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第二幕 あやかし兎の京都裏町、舞妓編 ~祇園に咲く真紅の紫陽花
34.サルビアの花(1)
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南座占拠騒動から、一週間が過ぎました。
アマモリとバクケンによる討論は裏四条を舞台とした『呪い鬼ごっこ』で決着することとなり、この噂は瞬く間に京都中に拡散されました。騒動が大好きな裏町住人ですから、彼らが騒ぎの口実を見逃すはずがなく、裏四条では前夜祭、前々夜祭と称して連日の祭りが開催されています。
まるで祇園祭のように『コン・チキ・チン』の音色で盛り上がっているのですが、裏町の音色は『チンドン・コンチキ』と呼ばれていまして、なぜなら、ちっとも鈴の音が揃わない。コンをキツネが、チキをニワトリが、チンを金霊が勝手なタイミングで叩くため、コンコンコン、チンチキ、コココン、チンチキ、ドン(太鼓)! みたいになるのです。
決闘の日は、六月の第二週の土曜日と定められました。
住民が寝静まった(ほとんど起きているでしょうけど)夜中に鬼ごっこが開始されるため、私は私で夜型に生活をシフトしておこうと、できるだけ夜更かしをすることにしたのです。
だけど夜中になると、暗いせいか、どうにもマイナス思考に支配されてしまう。
決闘に負けたら、どうしよう。
合同祭が開催できなくなって、せっかく音兎ちゃんが舞妓に戻る決意をしたのに、また、諦めてしまったら。
夢にまで決闘の光景が浮かんで、夢で良かったと夜中に目が覚めて、そこから考えこんで。
私って、どうしていつも、こうなっちゃうかな。
勝手に突っ走って、周りを巻き込んで、案内人として職務を全うしているつもりが、自己の正義に駆られているだけなのかもしれない。感情で突っ走って、成功すれば喜んでもらえたから、今までは満足する結論に達したから、それがもし、今回ばかりは転んでしまったら。音兎ちゃんや鈴屋の方々、香月さんに切目さん、アマモリのメンバーに、ハルだって。
考えれば考えるほど、いたたまれなくなります。段々と、自分のお節介ぶりに嫌気を覚えます。独りでいると余計に気が滅入るから、決戦当日になってもヤキモキして落ち着かなくて、だから夕方も手前に早々と裏四条のお祭りへと繰り出しました。談笑の渦に身を投げていると、それだけで気持ちが強くなれるのです。
裏四条は私の期待通りに、賑わっていました。
決戦日が近付くにつれて祭りの飾りが派手になっていくのですが、それが当日には極まって、神輿やら櫓やら、それこそ祇園祭で登場するはずの山鉾の山車まで繰り出しています。公道の両脇には出店が並び、肉を焼いたり魚を焼いたり、店主と客が輪になってお酒を楽しんでいました。
「さあ、どっちに賭ける! アマモリか、バクケンか!」
「やっぱり真神じゃねぇかな」
「バクケンの法眼は強ぇぞ」
「陰陽師の倅がアマモリ側らしい」
「いや、そんなのより」
四条大橋の手前で盛り上がっている旦那衆と、目が合います。え、私?
「キツネ娘だ」
「お転婆だ」
「薫嬢だ」
「あ、薫ちゃん。これ、食べとくれよ」
屋台のおばさんから、串を手渡されます。
「ウチの新作の、キツネ娘のバクケン焼き。評判、いいんだよ」
手渡された串焼きは、私が口から火を吐いている造形でした。さっきよりも気は紛れたものの、さすがにこれは恥ずかしい。そそくさと、串焼きを頬張りながら急いで橋を渡りました。
「わ、ごめんなさい」
前を見ていなかったから、ぶつかって、
「ゴメン。こっちも前を見てなかった――って、薫か」
花束を抱えたアヤメさんと対面しました。
「ちゃんと寝れた?」
「う~ん、あんまり。独りでいるとモヤモヤしちゃって。だって私、そんなに足が速くないから、それで負けたら約束を果たせなくなるし」
「そんなにプレッシャーを感じずに、もっと楽しめばいいんだよ。あの時の、玄桃斎とのタイマンに比べりゃ気楽なもんさ」
「あれはハルが戦ってくれたし、みんなの応援もあったし」
「今回だって、アタシらがいるよ」
アヤメさんがコツンと、私の胸をつつきました。
「薫って、急にしおらしくなる時、あるよね。人とアヤカシとか、社会がどうとか、そんな小難しいのは議論したい奴に任せておけばいいのさ。世事の揉め事を独りで背負いこむことない。ほら、見なよ。コイツら、普段はあんな難しいこと言ってるくせに、こうしてバカ騒ぎしてんだ。成るように成るんだよ、どんなこともね」
「……成るように成る、か」
懐かしい言葉を思い出しました。そういえば、あの決戦前夜にも、ハルが同じことを言っていたような。
「もし負けたら、また挑めばいい。一回きりで片が付くような問題なら最初から揉めやしないのさ。何度でも、満足いくまで喰らい付けばいいだけ――なんてね、偉そうなこと言えるのもアタシが気楽な立場だから。薫とは使命感が違うか」
「ううん、そんなことない。アヤメさんの言葉で肩の荷が降りた気がする。私が背負ってるって、必要以上に考えていたのかも。きっと来年だってチャンスはあるよね。でも……やるからには全力を出さないと。やっぱり、負けたくはないから」
「そりゃそうだ。玉藻家の家訓だっけ? やると決めたからには全力で挑む。そのためには、まずは体力。あっちの焼き鳥でも食うかい?」
「隣の稲荷寿司も食べようかな」
大事の前に心配を抱えるのは私の癖みたい。どんな苦難や厄災に見舞われようと、私は、私の道を堂々と闊歩してみせる。勇気を出して踏み出した一歩にこそ、光が差すのだから。
「ほう言へば、アヤメひゃんは」
稲荷寿司を頬張りながら、アヤメさんが持っている花束が気になりました。
「前も花束を抱えてたよね。サルビアの花だっけ? 部屋に飾ってるの? それとも、もしかしてデートだったり?」
「なんでデートでアタシが花束をあげるのさ。これはお供え物。墓参りで飾ってるんだ」
「……そうなんだ。ゴメンね、茶化すようなことを言って」
「謝らなくてもいいって、エスパーじゃないんだし。普通はそんなに頻繁に行かないんだろうけど、花が枯れると、なんか寂しいから」
アヤメさんは赤い花弁に瞳を近づけて、物悲しい顔をしました。いつも彼女が見せる快活で、豪快な表情とは違った、まるでサルビアの花のように可憐で、物憂げな。
「今から行くの?」
「そう。決闘までには帰ってくるよ」
「私も一緒に行っていい?」
これはアヤメさんのプライベートかもしれないけど、何となく、アヤメさんの瞳に少しばかりの悲哀を感じたのです。救いを求めているようで、何処にも行き場のない、強い彼女だからこそ、誰にも言いだせない悩みを奥底に秘めているのではないかと。そう感じたから、私はアヤメさんには助けてもらってばかりだから、私からも力になれることがあるかもしれない。
「ただの墓参りだし、ちょっと遠いけど……それでもいいのか?」
「もちろん」
四条の祭りは、相も変わらず、笑い声と歓声で満ち溢れていました。慌ただしく交通整理をしている様子も見受けられます。その中にあって私達は、香ばしい焼き鳥の匂いと、甘い稲荷寿司の匂いと、爽やかなサルビアの花の香りに包まれていました。
アマモリとバクケンによる討論は裏四条を舞台とした『呪い鬼ごっこ』で決着することとなり、この噂は瞬く間に京都中に拡散されました。騒動が大好きな裏町住人ですから、彼らが騒ぎの口実を見逃すはずがなく、裏四条では前夜祭、前々夜祭と称して連日の祭りが開催されています。
まるで祇園祭のように『コン・チキ・チン』の音色で盛り上がっているのですが、裏町の音色は『チンドン・コンチキ』と呼ばれていまして、なぜなら、ちっとも鈴の音が揃わない。コンをキツネが、チキをニワトリが、チンを金霊が勝手なタイミングで叩くため、コンコンコン、チンチキ、コココン、チンチキ、ドン(太鼓)! みたいになるのです。
決闘の日は、六月の第二週の土曜日と定められました。
住民が寝静まった(ほとんど起きているでしょうけど)夜中に鬼ごっこが開始されるため、私は私で夜型に生活をシフトしておこうと、できるだけ夜更かしをすることにしたのです。
だけど夜中になると、暗いせいか、どうにもマイナス思考に支配されてしまう。
決闘に負けたら、どうしよう。
合同祭が開催できなくなって、せっかく音兎ちゃんが舞妓に戻る決意をしたのに、また、諦めてしまったら。
夢にまで決闘の光景が浮かんで、夢で良かったと夜中に目が覚めて、そこから考えこんで。
私って、どうしていつも、こうなっちゃうかな。
勝手に突っ走って、周りを巻き込んで、案内人として職務を全うしているつもりが、自己の正義に駆られているだけなのかもしれない。感情で突っ走って、成功すれば喜んでもらえたから、今までは満足する結論に達したから、それがもし、今回ばかりは転んでしまったら。音兎ちゃんや鈴屋の方々、香月さんに切目さん、アマモリのメンバーに、ハルだって。
考えれば考えるほど、いたたまれなくなります。段々と、自分のお節介ぶりに嫌気を覚えます。独りでいると余計に気が滅入るから、決戦当日になってもヤキモキして落ち着かなくて、だから夕方も手前に早々と裏四条のお祭りへと繰り出しました。談笑の渦に身を投げていると、それだけで気持ちが強くなれるのです。
裏四条は私の期待通りに、賑わっていました。
決戦日が近付くにつれて祭りの飾りが派手になっていくのですが、それが当日には極まって、神輿やら櫓やら、それこそ祇園祭で登場するはずの山鉾の山車まで繰り出しています。公道の両脇には出店が並び、肉を焼いたり魚を焼いたり、店主と客が輪になってお酒を楽しんでいました。
「さあ、どっちに賭ける! アマモリか、バクケンか!」
「やっぱり真神じゃねぇかな」
「バクケンの法眼は強ぇぞ」
「陰陽師の倅がアマモリ側らしい」
「いや、そんなのより」
四条大橋の手前で盛り上がっている旦那衆と、目が合います。え、私?
