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獲物を探して

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貞はいつも、1人で行動した。
都会の雑踏の中、獲物を求めて歩き回った。

──若い女はたくさんいる。この中に、俺の獲物がいるんだ

11月下旬の昼下がり、貞は地元A市のショッピングモールに続く歩道橋のそばのベンチに座り、階段を上がっていく女の子たちを物色していた。

──あの女は腰がいい、太腿の感じも悪くない

貞は眼鏡の位置を直して、階段を上目遣いに盗み見た。
髪を赤茶色に脱色している、むっちりした太ももを露出したミニスカートの女が見えた。
年齢は18、9歳くらいといったところか。
地元の女子大生かもしれない。
足首がほっそりしている割に、ふくらはぎはふっくらしていて、肉感的で柔らかそうだ。
最近の若者の間で流行っているらしい厚底のスニーカーなんて履いているからか、階段を1段昇るごとに大きく腰が揺れた。
スカートの下が見えそうで見えないのが、何とももどかしい。
遠ざかっていくミニスカートの女の背中を、貞は名残惜しい気持ちでジッと見つめていた。
土曜日のショッピングモールは、獲物を物色するのに格好の場所だった。
歩道橋の階段を、若い女の子たちが次々に上り下りしていく。

──獲物は若い方がいい。肉づきが良くて、弾力があるのが理想的だ

貞はさきほどの女の子の白くむっちりした柔らかそうな太腿に、男根を挟んで扱かせてやりたい、などと考えて全身が滾るのを感じた。

──待ってろよ、必ず見つけて見せる

理想の獲物を探し求めて、185センチ85キロもの大柄な体をゆっくり立ち上がらせる。
「痛ッ」
最近、長時間座りっぱなしの状態から立ち上がると腰が痛い。
人間40歳ともなれば、体のあちこちにガタが出る。
それでも、若い獲物を追いかけ続けるのは絶対にやめない。

貞の目的は1つだけ。
若い女を拐って、性奴隷にすることだ。





1週間後、貞は今度は地元の駅前のベンチに座って女の子を物色した。
貞が性奴隷として女に求めるものは、肉感的であること。
今までに付き合ってきた女もそうだった。
胸にも尻にもしっかり肉がついていて張りがあり、太腿やふくらはぎも丸みを帯びていれば尚のこと良い。
そういう女は性格も温厚で従順でかつ、抱き心地もいいことが多い。

逆に肋骨が浮いていたり、脚の間に隙間ができるほどに痩せている女は抱き心地も悪そうで、性格もギスギス野暮ったい感じがして好きになれない。
女の体は丸く柔らかいのが一番で、顔かたちはさほど重要ではないと考えていた。
かといって、極度に太っているのも好みではない。
そのあたりも考えて、獲物をしっかり見極めなくては、と通過する女たちの物色を続ける。

目の前を通過していく若い女の子たちを眺めつつ、やり過ごしていくうちに1人の女に目が止まった。
身長は155センチほど、ダークブラウンのショートコートにゆったりした白いカットソーを着て、チェックのペンシルスカートを履いた20歳前後の女だ。
女子大生かOLだろうか。
色白の顔に赤いリップ、肩まで伸ばした真ん中分けの黒髪、目の周りは茶色のアイシャドウで彩っている。
化粧の濃さはいただけないが、カットソーを押し上げる胸の隆起と、スカート越しでもわかる尻の丸みが気に入った。
スカートから伸びたふくらはぎもふっくら柔らかそうだ。
貞はトレンチコートのポケットから眼鏡拭きを取り出して、眼鏡のレンズを拭いた。
女の動きがよく見えるように視界をクリアにしてから、その女の後をつけていくことにしたのだ。

──あの女を奴隷にしよう

女は赤いハンドバッグを下げていて、同じ色のハイヒールパンプスを履いていた。
ハイヒールをコツコツ鳴らして歩く様はプライドが高く、気のキツそうな印象を与えた。

ああいうタイプの女を屈服させるの悪くはない。
自分の家に連れ去ったら、まずは思う存分いたぶってやろう。
いたぶるといっても傷つけるわけではない。
まずは手を拘束し、視界もタオルなんかで覆ってやるのだ
服を脱がし、手で、指で、舌で全身を愛撫すれば、たとえ男を知らない体であっても反応するに違いない。
そうして濡れそぼった花弁を下着越しに優しく撫でてやれば、女はやがて自分から求めてくるだろう。

暗い妄想に耽りながら女の背中を追っていくと、女が急に足を速めた。
艶めく黒髪を風になびかせながら、女は駅構内へ進んでいく。
改札口で女を待っていたのは、身長170センチくらいの茶髪の若い男だった。
女とは対照的に痩せた体をしているのが、分厚いコート越しでもよくわかった。

──ふん、若い男なんか体力だけが取り柄でテクニックも無いだろうに、今に後悔するぞ!まして、あんな貧相なチビではな

負け惜しみにも近い理屈を捏ねながら、貞はそこを足早に去っていった。

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