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若目

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お見舞い

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「旦那さま、着きましたよ」
サナーレと並んで座り、心地よい疲れとともに寝入ってから、しばらく経った頃合いにエクウスの声がした。

馬車から出ると、よく見知った我が家が目の前に建っている。
漆喰の壁におしゃれな出窓、凝った装飾のドア。
しばらく離れていたせいか、よく見慣れたそれが、いまはとても尊く見える。
やっぱり我が家が一番だ。

「エクウス、サナーレを介抱しといてあげて」
オレは馬車から降りると、自分の荷物を取って屋敷に向かった。
「かしこまりました、旦那さま」
エクウスの声を背中で聞くと、オレは屋敷に足を踏み入れた。

「お…おかえりなさいませ。旦那さま」
家に一歩入れば、ベータの使用人たちがビクビクした様子でオレを出迎える。
その姿だって、いまはとても尊く感じる。
やっぱり、オレの暮らしはこの子たちとオメガちゃんありきだな。
後で、オレがいなかった間の分だけ、たくさん可愛がってあげることにしよう。


その前に、まずはシュタルクに会いに行こう。
お腹の子どもの様子も気になるし、出産を控えたシュタルクに激励の言葉ひとつぐらいかけるべきだろう。
そんなわけで、オレはシュタルクの部屋に向かった。



「領主さま!」
部屋に入ったオレの顔を見るなり、すっかりお腹が大きくなってマタニティ服を着たシュタルクが、嬉しそうな顔をしてオレを出迎える。
この世界のマタニティ服は、シュミーズドレスとかネグリジェに近いスタイルで、デザインはかなり少女趣味だ。
少女趣味なマタニティ服を着ている今のシュタルクが、以前ベビードールとドロワーズを着せてセックスしたときのシュタルクと重なって、少し懐かしい気持ちになる。

「シュタルク、座ってなよ」
シュタルクはついさっきまで、ソファに座って読書していたらしい。
読みかけの本をそばに置いて立ちあがろうとしたところを、オレはあわてて止めた。

「やだ、領主さま。こうやって立ち上がるくらいどうということはありませんよ」
そう言いながら、シュタルクは言われた通りにソファに座った。
「それはそうだけどね」
クスッと笑うシュタルクの隣に腰掛けると、大きく膨らんだお腹を見つめた。
メアルタハの話によれば、もう7ヶ月目にさしかかっていると聞いている。

「お腹に触れてみていいかい?」
「ええ、どうぞ」
シュタルクのお腹に、そっと触れてみる。
マタニティ服越しに、シュタルクの温もりを感じる。
手に伝わる体温は、以前と何も変わらない。
しかし、大きく変わったことがある。

「動いた!」
胎動である。
以前は何にも無かったお腹が、今は活発に動くのだ。

たぶんお腹の子は、外部のことなど何もわからないだろう。
お腹を蹴るのも、生理現象みたいなものだ。

それはわかっているけれど、これはきっと父親であるオレに対して、赤ちゃんが向こうから挨拶してくれたんじゃないか。
そんなふうに考えてしまうくらい、オレの胸は期待と希望に満ちていた。











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