「キツネ娘だ」
「お転婆だ」
「薫嬢だ」
「あ、薫ちゃん。これ、食べとくれよ」
屋台のおばさんから、串を手渡されます。
「ウチの新作の、キツネ娘のバクケン焼き。評判、いいんだよ」
手渡された串焼きは、私が口から火を吐いている造形でした。さっきよりも気は紛れたものの、さすがにこれは恥ずかしい。そそくさと、串焼きを頬張りながら急いで橋を渡りました。
「わ、ごめんなさい」
前を見ていなかったから、ぶつかって、
「ゴメン。こっちも前を見てなかった――って、薫か」
花束を抱えたアヤメさんと対面しました。
「ちゃんと寝れた?」
「う~ん、あんまり。独りでいるとモヤモヤしちゃって。だって私、そんなに足が速くないから、それで負けたら約束を果たせなくなるし」
「そんなにプレッシャーを感じずに、もっと楽しめばいいんだよ。あの時の、玄桃斎とのタイマンに比べりゃ気楽なもんさ」
「あれはハルが戦ってくれたし、みんなの応援もあったし」
「今回だって、アタシらがいるよ」
アヤメさんがコツンと、私の胸をつつきました。
「薫って、急にしおらしくなる時、あるよね。人とアヤカシとか、社会がどうとか、そんな小難しいのは議論したい奴に任せておけばいいのさ。世事の揉め事を独りで背負いこむことない。ほら、見なよ。コイツら、普段はあんな難しいこと言ってるくせに、こうしてバカ騒ぎしてんだ。成るように成るんだよ、どんなこともね」
「……成るように成る、か」
懐かしい言葉を思い出しました。そういえば、あの決戦前夜にも、ハルが同じことを言っていたような。
「もし負けたら、また挑めばいい。一回きりで片が付くような問題なら最初から揉めやしないのさ。何度でも、満足いくまで喰らい付けばいいだけ――なんてね、偉そうなこと言えるのもアタシが気楽な立場だから。薫とは使命感が違うか」
「ううん、そんなことない。アヤメさんの言葉で肩の荷が降りた気がする。私が背負ってるって、必要以上に考えていたのかも。きっと来年だってチャンスはあるよね。でも……やるからには全力を出さないと。やっぱり、負けたくはないから」
「そりゃそうだ。玉藻家の家訓だっけ? やると決めたからには全力で挑む。そのためには、まずは体力。あっちの焼き鳥でも食うかい?」
「隣の稲荷寿司も食べようかな」
大事の前に心配を抱えるのは私の癖みたい。どんな苦難や厄災に見舞われようと、私は、私の道を堂々と闊歩してみせる。勇気を出して踏み出した一歩にこそ、光が差すのだから。
「ほう言へば、アヤメひゃんは」
稲荷寿司を頬張りながら、アヤメさんが持っている花束が気になりました。
「前も花束を抱えてたよね。サルビアの花だっけ? 部屋に飾ってるの? それとも、もしかしてデートだったり?」
「なんでデートでアタシが花束をあげるのさ。これはお供え物。墓参りで飾ってるんだ」
「……そうなんだ。ゴメンね、茶化すようなことを言って」
「謝らなくてもいいって、エスパーじゃないんだし。普通はそんなに頻繁に行かないんだろうけど、花が枯れると、なんか寂しいから」
アヤメさんは赤い花弁に瞳を近づけて、物悲しい顔をしました。いつも彼女が見せる快活で、豪快な表情とは違った、まるでサルビアの花のように可憐で、物憂げな。
「今から行くの?」
「そう。決闘までには帰ってくるよ」
「私も一緒に行っていい?」
これはアヤメさんのプライベートかもしれないけど、何となく、アヤメさんの瞳に少しばかりの悲哀を感じたのです。救いを求めているようで、何処にも行き場のない、強い彼女だからこそ、誰にも言いだせない悩みを奥底に秘めているのではないかと。そう感じたから、私はアヤメさんには助けてもらってばかりだから、私からも力になれることがあるかもしれない。
「ただの墓参りだし、ちょっと遠いけど……それでもいいのか?」
「もちろん」
四条の祭りは、相も変わらず、笑い声と歓声で満ち溢れていました。慌ただしく交通整理をしている様子も見受けられます。その中にあって私達は、香ばしい焼き鳥の匂いと、甘い稲荷寿司の匂いと、爽やかなサルビアの花の香りに包まれていました。
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