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終焉は近づく

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王子アルフレッドのところへ、婚約者の公爵令嬢アレキサンドリアが訪ねてきた。

「アルフレッド様、こぎげんよう」
「ああ、久しぶりだね。アレキサンドリア」
恭しく頭を下げるアレキサンドリアに、アルフレッド王子は心が躍った。

婚約者のアレキサンドリアは、王侯貴族の間でも評判の良い娘であった。
美人でセンスが良く、教養もあり、話術にも長けていて、彼女と話していて飽きることはなかった。

何より、機転がきいていて、なんらかのトラブルがあっても上手に処理できるほどに有能であったから、アルフレッド王子の父たる国王陛下はすっかりアレキサンドリアを気に入り、彼女をぜひ婚約者にしようと考えた。

我が息子に対して、頼りなさを感じていた王妃も「この御令嬢ならば」とそれに賛同した。

アルフレッド王子自身、美しく聡明でかつ、出自も素晴らしい女性と結婚できることに、喜びを感じていた。

向こうは晴れて王族の仲間入りを果たせるわけだし、アルフレッド王子の側からしてみれば、こんな女と結婚することで自分の株も上がるに違いない。

お互いが何かと好都合だ。
そう踏んでいた。

今の今までは火遊びでいろんな女と交わったが、やはり結婚するとなると、こういった女が一番なのだ。

本音を言えば、責任を負うのは嫌いだし、独身ほど気楽なものはないと考えてはいるが、王族の義務は果たさねばならない。
そう考えると、自身のステータスと釣り合う女が一番だ。

バカで物好きな輩は、自分は王族や貴族の身で、女など選び放題であるというのに、身分の垣根など関係ないと言って、庶民の女や下級貴族の女なんかと結婚する者がいる。

──そんなこと、冗談じゃない!

大した財産を持たぬ女と結婚して、何の得がある。

──ぼくだけは違う!ぼくは最高の女と結婚して、最高の男になって、ゆくゆくは王になるんだ!!



「ところで、今日はどうしたんだい?急に呼び出すものだから、あせってしまったよ」
アルフレッド王子は内心ほくそ笑んでいたが、あくまで紳士的に接した。

「ええ、急な呼び出しにも関わらず、会ってくださって嬉しゅうございますわ、アルフレッド王子」
「いや、いいともいいとも。それで?何の用だい?」
「結婚式について話したいことがございますので、ぜひ我が家へ来てくださいな。急いでますの、お願いできます?」
「ああ、そんなことかい?構わないとも!」

アレキサンドリアの屋敷にとんでもない罠が仕掛けてあることなど、まるで知らない王子様は楽しそうに了承した。
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