10 / 13
終焉は近づく
しおりを挟む
王子アルフレッドのところへ、婚約者の公爵令嬢アレキサンドリアが訪ねてきた。
「アルフレッド様、こぎげんよう」
「ああ、久しぶりだね。アレキサンドリア」
恭しく頭を下げるアレキサンドリアに、アルフレッド王子は心が躍った。
婚約者のアレキサンドリアは、王侯貴族の間でも評判の良い娘であった。
美人でセンスが良く、教養もあり、話術にも長けていて、彼女と話していて飽きることはなかった。
何より、機転がきいていて、なんらかのトラブルがあっても上手に処理できるほどに有能であったから、アルフレッド王子の父たる国王陛下はすっかりアレキサンドリアを気に入り、彼女をぜひ婚約者にしようと考えた。
我が息子に対して、頼りなさを感じていた王妃も「この御令嬢ならば」とそれに賛同した。
アルフレッド王子自身、美しく聡明でかつ、出自も素晴らしい女性と結婚できることに、喜びを感じていた。
向こうは晴れて王族の仲間入りを果たせるわけだし、アルフレッド王子の側からしてみれば、こんな女と結婚することで自分の株も上がるに違いない。
お互いが何かと好都合だ。
そう踏んでいた。
今の今までは火遊びでいろんな女と交わったが、やはり結婚するとなると、こういった女が一番なのだ。
本音を言えば、責任を負うのは嫌いだし、独身ほど気楽なものはないと考えてはいるが、王族の義務は果たさねばならない。
そう考えると、自身のステータスと釣り合う女が一番だ。
バカで物好きな輩は、自分は王族や貴族の身で、女など選び放題であるというのに、身分の垣根など関係ないと言って、庶民の女や下級貴族の女なんかと結婚する者がいる。
──そんなこと、冗談じゃない!
大した財産を持たぬ女と結婚して、何の得がある。
──ぼくだけは違う!ぼくは最高の女と結婚して、最高の男になって、ゆくゆくは王になるんだ!!
「ところで、今日はどうしたんだい?急に呼び出すものだから、あせってしまったよ」
アルフレッド王子は内心ほくそ笑んでいたが、あくまで紳士的に接した。
「ええ、急な呼び出しにも関わらず、会ってくださって嬉しゅうございますわ、アルフレッド王子」
「いや、いいともいいとも。それで?何の用だい?」
「結婚式について話したいことがございますので、ぜひ我が家へ来てくださいな。急いでますの、お願いできます?」
「ああ、そんなことかい?構わないとも!」
アレキサンドリアの屋敷にとんでもない罠が仕掛けてあることなど、まるで知らない王子様は楽しそうに了承した。
「アルフレッド様、こぎげんよう」
「ああ、久しぶりだね。アレキサンドリア」
恭しく頭を下げるアレキサンドリアに、アルフレッド王子は心が躍った。
婚約者のアレキサンドリアは、王侯貴族の間でも評判の良い娘であった。
美人でセンスが良く、教養もあり、話術にも長けていて、彼女と話していて飽きることはなかった。
何より、機転がきいていて、なんらかのトラブルがあっても上手に処理できるほどに有能であったから、アルフレッド王子の父たる国王陛下はすっかりアレキサンドリアを気に入り、彼女をぜひ婚約者にしようと考えた。
我が息子に対して、頼りなさを感じていた王妃も「この御令嬢ならば」とそれに賛同した。
アルフレッド王子自身、美しく聡明でかつ、出自も素晴らしい女性と結婚できることに、喜びを感じていた。
向こうは晴れて王族の仲間入りを果たせるわけだし、アルフレッド王子の側からしてみれば、こんな女と結婚することで自分の株も上がるに違いない。
お互いが何かと好都合だ。
そう踏んでいた。
今の今までは火遊びでいろんな女と交わったが、やはり結婚するとなると、こういった女が一番なのだ。
本音を言えば、責任を負うのは嫌いだし、独身ほど気楽なものはないと考えてはいるが、王族の義務は果たさねばならない。
そう考えると、自身のステータスと釣り合う女が一番だ。
バカで物好きな輩は、自分は王族や貴族の身で、女など選び放題であるというのに、身分の垣根など関係ないと言って、庶民の女や下級貴族の女なんかと結婚する者がいる。
──そんなこと、冗談じゃない!
大した財産を持たぬ女と結婚して、何の得がある。
──ぼくだけは違う!ぼくは最高の女と結婚して、最高の男になって、ゆくゆくは王になるんだ!!
「ところで、今日はどうしたんだい?急に呼び出すものだから、あせってしまったよ」
アルフレッド王子は内心ほくそ笑んでいたが、あくまで紳士的に接した。
「ええ、急な呼び出しにも関わらず、会ってくださって嬉しゅうございますわ、アルフレッド王子」
「いや、いいともいいとも。それで?何の用だい?」
「結婚式について話したいことがございますので、ぜひ我が家へ来てくださいな。急いでますの、お願いできます?」
「ああ、そんなことかい?構わないとも!」
アレキサンドリアの屋敷にとんでもない罠が仕掛けてあることなど、まるで知らない王子様は楽しそうに了承した。
1
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
金の力で殴ります! 〜非モテ令嬢は楽しくざまぁする〜
麻宮デコ@ざまぁSS短編
恋愛
「私みたいなデブスで性格悪な男爵令嬢に優良物件の子爵子息が結婚を申し入れしてくるなんて怪しい。絶対裏がある!」
資産家の娘である「私」はそう確信して婚約者を調べさせたら、案の定、彼には本命の平民の女性がいた。
そうか、ならば仕返しだ!と幼なじみをも巻き込み、やるなら楽しんでやろうぜ☆彡という、どっかずれたお嬢様の話。
全3話
入り婿予定の婚約者はハーレムを作りたいらしい
音爽(ネソウ)
恋愛
「お前の家は公爵だ、金なんて腐るほどあるだろ使ってやるよ。将来は家を継いでやるんだ文句は言わせない!」
「何を言ってるの……呆れたわ」
夢を見るのは勝手だがそんなこと許されるわけがないと席をたった。
背を向けて去る私に向かって「絶対叶えてやる!愛人100人作ってやるからな!」そう宣った。
愚かなルーファの行為はエスカレートしていき、ある事件を起こす。
これまでは妹に奪われ壊されてきましたが、彼女は婚約とその破棄を機に壊れてしまいました。
四季
恋愛
私の実の妹であるプピは強欲で心ない人だった。
彼女は私を見下し私からは何でも奪って良いものと思っているようであった。
一体だれが悪いのか?それはわたしと言いました
LIN
恋愛
ある日、国民を苦しめて来たという悪女が処刑された。身分を笠に着て、好き勝手にしてきた第一王子の婚約者だった。理不尽に虐げられることもなくなり、ようやく平和が戻ったのだと、人々は喜んだ。
その後、第一王子は自分を支えてくれる優しい聖女と呼ばれる女性と結ばれ、国王になった。二人の優秀な側近に支えられて、三人の子供達にも恵まれ、幸せしか無いはずだった。
しかし、息子である第一王子が嘗ての悪女のように不正に金を使って豪遊していると報告を受けた国王は、王族からの追放を決めた。命を取らない事が温情だった。
追放されて何もかもを失った元第一王子は、王都から離れた。そして、その時の出会いが、彼の人生を大きく変えていくことになる…
※いきなり処刑から始まりますのでご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる