7 / 54
第1章 ココどこですか?
【死んだフリ】ってアリなのか?!
しおりを挟む
キョウの知識はさすが自称でも神狼を名乗る程の優れものだった。
聞きたいことが満載だが、街へ進む努力を見せないと拗ねるからめんどく。。いや、気難しい神狼だ。
仕方なく、1日に1キロ程進めば質問に答えてくれると言う約束したが圧倒的に時間が足りない。
本物の第1村人と出会うまでには、しなければならない事が沢山あるのだ。自慢ではないが文無しになった経験ならある。
しかし、あの時は子供だった。まだ保護という名目があり生き延びる手段も豊富だったのだ。
それがこの歳になってからの文無しはキツい。正直、収納庫に貯めているモノとて何処までお金になるか分からない。
キョウもイマイチ市井の実態は分かっていなかったからな。
しかし、それでも3ヶ月が限度だったようだ。さしもの青木課長とて我慢が爆発した後のフォローは大変だった。
本気で怒らせては協力は得られない。唯一の味方なのだから。まぁ、少し疑念の余地はあるけれど今はキョウだけが頼りだ。
『矢作!!ようやく出口が見えてきたぞ。
お前のノロマには本当は手間取ったが今こそ、その成果を見せる時が来たのだ!!』
肩に乗るようになったキョウは、今では手のひらサイズが当たり前だ。大きくなるのは力を使うらしく滅多にしない(まぁ、俺が本気で怒らせた時だけだな。)
出口と言うだけあって、薄桃色の幕のようなものに覆われていた。
『ここを破ってもいいのか?怒られないか、上司とかに。』
『ふふふ、無知はこれだから困る。出口を作る方法を知らない訳がないだろう。』
『なるほど。上司も了承済みなのだな。なら安心だ。』
『お前ごときが心配する必要はない!!もちろん、上司も了承済だ。』
マジでチョロい。
何時だったか、上司🟰神様の事を聞いたらめっちゃくちゃ怒って暫く手をつけられないくらいだったのに。
あっさり口を滑らしたぞ。
絶対、上司に信用されてないクチだな。
『おい!!世紀の瞬間を見逃すなよ。
この先に進めばここにはもう戻れないのだからな!!』
『分かった。緊張して待っていよう。』
顔を引き締める俺を見て、満足そうなキョウが何やらブツブツと呟き始めた。
〚開門なる詔を捧げ、神使なる身の新たなる力となりぬ〛
時折、キョウの話す言葉は意味が分からない。正確には意味は分かるけれどその真意を考えようとすると言葉が頭の中でハジケて消える。
恐らく何かのLvが足りないのだろう。
そんな事を考えていたら、キョウの口から青い炎が薄桃色の膜に向かって放たれた。
肩から突然放たれた青い炎は、何故か暑くもなく冷たくもない。しかし、さすがの強心臓の俺でもドキッとした。
イキナリは無茶過ぎる。
暫く、すると炎の場所から膜が溶け始め向こう側が見えてきた。
目を凝らして、向こうを除くと大きな木々が見える。
森の中という感じだな。
まあ、いきなり青い炎から人が現れたらびっくりされるからな。
久しぶりに見る緑の木々に和んでいると
キョウが炎を収めて叫んだ。
『走れよ!!溶けている間しか脱出出来ないんだぞ!!』
慌てて走り出した俺の目の前で膜がドンドン閉じていく。久しぶりのダッシュは心臓が、破れそうな程バクバクと脈をうったがとにかく懸命に走った。
でも、ま、膜が。。
その時、、ハックション!!
キョウのクシャミでチョロっと青い炎が出た。
少しだけ溶けたその隙に、必死に走り込む。
はーはーはーはーはー。
呼吸音しかしない。
心臓が壊れそうだ。
言いたい文句も緑の木々の上の青空の美しさも今は後回しだ。
とにかく、脱出は成功した。
と、思ったら。
『*☆$#%%%%☆○+×÷』
熊がこっちを見て叫んでいた。
えーっと、こっちでも【死んだフリ】とか有効ですかね。
いや、実際は逃げるしかないと聞いてるけど今は動けないので本当はコレしか手がないのだけど。
荒ぶる息を潜めて目を閉じていると
ふーふーふー。
頬に息がかかる。
生暖かな息に今度こそ真剣に息を止めた。
ツンツン。
鋭い爪が頬を突く。
痛っ。血が出るヤツだな。
キョウの気配もない。
これは
やっぱり。。詰んだのか。
聞きたいことが満載だが、街へ進む努力を見せないと拗ねるからめんどく。。いや、気難しい神狼だ。
仕方なく、1日に1キロ程進めば質問に答えてくれると言う約束したが圧倒的に時間が足りない。
本物の第1村人と出会うまでには、しなければならない事が沢山あるのだ。自慢ではないが文無しになった経験ならある。
しかし、あの時は子供だった。まだ保護という名目があり生き延びる手段も豊富だったのだ。
それがこの歳になってからの文無しはキツい。正直、収納庫に貯めているモノとて何処までお金になるか分からない。
キョウもイマイチ市井の実態は分かっていなかったからな。
しかし、それでも3ヶ月が限度だったようだ。さしもの青木課長とて我慢が爆発した後のフォローは大変だった。
本気で怒らせては協力は得られない。唯一の味方なのだから。まぁ、少し疑念の余地はあるけれど今はキョウだけが頼りだ。
『矢作!!ようやく出口が見えてきたぞ。
お前のノロマには本当は手間取ったが今こそ、その成果を見せる時が来たのだ!!』
肩に乗るようになったキョウは、今では手のひらサイズが当たり前だ。大きくなるのは力を使うらしく滅多にしない(まぁ、俺が本気で怒らせた時だけだな。)
出口と言うだけあって、薄桃色の幕のようなものに覆われていた。
『ここを破ってもいいのか?怒られないか、上司とかに。』
『ふふふ、無知はこれだから困る。出口を作る方法を知らない訳がないだろう。』
『なるほど。上司も了承済みなのだな。なら安心だ。』
『お前ごときが心配する必要はない!!もちろん、上司も了承済だ。』
マジでチョロい。
何時だったか、上司🟰神様の事を聞いたらめっちゃくちゃ怒って暫く手をつけられないくらいだったのに。
あっさり口を滑らしたぞ。
絶対、上司に信用されてないクチだな。
『おい!!世紀の瞬間を見逃すなよ。
この先に進めばここにはもう戻れないのだからな!!』
『分かった。緊張して待っていよう。』
顔を引き締める俺を見て、満足そうなキョウが何やらブツブツと呟き始めた。
〚開門なる詔を捧げ、神使なる身の新たなる力となりぬ〛
時折、キョウの話す言葉は意味が分からない。正確には意味は分かるけれどその真意を考えようとすると言葉が頭の中でハジケて消える。
恐らく何かのLvが足りないのだろう。
そんな事を考えていたら、キョウの口から青い炎が薄桃色の膜に向かって放たれた。
肩から突然放たれた青い炎は、何故か暑くもなく冷たくもない。しかし、さすがの強心臓の俺でもドキッとした。
イキナリは無茶過ぎる。
暫く、すると炎の場所から膜が溶け始め向こう側が見えてきた。
目を凝らして、向こうを除くと大きな木々が見える。
森の中という感じだな。
まあ、いきなり青い炎から人が現れたらびっくりされるからな。
久しぶりに見る緑の木々に和んでいると
キョウが炎を収めて叫んだ。
『走れよ!!溶けている間しか脱出出来ないんだぞ!!』
慌てて走り出した俺の目の前で膜がドンドン閉じていく。久しぶりのダッシュは心臓が、破れそうな程バクバクと脈をうったがとにかく懸命に走った。
でも、ま、膜が。。
その時、、ハックション!!
キョウのクシャミでチョロっと青い炎が出た。
少しだけ溶けたその隙に、必死に走り込む。
はーはーはーはーはー。
呼吸音しかしない。
心臓が壊れそうだ。
言いたい文句も緑の木々の上の青空の美しさも今は後回しだ。
とにかく、脱出は成功した。
と、思ったら。
『*☆$#%%%%☆○+×÷』
熊がこっちを見て叫んでいた。
えーっと、こっちでも【死んだフリ】とか有効ですかね。
いや、実際は逃げるしかないと聞いてるけど今は動けないので本当はコレしか手がないのだけど。
荒ぶる息を潜めて目を閉じていると
ふーふーふー。
頬に息がかかる。
生暖かな息に今度こそ真剣に息を止めた。
ツンツン。
鋭い爪が頬を突く。
痛っ。血が出るヤツだな。
キョウの気配もない。
これは
やっぱり。。詰んだのか。
396
お気に入りに追加
488
あなたにおすすめの小説

