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王子様とお姫様 ※
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純がクローゼットから取り出したのは、18世紀の貴族風衣装であった。
「これでヤるの?どんなプレイ?」
仁志は苦笑いするしかなかった。
通常、ラブホテルで用意されている衣装というのは、大抵は縫製が雑で生地が薄く、全体的に粗雑なものが多いが、これは違った。
やたら装飾が凝っているネイビーのフロックコートに、スタンドカラーのフリルシャツ、それとは対照的にすっきりシンプルなスラックス。
まるで大手劇団が所持している舞台衣装みたいだ。
「ふふっ、ねえ仁志。せっかくだからさ、これ着てみてよ」
「ええー」
純の要望に、仁志は苦笑いで返した。
「ぼくはこれ着よっかな!」
言うと純は、童話のお姫様が着るような、フリルとリボンたっぷり真っ白なネグリジェを引っ張り出した。
ガラじゃない衣装を着るのに抵抗はあったが、可愛い恋人のたっての望みとあっては拒否できない。
「芸人がコントでやる王子様じゃん、コレ…」
着替え終わった仁志は、これまた派手なロココ調デザインのスタンドミラーに自身を写し、感想を述べた。
いかにも今どきの日本の若者といった顔つきと、数百年前のフランスで流行ったであろう派手な服は、まるで合っていない。
見事なまでにケンカしている。
「ええー、いいじゃんいいじゃん!カッコいいよ仁志!!」
そんな仁志の隣で、純はネグリジェの裾をヒラヒラ揺らして舞い上がっていた。
どこにあったのか知らないが、ご丁寧に花冠までかぶっている。
「そうか。そりゃ、ありがとう…」
形ばかりの礼を言った途端、急に純が抱きついてきた。
瞬間、仁志は体が異様に昂ぶるのを感じた。
純の発情期が来たのだ。
「ねえ、王子様…わたしのこと助けてくれる」
純が抱きついたまま、とろんとした瞳で仁志を見つめてきた。
「わかったよ、お姫様」
「んんっ…はあっ、ん…」
2人はベッドに移動すると、熱い口づけを交わした。
「このネグリジェ、えっちだなあ、乳首透けてんじゃん」
唇を離して、ベッドに寝そべる純を見下ろすと、生地の薄いネグリジェが汗で張り付き、純の体を露わにしていた。
仁志がネグリジェ越しに純の乳首を指先で可愛がってやると、純はビクビクと震えて背中を反らした。
そうすると純の股が濡れてきて、そこにネグリジェが張り付く。
その扇情的な光景に、仁志は思わずゴクリと唾を飲み込む。
「や…んっ、そこ、だめえ、イっちゃう…!」
「どうして?ジュンちゃん、ここ好きじゃん」
仁志は、ちょっと意地悪したい気持ちにかられて、純の乳首を爪先で軽くはじいた。
そのたびに、純はいやいやをする幼児のようにかぶりを振って喘ぐ。
「…挿れてえ、前戯とか、いいからあ…!」
「え、でも…」
挿れるのはもう少し後と考えていたので、仁志は戸惑った。
「いいから、はやくう…」
純がネグリジェの裾をめくって懇願してきた。
そこはもう、しとどに濡れそぼってしまって、蕾は雄を求めてヒクヒク動いている。
「…わかったよ」
言われた通り、仁志は前をくつろげて男根にコンドームをつけると、純の胎内に侵入していった。
「あんっ!あっ…ひんっ、んんっ…イイッ、気持ちいいよお…あ、だめ、イッちゃう、もう、出ちゃう!」
純のそこは男根をきゅうきゅう締めつけて離さず、そのあまりに強い快感に、仁志は頭がクラクラしてきた。
「うん、俺も出すね、お姫様!」
2人とも、挿入して間もないのに、あっという間に達してしまった。
その後も数回交わっているうち、疲れた2人はそのまま寝込んでしまった。
先に起きたのは、純の方だった。
何気なく、隣で寝ている仁志の顔を覗き込んでみる。
──王子様ってか、ほぼ狼だったなあ…
すうすうと規則正しい寝息を立てている仁志の顔を見て、純はそんなことを思った。
それでも、純はそんな狼が好きでたまらない。
──これからもよろしくね、ぼくの狼さん!
純は寝ている仁志の胸に顔を埋めると、もう一度眠りについた。
「これでヤるの?どんなプレイ?」
仁志は苦笑いするしかなかった。
通常、ラブホテルで用意されている衣装というのは、大抵は縫製が雑で生地が薄く、全体的に粗雑なものが多いが、これは違った。
やたら装飾が凝っているネイビーのフロックコートに、スタンドカラーのフリルシャツ、それとは対照的にすっきりシンプルなスラックス。
まるで大手劇団が所持している舞台衣装みたいだ。
「ふふっ、ねえ仁志。せっかくだからさ、これ着てみてよ」
「ええー」
純の要望に、仁志は苦笑いで返した。
「ぼくはこれ着よっかな!」
言うと純は、童話のお姫様が着るような、フリルとリボンたっぷり真っ白なネグリジェを引っ張り出した。
ガラじゃない衣装を着るのに抵抗はあったが、可愛い恋人のたっての望みとあっては拒否できない。
「芸人がコントでやる王子様じゃん、コレ…」
着替え終わった仁志は、これまた派手なロココ調デザインのスタンドミラーに自身を写し、感想を述べた。
いかにも今どきの日本の若者といった顔つきと、数百年前のフランスで流行ったであろう派手な服は、まるで合っていない。
見事なまでにケンカしている。
「ええー、いいじゃんいいじゃん!カッコいいよ仁志!!」
そんな仁志の隣で、純はネグリジェの裾をヒラヒラ揺らして舞い上がっていた。
どこにあったのか知らないが、ご丁寧に花冠までかぶっている。
「そうか。そりゃ、ありがとう…」
形ばかりの礼を言った途端、急に純が抱きついてきた。
瞬間、仁志は体が異様に昂ぶるのを感じた。
純の発情期が来たのだ。
「ねえ、王子様…わたしのこと助けてくれる」
純が抱きついたまま、とろんとした瞳で仁志を見つめてきた。
「わかったよ、お姫様」
「んんっ…はあっ、ん…」
2人はベッドに移動すると、熱い口づけを交わした。
「このネグリジェ、えっちだなあ、乳首透けてんじゃん」
唇を離して、ベッドに寝そべる純を見下ろすと、生地の薄いネグリジェが汗で張り付き、純の体を露わにしていた。
仁志がネグリジェ越しに純の乳首を指先で可愛がってやると、純はビクビクと震えて背中を反らした。
そうすると純の股が濡れてきて、そこにネグリジェが張り付く。
その扇情的な光景に、仁志は思わずゴクリと唾を飲み込む。
「や…んっ、そこ、だめえ、イっちゃう…!」
「どうして?ジュンちゃん、ここ好きじゃん」
仁志は、ちょっと意地悪したい気持ちにかられて、純の乳首を爪先で軽くはじいた。
そのたびに、純はいやいやをする幼児のようにかぶりを振って喘ぐ。
「…挿れてえ、前戯とか、いいからあ…!」
「え、でも…」
挿れるのはもう少し後と考えていたので、仁志は戸惑った。
「いいから、はやくう…」
純がネグリジェの裾をめくって懇願してきた。
そこはもう、しとどに濡れそぼってしまって、蕾は雄を求めてヒクヒク動いている。
「…わかったよ」
言われた通り、仁志は前をくつろげて男根にコンドームをつけると、純の胎内に侵入していった。
「あんっ!あっ…ひんっ、んんっ…イイッ、気持ちいいよお…あ、だめ、イッちゃう、もう、出ちゃう!」
純のそこは男根をきゅうきゅう締めつけて離さず、そのあまりに強い快感に、仁志は頭がクラクラしてきた。
「うん、俺も出すね、お姫様!」
2人とも、挿入して間もないのに、あっという間に達してしまった。
その後も数回交わっているうち、疲れた2人はそのまま寝込んでしまった。
先に起きたのは、純の方だった。
何気なく、隣で寝ている仁志の顔を覗き込んでみる。
──王子様ってか、ほぼ狼だったなあ…
すうすうと規則正しい寝息を立てている仁志の顔を見て、純はそんなことを思った。
それでも、純はそんな狼が好きでたまらない。
──これからもよろしくね、ぼくの狼さん!
純は寝ている仁志の胸に顔を埋めると、もう一度眠りについた。
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