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許せない。
本当に許せない。
あんだけ好き勝手しておいて挙げ句の果てこんなのってあるかしら……。
「聞いているのかアリス。冗談でもなんでもないんだぞ。もっと責任を持ちたまえ!」
突然、婚約破棄を持ちかけたこの男の方がよっぽど責任を放棄している。そう思った私はもう我慢ならなかった。
「……ふざけるな」
私の声は震えていたと思う。
怒りで頭が沸騰しそうだった。
「え?」
「いい加減にしろと言っている!お前は一体何様だ!?人の事を散々馬鹿にしておいて今更虫が良すぎるだろう!!」
私は思わず声を荒げて怒鳴っていた。
「何を言っている!貴様が僕を侮辱したからではないか!!それが真実だと分かったから俺は……」
「事実無根だからと言ってその相手を一方的に責め立てるような真似をするなと言っているのだ!!恥知らずめ!!!」
私は感情に任せて叫んだ。
こんなこと言いたくない。
けれど言わずにはいられなかった。
「お、おい……落ち着けよアリス……。なんなんださっきから君はおかしいぞ……」
「おかしくなど無い!」
そうだ。あの時だって。
私の地位と名誉にしか興味がなさそうなこいつが別の女に心から愛してるなどという発言をした。そんな事絶対にありえないはずなのに。
それにあろうことかキスまでしてきた。
あれには驚いた。
今までの行いを棚上げした上で、私はこいつを許さない。
そして一番許せないのは……
「あんなことを言っておきながら、結局私に惚れていたということだ!貴様は浮気者ではないか!!」
私がそう言うと、彼は顔を真っ赤にした。
図星らしい。
「ち、違う!それは誤解だ!俺は別に君になんか……」
「黙れ!言い訳するな!お前みたいな奴のせいでどれだけ私の人生が狂ったと思っているんだ!!」
「わ、わかった……。君の言うとおりにする……。だから落ち着こう?ね?」
「嫌だ!貴様のような男と結婚するくらいなら死んだ方がマシだ!!」
「そ、そこまで言うか……」
彼が困り顔になったところで私はハッとした。……しまった。つい感情的になってしまった。
「ごめんなさい。少し取り乱しました」
けどこれで、婚約破棄を持ちかけられたのを、逆にこちら側から破棄を提唱したことになった。「……」……これで良かったのだろうか。
正直不安しかない。
でももう後には引けない。
「とにかく話は終わりです。失礼します」
これ以上ここにいても仕方がない。私は踵を返そうとしたのだが……。
「待ってくれ!」
「まだ何か用ですか?」
「どうしてアリスが僕を振っているんだ! 理解ができない! 僕が婚約破棄を持ちかけたというのにどうして!!」
そんなことをいちいち気にしている奴だからに決まっている。
「どうもこうもないでしょう。貴方は私に婚約破棄を持ちかけた。それに対する私の答えがこれですよ」
「意味がわかんないよ!! そもそも僕はアリスを愛してるんだよ!?」……気持ち悪い。
今更どの口がそれをほざくのかしら。
私が皆にこのことを言いふらすとでも思っているのだろうか。だから急にそんなことを。
だとしたら、徹底的に復讐して地獄に落として差し上げますわ。
本当に許せない。
あんだけ好き勝手しておいて挙げ句の果てこんなのってあるかしら……。
「聞いているのかアリス。冗談でもなんでもないんだぞ。もっと責任を持ちたまえ!」
突然、婚約破棄を持ちかけたこの男の方がよっぽど責任を放棄している。そう思った私はもう我慢ならなかった。
「……ふざけるな」
私の声は震えていたと思う。
怒りで頭が沸騰しそうだった。
「え?」
「いい加減にしろと言っている!お前は一体何様だ!?人の事を散々馬鹿にしておいて今更虫が良すぎるだろう!!」
私は思わず声を荒げて怒鳴っていた。
「何を言っている!貴様が僕を侮辱したからではないか!!それが真実だと分かったから俺は……」
「事実無根だからと言ってその相手を一方的に責め立てるような真似をするなと言っているのだ!!恥知らずめ!!!」
私は感情に任せて叫んだ。
こんなこと言いたくない。
けれど言わずにはいられなかった。
「お、おい……落ち着けよアリス……。なんなんださっきから君はおかしいぞ……」
「おかしくなど無い!」
そうだ。あの時だって。
私の地位と名誉にしか興味がなさそうなこいつが別の女に心から愛してるなどという発言をした。そんな事絶対にありえないはずなのに。
それにあろうことかキスまでしてきた。
あれには驚いた。
今までの行いを棚上げした上で、私はこいつを許さない。
そして一番許せないのは……
「あんなことを言っておきながら、結局私に惚れていたということだ!貴様は浮気者ではないか!!」
私がそう言うと、彼は顔を真っ赤にした。
図星らしい。
「ち、違う!それは誤解だ!俺は別に君になんか……」
「黙れ!言い訳するな!お前みたいな奴のせいでどれだけ私の人生が狂ったと思っているんだ!!」
「わ、わかった……。君の言うとおりにする……。だから落ち着こう?ね?」
「嫌だ!貴様のような男と結婚するくらいなら死んだ方がマシだ!!」
「そ、そこまで言うか……」
彼が困り顔になったところで私はハッとした。……しまった。つい感情的になってしまった。
「ごめんなさい。少し取り乱しました」
けどこれで、婚約破棄を持ちかけられたのを、逆にこちら側から破棄を提唱したことになった。「……」……これで良かったのだろうか。
正直不安しかない。
でももう後には引けない。
「とにかく話は終わりです。失礼します」
これ以上ここにいても仕方がない。私は踵を返そうとしたのだが……。
「待ってくれ!」
「まだ何か用ですか?」
「どうしてアリスが僕を振っているんだ! 理解ができない! 僕が婚約破棄を持ちかけたというのにどうして!!」
そんなことをいちいち気にしている奴だからに決まっている。
「どうもこうもないでしょう。貴方は私に婚約破棄を持ちかけた。それに対する私の答えがこれですよ」
「意味がわかんないよ!! そもそも僕はアリスを愛してるんだよ!?」……気持ち悪い。
今更どの口がそれをほざくのかしら。
私が皆にこのことを言いふらすとでも思っているのだろうか。だから急にそんなことを。
だとしたら、徹底的に復讐して地獄に落として差し上げますわ。
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