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

スキルを得られない特殊体質の少年。祠を直したらユニークスキルもらえた(なんで??)
屯神 焔
ファンタジー
魔法が存在し、魔物が跋扈し、人々が剣を磨き戦う世界、『ミリオン』
この世界では自身の強さ、もしくは弱さを知られる『ステータス』が存在する。
そして、どんな人でも、亜人でも、動物でも、魔物でも、生まれつきスキルを授かる。
それは、平凡か希少か、1つか2つ以上か、そういった差はあれ不変の理だ。
しかし、この物語の主人公、ギル・フィオネットは、スキルを授からなかった。
正確には、どんなスキルも得られない体質だったのだ。
そんな彼は、田舎の小さな村で生まれ暮らしていた。
スキルを得られない体質の彼を、村は温かく迎え・・・はしなかった。
迫害はしなかったが、かといって歓迎もしなかった。
父親は彼の体質を知るや否や雲隠れし、母は長年の無理がたたり病気で亡くなった。
一人残された彼は、安い賃金で雑用をこなし、その日暮らしを続けていた。
そんな彼の唯一の日課は、村のはずれにある古びた小さな祠の掃除である。
毎日毎日、少しずつ、汚れをふき取り、欠けてしまった所を何とか直した。
そんなある日。
『ありがとう。君のおかげで私はここに取り残されずに済んだ。これは、せめてものお礼だ。君の好きなようにしてくれてかまわない。本当に、今までありがとう。』
「・・・・・・え?」
祠に宿っていた、太古の時代を支配していた古代龍が、感謝の言葉と祠とともに消えていった。
「祠が消えた?」
彼は、朝起きたばかりで寝ぼけていたため、最後の「ありがとう」しか聞こえていなかった。
「ま、いっか。」
この日から、彼の生活は一変する。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

念動力ON!〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜
ばふぉりん
ファンタジー
こんなスキルあったらなぁ〜?
あれ?このスキルって・・・えい〜できた
スキル授与の列で一つのスキルをもらったけど、列はまだ長いのでさいしょのすきるで後方の列に並び直したらそのまま・・・もう一個もらっちゃったよ。
いいの?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる