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若目

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罪人

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ベアルへのお仕置きは無事に完了。

次のお相手は誰にしようかと思っていた矢先、セルウィトルから連絡が入った。
セルウィトルはあれ以降、特に何らの反抗もしてこない。
いつも通りに業務をこなし、オレがほかの使用人にえっちなお仕置きをしているところを見ても、淡々としていた。

彼はベアルやディアンと違い、彼は弁えというものを知っているらしかった。
もしくは、ディアンやベアルやほかの使用人がお仕置きされる様子を見て、観念したのかもしれない。


そんなセルウィトルに何ごとかと聞いてみれば、「領内で盗みを働いた者がいた」とのことだった。
犯人はいま、別室で拘束して隔離しているそうなので、処分をどうすべきか確認を取りたいと相談してきた。

セルウィトルによれば、犯人はまだ15歳。
まだ子どもである。
それに、殺人や傷害致死のような重犯罪ならまだしも罪状は窃盗だし、被害額もさほど高くはないと聞く。

盗品は持ち主のもとへ返却されたし、この程度の被害であれば情状酌量の範囲と見なして、さっさと解放してやればいいだろうとオレは判断した。

現世でだって、15歳であれば少年院送致の対象にはなっても、刑事罰の対象にはならない。
この世界には現世で言うところの「少年法」にあたる法律が存在していないらしいので、たとえ子どもであっても成人と同じように罰を受ける。

しかし、今回は釈放してしまってもいいのではないか。
オレはそう提案したのだけれど、セルウィトルは引き下がらず、こう続けた。

「ええ、旦那さまの言うことも一理ありますけれど、彼は常習犯でして。前回はパンのかけらを盗んでいました。これまでは年齢と被害額の少なさを理由に釈放したのですけれど、今回盗んだのは銀の食器です。しかも、教会の司教の持ち物ですよ」

セルウィトルの話を聞いて、オレは先ほどの「釈放する」という判断を改めることにした。
現世でもそうだが、教会は特殊な場所だし、そこの権威である司教の持ち物を盗んだとあっては、話が変わってくる。

「このまま放っておくと被害が拡大しかねないですし、いずれここに侵入して盗みを働くなんてことも考えられますので、旦那さま直々に処分をお願いしたいのです」
セルウィトルがさらに続けた。

「わかった。じゃあ、部屋に案外してくれるかい?」
「かしこまりました。こちらです」
セルウィトルは足速に歩き出して、後をついてくるように促した。


セルウィトルの後について行くと、屋敷の地下にある角部屋にたどり着いた。
「逃げ出したら取り押さえる必要があるから」という理由で、ベアルともうひとりの使用人グリーカスが部屋の前に立って見張り役をしていた。


「領主さま、彼です」
セルウィトルが部屋のドアを開けた。
家具も装飾も何もない無機質な部屋に、少年がひとり手を後ろ手に縛られて、硬く冷たい床に跪いていた。
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