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ジェヌビエーブが尋ねてきてから、1ヶ月が経過した。
確固たる証拠なんて、すぐに見つかるようなものではないから、きっと捜査は難航するだろうとアレキサンドリアは思っていたが、その予想は見事なまでに外れた。
短い間に、証拠と呼べるものが山ほど出てきたのだ。
「信じられないわ!アルフレッド王子ったら!!」
「左様でございますね、お嬢様」
テーブルに山と積まれた証拠の品々を前にして、アレキサンドリアとアルベルティーナは絶句した。
食事したレストランやカフェ、チェックインしたモーテルなどの署名がしっかり残っており、偽造工作やら隠蔽やらする気もなかったのか、しっかり本名で書かれている。
さらには、一度だけ、レストランでの会計が足りなくて懐中時計を担保に支払いをしたこともあり、その懐中時計もしっかり残されていた。
王家の紋章が刻まれた高価な懐中時計である。
この上で目撃証言も多数となれば、もう疑いようがない。
アルフレッド王子は婚約者がいる身でありながら、他の女に手をつけたのだ。
しかも、その女は婚約者の領民であるというおまけ付き。
さらには、妊娠がわかると相手から逃亡し、何食わぬ顔で結婚の準備を進めようとしている。
この場合、婚約者がいるとわかっていながらアルフレッド王子と関係を持ったジェヌビエーブも責められるべきと思うところだが、先に接近したのはアルフレッド王子の方だ。
それに、アルフレッド王子は変なところで饒舌になる傾向があった。
おまけに、見た目はそれなり美しい。
「愛しているのはキミだけだよ」
「いつかアレキサンドリアとの婚約は破棄して、きみといっしょになりたい」
などとさわやかな笑顔を向けられて、甘い言葉を囁かれたら、夢みがちな庶民の娘はその身を許してしまうだろう。
夢見る18歳の乙女たるジェヌビエーブは、王子様と庶民の娘の恋という、ロマンティックなシンデレラストーリーに、ついつい酔ってしまったのだ。
そうして酔っていられるうちはよかったが、残酷極まりない現実に襲われてしまった。
「アルフレッド王子ったら!本当に許せないわ!!」
「お気持ちお察しします、お嬢様」
アルベルティーナは淡々と頷く。
「妊娠させたなら、きっちり母子ともに面倒見なさいよね!」
「そちらでございますか?お嬢様」
婚約中に浮気したことは良いのだろうか、とアルベルティーナは疑問に思った。
「あら、わたしは愛人が何人いても気にしないわよ。英雄よく色を好むというしね。それに、何人もの女とうまくやっていくのは、至難の業だもの」
ケロリとのたまうアレキサンドリアに、アルベルティーナは妙な感心を抱いた。
確固たる証拠なんて、すぐに見つかるようなものではないから、きっと捜査は難航するだろうとアレキサンドリアは思っていたが、その予想は見事なまでに外れた。
短い間に、証拠と呼べるものが山ほど出てきたのだ。
「信じられないわ!アルフレッド王子ったら!!」
「左様でございますね、お嬢様」
テーブルに山と積まれた証拠の品々を前にして、アレキサンドリアとアルベルティーナは絶句した。
食事したレストランやカフェ、チェックインしたモーテルなどの署名がしっかり残っており、偽造工作やら隠蔽やらする気もなかったのか、しっかり本名で書かれている。
さらには、一度だけ、レストランでの会計が足りなくて懐中時計を担保に支払いをしたこともあり、その懐中時計もしっかり残されていた。
王家の紋章が刻まれた高価な懐中時計である。
この上で目撃証言も多数となれば、もう疑いようがない。
アルフレッド王子は婚約者がいる身でありながら、他の女に手をつけたのだ。
しかも、その女は婚約者の領民であるというおまけ付き。
さらには、妊娠がわかると相手から逃亡し、何食わぬ顔で結婚の準備を進めようとしている。
この場合、婚約者がいるとわかっていながらアルフレッド王子と関係を持ったジェヌビエーブも責められるべきと思うところだが、先に接近したのはアルフレッド王子の方だ。
それに、アルフレッド王子は変なところで饒舌になる傾向があった。
おまけに、見た目はそれなり美しい。
「愛しているのはキミだけだよ」
「いつかアレキサンドリアとの婚約は破棄して、きみといっしょになりたい」
などとさわやかな笑顔を向けられて、甘い言葉を囁かれたら、夢みがちな庶民の娘はその身を許してしまうだろう。
夢見る18歳の乙女たるジェヌビエーブは、王子様と庶民の娘の恋という、ロマンティックなシンデレラストーリーに、ついつい酔ってしまったのだ。
そうして酔っていられるうちはよかったが、残酷極まりない現実に襲われてしまった。
「アルフレッド王子ったら!本当に許せないわ!!」
「お気持ちお察しします、お嬢様」
アルベルティーナは淡々と頷く。
「妊娠させたなら、きっちり母子ともに面倒見なさいよね!」
「そちらでございますか?お嬢様」
婚約中に浮気したことは良いのだろうか、とアルベルティーナは疑問に思った。
「あら、わたしは愛人が何人いても気にしないわよ。英雄よく色を好むというしね。それに、何人もの女とうまくやっていくのは、至難の業だもの」
ケロリとのたまうアレキサンドリアに、アルベルティーナは妙な感心を抱いた。
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