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ついに見つけた理想の獲物※
しおりを挟む12月にさしかかっても、貞はなかなか踏み切れずにいた。
獲物を物色するには視界が冴えている明るい時間帯がちょうどいいが、いざ拐うとなると、人目につかない夜間の方がいいのは確かだ。
しかし、深夜は人の往来が乏しく、なかなか理想とする女を見つけられない。
物色する時間帯を深夜から早朝に移してみたところ、美しい女を何人も見た。
しかし、貞の好みではないのが多い。
貞が住んでいる町は少し向こうに行くと繁華街、というような立地条件だから、出くわすのはあからさまに夜の仕事をしているような女ばかりだった。
貞はそういった女は好きではない。
水商売の女というのは髪も服もごてごてとムダに飾りたてていて、そのくせ体は貧相なのが多い。
目の下にナメクジが這ったような涙袋を強調するメイクや、整形手術を施したのがハッキリわかるくらいに鋭利に尖った鼻など、とても見ていられない。
そんな理由から、獲物探しの時間帯は夕方から夜の9時くらいに絞ることにした。
この時間帯に歩き回っている女なら、健全な仕事をしているに違いない、と踏んだのだ。
拐うなら冬の間がいいだろう。
辺りが暗い時間が長い分、獲物を捕まえやすい。
急がなくては、と貞は焦っていた。
ボヤボヤして春になれば、明るい時間帯が長くなって拐いにくくなる。
それから、今度は行動範囲を広げてみることにした。
貞の住む町は比較的富裕層が多く、治安も良い。
道行く女の子もどことなく上品で大人しい印象を受けることが多かった。
住民全体の気性が穏やかなのかもしれない。
そういった女の方が好ましいのは事実だが、もう少し刺激的なタイプの女も視野に入れてみようと考えた。
隣町はどちらかといえば「下町」という表現がよく似合う典型的な庶民の町で、貞はあまり行った記憶が無い。
新しい場所にまで足を伸ばせば、思わぬ収穫が得られるかもしれない。
昂る衝動を抑えつつ期待を膨らませて、隣町にあたるB市に足を踏み入れたのが12月中旬のこと。
最初の頃は立地を把握するために、所持しているミニバンであちこちを移動して回った。
その間、女の物色も忘れない。
B市で見た女は、A市で見た女たちと比べると品性に欠けている気はしたが、こいつにしようか、と思うほどに顔も体格も理想的な女を何人も見つけた。
ときどき、目星をつけた女の後をつけることもあった。
仕事を終えてはB市にミニバンで向かい、女を物色する。
そうして過ごしていくうち、貞は1人の女に狙いを定めた。
その女はA4サイズのブルーのサコッシュをいつも肩から下げていて、顎まで伸ばした茶髪をニット帽で覆っている日が多かった。
身長は160センチ前後、色白の小さな顔に大きな黒目がちの瞳、ふっくらした唇は、全体的にあどけない感じがした。
出歩いている時間帯は大体18時半から19時。
気づかれないように遠くから眺めたり、後をつけるなどして観察を続けたところ、ほぼ毎日のように工場街から住宅地に続く土手道を歩いているようだった。
おそらくあの女は社会人で、ここを歩いているのは仕事から帰る途中なのだろう。
──工場勤務の女か、接したことの無いタイプだな。立ち仕事の女はアソコの締まりが良いと聞いたことがあるが、あの女はどうだろう?
いつも膝丈のダッフルコートを着ている上、ボタンを全て留めているために胸や尻の隆起ははっきりわからない。
今どきの若者らしく黒いマスクをしている日もあり、顔すら拝めないこともしょっちゅうだった。
しかし、ダッフルコートの裾から伸びたふくらはぎはジーンズ越しでも肉づきのいいのがよくわかる。
あの履き古したジーンズを脱がせば、きっと柔らかく温かな脚を拝めるに違いない。
その脚を交互に動かしてきびきび歩いている姿は、若々しく躍動感に溢れている。
あの白い頬に男根を擦り付けて射精し、顔を汚すのも悪くない。
貞は連日、その女の小さな背中を、ミニバンの運転席のフロントガラス越しにずっと見つめていた。
何日後の何時に決行するか、どうやって連れ去るか。
それを考えるだけで体中に血が滾り、下半身に熱がこもった。
自室に戻った貞はリビングの2人がけのソファに体を預け、自分の男根を握って自慰を始めた。
貞の妄想の中、白くすべすべした柔らかい体を惜しげもなく晒したあの女が、「早くきて、お願い」と脚を開いて懇願してくる。
貞の男根に胎内を貫かれた女は、快感に声を漏らして悦んだ。
貞は、手の上下運動を速めていく。
──ああ、もうすぐだ
うっ、と呻き声を上げて射精すると、そばにあったティッシュでベタベタに汚れた手を拭いた。
獲物との甘い日々が待ち遠しくて仕方がない。
広いリビングで、貞はひとりほくそ笑んだ。
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