとわかっていても、肉体の反応はとても正直だ。
口内を男根で犯して欲しい、胎内を指で掻き回されたい、猛った男根で抉られたい。
円はそれ以外に何も考えられなくなった。
頭がクラクラしてきて、雪原にひとり立っているかのように、視界が真っ白になった。
──ここ、どこだろう?
おそらく、どこかに移動させられたのだろう。
背中に伝わる感触は柔らかい。
どこかのベッドかソファに寝かされているのかもしれない。
円の家のベッドでないのは明らかだ。
自宅の寝慣れたベッドにしては、感触が柔らか過ぎる。
うっすら目を開けると、見たことのない天井が目に入った。
──ひょっとして、病院?
その予想がハズレであったことに、円はすぐに気がついた。
病院なら仕切りに使うカーテンレールが見えるはずだし、消毒液の匂いもしない。
もう一度、ここはどこかと考えるより先に、唇に湿った感触を感じた。
誰かが自分に覆いかぶさっていて、深く口づけられているのだと気づいた。
その誰かの舌が唇を割って口内に滑り込んできて、歯列をなぞってくる。
舌づかいは乱暴そのもので、まるで口内で何かの生き物が暴れ回っているような感覚がした。
発情しているのに加えて、両手首をがっちり掴まれているせいで体をまともに動かせない。
口を塞がれているから、声を発することもできない。
唾液を飲み込むこともできず、舌の裏に溜まった唾液が口の端から一筋たらりと垂れた。
鼻でしか呼吸できないせいで酸素がろくに取り込めず、頭も上手く回らない。
「ふあっ…」
ようやく唇が離されて呼吸が楽になった円は、大きく息を吸って肺に空気を入れた。
唇から伸びた唾液が糸を引いて、ぷつんと切れる。
──大木くん?
ここにきてようやく、相手の顔を真正面から確認できた。
やっぱり、大木だ。
──まずい!
円は頭の回転が元に戻っていくのと同時に、大木が自分を犯そうとしていることに気がついた。
振りほどこうと思った矢先、胸の合わいに舌が這う感触がして、円は体をビクリと震わせた。
「やっ、あ…だめ、それだめえ!」
大木が乳飲み子のように円の乳首に吸いついてきた。
ちゅっ、ちゅっと淫靡な音が耳に入ってくる。
乳頭を舌で転がされると、強い快感に脳を支配され、目の前がチカチカしてしまう。
唾液が絡まる音でさえ、円の耳を犯すために響いているような気がした。
「ああ、うん…」
せめてもの抵抗に脚をばたつかせてみるが、無駄な動きとして終わるだけだった。
両足首をグッと掴まれて、そのまま引っ張られると、円の体はシーツの上を滑っていき、大木に向かって脚を広げているような状態になった。
「や、やめて…!」
抗議も虚しく、あっという間に男根が胎内に入り込んでいく感覚がした。
同時に、ぬちゅッ、という生々しい水音もはっきり聞こえた。
荒い呼吸を繰り返す大木が、立派な体躯を揺さぶって円を蹂躙してくる。
「アッ⁈ああっ…」
肌に指がめり込むくらいに強く腰を掴まれて、激しく抽挿を繰り返されると、痺れるような快感が全身に広がった。
肉襞と男根が擦れ合う感触が心地良い。
「や、はあッ、うう…うん、あ、だめえ、それ、だめえ」
ガリガリガリガリ、歯が鉄芯に当たる音が響く。
フェロモンで性的衝動を抑えられなくなった大木が、円の首筋に噛みつこうと躍起になっているのだ。
この拘束具は鉄芯入りというだけでなく、その鉄芯自体を覆う革もかなり分厚いし、そもそも専用の鍵が無いと拘束具をはずせない仕組みになっている。
しかし、どんな強固な鍵にだって限界はあるし、いつ壊されるとも限らない。
このままでは強制的に番にされてしまう。
そう思っても、円にはもう抵抗する余裕もない。
脳天に直接襲いかかってくる快感に押し潰されて、頭も体もまともに動かせなくなっていた。
「ああッ…あう、すごいッ、いいっ、いいよう……」
円はもう、この快感に抗う理由がわからなくなってきた。
もっとヨくなりたい。
早く達してしまいたい。
気がつくと大木の腰に脚を絡めて、ねだるように動いていた。
「あっ…いいっ、もっと…もっと動いてえ!」
「まどかさん…!」
どうしたわけか、大木が円の名前を呼んできた。
「ああッ……だめっ…イくっ!もう、イクうッ!!」
この上もない快楽を味わいながら、円は果てた。
「まどかさん……」
大木がもう一度名前を呼んできて、まっすぐ目線を合わせながら、遅れて射精した。
全てを出しきってしばらく経つと、円は青ざめた。
──避妊薬、飲まなきゃ!
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