上 下
26 / 55

介抱※

しおりを挟む
「ジュンちゃん、大丈夫?」
「うん…」
純に肩を貸し、引きずるようにして連れて帰った仁志は、玄関ドアを片手で器用に開けた。

「ほら、ベッドに寝て!」
部屋に入るなり、仁志は純の体をベッドに寝転がした。
「…うん」
「汗かいたから、のど乾いただろ?いま、水出してあげるからね」
仁志はキッチンに移動すると、冷蔵庫を開けて、ストックされていたミネラルウォーターを出した。
グラスに水を入れて持っていってやると、純は上体を起こして、グッとそれを飲み干した。

「ごめん、ひとし…」
純が飲み終わったグラスをあけ渡した。
「いいよ、別に」
グラスをそばのテーブルに置くと、仁志は純の背中を撫でさすってやった。
「ホント、最悪…」
純はもう一度、ベッドに倒れ込んだ。
もう過ぎたと思っていた発情期がやってきて、その上で犯されそうになるなんてと、本当に最悪の気分だ。

しかし、疼くものは疼く。
「ひとし…がまんできない。はやく……」
早く火照りを鎮めたくて、純は仁志に縋りついた。
「わ、わかったよ。ちょっと待って!」
急かされた仁志は、あわててベッドに乗り上げた。
仁志が純のズボンのウエストに手をかけ、前をくつろげてやると、純のそこはすっかり濡れそぼっていた。
「もうこんなに…辛かっただろ、ジュンちゃん」
自分だってフェロモンの影響で発情しているのに、仁志が真っ先に心配するのは、いつも純だった。
「うん、ねえ、はやく挿れて…」
「わかった」
仁志がジーンズのボタンをはずし、ファスナーを下ろすと、すっかりいきり勃った男根が露わになった。

「ひとし、はやく…」
純が仁志の首に腕を回して、懇願してくる。
「あんまり煽らないでよ、ジュンちゃん」
それに応じるように、仁志は純に深く口づけた。
口内でお互いの唾液が交わり、舌が絡まり合う。
「んんッ、はあっ…」
唇が離されると、どっちのものかもわからない唾液が糸を引き、プツンと切れた。

今度は仁志の大きな手がシャツの中に入ってきて、指の腹で乳首を弄ってきた。
「ああ、ンッ…それ、だめえ…」
純がいやいやをする幼児のように咽び鳴く。
「好きなクセに」
仁志はちょっとした意地悪をしてみせた後、避妊具をいきり勃った男根に被せた。


純の足首を持って広げさせると、そこは「早くきて」とばかりに濡れてヒクついていた。
「挿れるよ」
仁志が腰を押し進めると、純の肉壺はあっという間に男根を呑み込んでいった。
「うあっ、ああっ、いいッ…ひとしっ、すっごくいい…!きもちいいっ!!」
繰り返される抽挿に、純はただひたすらに喘いで、快感を甘受した。
「あっ、ジュンちゃん、それはヤバいって!!」
男根がより深くめり込むように、純は仁志の腰に脚を絡めた。
貪欲に、より強い快楽を貪ろうとする純の様子に愛おしさすら感じてきて、仁志は頭がクラクラしてきた。
「あっ、いいっ、いいよう…」
「ジュンちゃんッ、おれ、もう出すよ!」
仁志は純の細い腰を掴んで、激しく体を揺すぶった。
「うん、だして、たくさんだしてえ!」
純の懇願に応えるように、仁志は射精した。


「ひとし、すきっ…大好きっ!」
「俺も…」
お互いの熱を分け合うように、2人はしばらく抱きしめ合った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

【完結】遍く、歪んだ花たちに。

古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。 和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。 「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」 No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

【完結】スーツ男子の歩き方

SAI
BL
イベント会社勤務の羽山は接待が続いて胃を壊しながらも働いていた。そんな中、4年付き合っていた彼女にも振られてしまう。 胃は痛い、彼女にも振られた。そんな羽山の家に通って会社の後輩である高見がご飯を作ってくれるようになり……。 ノンケ社会人羽山が恋愛と性欲の迷路に迷い込みます。そして辿り着いた答えは。 後半から性描写が増えます。 本編 スーツ男子の歩き方 30話 サイドストーリー 7話 順次投稿していきます。 ※サイドストーリーはリバカップルの話になります。 ※性描写が入る部分には☆をつけてあります。 10/18 サイドストーリー2 亨の場合の投稿を開始しました。全5話の予定です。

上司と俺のSM関係

雫@更新不定期です
BL
タイトルの通りです。

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

熱中症

こじらせた処女
BL
会社で熱中症になってしまった木野瀬 遼(きのせ りょう)(26)は、同居人で恋人でもある八瀬希一(やせ きいち)(29)に迎えに来てもらおうと電話するが…?

後天性オメガの合理的な番契約

キザキ ケイ
BL
平凡なベータの男として二十六年間生きてきた山本は、ある日突然バースが変わったと診断される。 世界でも珍しい後天性バース転換を起こした山本は、突然変異のオメガになってしまった。 しかも診断が下ったその日、同僚の久我と病院で遭遇してしまう。 オメガへと変化した自分にショックを隠しきれない山本は、久我に不安を打ち明ける。そんな山本に久我はとんでもないことを提案した。 「先輩、俺と番になりませんか!」 いや、久我はベータのはず。まさか…おまえも後天性!?

処理中です...